ベルク(BERG,Alban、1885-1935、オーストリア)
十二音音楽の旗手。作品数が少なく、例えばDGから出たベルク全集はCD10枚に収ま
っている。一聴の価値がある作品がいくつかあるのに、そもそも合唱作品が無い、残念。
しかし合唱が入るオペラ「ヴォツェック」には触れておかないといけないだろう。上述の
ベルク全集(DG,POCG-9066/75国内盤)にはこの演奏が含まれている。
○Bohm指揮Berlin Deutches Oper、66年
主役のF=ディスカウを中心に、以前から定評のある有名な演奏。なお、合唱が入ると
いっても、出番はほんの少ししかない。ただ、終結部分は児童合唱が入る重要な場面。
ここではシェーネベルク少年合唱団が担当。
もう一曲だけ、ベルクの合唱曲。
○Gottwald指揮Schola Cantorum Stuttgart(BAYER,CAD800896)83年
オリジナル作品ではなく、歌曲「うぐいす」をこの指揮者が無伴奏混声16部合唱に編曲
したもの(同様の編曲はマーラーの項を参照)。声部の多い合唱曲にこだわりたいなら
この曲はチェックしておきたい。ただ、同じ編曲者のマーラー歌曲は徐々に音源が増え
てきているが、こちらはなかなか増えない。モトネタの魅力の差か。
○Equilbey指揮Accentus Chamber Choir(naive,V4947)2001年
ゴットヴァルトの編曲物を多く集めたマニアック盤。
○Grun指揮Kammerchor Saarbrucken(CARUS,83.182)2004,05年
こちらはゴットヴァルトの編曲物のみのアルバム。
いずれにせよ、現代音楽に少しでも興味が出てきたら、「ヴォツェック」は一度は触れ
ておくべきだろう。音楽史の勉強する上で、貴重な体験になる筈だ。もちろん、無調の音
楽だけはガマンできない、という人は無理する必要は無いが。
ベリ(BERG,Gottfrid、1889-1970、スウェーデン)
国際的には超マイナーと言えるだろう。これはCD本位の選択で、以下に挙げる盤の冒
頭に入っている「Three Latin Hymns」が、ごく歌いやすい佳品で演奏も良いから。北欧
作品は日本でも注目されているし、この曲もレパに入れられて然るべき。
○Ericson指揮Eric Ericson Chamber Choir(PHONOSUECIA,PSCD703)99年
合唱の神様エリクソンも高齢になり、さすがに新録音も少なくなったが、当盤は既出の
LPに加え、99年の録音も加えて発売された。この合唱団の熱烈ファンなら、入手して
損はない。収録作品はいずれもスウェーデン物で、Wikander、Thyrestam、Sorenson、
Rosenberg、Back、Johansonらの作品集。
ベルイマン(BERGMAN,Erik、b1911-、フィンランド)
現代フィンランドの作品にはどうしても目が行ってしまう。ベルイマンもそんな気にな
る作曲家の一人で、録音が複数出ているから、聴いてみよう。
○Soderstrom指揮Finnish Chamber Choir(FINLANDIA,FACD371)87年
混声合唱作品集で収録時間は74分に及ぶ。この中では、声の表現力の可能性を追及した
幻想的な「Dreams夢」(同声合唱曲)を日本でも耳にすることがあるが、その他にも宝
を見つけられるかもしれない。前衛的で難しい曲が多いが。
○Talla Vocal Ensemble(FINLANDIA,WPCS-6509国内盤)98年
フィンランドの有名なヘルシンキ大学男声合唱団を母体にするアンサンブル、タッラに
よるアルバム。柔らかい耳あたりのサウンドと、なかなかのレヴェルの技巧を特徴とす
る。ベルイマンは「楽園の一日op.22b-1」「子守歌op.35b-2」「夜想曲op.14」の3曲
の男声合唱曲で、すぐ終わってしまう。作曲者初期の後期ロマン主義の影響下での作品
で、聴きやすい。
ベリオ(BERIO,Luciano、1925-2003、イタリア)
20世紀の作曲家を語る上で必ず触れられるであろうベリオ。彼の声絡みの音楽と言えば
例えばソプラノソロのための「セクエンツィア」あたりが有名だが、合唱を使用する曲も
ある。その中でも特に有名なのが管弦楽曲「シンフォニア」で、ベリオをというより、20
世紀音楽史を語る上で言及されることが多い。現代音楽入門というところ。特に第3楽章
の、マーラーの交響曲第2番を中心にした引用合戦は、一聴の価値あり。
僕は実演でもブーレーズの来日公演で聴いた(合唱はスウィングルシンガーズ)が、曲
が複雑過ぎて、むしろ録音の方が楽しめるのではないかという印象を受けた。尤も、作曲
者としては、よく聴き取れないというのもポイントらしいから、正しい理解には実演か。
録音も現代音楽としては恵まれた方で数種類を入手することができる。
○Boulez指揮Orchestre National de France(ERATO,2292-45228-2)84年
全5楽章。ソリストはウォード・スウィングルが率いていた時期のニュー・スウィング
ル・シンガーズ。この曲の代表的な録音とされている。カップリングは管弦楽曲「アイ
ンドリュッケ」。
○Chailly指揮Royal Concertgebouw Orch(TOWERRECORDS,PROA-217)88,89年
曲目解説が極めて充実している。「シンフォニア」の引用だらけの部分で、どの小節で
何を引用しているか、解説で知ることができる。カップリングもベリオ作品で、管弦楽
だけで演奏される「フォルマツィオーニ」と、メゾソプラノがソロパートを歌う「フォ
ークソング」。録音・演奏も良好。この番号の盤は、タワーレコードがオリジナル企画
で一枚千円で再発売したもの。極めてお買い得。なおヴォーカル担当は、テリー・エド
ワーズ率いるエレクトリック・フェニックス。
○作曲者指揮PO(ADES,ADES14.122-2)73年
第5楽章は後から追加されたもので、ここで聴けるのはオリジナルの4楽章版。
バークリー(BERKELEY,Lennox、1903-1989、イギリス)
イギリスのレーベルでは、たまに名前を見る人だが、日本の合唱団のプログラムでも、
たまに「5声のミサ曲」などを見るから、てもとの録音を挙げておく。
○Brown指揮Clare College,Cambridge(MERIDIAN,CDE84216)91年
珍しい、バークリーのみの合唱曲集で、無伴奏の「5声のミサ曲」をはじめ教会合唱曲
を揃える(オルガン伴奏付きの曲も有)。必聴とはいかなくても、なかなか美しい曲を
含んでいる。自分がひいきにしている演奏家によることもあって、気になる一枚といっ
たところ。オルガン付きの「ミサブレヴィス」など、演奏してみたくなる。
ベルリオーズ(BERLIOZ,Hector、1803-1869、フランス)
作品にどうにもムラがある人だ。一作品中にも、もう全身が吸い込まれそうないい部分
があるかと思えばつまんねえとしか言えない箇所もある。だから僕は、ベルリオーズの熱
心な聴き手とはいえない。ただ、月並みだが、合唱は関係ない「幻想交響曲」1曲だけで
ベルリオーズは十分だ。この作品ほど、燃えられるクラシック音楽も少ない。以前は定番
のミュンシュ盤(EMI)を聴いていたし、新しいところではチョン盤(DG)も燃えている。
合唱が入る大作も多い作曲家なので、凝ればCDもいくらでも集めることができる。で
は曲毎に手許の録音を挙げる。いずれも大変な力作、管弦楽付き大作である。
<劇的交響曲ロメオとジュリエット>
○Levine指揮BPO(DG,427665-2)88年
RIAS-Kammerchor, Ernst-Senff-Chor
von Otter(Ms), Langridge(T), Morris(Bs)
全7楽章、演奏時間は90分を超える大交響曲。ベートーヴェン「第九」のすぐ後にこ
ういう声楽付き交響曲が完成されていたのだから、ベルリオーズの先進性には驚かされ
る。合唱は、ストーリーを歌う小合唱と、二つにわかれた大合唱が登場して、フランス
語でうたわれる。この演奏、合唱団もなかなかうまい。ソリストも豪華。これらの名演
奏家たちをもってしても、曲の密度の薄さは隠せない。むしろ合唱無しの部分で、イン
トロダクションや「マブ王のスケルツォ」など、管弦楽曲として面白い。当盤のカップ
リングはオッターが歌うオケ付き歌曲集「夏の夜」。
<勝利と凱旋の交響曲>
○Davis指揮LSO, John Alldis Choir(PH,442290-2)69年
ブラスバンドで演奏できるような、威勢の良さだけが取り柄の交響曲。概してつまらな
いが、第3楽章に合唱がでてきて、最後思いっきり盛り上がる。また指揮者が真面目に
音を構築している。珍曲かと思っていたが、意外と競合盤がある。なおこの番号の盤は
Philipsのバジェット2枚組シリーズ'DUO'のもので、幻想交響曲や「イタリアのハロル
ド、2曲の序曲をカップリング。
<荘厳ミサ曲>
○Gardiner指揮Monteverdi Choir他(PH,442137-2)93年
1990年代になって発見された。このCDが出た時には、「今世紀最大の発見」と宣伝さ
れていた。確かにこれほど大規模な曲が埋もれていたのは驚きだが、曲のレヴェルから
言えば、今世紀最大の・・・というのは誇張だと思う。幻想交響曲の一節がでてきたり
するから「幻想」ファンには涙モノ。だが全曲約50分を通してみるとどうにも疲れる。
一部、しゃぶりつきたくなるほど凄い部分があるのは確かなのだが。なお、演奏の方は
良くやっている。合唱団も上手いものだ。
<キリストの幼時>
○Davis指揮Goldsbrough O, St. Anthony Singers(DECCA,440824-2)60年
CD2枚に及ぶ大作オラトリオで専門家の評価も高く、録音も多いが、僕自身は余り感
心していない。当盤は演奏も特に傑出しているわけではなく(合唱も含め)、それほど
大切なディスクではない。デイヴィスとしては旧盤にあたり、70年代に再録している。
なお当盤は廉価の2枚組で、ソロと管弦楽のための「クレオパトラの死」に、合唱と管
弦楽のための「水浴びするサラ」「宗教的瞑想」「オフェーリアの死」を収録。
○Casadesus指揮Orch. National de Lille,
Choeur Regional Vittoria de l'Ile de France(NAXOS,8.553650/1)96年
歌詞がフランス語で、当盤のようにフランス人演奏家で固めたものはそれだけで価値が
ある。合唱団の力はまずまずといったところ。
なお「キリストの幼時」は合唱の出番が少ないのだが、1曲、単独でクリスマスの定番
曲がある。何せスウィングルシンガーズまでが歌うほど。「The
Shepherds' Farewell羊
飼いの別れ」がそれで、これだけを収録したクリスマスのCDは沢山ある。マーロウやラ
ターが指揮したものがスタンダードだと思うが、スウィングル(EMI)も聴き物。僕は余程
ベルリオーズとの相性が悪いのか、この曲でさえあまり良いと感じないが、とにかくも、
これはクリスマスの定番だから、知っておいて損はない。
<レクィエム>
○Maazel指揮Cleveland O & Chorus(DECCA,425056-2)78年
名作の誉れ高い。この手の管弦楽付き大曲は、たいていはソリストが歌いまくるものだ
が、この曲はテノールだけがちょっと入る程度で、合唱が大活躍する点も嬉しい。しか
し、確かにTuba mirumとか、テノールソロを伴うサンクトゥスなど、これはと思わせる
目覚ましい部分もあるが、僕には大半が無駄な音に思える。当盤では合唱団も健闘して
いるが、時折男声のナマの声が気になる。この2枚組はカップリングが珍しく、ノーリ
ントン指揮ハインリヒ・シュッツ合唱団による、11曲の小さい合唱曲が入っている。ピ
アノもしくはハルモニウム伴奏。最後に触れるテテュ盤と重ならない曲もある。68年録
音の割には良い音がする。
○Edison指揮Elora Festival O(NAXOS,8.554494/5)98年
このように2枚組で「レクィエム」しか入っていないと、収録時間の関係で寂しい。ナ
クソスは安いから許せるが。当盤はカナダの演奏家たちによるもので、合唱団は素直な
発声、実は静かな部分が多いこの作品には、却って向いているように思う。録音もなか
なかで、初めて聴く人には、いいのではないか。
<ファウストの劫罰>
○Chung指揮Philharmonia O(DG,453500-2)96年
Philharmonia Chorus, Eton College Boys
Choir
von Otter(Ms), Lewis(T), Terfel(Bar), von
Halem(B), Nicklass(S)
恐らくベルリオーズの声楽作品としては最も高く評価されている、演奏時間2時間に及
ぶ大作。合唱の出番も非常に多い。録音も多数出ているので、好みに合えば聴き比べし
ておきたい。このチョン盤は、彼が指揮する「幻想交響曲」が余りにも素晴しいものだ
から期待して購入したものだが、合唱人には余り推薦できない。合唱団のレヴェルが、
お世辞にも高いと言えないからだ。チョンの指揮も「幻想」ほどではないが輝きを見せ
るのだが。なお、個人的には、この作品も密度の高さを感じない。
<テデウム>
○Inbal指揮Frankfurt RSO(DENON,COCQ-85156国内盤)88年
Vokalensemble Frankfurt他
19世紀フランスではゴセックやメユールらが演奏に多数の奏者を要する作品を生んだ流
れがあったが、その影響を受けたこの「テデウム」も、初演では何と五百人の児童合唱
など、千人近い演奏者を使ったということ。気宇壮大とはこのこと。「レクィエム」同
様、音響効果が命なので、録音で聴くのには適さないが、それでもこのインバル盤は、
作品のスケールをなかなかよく伝えている。当盤は、省略されることがある曲も含めて
全8曲の形態で演奏している。
<レリオ>
○Inbal指揮Frankfurt RSO(DENON,COCQ-85149/50国内盤)87年
Vokalensemble Freiburg他
「幻想交響曲」の直後に演奏されるべきものとして作曲。断頭台にかけられたが、まだ
死んでいなかった主人公の物語。50分ほどかかるが、語り手による部分が長い、ベルリ
オーズとしても特異な作品。いくつか合唱になる部分がある。「幻想交響曲」に比べる
とあまり面白くなく、今日あまり演奏されないのも無理はない。この番号の当盤は、国
内盤ながら廉価であり、初発売時同様の解説と対訳が付いていて良心的。「幻想」との
カップリングの2枚組で、指揮のインバルが醒めた視点で充実した音楽作りを示す。合
唱団が期待はずれなのが残念だが、まずまずの水準。
○Dutoit指揮Montreal SO,Cho(DECCA,458011-2)84,96年録音
カップリング「幻想交響曲」の方は84年の録音で、日本での初出時にはレコード・アカ
デミー賞を受賞した、有名な演奏。96年録音の「レリオ」と組んだ2枚組。カナダとい
う国の意外な合唱のハイレヴェルのせいか、不満は残るけれども、オーケストラとの音
の溶け合いなど、悪くない。まずは合格点を与えていいと思う。上記2曲を収録してC
D1枚分の価格で買えるメリットに加え、「トリスティアop.18」としてまとめられた
作曲時期が違う3曲(宗教的瞑想、オフェーリアの死、ハムレットによる葬送行進曲)
がカップリングされている貴重盤。葬送行進曲など、少しは感銘深い。
最後にもう一枚、ベルリオーズを集めた盤を挙げておく。
○Tetu指揮Choeur de l'Orchestre National
de Lyon(HM,HMP3901293)88年
上述のように大曲がたくさんあって、曲の密度の割には揃えるのに金がかかるのが嫌だ
という人に向く抜粋盤。「キリストの幼時」から「羊飼いの別れ」、「レリオ」から3
曲、「ロメオ」から2曲、オペラからの抜粋などと、女声合唱の「Veni
Creator」など
の小曲幾つかを収録。管弦楽付きの曲も全てピアノで伴奏、ソロ録音もあるノエル・リ
ーが担当。歌手がフランス人たちで、殆どがフランス語なので発音も安心。ただ、細か
いアンサンブルの点では向上の余地が大きい。なお、ミッドプライスなのは良いが、解
説は貧弱、歌詞も付いていない。
ベルリオーズのオペラ全曲盤に、僕はながらく手をつけていなかったが、ようやく「ベ
ンベヌート・チェルリーニ」「ベアトリスとベネディクト」「トロイ人」の3曲を、ベル
リオーズの専門家として名声を高めたコリン・デイヴィスの指揮で聴いた(フィリップス
への録音)。そこでわかったのだが、音楽の出来栄えは評判通り「トロイ人」が一番良い
と感じたが、これは合唱が実に重要ということ。合唱ファンならおさえておいて損はない
オペラだった。LP発売時は5枚、CDでも4枚に及ぶ大曲で全部を聴き通すのは大変だ
が、例えば冒頭、序曲なしで、短い序奏のあとの充実した合唱以下、最初の30分だけでも
満足できるほどだ。第3幕の終結、第4幕の冒頭あたりも凄い迫力。「ベンベヌート〜」
は、OXFORD UNIVERSITY PRESSから出ているラター編集のオペラ合唱曲集の楽譜に入って
いる第2幕フィナーレの合唱が、管弦楽の名曲として名高い序曲「ローマの謝肉祭」の輝
かしい旋律を歌うので、とびきり印象的だ。「ベアトリス〜」も、序曲に続く冒頭合唱が
素晴らしい。デイヴィス盤を上回るのは難しいのではという評判だが、確かにそう思わせ
る演奏の出来、これは名盤だ。
バーンスタイン(BERNSTEIN,Leonard、1918-1990、アメリカ)
作曲家としてのバーンスタインについては賛否両論あるが、僕は、その表現の率直さが
気に入っている。技法上の未熟さはそれとして、作曲者の内にある、何か表現したいもの
を強烈に感じさせる。
というわけでまずウエストサイドストーリーから。バーンスタインのどの曲が消えてし
まっても、この音楽は残るだろう。別に天下の駄曲といわれても構わない。こういう甘味
な音楽にどっぷり漬かるのも悪くない。尤も、これはミュージカルで、合唱ではないが、
例えば「トゥナイト」によるクインテットなど、作曲者が過去の音楽技法を習得した上で
ミュージカルでも成功した例だと思う。なお僕はヴォーカルスコアを持っていたが、2000
年にBOOSEY & HAWKESが改訂版を出版し、買いなおした。この新版は「序曲」の部分を収
録している。ピアノ伴奏も従来の版と少し違う。
○Bernstein指揮Broadway Orch.(DG,415253-2)84年
作曲者指揮の全曲盤。主役2人をキリ・テ・カナワとカレーラスがやっているが、僕は
キリの声が生理的に合わない。その欠点はあるが、録音も鮮明だし演奏全体も生気があ
って、何より作曲者のテンポ設定、音楽作りを楽しめる。この2枚組のカップリングは
管弦楽曲で「波止場」組曲。
○Edwards指揮National SO(JAY PRODUCTIONS,CDKJAY2
1261)93年
自作自演盤は本来決定盤としたいところだが、主役が気にいらないので他の録音を探し
ていたところに登場。この2枚組の価値は、上記の盤には収録されていない、全曲の聴
きどころをまとめた5分ほどの「序曲」が入り、効果をあげていること。演奏全体の出
来も悪くないと思うが、自作自演盤とは別の意味で主役2人に不満が残る。声にパワー
が足りないのだ。
○Schermerhorn指揮Nashville SO(NAXOS,8.559126)2001年
オリジナル版による。「序曲」は無く、全曲で約75分。シャーマーホーンの棒によって
細かい部分まで綿密な表現が与えられているのが最大の長所。主役2人の声は少しワル
な感じだが、それなりにパンチも効いており、特にマリア役は好演。周囲の歌手たちが
細かい部分までちゃんと声を出していることもよい。
○Ingman指揮Royal Liverpool PO(UNIVERSAL,4766269)2007年頃
マリアにヘイリー・ウェステンラを起用したことで話題の全曲盤(登場人物の喋りの部
分は全てカット)。残念ながらあまり良い評判を聴かないが、確かに、アンサンブルが
丁寧であるものの、高揚感が伝わってこない。僕はヘイリーの声が好きなので良いと感
じる場面もあるが。
○Original Broadway Cast Recording(SONY,SK60724)57年
結局、曲の命である熱烈な恋心を濃密に感じるためには、このオリジナルキャスト盤に
戻ってしまうが、これは全曲では無い。
なお、日本の合唱団が、時折この曲をとりあげているのを目にするが、作曲者自身によ
る編曲、というものは無い。そういえば木下牧子氏による編曲版、というのがあった。外
国の合唱団によるもので、言及しておきたいCDがある。
○Mads in love/The Philippine Madrigal Singers(MUSIKO,MRCD-120)
フィリピンの有名な室内合唱団による、恋を歌ったポピュラー作品12曲の無伴奏混声編
曲物に、「One hand,one heart」が含まれている。無伴奏で、ほぼ楽譜のまま歌ってい
るようだ。このアルバムはここで代表させておくが、例えば「Only
you」などは、実に
恥ずかしい。自分の合唱団でもこういう選曲でやってみたいというなら、是非参考にす
るとよいと思う。
ではバーンスタインの他の合唱曲のCDということで、まずは「ミサ曲」に言及せざる
を得ない。
○ミサ曲/作曲者指揮(SONY,SRCR9123/5国内盤)71年
1971年、ワシントン・ケネディセンターのこけらおとしのために作曲。副題に「シンガ
ーズ、プレイヤーズ、ダンサーズのためのシアターピース」とあるように、単に音だけ
の作品ではなく「上演」すべきもの。とにかくクラシックもジャズもロックもブルース
も、あらゆる音楽を取り入れ、思想的にも民族や宗教の壁などを取り払う意図がある。
僕はこのCDで知ったのだが、印象は鮮烈そのものだった。最も重要な司祭役を演じる
アラン・タイトゥスの声もカッコ良くハマっている。冒頭の「A
Simple Song」などは
ポップスナンバーとしても通用しそうだ。器楽のみで演奏する3つのメディテーション
も美しい。アニュスデイの、バカみたいに見えるかもしれない盛り上がりも物凄いの一
言だし、ボーイソプラノのソロから始まる結句も単純率直そのもので感動できる。個人
的には自分だけの名曲とするが、バカバカしいという評価を下す人も大勢いそうだ。
○Nagano指揮Deutsches Symphonie Orchester Berlin他(HM,801840/1)2003年
なかなか出なかった競合盤(上記番号はSACD)。ケント・ナガノは細部まで丁寧に音楽
を紡ぐ。ベルリン放送合唱団が水準の高い歌唱を聴かせるのも嬉しい。ただ、ボーイや
大人のソリストに難点があることや、肝心の司祭が僕の好みに合わない。名演であるこ
とには違いないが、感動的かと問われると疑問符も。
○Jarvi指揮Tonkunstler-orch他(CHANDOS,CHSA5070)2006年
ヤルヴィ指揮者一家のクリスティアンが振る新録SACD2枚組。冒頭のテープ、続く司祭
(バリトンのRandall Scarlata)のシンプル・ソングで少し落胆するが、ここで止めず
に聴き続ければ、それなりに楽しめる。この司祭はクラシカルな歌い口の方がいいよう
に感じられる。アニュスデイの高揚感は聴き逃せない。
○Alsop指揮Balrimore SO,Morgan State University Choir他(NAXOS,8.559622-3)2008年
価格の安さの割に、演奏が高水準で、聴き比べるなら優先順位が高い録音。児童合唱団
(Peabody Children's Chorus)が時に不安定だったり、司祭(Jubilant Sykes)はクラ
シック一辺倒の歌い口ではないのは良いが平板だったり、不満が無いわけではないが、
全体としては、まずは合格点を与えられるように思う。
○Fiedler指揮Boston Pops Orch(DG,00289 477 6115)71年
これは、「ミサ曲」マニアのためのオマケ。Irwin Kostalによる管弦楽編曲もので、声
楽は全く入っていない。全曲から聴きどころを選んだ30分強の管弦楽曲。原曲ファンな
ら、断片的な楽想を楽しむことができるだろう。
なお、僕は日本で幸運にも「ミサ曲」の実演を見ることができた。シアターピースなん
だから喜ぶべき体験だったのだが、演奏レヴェルがCDに遠く及ばず残念だった。
そしてDVD時代に入り、なかなか素晴らしい映像が登場した。
◎Brott指揮St.Cecilia O他(凸版印刷,DIBC-38007)2000年
ローマ法王の前で演奏したいという作曲者の希望が、ミレニアム・イベントとして実現
した公演の記録。ニューヨークフィルでバーンスタインのアシスタントだったブロット
の指揮のおかげで、自作自演盤に極めて近い感触の演奏になっている。主役のダグラス
・ウェブスターの抒情的な歌い口も、魅力的な司祭像の創出に成功している。もちろん
演出付きで歌手たちは動きながら演じるわけで、僕には演出を評する力が無いが、とに
かくも音楽的に充実しているから楽しめる。ソロ役の少年も良い。演奏後に感極まって
涙を流す歌手がいるのも印象的。DVDとしては価格が安いのも長所。
他の声楽曲にいくが、劇場音楽の類がたくさんある。僕はそのすべてを聞いたわけでは
なく、「タヒチの騒動」「クワイエットプレイス」は聴いてみたいと思っている。
○ON THE TOWN全曲/Thomas指揮LSO(DG,437516-2)92年ライブ
「三つのダンスエピソード」が管弦楽曲としてよく演奏されるミュージカルの全曲盤。
歌手にシュターデやレイミーあたりも起用している。曲にマッチした歌い方なのかどう
か研究不足でよくわからないが、全体としては安心して聴ける一枚だと思う。「ニュー
ヨーク、ニューヨーク!」などが有名だし、トラック17のナイトクラブのシンガーが歌
う「Ain't Got No Tears Left」がごきげんなナンバーだ。指揮者自らピアノを弾いて
たりして。CD1枚全部聴くと疲れるが、気にいったナンバーだけを選んできけばそれ
なりに楽しめる。なお合唱はロンドンヴォイセズが担当、出番が少なくて残念。
○オペレッタ「キャンディード」全曲(final
revised version,1989)/
作曲者指揮LSO,同合唱団(DG,429734-2)89年
ヴォルテールによる、いわゆる「快楽主義」を批判する風刺劇。指揮者が亡くなる前年
の演奏で、同じ音源によるLDが出ていて評判が良いそうだ。脇役にゲッダやルードビ
ヒが出てくるのは贅沢。曲の方は、まず何といっても単独で演奏される機会がめちゃく
ちゃに多い序曲が楽しい。アリア「Glitter,
and Be Gay」は、コロラトゥーラソプラ
ノのための名曲の一つに数えてもよかろう。当盤でのアンダースンの歌唱にはより一層
の安定感を望みたいが。合唱団は相変わらず声作りがいまいちだが、ここでは音楽の勢
いがあって、その健闘は称えられる。合唱の出番も多く、一度歌ってみたい曲だ。終曲
の「Make our garden grow」など、ピースで発売されている楽譜もある。
○Make our garden grow/George指揮SanFranciscoSymphony
Chorus(DELOS,DE3270)2000年
その「Make〜」だけピースとして歌った例。20世紀の合唱曲アルバムに収録。
○ホワイトハウスカンタータ/Nagano指揮LSO,London
Voices(DG,463448-2)98年
ミュージカル「ペンシルヴェニア通り1600番地」からの情景、としてまとめられたカン
タータ。アメリカ政治史に興味がある人には面白いだろう。音楽としては、合唱の活躍
度が高いのは嬉しい。合唱編曲が単独で出版されている「Take
care of this House」
の原曲が聴けるのがポイント。
バーンスタインの合唱曲で最も演奏機会、CDが多いのは「チチェスター詩篇」なのか
もしれない。規模が手ごろで演奏しやすいだろう。旧約の詩篇から3つを選び、古ヘブラ
イ語のテキストに作曲。第1曲の7拍子の律動は活力に満ちて魅力的だ。第2曲はソロが
なかなかいける。第3曲は平和な曲想だが、個人的には苦手な楽章である。録音が結構多
くある中、手許には6種。
○Brown指揮Clare College,Cambridge(COLUMNS
CLASSICS,B555014)96年
無料のVIDEO-CDもついているお得盤。ラター、ブリテン、ティペット作品を併録。バー
ンスタインは第2曲のソロをカウンターテナーがやっているのが変わっている。オルガ
ンとハープ及び打楽器伴奏版。僕は好きな合唱団で、心地よく聴ける。
○Bernstein指揮Israel PO(DG,415965-2)77年
ウィーン青年合唱団を使い、ソロはウィーン少年合唱団員。作曲者の意図を知りたい人
は文句なくこれ。録音がいまいち冴えない。カップリングは管弦楽付きの歌曲集である
「ソングフェスト」。
○Shaw指揮Atlanta SO,同合唱団(Telarc,CD-80181)89年
音は作曲者盤よりも良い。特徴は第2曲のソロを少年ではなく大人の女声が担当してい
ること。合唱団もこちらは充実している。カップリングはウォルトンの「ベルシャザー
ルの響宴」と、同じくバーンスタインの合唱と打楽器のための「ミサブレヴィス」。つ
いでにこのミサ曲に触れておくと、これは作曲者初期の舞台音楽「The
Lark」をもとに
宗教音楽に仕立てたもの。曲そのものの出来は目覚ましいものでもないが、このショウ
盤レヴェルの演奏に恵まれれば幸せというものだ。なお、もとになった「The
Lark」は
シックスティーンの好演(COLLINS,12872)がある。
○Hickox指揮Royal PO, London Syphony Chorus(CARLTON,30366
00092)86年
第2曲のソロが、あの一世を風靡したアレッド・ジョーンズ、というのが最大の特徴。
カップリングのフォーレのレクィエムは冴えないが、バーンスタインの方は音楽作りに
鋭さがあって、なかなか良い。
○Patterson指揮Gloria Dei Cantores(Gloria
Dei Cantores,GDCD008)91?年
現代アメリカの合唱曲を集め、特にヒナステラの「エレミア哀歌」が貴重な一枚だが、
チチェスターに関しては演奏が評価できない。第2曲の大人のソロもよくない。なお当
盤では通常のオケ伴奏版ではなく、オルガンを中心とした室内楽版を使用。
○Cleobury指揮King's College,Cambridge(EMI,CDC7
54188 2)90年
この団体にしては信じられないほど不安定な演奏。第2曲のソロはボーイを起用。伴奏
はオルガン、ハープ、打楽器。
3つある交響曲のうち、第3番「カディッシュ」はソプラノソロ、語り手、合唱のため
の作品。ボストン響75周年のために委嘱されたが完成が遅れ、ケネディ暗殺と時期が重
なり、結局ケネディの霊に捧げられることになった。直接的な平和の訴え、死者への祈り
が強烈な音楽だ。合唱の出番も多いので歌い甲斐もありそうだ。手許に自演盤が2枚。
○交響曲第1〜3番、セレナード、シンフォニックダンス、ファンシーフリー、
プレリュード・フーガとリフ/NYPO他(SONY,75DC390/2)64年
○交響曲第1〜3番、セレナード/Israel PO(DG,445245-2)77年
前者が旧録音、後者が新録音。語りが、前者が女性(元バーンスタイン夫人)、後者が
男性(ウエイジャー)ということが大違い。僕は女性の方を支持する。合唱は後者のウ
ィーン青年合唱団(少年合唱はウィーン少年合唱団)も若々しい声での熱演だが、前者
の深い声(カメラータシンガーズ)の方が曲に合っているように思う。前者を推薦。
なおこの曲では、最近日本の佐渡指揮盤を見かけたが未聴。
アトランタオリンピックの公式CD「SUMMON
THE HEROES」(SONY,SK62592)には、
「Olympic Hymn」というバーンスタインの合唱曲が含まれているが、ピンとこなかった。
ビーバー(BIBER,Heinrich Ignaz Franz von、1644-1704、ドイツ)
どちらかといえば器楽の曲が愛好されているが、声楽関係も負けてはいない。何しろ、
ベネヴォリの作品とされてきたザルツブルク大聖堂のための53声のミサ曲は、今はビーバ
ーの作と言われているのだ。その他にも多声部の合唱曲があるとあって、見逃せない。録
音もここのところ流行で増えてきている。手許には、その中のほんの数枚。
○McCreesh指揮Gabrieli Consort(ARCHIV,457611-2)97年
前述の53声のミサ曲「Missa Salisburgensis」の新録音。どうしたってオーディオで聴
く限界はあるが、この演奏の登場で、かなり楽しめるようになった。
○Koopman指揮Amsterdam Baroque O & Choir(ERATO,WE839)
これまた多声部の音楽で、15声のための「レクィエム イ長調」と、32声の「晩課」を
収録。録音も新しくて快適だし、合唱団もうまい団体の筈だが、この盤に関しては、い
まひとつ整理されていない。曲に関しては、レクィエムなど過度に楽天的で、厳粛さを
期待すると、はずすことになる。なお手許の盤は紙ジャケットの廉価盤で、フランス語
の解説がほんの少し付いているだけというのは寂しい。なお、つい最近の新譜で、この
コンビが上述の53声のミサ曲を録音したものがあり、評判が良いが未聴。
○Leonhardt指揮Nederlandse Bachvereniging(DHM,05472
77277 2)92年
こちらの30分弱のレクィエムはヘ短調、5声のための作品で地味め。演奏は、ソリスト
は豪華メンバーで、合唱はまずまず。カップリングは珍しいVallsのミサ曲。
○Brunner指揮Salzburg Hofmusik(CPO,999258-2)94年
ビーバーの現存する唯一のオペラであるらしい、「アルミニオ」の全曲盤3枚組。こう
なるとかなりのビーバー好き向けと言わざるを得ない。演奏の質は高い。
未聴だが、サヴァール指揮で未知のミサ曲(これまた多声)の録音も出ていた。暫く流
行るのだろうか。
バンショワ(BINCHOIS,Gilles、c1400-1460、フランドル) →DUFAYの項参照
ビゼー(BIZET,Georges、1838-1875、フランス)
ビゼーといえばオペラ「カルメン」、もうこの1曲だけで、合唱も含めて十分だ。合唱
の活躍度も目覚ましい。有名な「ハバネラ」も「闘牛士の歌」も、合唱のあいの手があっ
て初めて成立するものだし。開始間もなくの児童合唱も楽しい。
「カルメン」について、僕には大袈裟ながら自分の転機となった思い出がある。あれは
大学入試の頃、テレビでカルロス・クライバー指揮するウィーン国立歌劇場の公演が放送
された。当時の僕は既に色々と生意気な持論を持っていて、その一つにオケ指揮者無能論
があった。指揮者なんて現代では大したことしてない、演奏の成功はオケのおかげだ。さ
て、クライバーは、すすすっと舞台に出てきて、拍手を無視して振り向きざまにタクトを
振り下ろした・・・・
それは夢のような2時間余りだった。演奏会でも自分の演奏でもなく、今までに自分が
受けた最高の音楽体験だったかもしれない。その日以来、指揮者では唯一人、クライバー
を尊敬するようになった。音楽の流れがピタっとはまっていて、どの細部をとっても生き
生きとしている。「ジプシーの歌」の高揚感など、この演奏を聴くともう他は生温くて聴
けない。もちろんクライバーのカルメンは、正規の音源としては存在しない、残念。
ではまず、手許にある「カルメン」の録音から。
○Karajan指揮BPO他(DG,410088-2)82年
ベルリンフィルの重い音は魅力だが、とにかくクライバーを聴いてしまうと、もうタル
くて駄目。またこのカラヤン盤、児童合唱に問題があり、音楽を弱くする。
○Rahbari指揮CSRSO(NAXOS,8.660005-7)90年
アンサンブルの質はほどほど確保されており、価格を考えればお買い得であることは間
違いないが、合唱団だけに注目してみると、音程などに問題があるのが残念。
なお、ビゼーのオペラは他も録音で聴けるが全曲盤は未聴。但し手許には、フランスオ
ペラの合唱曲を集めたアルバム(EMI,CZS5 72299
2)があり、ビゼーの3つのオペラの合唱
名場面が入っている。指揮はプラッソンとプレートル。
さらに、他の合唱曲に行く。
○Clark指揮Consort of London,Consort of voices(CONIFER,CLASS7015)
「アルルの女」と言えば管弦楽の組曲盤ばかりが有名だが、元の劇音楽を収録した物。
他にプラッソン盤(EMI)もあるようだし、最近2枚組にまで拡張された盤を見かけた。
当盤は格安で買える。あの「ファランドール」に合唱が入る(すぐ終わるが)のは嬉し
いし、前奏曲のメロディを合唱が歌ったりもする。ただし、かの有名なフルートのメヌ
エットは当盤には入っていない。カップリングはピアノ連弾「子供の遊び」のオケ版。
○Zobeley指揮Munchner MotettenChor(CALIG,CAL50956)96年ライブ
グノーの有名な「セシリアミサ」の余白に20分弱のビゼーの管弦楽付き合唱曲「テデウ
ム」を収録。明るい楽想だが、今ひとつパンチに乏しい。合唱団は、素直な声を出す。
○Higginbottom指揮New College,Oxford(ERATO,3984-21659-2)98年
ヒーリング・ブームにのってブレイクしたこの合唱団のアルバム「アニュスデイ」、そ
の第2弾。ここに聴くビゼーのアニュスデイはオリジナルではなく、「アルルの女」の
間奏曲を、このアルバムでいくつか編曲をてがけるCameronが無伴奏混声8部合唱にア
レンジした変わり種。
もう一枚、何でも歌っちゃうスウィングルシンガーズによる「子供の遊び」。
○Swingle Singers(SWINGCD10)
あの「舞踏会」が合唱になっちゃった、見事。組曲からもう1曲「Petit
Mari」も。
さらにアレンジもの一枚。
○XUXU(3361 BLACK,TKCK-3040)2006年
収録曲:チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番;ビゼー/ファランドール;
モーツァルト/アイネクライネナハトムジーク第1楽章;パッヘルベル/カノン;
プッチーニ/星は光りぬ;フォーレ、バッハ/シチリアーノ;ショパン/英雄ポロネーズ;
サティ/ジュ・トゥ・ヴ;ベートーヴェン/ピアノソナタ第8番第3楽章;
リスト/ラ・カンパネラ
上記の普通のクラシックをネタにした、アカペラコーラスとダブルベースによる、即興
風ジャズを披露してくれる、チャレンジングなアルバム。アルバムのタイトルは「アカ
ぺラ協奏曲第1番作品23」ということで、チャイコフスキーから始まるが、彼女たちの
特徴がよく表れているのは、2曲目のビゼー「ファランドール」であるように感じられ
るので、この曲で代表されてとりあげる。
ブリス(BLISS,Arthur、1891-1975、イギリス)
ファンファーレなどのイメージが強い人だが、合唱曲も少しあって、イギリスの注目の
合唱団が録音しているから聴いてみよう。
○Finzi Singers(CHANDOS,CHAN8980)91年
収録曲:Birthday Song for a Royal Child;Mar
Portugues;River Music;
Shield of Faith; The world is charged with
the grandeur of God
最初のソプラノ、バリトン、オルガン、混声合唱のための「Shield
of Faith」が40分
に及ぶ大作で、なかなか聴きごたえがある。イギリス近現代音楽ファンなら、聴いて損
はないと思う。時折オルガンを実に荘厳に鳴らすのがいい。最後の「The
world is〜」
は、混声合唱にフルート2、トランペット3、トロンボーン4が付く珍しい編成だが、
ファンファーレ得意のブリスの長所が出ているように感じられる。
ボロディン(BORODIN,Alexander、1833-1887、ロシア)
オペラの合唱曲としては最高の名曲「だったん人の踊り」があるから見逃せない。この
メロディーラインの良さは誰も否定できないだろう。本当はそれを含むオペラ「イーゴリ
公」全曲を聴くべきで、ゲルギエフ盤などがあるが未聴。「だったん人の踊り」も管弦楽
だけで演奏されることも多いが、ここはやはり合唱付きで聴きたい。CDは非常に多く、
手許にあるのはごく数枚。
○Jarvi指揮Gothenburg SO,Ch(DG,435757-2)89年
この2枚組で交響曲全3曲を含め主な管弦楽曲を網羅できる点が価値の高い盤。「だっ
たん人」での合唱団は、声は浅いがなかなかの熱演。
○Gergiev指揮Kirov Orchestra & Chorus(PHILIPS,442011-2)93年
やはりロシアの合唱団でということならこれは推薦盤の一つと言えるだろう。この曲以
外はロシアの管弦楽曲集で、メインはチャイコフスキーの「序曲1812年」、これも合唱
を付けてくれればもっと嬉しいのに。
○Salonen指揮BRSO,Ch.(PHILIPS,412552-2)84年
こちらもロシアの管弦楽名曲集で、やはりチャイコの「1812年」に合唱が付いていない
のが残念。管弦楽付き合唱曲では定評ある団体だから、それなりに安心して聴ける。合
唱以外では、バラキレフのピアノ曲「イスラメイ」のリャプーノフ編曲による管弦楽版
が入っている点がピアノファンには嬉しいところ。
○Lazarev指揮Bolshoi SO,Bolshoi Chorus(ERATO,4509-91723-2)93年
ロシアのオペラ合唱名曲集で、解説に歌詞がついていればもっと価値があがった一枚。
ボロディンは、「だったん人」以外の「イーゴリ公」からの音楽も少し聴ける。
○Conta指揮Budapest State Opera(SELCOR,RC510)
解説皆無のオペラ合唱曲集で格安で買える物だが、演奏(合唱団の質)や音質はかなり
まとも。ROMANTIC CLASSICSなるシリーズ。
○Ehrling指揮Royal Swedish Opera(CAPRICE,CAP21520)95年
合唱団は期待ほど上手くなくてがっかりの、オペラ合唱曲集。といっても、期待に及ば
なかっただけで、低レヴェルというわけではない。
○Simon指揮Philharmonia, BBC Symphony Chorus(CALA,CACD1011)92年
「イーゴリ公」組曲として、序曲以下5曲を演奏している。合唱付きは「だったん人」
の他、「だったん人の娘たちの合唱」も収録。当盤には珍曲があって、ストコフスキー
編曲による、ごく短い「レクィエム」がそれ。男声合唱が入る、暗い曲。
この機会に、楽譜について触れておく。この「だったん人」の踊りは人気曲なので幾つ
かの出版楽譜があるが、イギリスのOXFORD UNIVERSITY
PRESSが出したラター編集による
「オペラ合唱曲集」は、なかなかの楽譜だ。まずページ数の割りに安い点だけでも評価で
きるし、それぞれまずまずのピアノ1台伴奏が付いている。「だったん人」に関してはオ
リジナルのロシア語歌詞をローマ字表記したものと、英語訳が付いているので、どうして
もロシア語は苦手でだめ、という場合も対応できる。
最後に編曲物。
○村治佳織、Christopher指揮Sixteen(DECCA,UCCD-1176国内盤)2006年
ギターと合唱のコラボ企画盤。「だったん人の踊り」をボブ・チルコット氏がアレンジ
している。シェークスピア「テンペスト」から歌詞をとっている。ボーナス=トラック
ということだ。
○London Voices(DECCA,425216-2)88年
Runswick編曲による企画物、ボロディンでは、最も有名な旋律と言える、弦楽四重奏曲
の中の夜想曲を合唱にしてくれた。いかにも誰かが考えそうな試みである。
○Edwards指揮PO, Ambrosian Chorus他(JAY RECORDS,SHOW
CD014)89年
ライト&フォレストのコンビによる、ボロディンのメロディを再構成したミュージカル
「キスメット」の抜粋盤。僕はこの曲を聴いて、全てのモトネタがわかるほどボロディ
ン作品を知らないが、もちろん、「だったん人」のメロディーは楽しめる。演奏がかな
り本格的なのがグッド。音も良し。しかし、思ったほど胸キュンでもない。
ボルトニャンスキー(BORTNYANSKY,Dmitri、1751-1825、ロシア)
ロシアの教会合唱曲の作曲家として、日本では割りと知名度の高い方ではなかろうか。
国内版の出版楽譜を目にしたりもする。彼の作品の録音も従来からそれなりにあったのだ
が、体系的に聴いてみたいと思っていた。つい最近、ようやく念願かなうシリーズの録音
が始まった。
○Polyansky指揮Russian State Symphonic Cappella(CHANDOS,CHAN9729)
録音日付データが不明だが、恐らく98年から99年の最新録音。彼の35曲ある合唱のため
の「協奏曲」の全集第1集になる。曲の感触は、いかにもロシアの聖歌。この分野での
後世の最大傑作、ラフマニノフの「晩祷」に連なる伝統を実感できる。特に密度が濃い
作品ではないが、時折、無伴奏混声合唱ならではの美しい瞬間がある。このロシアの合
唱団はド迫力を誇るわけではないが、ロシアの団体にしては音程を犠牲にせず、極力ビ
ブラートを抑えた響きを作る。ここぞという箇所では重低音を鳴らすし、まずは十分の
レヴェル。全集の進行が待ち遠しいシリーズだ。
ブーランジェ(BOULANGER,Lili、1893-1918、フランス)
合唱指揮者でもあったナディア・ブーランジェの妹で、24才で病死した薄幸の人だが、
女性初の「ローマ大賞」という才媛であったようだ。いくつか残された作品は今も演奏さ
れている。まず1枚CDを挙げよう。
○Kegelmann指揮Der Heidelberger Madrigalchor(BAYER,BR100041CD)
メンデルスゾーンの姉、ファニーの合唱曲が聞きたいと思って買ったCDだが、カップ
リングのブーランジェの4曲のピアノ伴奏付合唱曲(Hymne
au Soleil、Les Sirenes、
Renouveau、Soir sur la Plaine)の方に、むしろ強く惹かれた。ドビュッシーやフォ
ーレの魅力を引き継いでいる。特にピアノパートは絶妙、是非弾いてみたいものだ。ピ
アノ付き邦人合唱曲が好きな人ならきっと気に入ってくるだろう。フランス語の壁があ
るが、日本の合唱団のレパ対象にする価値は十分あるように感じる。当盤にはクララ=
シューマンの合唱曲も収録している。ごく普通の曲だが、ファニーの合唱曲は力作もあ
り、注目される。
このCDでブーランジェに注目してもう1枚、管弦楽伴奏付きの合唱曲盤(EMI)を買っ
てみたのだが、こちらはいまいちだった。指揮は大物マルケヴィッチだが、50年代後半の
モノラル録音にしては酷い音、曲もワーグナーの影響を変に受けた感触で楽しめない。
ブラームス(BRAHMS,Johannes、1833-1897、ドイツ)
僕は、天才よりもその周辺に位置する作曲家を好む。天才モーツァルトよりはベートー
ヴェン、天才ドビュッシーよりはラヴェルを。ブラームスは、天才周辺の努力の人という
ことになるのだろう。メロディーに特別才能があるわけでもなく、とにかく音を積み上げ
に積み上げた成果としての和声の魅力で聴かせる人だ。そんなタイプだから、全ての作品
が良いというわけではない。
日本人にはブラームス好きが多いが、合唱曲は「ドイツレクィエム」を除いて、合唱人
以外には知られていないと言っても過言ではない。しかし、ちょっと歌ったことがある人
ならわかるように、合唱にも名作が目白押し。録音の聴き比べも楽しい筈だ(僕はそれほ
どやっていないが)。
ではまず大作「ドイツレクィエム」から。実は、僕はこの曲がずっと苦手だった。ラジ
オで聴いてもよくわからないし、実演を聴くとなおさらがっかりする体験ばかりで、なぜ
これがこれほどもてはやされるのか、さっぱり理解できなかった。ただ、第2楽章は初め
て聴いた日から、これぞブラームスという醍醐味を感じた。問題はまず第1曲、これも冒
頭の管弦楽の入りはゾクゾクものだ。しかし合唱が入ってまもなく、ソプラノに高いAの
音がやってくる、これをちゃんと歌える合唱団が無いのだ、ここでがっかり。第3楽章以
降はよくわからなかった、僕はブラームスの器楽曲は好んでいたのに。そんな呪縛から解
放されたのは、実につい最近のこと、ヘレヴェッヘ盤を聴いたことがきっかけだった。
○Herreweghe指揮Orchestre des Champ Elysees(HM,HMC901608)96年ライブ
La Chapelle Royale,Collegium Vocale, Oelze
(S),Finley(Bar)
純粋に合唱曲としての截然たる美を示した演奏がこれ。全然ドイツ的、ブラームス的で
ないという批判もありえるが、それを補って余りある美質があるように思う。迫力にも
決して欠けていない。ピリオド楽器を使用。
現代楽器のオーケストラによるものでは、僕はドイツ語圏の合唱団にこだわっている。
以下に数枚を挙げておくが、これ以外ではサヴァリッシュ盤(ORFEO)が素晴らしかったと
いう記憶がある。この指揮者には旧盤(PHILIPS)もあるが、そちらは平凡。
○Kegel指揮Leipzig Radio SO,Ch, Haggander(S),Lorenz(Bar)
(CAPRICCIO,CA49314)85年
激安ボックス(内容はベートーヴェン「第九」の項を参照)。このブラームスは素晴ら
しい。この剛直さ、これぞブラームスを聴く醍醐味だと思う。大いに推薦したい。
○Bernius指揮Klassischs Philharmonie Stutgart,Kammerchor
Stuttgart
Borchert(S),Volle(Bar) (Carus,83.200)97年ライブ
管弦楽も60人未満で、室内楽的なドイツレクィエムとして推薦できる。ただ僕には、期
待ほど良い演奏ではなかった(世界一レヴェルの合唱団だから期待が高すぎたかも)。
○Celibidache指揮Munchner PO,Ch,Members of
Muchner Bach-Chor,
Auger(S),Gerihsen(Bar) (EMI,CDC5 56843
2)81年ライブ
これは遅い、何しろ88分弱だ!しかしやはり、細部まで美しく磨き上げるチェリ節は健
在。ただし僕は、これは合唱人には推薦しない。合唱団とオーケストラのピッチの差が
気になるからで、これでは美しい音楽とは言えないし、自分が演奏に参加する際の参考
として、この程度で満足されては困るからだ。「交響曲第1番」を併録。
さて以下は、こだわりの、というよりは参考としての「ドイツレクィエム」の録音。
○Spering指揮Chorus Musicus Koln(OPUS111,OPS30-140)95年
Isokoski(S), Schmidt(Bar)
この曲には、作曲者自身による2台ピアノ伴奏版があって、ロンドン初演はその版で行
われたのだそうで、その版による演奏がこれ。決して極上の合唱団ではなく、しかも想
像できるように伴奏がピアノだけだから合唱がガラス張りになってしまうのだが、通常
の管弦楽伴奏では発見できなかった魅力もある。どうせCDで聴き比べるならこういう
ものを手許に置いておきたい。なお楽譜は日本の出版社から出ている。ピアノもピリオ
ド楽器を使用。
○Equilbey指揮Accentus他(NAIVE,V4956)2003年
Piau(S), Degout(Bar), Engerer,Berezovsky(2pianos)
これもロンドン初演版でピアノは現代楽器、ピアニストの選択が贅沢だ。この合唱団は
好不調の波があるのか、僕にはアラが目立つような気がする。一般の音楽愛好家には上
記のシュペリング盤よりも、こちらの方が馴染みやすいかもしれない。
○Haneke指揮Don Haneke Chorale(ARKAY,AR6159)97年頃
これは珍盤。合唱団はたった24人。こういう大曲をヴォーカルスコアを使ってピアノ伴
奏で練習するというのは合唱団の日常風景だが、そんな様を録音している。合唱が上手
い録音を紹介するというここの趣旨から言えば挙げるべきではないレヴェルの演奏とい
えるが、もしこういう形態の公開演奏を考えている方がおられれば是非参考に。
何でこんな演奏が出てくるのだろうと改めて楽譜を見ると、この曲の合唱は常にたった
4声、しかも声部の分割が無い。それでこの巨大な世界を表出しているのだから、まこ
と恐るべき合唱曲というしかない。
○Matthies & Kohn(NAXOS,8.554115)96年
ピアノ好きの僕が調子にのって、もう一枚参考盤。ついに合唱をとって、ピアノ4手だ
けで演奏した一枚。しかしこのピアノ連弾デュオ、楽器を歌わせる才能に長けていて、
十分説得力のある演奏になっているのが驚き。
○Toscanini指揮NBCSO, Westminster Choir,(NAXOS,8.110839)43年
これも参考盤。戦中の演奏で、歌詞が全曲英語。合唱団が下手なのは仕方ないとして、
指揮の魅力もそれほどでもない。珍演集めが好きな人には大推薦。
「ドイツレクィエム」の他にも管弦楽付き合唱曲がいくつかあり、規模も適当で内容も
いかにもブラームスらしいためか、演奏機会が非常に多い。録音も多いが、僕はあまり多
くを聴いていない。特に「アルトラプソディ」「運命の歌」は愛好者が多いし、渋い「哀
悼歌」も通好みの佳曲。
○合唱曲集(LONDON,POCL4149/50国内盤)
曲を網羅するなら、歌詞の訳がつく割りには安いこともあって、好適の一枚。曲によっ
て演奏者が異なるので以下に掲げる。「リナルド」は貴重な音源。
哀悼歌op.82、アルトラプソディOP.53/Ansermet指揮SRO,Ch
リナルドop.50、運命の歌op.54/Abbado指揮NPO,Ambrosian
chorus
運命の女神たちの歌op.89、埋葬の歌op.13/Blomstedt指揮SFSO,Ch
○Sinopoli指揮Czech PO,Prague Phil Chorus(DG,435066-2)82年
アルトラプソデイ、哀悼歌、運命の歌、勝利の歌を収録。「勝利の歌」の録音が多くな
いので貴重だが、ベートーヴェンっぽくて、おめでたい曲だ。
○Davis指揮BRSO,同Ch(RCA,09026-61201-2)92年
アルトラプソディ、哀悼歌、運命の歌、運命の女神の歌を収録。それに加えて、無伴奏
の名曲で決して録音に恵まれていない「マリアの歌op.22」が入っている点に期待して
入手した盤だが、残念ながらそれが期待はずれ。この合唱団は、管弦楽が無い場合も安
心して聴けるわけではない、ということか。
続いて、無伴奏ないし鍵盤楽器伴奏付きの合唱曲を。これらも、日本での演奏回数は、
いわゆるロマン派では格段に多いように感じられる。日本人のブラームス好きを反映して
いるのだろう。またそれに足る充実した内容があるわけで、その気があれば毎年少しずつ
ブラームス作品をとりあげるのもいいかもしれない。楽典用語でいう「機能和声」による
曲を上手に鳴らす練習曲としても最適だろう。ただ、多くの曲の歌詩がドイツ語で、これ
が大変。世俗曲だと、同じフレーズのくりかえしで詩が変わったりで量が多く、もし暗譜
となれば、かなり歌い込む必要がある。また、西洋音楽の素養を各奏者がかなり積んでお
かないと、表面は簡単に整ったとしても、ロクでもない音楽になりやすい。要するにクラ
シック音楽の保守本流、というところ。
CDでは、ドイツグラモフォンがブラームス全集を出していて、その第7巻(4枚組)
が合唱曲集になっている。まずはこれから。
○Jena指揮NDR-Chor(DG,449646-2)81,82年
4枚組で宗教的・世俗的いずれも網羅、しかも一つの合唱団によるという偉業。演奏の
出来は全てが最上とも言えないが、ドイツの合唱団の演奏であること(ドイツ語の発音
の良さ)と、そこそこ揃った質の高さから、推薦レヴェルに十分達している。ただし、
日本で特に人気がある合唱曲が入っていない。それは「ジプシーの歌op.103」のことで
ある。抜粋なら同じDGの全集第6巻の重唱曲集(これはマティス、ファスベンダー、
シュライアー、F=ディースカウの演奏でなかなか良い、特にシュライアー)に入って
いるのと、ソロ版(ジェシー・ノーマン)が全集第5巻の歌曲集に入っているだけ。ま
た、これもしばしば日本の合唱団が歌うワルツ集「愛の歌」「新・愛の歌」や、これま
た合唱団で歌われることも多い「四重唱曲op.92」も、第6巻重唱曲集に収録。ブラー
ムスが特に好きな人なら、この第6巻4枚組も入手したいところ。「ドイツ民謡集」で
合唱が加わる曲もあることだし。
この全集第7巻に含まれている曲を作品番号順に並べてみよう。まず宗教曲。
アヴェマリアop.12(1858)
詩編第13番op.27(1859)
2つのモテットop.29(1860)
宗教的歌曲op.30(1856)
3つの宗教的合唱曲(女声)op.37(1859,1859,1863)
2つのモテットop.74(1877,1863/4)
祝典と記念の格言op.109(1888/89)
3つのモテットop.110(1889)
どれをとっても、いずれ劣らぬ名曲が揃っている。日本での演奏機会も多い。ただ1曲
選ぶとなると、やはりモテットop.74-1ということになるだろう。冒頭の2小節だけで、
既にドイツ一色の世界。音の絡みがいかにもブラームスらしい、演奏しがいのある曲だ。
これら宗教曲のCDは、オムニバス盤に1、2曲なりが含まれているケースも多く、量
的には恵まれている。ここでは、ある程度まとまったものを挙げる。
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(CONIFER,CDCF178)89年
上記8曲をすべて収録。これはヒーリング時代のブラームスと言えるかもしれない。い
かにもドイツ的と形容されるような重厚さには欠けるものの、ここには全く違う感覚が
呈示されている。ここまで軽く、美しく響くのなら大満足だ。特に女声合唱のためのア
ヴェマリアop.12の演奏は傑出している。
○Creed指揮RIAS-Kammerchor(HM,HMC901591)95年
op.29、74、109、110を収録。磨きあげられた、という形容が今日最も似合うこのドイ
ツの合唱団がブラームスを録音しているのは嬉しい。上記DGの全集を買わずに、この
合唱団が同じレーベルに入れた2枚の世俗曲集と共に持っておくのが、演奏の質の高さ
だけをとれば正解かもしれない。この宗教曲集は、耳に滑らか過ぎるのが、逆に欠点に
なるかもしれない。なお当盤にはもう1曲、作品番号の無いミサ曲の断片(サンクトゥ
ス以降)が入っているが、これは捨て難い魅力があるので、以下に述べる。
○Jones指揮St Bride's Choir(NAXOS,8.553877)96年
op.12、27、29、30、74、109、110を収録。10数人の合唱団でブラームスをやるとこう
なりますというサンプル。なかなか優秀な合唱団だが、同じレーベルへのブルックナー
集に比べると、人数の少なさからくる欠点が隠せていないようだ。
○Bernius指揮Kammerchor Stuttgart(Carus,83.201)93,95年
op.12、30、74、109、110に加え、世俗曲に分類してもよい「埋葬の歌op.13」と、下に
述べる「ミサ・カノニカ」(キリエ付き)を収録。この合唱団のファンなら持っておき
たい。しかしop.29が入ってないのは、どうしたことだろう。
宗教曲に一つ、遺作で興味深いものがある。後のop.74-1の原形となったミサ・カノニ
カWoO18がそれ(Kyrie WoO17もあわせてミサと表記することもある)。作曲家の思考の過
程だから、それをほじくりだして演奏するのは褒められた行為でないかもしれないが、何
せモテットのあの魅力的な楽想が登場するのだから、op.74-1ファンは聴いておきたい。
○Neumann指揮Kolner Kammerchor(MDG,MDG3320598-2)94年
素晴しい演奏。カップリングがシューマンのミサ・サクラで、これまたなかなか良い。
○Conte指揮St.Clement's Choir(DORIAN,DIS80137)95年
この合唱団についてはこのCDを買うまで知らなかったので不安だったが、アメリカに
こんな合唱団があるとは、と驚かされた。ブラームスにもまして、カップリングのライ
ンベルガーの無伴奏二重合唱のミサ変ホ長調が絶美。なおブラームスはop.30と110も聴
ける。
続いて全集第6巻の作品番号付き世俗的合唱曲を番号順に並べてみる。
埋葬の歌 op.13(1858)
歌曲集op.17(女声、2ホルンとハープ)(1860)
マリアの歌op.22(1859)
4つの歌曲op.41(1861/62)
3つの歌曲op.42(1859,1860,1861)
12の歌とロマンスop.44(1859/60)
7つの歌曲op.62(1874)
四重唱曲op.92(1884) →DGの全集では第6巻
歌とロマンスop.93a(1883)
祝宴の歌 op.93b(1884)
5つの歌op.104(1888,86)
13のカノンop.113
また、この全集には、作品番号無しの以下の物も収録されている。
小祝婚カンタータ WoO post. 16(1874)
聖なる地上の暗い墓に WoO post. 20(1927出版)
7つのカノンWoO24-30
14のドイツ民謡WoO34(1864出版)
12のドイツ民謡WoO post. 35より第1-8,12番(1926-7出版)
これらがまた、粒揃いであることは言うまでもない。特に印象的なのは、まず「マリア
の歌op.22」ということになろうか。この歌ごころに溢れた作品、録音ではコルボ指揮盤
(ERATO)も印象に残っている。DGの全集は、肝心のこのマリアの演奏が今ひとつなのが
残念なところ、生真面目過ぎるし、ハーモニーも怪しい。
ホルンとハープが付く女声合唱曲op.17も、楽器編成の妙で楽しめる音楽だ。
たくさんある「歌曲」の中では、僕は作品62や104に親しみを感じる。
膨大なドイツ民謡集も、こればかり連続してCDや演奏会で聞かされるといやになるだ
ろうが、ごく数曲でも素晴らしく演奏してくれると嬉しい、素敵な曲が揃っている。
しかしDGの全集は、女声のためのカノンなどよくぞ歌ってくれた、その忍耐強い努力
に喝采。中にはシューベルトの「冬の旅」の終曲、ライエルマンの節によるカノンもあっ
て奇怪、驚かされる。
ではこの他、手許にあるCDで世俗曲を集めたものを挙げていく。
○Creed指揮RIAS-Kammerchor(HM,HMC901592)96年
作品17,42,62,104、それにドイツ民謡集から「In
stiller Nacht」を収録。宗教曲の項
で述べたように、磨きあげられた美演という観点では傑出。
○Creed指揮RIAS-Kammerchor(HM,HMC901593)97年
これは変わり種、重唱で演奏されることも多い作品31,64,92,112aを合唱でやってくれ
たものに加え、日本でも合唱曲として愛好されている「ジプシーの歌op.103」と、これ
も歌曲集op.112bから「ジプシーの歌」と呼ばれる4曲を収録。ピアノを弾いているの
がソロでも活躍するアラン・プラネスなのも豪華、ピアノ選択にもこだわって1870年の
ピアノフォルテを使用している。この手の選曲盤は貴重なことこのうえない。
○Corboz指揮Ensemble Vocal de Lausanne(CASCAVELLE,VEL3090)2005年
作品62-3/4/7,64-2,92,93a,104-1/3/5,112-1/2及びIn stiller Nacht,Der tote Knabe
に加えて、モテットop.74-1/2を収録。アンサンブルの精度は最高とまで褒められる演
奏ではないと思うが、まずはブラームスの美を十分に表現している。この番号の盤は2
枚組で、バッハのモテット全6曲とのカップリング。
○Gardiner指揮Monteverdi Choir(PHILIPS,432152-2)90年
作品17,42,92,104、及び「愛のワルツ集op.52」。この合唱団、いつもながら演奏も磨
かれているが、ここにしては不出来な部類かもしれない。
○Ericson指揮Swedish Radio Choir他(TELDEC,0630-17426-2)83年
作品42,62,104、及び「ジプシーの歌op.103」。例によって柔らかさを失わないエリク
ソン・サウンドを楽しませてくれる。作品62と104はエリクソン室内合唱団の歌唱。
○Beuerle指揮Anton-Webern-Chor Freiburg(ARSMUSICI,AM1136-2)94年
作品104,112、「ジプシーの歌op.103」と「ドイツ民謡集」から5曲。国際的知名度は
高くない団体だと思われるが、このドイツの合唱団は意外な堀出し物で悪くない。
○Schafer指揮Freiburger Vokalensemble(AMATI,SPR9008/1)90年
作品42,92,104と「ジプシーの歌op.103」。もひとつドイツの合唱団で、ここも健闘。
○Rilling指揮Stuttgart Gachinger Kantorei(MUSICAPHON,M51331)
録音年不明で、音はそれほど良くないが、個人的には「ジプシーの歌」で最も好きな音
源。アンサンブルは最上ではなく粗いくらいの部分もあるが、音楽的には面白い。なお
カップリングは2つの四重奏曲集op.112と31。それにシューマン「流浪の民」。
○The King's Singers(RCA,09026 68646 2)96年
夜に関する音楽を集めた趣向盤で、ブラームスはop.42-1,64-1/2,104-1/2を選択。少人
数でやるとどうなるか、最高の例。
○Bernius指揮Kammerchor Stutgart(INTERCORD,INT885.917)
普通は重唱曲としてやられる作品31,64,92,112。この世界に誇る実力派合唱団がとりあ
げているだけで興味が湧く録音。一応録音は新しい。同じ合唱団によるシューベルト合
唱曲集と、リリンク指揮の「愛の歌」及び「新愛の歌」ワルツと組んだ超廉価3枚組。
○Neumann指揮Kolner Kammerchor(Carus,83.118)88年
「愛の歌」及び「新愛の歌」と、「四つの四重奏曲op.112」、小曲で「別れop.64-2」
を収録。ペーター・ノイマンは素晴らしい合唱指揮者で、これは2つのワルツ集をまと
めて聴くには貴重盤だ。
時代はDVD、こんな物も出てきた。
◎Abaddo指揮BPO,Swedish Radio Choir(ARTHAUS,100043)96年ライブ
ジルベスター・コンサートのライブで「Dances
and Gypsy Tunes」と銘打たれたプログ
ラム。ここでは、「ジプシーの歌op.103」からの5曲抜粋を、後世のMolinによる管弦
楽伴奏版で、またワルツ集「愛の歌」からの8曲抜粋を作曲者自身による管弦楽伴奏版
で歌っている。しかも合唱団はスウェーデン放送合唱団で、なんとも嬉しい企画だが、
抜粋なのが実に残念だ。「ジプシーの歌」は是非とも全曲をやってほしかった。また合
唱曲では、2つのホルンとハープで伴奏する「歌曲集op.17」から1曲も演奏。管弦楽
だけの演奏では、ハンガリー舞曲をいくつかと、ラヴェル「ツィガーヌ」「ラ・ヴァル
ス」、そしてアンコールにベルリオーズ「ハンガリー行進曲」の凄演を収録。
最後に編曲物。
○ハンガリー舞曲第5番/Die Singphoniker(WERGO,SM1056-50)86年
ご存じ有名曲「ハンガリー舞曲第5番」。チャップリン扮する床屋が映画「独裁者」の
中でこの曲にあわせて散髪する場面があるが、なかなか秀逸なアイデアだ。そのように
コミカルな要素を持ち合わせたこの原曲を合唱に編曲して歌ってしまった。芸達者だ。
ブライアン(BRIAN,Havergal、1876-1972、イギリス)
マーラーの「千人の交響曲」やベルリオーズの「レクィエム」など、壮大なスケールを
誇る合唱曲は、一度は触れておきたいものだ。それにしてもここに挙げるブライアンの交
響曲第1番「ゴシック」は変わり種、これはもう壮大などという普通の言葉では表現でき
ず、バカデカいという位にしか形容できない。31の木管、55の金管、大打楽器群、弦、4
人の独唱者と4つの混声合唱及び少年合唱、更にはオルガンが必要で、演奏時間も2時間
を要するとは、いやはや参ったである。管弦楽のみによる3つの楽章に続いて、合唱が入
るフィナーレが始まる(後述の盤では1枚目の途中から合唱登場)。しかしこういう編成
は、コレクター心を思いきりくすぐるではないか。幸い録音がある。
○Lenard指揮CSR Symphony,Slovak Philharmonic他(MARCOPOLO,8.223280/1)89年
この作品は存在は有名だったが、マルコポーロ盤が初録音になるそうだ。合唱にはスロ
ヴァキアの各団体を起用している。指揮は日本のオーケストラへの客演で人気のあるレ
ナールトで大奮闘しているが、やはり規模が巨大過ぎて、合唱が裸になると音がはまら
なくて苦労が見える部分が頻出する。とはいえ、初録音としては、これはよくやってく
れたというべきだろう。曲については、現代音楽的難解からは遠く、壮大な映画音楽と
言ってもよいような楽想も登場したりして、特に盛り上がる部分は一聴の価値くらいは
あると思う。まさに「好事家向け」の一組。なお、マルコポーロはブライアンの交響曲
を他にも録音しており、合唱が付く曲もある。
ブリテン(BRITTEN,Benjamin、1913-1976、イギリス)
名前がそれなりに有名なのは、「青少年のための管弦楽入門」のおかげだろう。青少年
の入門的鑑賞用途じゃなくて普通に聞いても、実によくできた曲だと思う。最後、主題が
帰ってくるところなど、ゾクゾクするではないか。
彼の大量の合唱曲は日本の合唱団のレパに入っているし、CDにも恵まれていて、聴き
比べも十分可能なほどある。合唱曲について言えば、基本的にクリスマスの作曲家、と位
置づけられるだろう。「キャロルの祭典」を筆頭に、クリスマス絡みの逸品がいくつかあ
る。本国イギリスでは、クリスマス毎に演奏されていくのだろう。
僕は基本的にブリテンの音楽は難しいと感じている。それなりの長さの曲だと、どの部
分にも共感を覚える、とはいかないのだ。有名な「キャロルの祭典」でもそう。
では以下にCDを挙げていくが、何といってもありがたいのは、自作自演盤が多く残っ
ていること。作曲者の解釈を明確に計り知ることができるのだから。しかしそれら全てが
優れた演奏かというと「?」なのが、音楽の面白いところだ。
ブリテンのあまたある合唱曲の中で、僕は最初期の「A
Boy was Born」を最も好む。先
に述べたように、この曲とて隅から隅まで好きだというわけではないのだが、幾つかの部
分は感動的だ。キリスト誕生の秘蹟を歌いあげるこの約30分の混声合唱曲は、作曲者19歳
の作ということだが、既に高度に完成されているだけでなく、ブリテンのエッセンスが凝
縮されている。
・彼好みの児童合唱を、通常の混声合唱に加えて採用していること。
・テキストに様々な古い詩句を採用していること。
・後年も多用する変奏曲形式を用いていること。
以上のような特徴から、若きブリテンが、その思いの丈をぶつけた作品と言えるだろう。
特に注目すべきは最終章。時間にして10分弱、出版譜全80ページのうちちょうど半分を占
める。8分の6拍子で「Noel!」というフレーズを反復しつつ駈け上がる熱狂的な頂点、
それに続き、嬰児誕生の神秘を静かに感動的に歌い上げる部分を経てニ長調の主和音によ
る圧倒的な終止。演奏は難しいが、技巧的に征服したい欲求をそそる。手許には8種類の
CDがある。楽譜によると、オプショナルでオルガン伴奏がついているが、手許の盤は全
て無伴奏で演奏されている。では聴き比べてみよう。
○Layton指揮Holst Singers, St.Paul's Cathedral(HYPERION,CDA66825)95年
これだ!レイトンは僕が今最も注目している合唱指揮者の一人。全てのフレーズが歌に
満ち、破綻が皆無ではないけれども十分正確なこの演奏は素晴しい。どうも人気が無い
盤のようで、CD屋のワゴンバーゲンセールの定番になっているが、実は宝。
○Cleobury指揮King's College,Cambridge(ARGO,443215-2)90年
アンサンブルの良さという点では、このCDも非常によい。僕にとっては上記のハイペ
リオン盤ほど味が無いと感じるが、これは一般的に推薦できる。カップリングの「キャ
ロルの祭典」も良い。
○Best指揮Corydon Singers, Westminster Cathedral(HYPERION,CDA66126)84年
雰囲気の良い演奏で評価できるが、音楽への踏み込みが上記レイトン盤ほどではない。
○Britten指揮Purcell Singers他(DECCA,UCCD-3630国内盤)57年
この自演盤を聞いても、曲に魅力を感じる人はあまりいないのではなかろうか。申し訳
ないが、今日の技術的水準から見れば下手としか言えない。こういう技巧的な曲では、
昨今の演奏技術向上がモノを言う。後述するが、この自演盤「キャロルの祭典」が驚愕
の不思議な演奏だ。ブリテンはこういう声をイメージして作曲したのか?最近流行の清
潔な児童の声を押し出す演奏とは全く違う。
○Christophers指揮The Sixteen, St Paul's(COLLINS,12862)91年
技巧的にはすぐれた演奏であることは間違いないのだが、残念ながら音が薄い。ある程
度の人数がいる方が曲が映えるようだ。
○Edwards指揮London Symphonietta Chorus,
St Paul's(VIRGIN,VBD5 61916 2)88年
これはうまくない。技巧不足。上記番号の盤は2001年にメシアン集とともに廉価盤で再
発売されたもの。メシアンの方が注目。ブリテンでは「聖セシリアへの賛歌」を。
○Poole指揮BBC Singers, St Paul's(BBC RADIO
CLASSICS,15656 91482)83年
声を張りあげるのみだとこうなってしまうという例。カップリングが僕の好きなマルタ
ンのミサなのでついつい買ってしまったもの。
○Spicer指揮Finzi Singers, Lichfield Cathedral(CHANDOS,CHAN9701)97年
悪い演奏ではないが、時折ソプラノが耳さわりな声になる。やはりもう少し人数が多い
方が良さそうだ。
では以下は、曲をアルファベット順に並べて録音を挙げていくことにする。
<A.M.D.G.>
題名はAd Majorem Dei Gloriam(神の大いなる栄光に)の略。1939年の作だが、戦争の
影響もあって初演は1984年、下に挙げる88年のヴァージン盤が初演団体による初録音に
なる。約20分の無伴奏混声合唱曲で、とっつきは悪い。高度な演奏技巧を要する。
○Edwards指揮London Sinfonietta Chorus(VIRGIN,VBD5
61916 2)88年
ビブラート過多で余り評価できない。
○Brown指揮Cambridge Univ. Chamber Choir(GAMUT,IMCD703)
上記初録音盤に比べずっとマシ。
○Spicer指揮The Finzi Singers(Chandos,CHAN9511)95年
待望のブリテン・サイクル。ここにあげた3枚では最もマシ。
○Layton指揮Polyphony(HYPERION,CDA67140)99年
英誌「グラモフォン」でグラモフォン賞を獲得した名盤。新しい録音が欲しい人は是非
これを選択しよう。
<ADVANCE DEMOCRACY>
無伴奏混声8部のごく小さい作品で、政治的主張を盛り込む。
○Spicer指揮Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9701)97年
<ANTIPHON(4V AND ORGAN) op.56b>
トレブルのソロが印象的なオルガン付きの約6分の混声合唱曲。以下の盤ではソロを大
人の女声が担当している。
○Spicer指揮Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9598)96年
<BALLAD OF HEROES op.14>
この管弦楽付き合唱曲は未聴だが、ラトル盤(EMI)やヒコックス盤(CHANDOS)がある。
<The Ballad of Little Musgrave and Lady
Barnard>
男声合唱とピアノのための10分ほどのバラード。第2次世界大戦争中、ドイツで捕虜に
なっていたイギリス兵士達に捧げられた。戦争を扱うには格好のレパートリー。
○Marschik指揮Chorus Viennenesis, Gavrilov(pf)(DG,439778-2)92年
チャイコフスキーコンクール優勝の重戦車ピアニスト、アンドレイ・ガブリロフがピア
ノを担当する豪華盤。ピアノに関しては確かに聴きごたえがあるが、録音のバランスま
でもピアノが中心、合唱が周辺という印象で、合唱ファンなら不満を覚えそう。
○Sund指揮Orphei Drangar(BIS,CD-733)96年
「SINGING APES」というCDに収録。何しろこの合唱団のアルバムなので注目。
○The Gents of St John's(ETCETERA,KTC1192)
ここもなかなかの実力を示す。録音データ不明だが恐らく90年代の録音。
○Halsey指揮Rundfunkchor Berlin(COVIELLO,COV40611)2006年
定評ある合唱団で、悪くない演奏。この曲の次に、ブリテン編曲の「3つの民謡」を収
録しており、2曲目は特に有名な「The Sally Gardens」。
<Cantata Academica op.62>
バーゼル市を称える文章に作曲した管弦楽付きのカンタータ。
○Malcolm指揮LSO,Cho(DECCA,436396-2)61年
自作自演の「春の交響曲」の余白に収録。よく書けているのだろうが、面白くはない。
終曲は威勢がよくて少しは楽しめるが。また、ハミングの合唱にのってソプラノソロが
アリオーソを歌う場面は美しいが、この部分に録音会場周辺の車らしき音が聞こえる。
<Cantata misericordium op.69>
国際赤十字百周年記念に作曲された管弦楽付きのカンタータ。
○Hickox指揮Britten Singers(CHANDOS,CHAN8997)91年
よく整理されていて、聴きごたえがある。フィンジ、ホルストと併録。
<A Ceremony of Carols>
言わずとしれた「キャロルの祭典」。ブリテンの合唱曲の代名詞である。この児童合唱
曲、冒頭はどういう演奏できいても素敵だし、あとに続く各曲も個々は良い曲が揃って
いるが、僕にとっては、不思議に睡魔を誘う曲だ。約20分を聴き通すのが辛いことがあ
る。なお、日本のコンクールでも、意外なほど好まれて自由曲に選曲されている。録音
はそれこそおびただしい。手許にあるのはほんの一部に過ぎないが、自作自演盤以外は
どれも同じくらい良い(余り好きじゃない曲だと批判的な聴き方ができない)。
○Britten指揮Copenhagen Boys' Choir(DECCA,UCCD-3630国内盤)53年
まずはこの自作自演盤を聞いてみよう。これは驚きだ。この声は少年の清らかなイメー
ジとは程遠い。これがブリテンの考えていた声だったのか。音程も悪い。
○Willcocks指揮King's College,Cambridge(東芝,CE33-5244国内盤)71年
これしか国内盤がない時期があったし、おそらく日本では最も聴かれている音源ではな
かろうか。すぐれた歌唱であることは間違いないが、今ひとつ印象が薄いし、ノイズも
気になる。
○Szabo指揮Cantemus(ビクター,VICG8068国内盤)89年
世界最高レヴェルにある少年少女合唱団カンテムスの名唱。磨きぬかれた純度の高さと
では確かに凄い。コダーイやバールドシュ、ホルストなどのカップリングも良い。ただ
音質が、新しい録音の割りにはノイズが耳につく気がする。
○Cleobury指揮King's College,Cambridge(Argo,443215-2)90年
指揮者を変えての新録音。デジタル録音の恩恵を受けている。「A
Boy was born」でも
とりあげたが、そちらの演奏も高レヴェルで推薦。「Rejoice
in the Lamb」も併録。
○Bartle指揮Tronto Children's Chorus(CARLTON
CLASSICS,30367 00742)90?年
この番号の盤は超廉価盤だが、その割にハイレヴェル。カップリングも様々だが、ラタ
ーの「The Lord bless you and keep you」のピアノ伴奏同声版の冒頭を歌うソロが絶
品なので、僕には大切な一枚。演奏者のスリッパ音のような音も拾っている。
○Helbekkmo指揮Voci Nobili(SIMAX,PSC1106)95年
余り有名な録音ではないが、これはトップ1を争う出来映え。何と澄みきった響きだろ
う。ノルウェーの成人女性の合唱団。併録のラター「Dancing
Day」も当演が絶品。
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(CONIFER,75605
51287 2)96年
ひいきの合唱団による期待通りの歌唱。澄み切っている。なお、児童ではない。
○Spicer指揮Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9598)96年
大人の女声による演奏であるのが大きな特徴。
○Elektra Women's Choir(SKYLARK,9703)97?年
こちらも大人。カナダの女声合唱団。ラター「Dancing
Day」などを併録。
○Stroman指揮Ecletic Voices(SCOT STROMAN,33WM122)2002年
これは珍演の類になるが、Julius Harrisonによる混声合唱版。もし「キャロル」を混
声でやってみたいと思っている人がいたら、これをどうぞ。ただし演奏の方は、ロンド
ンのアマチュア合唱団が凡演を聴かせる(でも、アマチュア合唱団って普通はこんなも
の。日本のアマチュアが凄すぎるのである)。ただソプラノソリストは悪くない。カッ
プリングは指揮者自身によるクリスマス作品「Canticle of the Nativity」で、ジャズ
やワールドミュージックに精通しているところを見せるが、特に言及したくなる作品で
もない。
<Children's crusade op.82>
日本でもお馴染みのブレヒトの題材による、児童合唱、打楽器、ピアノ2台、オルガン
のための作品。未聴だが、自作自演盤がある。
<Choral Dances from Gloriana>
オペラからの編曲となるテノールソロとハープを伴う合唱曲(序奏と6つのダンス)、
僕はどうもよくわからないがそれなりの人気レパ。以下の3枚ともピンとこない。シッ
クスティーンの方は、演奏もこの団体としては悪いと思う。
○Christophers指揮The Sixteen(COLLINS,12862)91年
○Spicer指揮The Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9511)95年
○Layton指揮Polyphony(HYPERION,CDA67140)99年
<Chorale on an old French carol>
無伴奏混声の約5分の小曲。下の盤の演奏は共にまず良好。
○Hickox指揮Britten Singers(CHANDOS,CHAN8997)91年
○Layton指揮Polyphony(HYPERION,CDA67140)99年
<Christ's Nativity (Christmas Suite for
chorus)>
またクリスマスもの。ブリテンがロンドンのロイヤルカレッジの2年生18歳時の作品。
5曲16分程の無伴奏混声合唱組曲で、1年後の傑作「A
Boy was born」の先駈け。全曲
通しの初演は90年代になってからで、この95年のハイペリオン盤が初録音。さすがは早
熟のブリテン。ホルストシンガーズは時に絶叫気味になるが、よく歌っている。BBC
シンガーズのビブラートで響きが混濁する演奏よりも良い。
○Layton指揮Holst singers(HYPERION,CDA66825)95年
○Bedford指揮BBC Singers(COLLINS,14832)96年
<Deus in adjutorium meum>
約5分の単純な混声合唱曲。下の盤の演奏は共に悪くない。
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(GRIFFIN,GCCD4045)86年録音
○Hickox指揮Britten Singers(CHANDOS,CHAN8997)91年
<Festival Te Deum op.32>
オルガンと混声合唱のための題名通り祝祭的な、英語による小さい賛歌。
○Best指揮Corydon Singers(HYPERION,CDA66126)84年
○Spicer指揮Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9598)96年
○Brown指揮Clare College,Cambridge(COLUMNS,B555014)96年
<Five Flower Songs op.47>
この無伴奏混声組曲は、日本では最も好まれるブリテンの一つだろう。パートソングの
伝統上にある、全5曲約10分の佳曲。僕個人は未だに苦手だが、例えば終曲の技巧性な
どは目覚しい演奏効果をあげられよう。
○Christophers指揮The Sixteen(COLLINS,12862)91年
○Rutter指揮CambridgeSingers(Collegium,COLCD104)
○Gardiner指揮Monteverdi Choir(DG,453433-2)95年
○Alldis指揮Netherlands Chamber Choir(GLOBE,GLO5170)96年
○Spicer指揮Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9701)97年
○Layton指揮Polyphony(HYPERION,CDA67140)99年
ここに挙げた6枚でどれが最も良いかの判断は難しいが、僕の選択は、GLOBE盤。オラ
ンダ室内合唱団の技巧の高さは特筆物。レイトン盤も注目される。
<Friday afternoons op.7>
児童合唱とピアノのための12の小品集。合唱は実に単純だが、ピアノ伴奏部がブリテ
ンの天才ぶりを発揮していると言われ、なかなか聴きごたえがある。
○Marschik指揮Wiener Sangerknaben(DG,439778-2)92年
既述のようにピアノのガブリロフが注目。合唱団は良くない。世界的名声はあっても、
全ての録音が良いというわけではない。
○Bartle指揮Tronto Children's Chorus(CARLTON,30367
00742)
○Britten指揮Choir of Downside School(DECCA,UCCD-3630国内盤)66年
この2枚は抜粋盤。
<The Golden Vanity op.78>
イギリスの古いバラードによる少年合唱とピアノのための作品。ウィーン少年合唱団の
ために作曲されている。
○Marschik指揮Wiener Sangerknaben(DG,439778-2)92年
ガブリーロフは特にこの作品に惚れ込んでいるようだが、なかなか理解が難しい曲だ。
<A Hymn of St Columba>
オルガン伴奏付きの2分程度のごく短い曲で、とっつきにくい。62年作で戦争レクィエ
ムとチェロ交響曲に挟まれている。
○Spicer指揮The Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9511)95年
○Scott指揮St Paul's Cathedral(HYPERION,CDA66994)97年
<Hymn to St Cecilia op.27>
「キャロルの祭典」「五つの花の歌」とともに日本では最も演奏機会の多いブリテン。
無伴奏で10分位で演奏でき、そこそこ演奏効果があがるから好まれるのだろう。専門家
にはとみに評価が高い曲集でもあろう。曲の価値の一つに、オーデンの詩の格調の高さ
があげられる。演奏しようとするなら、まずはこの詩と格闘する必要がある。「フルー
トのように」など楽器を真似る指定も面白い。とはいうものの、普通の人には難しい作
だと思う。始まって数小節で変な和音になってわけがわからないし、各所のソロは音程
が正しいのかどうか判別できない、と思わせるような演奏が殆どではないか。僕自身も
それほど好む曲でもないので録音も集めていないのに、それでも手許に沢山ある。僕も
ピックして聴きたいのは「O dear white children
casual as birds〜」とソプラノ・
ソロが歌う場面で、夢のように美しい。以下にたくさんの録音を挙げるが、僕の選択は
マーロウ盤かショウ盤。
○Malcolm指揮ロンドン響合唱団(DECCA,436396-2)61年
あんまりききたくないビブラートのひどい一昔前のスタイルの合唱。
○Willcocks指揮King's College,Cambridge(東芝,CE33-5244国内盤)71年
以前はこれしか国内盤はなかったのだから、貴重品だった。改めて聴くと、アンサンブ
ルのレヴェルが、ここに挙げたCDの中では最下位争い。ボーイのソロは得点。
○Ericson指揮Stockholm Chamber Choir(EMI,CMS5
65344 2)71年
エリクソンの名盤「ヨーロッパ500年の合唱曲集」3枚組に収録。僕が初めて聴いた
のはこの録音だった。さすが全く間然とするところの無い合唱を聴かせる。
○Edwards指揮London Sinfonietta Voices(VIRGIN,VBD5
61916 2)88年
このCD、「A Boy wad born」などで散々ケナしたが、この曲においてのみ存在価値が
ある。ブリテンは、この曲を各パート1名で歌われることをイメージしていたそうで、
ここでは5人で演奏してしまっている。本来の姿を示す演奏ならこれ。
○Christophers指揮The Sixteen(COLLINS,12862)91年
この団体ならもっとうまく歌える筈。いまいちの出来。
○Rutter指揮Cambridge Singers(Collegium,COLCD119)93年
この演奏家らしい極めて純度の高い演奏を聞かせるが、このスタイルならトリニティカ
レッジの方が一般受けしそう。
○Shaw指揮Robert Shaw Festival Singers(TELARC,CD-80408)94年
80人ほどの合唱だが、人数の多さの割に響きが透明で、特に低音が充実しているのがと
てもかっこいい(ローCもあり、演奏のポイントの一つに低声があるから)。録音も残
響豊かな気持ちよいもので、遅いテンポに疑問はあるが、総合点は高い。
○Spicer指揮The Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9511)95年
悪くないが、時折力まかせなのが気になる。18人の室内楽的演奏。
○Gardiner指揮Monteverdi Choir(DG,453433-2)95年
「春の交響曲」「5つの花の歌」と併録。アンサンブルが意外に雑。聴き所のソプラノ
ソロは非常に美しい。
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(CONIFER,75605
51287 2)96年
僕好みの透明スタイルの演奏ならこれが一番。特に「O
dear white children」のソプ
ラノソロは美しく、殆どヒーリングミュージックと化している。なお、当盤はトラック
が細かく、普通は1トラックしかついていないこの曲が7分割されているのは高得点。
○Shepherd指揮Schola Cantorum of Oxford(GUILD,GMCD7139)97?年
20世紀イギリスの合唱曲集。録音に潤いがあるところが良い。全体に聴き応えあり。
これでかのソプラノソロがもっと良ければ・・・。
○当間指揮大阪シュッツ合唱団(OCM,OCM-012)98年ライブ
ドイツ演奏旅行のライブ。僕は彼らによるこの曲を東京で聴いたが、日本の合唱団とし
ては目を見張る高い技巧に驚嘆した。ソプラノソロの声に癖がある。
○里井宏次指揮The Taro Singers(LIVENOTES,WWCC-7391)2000年
ソプラノの音色など、かなり僕の好きな線だが、当盤を聴くと、「もうちょっとなんだ
がなー、日本の合唱団が世界的になるのも。でもその、もうちょっとに距離を感じるな
あ」という感想になってしまう。
○Creed指揮RIAS-Kammerchor(HARMONIAMUNDI,HMC901734)2001年
いつもながら超安定演奏。ソプラノソロは良い方だが、最高ではない。この曲以外の収
録曲は、いわゆる英国のパートソング集。
○Short指揮TENEBRAE(SIGNUM,SIGCD085)2004年
全体にとても素晴らしい。ソプラノソロもかなり良い。
○Halsey指揮Rundfunkchor Berlin(COVIELLO,COV40611)2006年
悪くないが、最良の部類とも言えない。肝心のソプラノソロが僕の好みに合わない。
<Hymn to St Peter op.56a>
特にこれと言うものを感じない、オルガンと混声合唱の6分程の小曲。後半、ソプラノ
が入ってから終止まではちょっと綺麗。CDはてもとに1枚。
○Spicer指揮The Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9511)95年
<A Hymn to the Virgin>
これまたクリスマス定番もの。作曲者16歳の作品で、14世紀の作者不詳の聖母賛歌をテ
キストとし、小コーラスグループと合唱全体の対比が効果的な、約3分の無伴奏曲。こ
れも集めてもいないのにてもとにCDが集まっている。もともとあまり好感を持ってい
なかったが、聴き比べているうちに曲想が耳について離れなくなった。なかなか愛すべ
き小品だ。それにしても沢山のディスクが集まってしまった。
○Rutter指揮Cambridge Singers(COLLEGIUM,COLCD107)82年
○Christphers指揮Sixteen(COLLINS,12702)90年
○Jonsson指揮Akademiska koren jubilerar(ARTEMIS,ARTE7133)90年
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(CONIFER,75605
51287 2)93年
○Swingle Singers(東芝,TOCE-8536国内盤)94年
○Layton指揮Holst Singers(HYPERION,CDA66825)95年
○Lovett指揮London Oriana Choir(ASV,CDWHL2096)95年
○Prosser指揮Emmanuel College,Cambridge(ASV,CD
WHL2104)95年
○Spicer指揮The Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9511)95年
○Edison指揮The Elora Festival Singers(NAXOS,8.554179)97年
○Layton指揮Polyphony(HYPERION,CDA67140)99年
○里井宏次指揮The Taro Singers(LIVENOTES,WWCC-7374)2000年
<Jubilate Deo in C>
オルガンと混声合唱ためのごく小さい作品。作曲時期が全く違う同じハ長調のテデウム
と組み合わせて演奏されることが多い。おめでたい冒頭が印象的で、静まったと思うと
あっという間に終わる。手許のCDはどれでもいいが、ホルストシンガーズ盤で十分。
○Willcocks指揮King's College,Cambridge(東芝,CE33-5244国内盤)74年
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(GRIFFIN,GCCD4045)84年録音
○Layton指揮Holst singers(HYPERION,CDA66825)95年
○Spicer指揮The Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9598)96年
<Jubilate Deo in Es>
上記と同じ題名でもこちらの知名度はぐっと低い。オルガンの短く壮麗な前奏に続き、
あっという間に終わる。
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(GRIFFIN,GCCD4045)86年録音
○Spicer指揮The Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9598)96年
<KING HEROD AND THE COCK>
未聴だがナクソス盤などがある。
<Missa Brevis op.63>
このオルガンと女声(児童)合唱のための小ミサ曲は、日本でも好まれて、コンクール
でも頻繁に耳にする。余談だが、僕はこのグローリアの冒頭のオルガンがユーモラスに
過ぎると思っているのだが。以下の録音、いずれも良い。
○Willcocks指揮King's College,Cambridge(東芝,CE33-5244国内盤)71年
○Bartle指揮Tronto Children's Chorus(CARLTON,30367
00742)91?年
○Szabo指揮Cantemus(BRAIN,BRCD0035)94年
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(CONIFER,75605
51287 2)96年
○Spicer指揮The Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9598)96年
<A New Year carol>
既述の「Friday Afternoons」の中の1曲を編曲。フォークソングに近いとさえいえる
親しみやすさ。
○Rutter指揮Cambridge Singers(Collegium,COLCD111)
混声合唱とハープで演奏。
○Prosser指揮Emmanuel College,Cambridge(ASV,CD WHL2104)95年
○ANONYMOUS4(HARMONIAMUNDI,HMU907325)2003年
<Psalm150 op.67>
この4〜5分の小品は、ある学校の創立記念のために1962年に作曲された。単純な同声
二部。伴奏はいくつかの楽器。割と音の動きが楽しい。
○Britten指揮Choir of Downside School(DECCA,UCCD-3630国内盤)66年
○Bartle指揮Tronto Children's Chorus(CARLTON,30367
00742)91?年
○Bedford指揮New London Children's Choir(COLLINS,14832)96年
<Rejoice in the Lamb op.30>
教会の献堂式典のために作曲された祝祭カンタータで、オルガンと混声合唱のための15
分強の作品。18世紀のクリストファー・スマートによる詩を使用。これが作者が精神病
を煩っていた頃の詩とかで難解。動物や楽器がやたらでてきたり。曲調が比較的平易で
祝祭的なので、演奏機会も多く、CDはたくさんある。マーロウ盤とスパイサー盤が共
にトラックが細かく便利。余りうまくないウィルコックス盤が、この曲に関しては味が
あってよい。
○Willcocks指揮King's College,Cambridge(東芝,CE33-5244国内盤)74年
○Best指揮Corydon Singers(HYPERION,CDA66126)84年
○Cleobury指揮King's College,Cambridge(ARGO,443215-2)90年
○Spicer指揮The Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9511)95年
○Brown指揮Clare College,Cambridge(COLUMNS,B555014)96年
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(CONIFER,75605
51287 2)96年
○O'Donovan指揮Arcadian Singers of Oxford Univ.(LAMMAS RECORDS,LAMM137D)2001年
<Sacred and Profane op.91>
ブリテンの合唱曲の中でも、特に難しい無伴奏混声合唱曲。こういうの、中世の詩の選
択といい、深遠っぽい難解さといい、専門家にはウケるのだろう。手許にそれなりに録
音があるが、どれを聴いても、僕はまだ曲の良さを掴めないでいる。とりあえず、79年
のエリクソン盤を選ぶ。
○Ericson指揮Eric Ericson Chamber Choir(CAPRICE,CAP21813)79年
○Brown指揮Cambridge University Chamber Choir(GAMUT,IMCD703)
○Groba指揮Coro de la Comunidad de Madrid(65057)95年
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(CONIFER,75605
51287 2)96年
○Spicer指揮Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9701)97年
○Quink(OTTAVO,OTR C19862)98年
○Layton指揮Polyphony(HYPERION,CDA67140)99年
○Creed指揮RIAS-Kammerchor(HARMONIAMUNDI,HMC901734)2000年
<A Shepherd's Carol>
「聖セシリア賛歌」と同じオーデンの詩による4分程度の無伴奏キャロル。題名からは
平易なイメージだが、実は易しくなく、あまり楽しめるものではない。
○Edwards指揮London Sinfonietta Chorus(VIRGIN,VBD5
61916 2)88年
○Layton指揮Holst singers(HYPERION,CDA66825)95年
<St.Nicholas op.42>
室内オケ、2台のピアノ、オルガンが伴奏につく、演奏時間45分ほどを要する大作カン
タータ。これは規模が大きすぎて、ピンボケ気味。確かに素晴らしい瞬間もあるが、全
曲を通じて緊張感を保たせるのが難しい。とはいえクリスマス物として、今後も演奏さ
れていくのだろう。
○Bedford指揮BBC Singers(COLLINS,14832)96年
<The Sycamore Tree>
未聴だがシックスティーン盤などがある。
<SWEET WAS THE SONG>
無伴奏女声4部の小品。
○Spicer指揮The Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9598)96年
<Te Deum in C>
前述のように、同じ調性のユビラーテと一緒に演奏されることが多い小品で、約8分。
英語。ウィルコックス盤が、ボーイのソロのみずみずしさと、チャペルの残響の雰囲気
の点から推薦できる。
○Willcocks指揮King's College,Cambridge(東芝,CE33-5244国内盤)74年
○Layton指揮Holst singers(Hyperion,CDA66825)95年
○Spicer指揮The Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9598)96年
○Enevold指揮Trinitatis Kantorai(POINT,PCD5152)98年
<THE TWELVE APOSTLES>
未聴だがCOLLINSレーベルに録音がある。
<Venite exultemus Domino>
5分半ほどのオルガンと混声合唱のための作品。作曲者の生前には演奏されなかった珍
曲。以下のトリニティ盤は悪くない。
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(GRIFFIN,GCCD4045)84,86年録音
このCDでブリテンの珍しい曲としては、劇「ポール・バンヤン」からコリン・マシュ
ーズが編曲した「Carry her over the water」というのもある。
<A WEDDING ANTHEM op.46>
10分ほどのオルガンと混声合唱のための作品。単純に祝祭的ではないところがいかにも
ブリテンらしい。
○Best指揮Corydon Singers(HYPERION,CDA66126)84年
○Spicer指揮Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9598)96年
<A WEALDEN TRIO>
<WELCOME ODE op.95b>
未聴だが、前者はナクソス盤、後者はCHANDOS盤などがある。
さて、最後になってしまったが、管弦楽付き2大名曲に触れる。
<戦争レクィエム>
ラテン語のレクィエムに、第一次世界大戦で戦死したオウエンの英語詩を挿入してテキ
ストにしている。大管弦楽とオルガン、室内管弦楽、ソリスト、児童合唱と混声合唱を
演奏に要する。音楽史に残る名曲と位置づけられていて、確かに、詩の選択や平和を希
求する思想性は特筆に値するし、音楽も良い瞬間がいくつかある。レクィエムの歴史を
知る上でも一度は聴いておきたいし、歌う機会があれば尚よい。個人的には苦手。
○Brabbins指揮BBC Scottish SO他(NAXOS,8.553558-9)95年
○Britten指揮LSO他(DECCA,POCL-9793/4国内盤)63年
後者の自作自演盤が、何をおいても決定盤とされる。そもそも、3人のソリスト、ヴィ
シネフスカヤ、ピアーズ、フィッシャー=ディースカウの声を想定して作曲されたわけ
で、その3人が一堂に会しているだけで凄い。合唱団もオケも熱演で、これほどの決定
盤、他曲でもそうは存在しないのである。最近、リハーサルを加えた新しいリマスター
盤を輸入盤で見かけたが、21世紀も残る音源となるだろう。
もう一枚のナクソス盤、これはこれで非常に健闘している。こういうのを超廉価で出す
ナクソスに拍手。
<春の交響曲>
混声合唱、少年合唱とソリスト付きの四部から成る交響曲。中世から現代までの春にか
かわる詩がテキスト。終わりに有名なカノン「春が来た」が使われていることも有名。
これも個人的には苦手だ。第3部などはなかなかいけるが、全曲では密度がどうも。
○Britten指揮Royal Opera House他(DECCA,436396-2)60年
○Gardiner指揮Philharmonia Orch.,Monteverdi
Choir他(DG,453433-2)95年
以上の2枚の他、手許に今持っていないがプレヴィン盤が世評高い。
ようやくブリテンを終えるが、最低限の買い物をするなら、まず自作自演の「戦争レク
ィエム」、「キャロルの祭典」が入ったCDを何か1枚、そして、無名盤だがホルストシ
ンガーズによる「A BOY WAS BORN」が入った一枚、以上の3つを選択したい。
ブルックナー(BRUCKNER,Anton、1824-1896、オーストリア)
彼の音楽ではまず何といっても交響曲である。これらを聴いてしまうと、合唱曲はどう
しても周辺に位置するものになってしまう。しかし、ブルックナーは日本でも人気が特に
高いし、社会人の合唱団がよくとりあげている。ミサ曲をピアノ伴奏で歌ったりというの
は余り感心しないが、無伴奏のモテットは8声のための「アヴェマリア ヘ長調」をはじ
めとして、良い曲が多数あるから、おさえておきたい。
合唱のCDもそれなりにあるが、まず有名な一組から。
○Jochum指揮BRSO,Cho他(DG,423127-2)66年
宗教曲集(ミサ曲第1〜3番、テデウム、詩篇第150番、モテット10曲)
この4枚組さえもっていれば、事足りる。演奏もブルックナー得意のヨッフムが指揮、
そして管弦楽付き合唱曲では強力なバイエルン放送合唱団の組み合わせは強力だ。
しかしこれだけではあんまり寂しいので、その他のCDを。
○Flamig指揮Dresdner Kreutzchor(ETERNA,3
29 038)85年
モテット集14曲で、ヨッフム盤に入っていない曲がいくつかある。合唱団も、少年のノ
ンビブラートの高音が美しく、全体に実に響きが透明で素晴らしい。うまい下手で言え
ばたどたどしい方だし、ラテン語の発音も癖があるし、洗練からは遠いが、この団体に
底知れぬ伝統の力がある。
○Layton指揮Polyphony,Britten Sinfonia(HYPERION,CDA67629)2007年
収録曲:Ave Maria(7voices);Locus iste;Mass no.2;Christus factus est;
Vexilla regis;Os justi;Virga Jesse floruit;Pange lingua
ミサ曲の中では日本でも特に人気のある「ミサ曲第2番」をメインに、7曲の無伴奏混
声のモテットを収録。同種のアルバムはたくさんあるが、当盤は代表盤として良いので
はないかと思う。特にテノールの声のあり方については好みがわかれそうだが、録音会
場の教会に響き渡る合唱の響きに圧倒される。
○Best指揮Corydon Singers(HYPERION,CDA66245)87年
ニ短調のレクィエム(1849)と詩篇第112番及び第114番を収録。曲はお世辞にもブルック
ナーの中で良いとは言えないが、演奏は十分の水準で、それなりに楽しめる。ブルック
ナーの熱心はファンなら一聴の価値がある。
○Pancik指揮Prague Chamber Choir(ORFEO,C
327951 A)93年
ヨッフム盤にある3つのミサ曲の他に、ブルックナーには変ロ短調の荘厳ミサ曲と、こ
こに聴くオルガン付き混声四部のコーラルミサがある。それを聴きたくて入手した盤。
曲は特に優れたものとも思えない。また、20分のミサ全体を1トラックで編集している
のはよろしくない。この合唱団、響きがシンフォニックでなかなか優れているが、ソプ
ラノが重く感じる。ミサの他にモテット15曲。
○Jones指揮St. Bride's Church Choir(NAXOS,8.550956)94年
人数がたった12人の合唱団ということだが、演奏はびっくりするほど良い。塗りつぶす
ような音圧は無いが、美しい演奏のブルックナーを求めるなら、これが最高。モテット
を15曲集めており、録音がごく珍しい曲を一部含む。
○Brown指揮Ealing Abbey Choir(HERALD,HAVPCD213)97年
合唱団はそれほど上手くないが、一部珍しい曲が含まれていて貴重。モテット全13曲。
○Celibidache指揮Munchner PO,Ch,Muchner Bach-chor(EMI,CDC5
56695 2)82年ライブ
「テ・デウム」で30分以上かけちゃった、遅すぎる珍演。これはさすがに遅い。しかも
合唱団が極上であればそれなりの楽しみもあるが、残念ながらそうではない。交響曲第
7番とのカップリング。
○Celibidache指揮Munchner PO,Ch,(EMI,CDC5 56702
2)90年ライブ
「ミサ曲第3番」全曲。これも77分超で、上記ヨッフム盤が1時間を切っていることを
考えると、遅い。管弦楽と合唱のピッチ差が気になったりするのは、遅さの欠点でもあ
ると思う。
この他、男声合唱のための世俗的合唱曲がたくさんあるそうだが、手許に録音が無い。
男声合唱と管弦楽のための「ヘルゴラント」は以前バレンボイム盤を聴いたことがある。
結局のところ、ブルックナーの合唱曲で最も演奏機会が多いのは、管弦楽付きの「テ・
デウム」であろう。しかし僕は、昔からこの曲が苦手で、なかなかピンと来る演奏に出会
うことがない。ヒストリカル音源で、録音状態はそれほど良くないながらも、燃焼度の高
い演奏を知った。最初から、こういう演奏を知っておけばよかったのだ。さすがにもう少
し、真剣に音源探しをしたほうがよさそうだ。
○Walter指揮New York Philharmonic,Westminster Choir(ARCHIPEL,APRCD0370)53年
カップリングは、57年2月3日のベートーヴェン「英雄」と、54年12月4日の「エグ
モント」序曲。
ブリュメル(BRUMEL,Antoine、c1470-1520、フランドル)
いわゆるフランドル楽派でもこの辺になると地味な存在となってしまうが、一聴「お」
と思わせる曲とCDがあるので注目しておきたい。
○Nevel指揮Huelgas Ensemble(SONY,SK46348)90年
声部が多い12声の「Missa Et ecce terrae
motus」、大地は動きといったタイトルのミ
サ曲だが、この演奏時間45分ほどのミサ曲を聴いただけで、この作曲家の名前が忘れら
れなくなる。多声の効果は目覚しく、ポリフォニックな絡みが大地の鳴動を思わせる。
よほど魅力あるネタなのだろう、タリススコラーズも録音しているので、そちらを入手
してもよい。ウェルガスアンサブルは、来日公演でもこの曲を取り上げていた。カップ
リングのセクェンツィア「怒りの日」は、言うまでもなくグレゴリオ聖歌の有名な旋律
によるポリフォニックな作品で、こちらも一聴の価値がある。解説では、「怒りの日」
のテキストによる記録された最古のポリフォニーということだ。
ブリュメルも録音に恵まれないが、最近出た興味深い一枚を挙げておく。
○Hilliard Ensemble(Hilliard Live,HL1003)97年
ヒリアードアンサンブルのライブ録音シリーズ。ブリュメルのミサ曲が聴ける。
バーゴン(BURGON,Geoffrey、b1941-、イギリス)
特に言及する必要もないかもしれないが、唯一曲「Nunc
dimittis」だけは、イギリス
では定番になっているようだから、おさえておいた方がいいかもしれない。BBCのテレ
ビ番組で使用されて人気になったようだ。
バーゴンの教会音楽だけを集めた一枚があるから挙げておく。
○Thurlow指揮Choir of Chichester Cathedral(HYPERION,CDA66123)84年
ブゾーニ(BUSONI,Ferruccio、1866-1924、イタリア)
ピアノ関係だと認識されているが、実は作曲家としての評価も高い人。僕もかなり以前
に、ラジオでオペラ「アルレッキーノ」を聴いて、作曲家ブゾーニを認識した。最近、オ
ペラの録音も増えてきているので、今後もブゾーニに関して新しい発見がありそうだ。
合唱絡みで言えば、まず、規模が大きすぎる「ピアノ協奏曲」がある。全曲で1時間を
優に超える規模を誇り、最後の第5楽章に男声合唱が入る。ピアノ・ファンとしては、快
速の第2、4楽章は、ちょっとした聴き物だと思う。しかし肝心の合唱が入る楽章は、特
に言及するほど優れたものかどうか。
○Revenaugh指揮Royal PO,John Alldis Choir(PHILIPS,456913-2)67年
とりあえず合唱に関しては、豊かな声で十分のレヴェル。ピアノは重量級ピアニストの
オグドン。なお、この番号の盤は、フィリップスがレーベルを超えて音源を集めた「20
世紀の偉大なピアニスト」百組の中の一つ。
○Elder指揮City of Birmingham SO,Ch(HYPERION,CDA67143)99年
同時代を生きる事が幸せに思えるピアニスト、アムランがピアノを担当しているのが最
大の特色。例によって精緻極まりない演奏。しかし残念なのが、合唱団が凡庸なこと。
これでは、ここで無条件に推薦することができない。
オペラが重要な作曲家だが、とりあえず手許にあるのは以下の一枚のみ。
○Albrecht指揮Berlin RSO他(CAPRICCIO,60039-1)92年
CD一枚に収まってしまう「トゥーランドット」全曲。何しろこの題材にはプッチーニ
の大傑作があるので、このブゾーニ作品が存在を主張するのは難しい。ただし中には、
たまに実に印象的な楽想も現れる。僕が当盤を買ったのは曲への関心よりも、合唱を当
代随一の実力を誇るリアス室内合唱団が担当しているからで、出番は多くないが、さす
がの歌唱を聴かせてくれる、素晴らしい。
ブストー(BUSTO,Javier、b1949-、スペイン)
近ごろ突然日本でも流行しはじめたのがこのブストー。特に斬新な音楽を書くとは思わ
ないが、調性の範囲内で、現代的な叙情を表現しているところがうけているのだろう。日
本の合唱団による委嘱作品も複数出てきているほどだ。本当はもっと録音があって然るべ
きだが、これは21世紀の課題にとっておこう。
まず、ブストーの規模が大きめの混声合唱による宗教曲のアルバム。
○Azurza指揮Hodeiertz Choir(KUTXA,aArus023)2000,2001年
Missa brevis pro paceとMissa pro defunctisの2曲。クラリネット独奏が入る後者が
簡潔でとてもきれいな作品。前者も真摯で悪くない作品だが、僕の好みからみると、真
面目過ぎるのが欠点に思える。演奏は普通。
手許にある小品の録音を挙げる。
○Sjoberg指揮World Chamber Choir(BOHEMIA MUSIC,BM0017-2231)93年
混声合唱曲では特に知られている美しい「アヴェマリア」が聴ける。世界の合唱曲を集
めた良いアルバム。
○Warland指揮Dale Warland Singers(AMERICAN CHORAL CATALOGUE,ACC121)95年
同じく「アヴェマリア」。当盤にはマイナー な作曲家の作品も含まれるが、それらも
無視できない。Heitzeg、Houkom、Hessら。
○Kokars指揮AVE SOL(MAZUR MEDIA,GOV002)98年
同じく「アヴェマリア」。同名の曲ばかりを集めた好アルバム。
○Luengen指揮Chamber Choir Phoenix(SKYLARK,9904)99年
もう一つ「アヴェマリア」。クリスマス物で選曲が凝っている。
○Buchner指揮Regensburger Domspatzen(GLISSANDO,779036-2)2001年
「アヴェマリア」を無伴奏混声と、オルガン付きの2バージョンで歌っている。それに
加えてブストー作品として、Ave maris stella(アルバム両端の2トラック)、Salve
regina、Laudate Dominum、Jubilate Deoを収録。この他、ニーステッド、マックス・
バウマンの作品を、グレゴリオ聖歌を挟みながら歌う。今日的には最高水準とは言い難
いが、トップの透明感は賞賛できる。
○向井正雄指揮Vocal Ensemble 《EST》(GIOVANNI,GVCS30401国内盤)2003年ライブ
さらに「アヴェマリア」。スペイン公演のライブ。
○Pollanen指揮Tapiola Choir(ONDINE,ODE884-2)96年
バスク地方の民謡を素材にした小曲「Waiting」。世界的に名高い児童合唱団の演奏。
○Helbekkmo指揮Voci Nobili(PROMUSICA,PPC9039)98年
聖母マリアにまつわる無伴奏教会合唱曲とジャズを対照させるアルバム。このノルウェ
ーの女声合唱団は、数々のコンクール入賞歴を誇るが、確かに素晴しく透明な響き。ブ
ストーは2曲「Salve Regina」と「Magnificat」。
○Pierre指揮Mikrokosmos(Ligia Digital,Lidi0204085-00)99年
混声の「Ave maris stella」と女声の「Salve
Regina」。歌うはフランスの約35名のア
マチュア合唱団。日本の最高峰のアマチュア合唱に比べると、特に男声の質で劣るが、
女声のビブラート少なめの声は魅力がある。
○本城正博指揮松下中央合唱団(GIOVANNI,GVCS30407)2000年ライブ
無伴奏混声合唱のための「Stabat Mater」の初演ライブ。約8分の小品。
上記の「Stabat Mater」などもそうだが、日本の合唱団が委嘱初演している。今後しば
らくは、目が離せない存在だ。上記「アヴェマリア」は、混声合唱団の愛唱歌として定着
しそうだ。
ブクステフーデ(BUXTEHUDE,Dietrich、c1637-1707、ドイツ)
バッハがオルガン演奏を聴きにわざわざ北ドイツまで通った話が有名な、オルガンの名
手ブクステフーデ。どうしてもまず鍵盤音楽が話題の中心になってしまうが、声楽曲にも
とても良いものがある。まず演奏時間が約1時間のカンタータ「Membra
Jesu nostri我ら
がイエスの四股」をあげる。僕は余り好きな言葉ではないが「深み」のある声楽曲を書く
人だ。古楽の名演奏たちが競ってとりあげている事実も、この曲の価値の高さを示す。
○Fasolis指揮Choir of Radio Svizzera,Lugano(NAXOS,8.553787)94年
時折音程に不安があるものの、合唱も独唱者たちも、非常に美しい演奏を作り上げるこ
とに成功している。ヒーリング時代にうけるのはこんな演奏かもしれない。柔らかい感
触は、例えばフランスバロックを好む人にも快く受け入れられそうだ。
合唱ではないが、ナクソスの姉妹レーベル(のデンマーク現地法人ダカーポ)が、古楽
ソプラノの女王カークビーを起用してブクステフーデの声楽曲のCDを出しているが、こ
れまた落ち着いた表情が素晴しい。コープマンもまとめてブクステフーデの声楽曲を録音
しているし、もっと触れてみたい作曲家だ。
バード(BYRD,William、1543-1623、イギリス)
ルネッサンスの音楽でもバードは日本でもかなり人気があるから、基本のレパとしてお
さえておくべきだろう。彼については、当時のイギリス国教会の動きを含めて宗教的位置
づけを知っておきたい。本来のカトリック信仰の曲(ラテン語)だけでなく、国教会のた
めにも作曲(英語)しているが、やはりラテン語の方が圧倒的に出来がよい、と一般的に
言われている。
○Phillips指揮Tallis Scholars(GIMELL,CDGIM345)84年
3、4、5声のための三曲のミサ曲。もはや何を言っても始まらない名曲で、日本でも
特に人気がある。CDならこれが決定盤といっても差し支えないと思う。なお有名なモ
テット「Ave verum corpus」もカップリングされている。僕が手許に置いてある盤はこ
の番号ではなく、「チューダー・コレクション」としてまとめられた4枚組で、バード
ではモテット「Infelix ego」も聴ける。
○Phillips指揮Tallis Scholars(GIMELL,CDGIM011)87年
イギリス国教会のための英語によるミサ「グレート・サービス」。個人的にはこれが英
国教会音楽の最高峰と思っているし、ラテン語のミサ曲よりもこちらが好み。タリスス
コラーズの演奏が実に素晴らしい。冒頭の一音から震えるほど美しい音の渦が展開され
る。ルネッサンスの教会音楽はどうしても小人数でやらないと上手くいかない事が多い
が、もしアマチュアが演奏するなら、パート数の多いこの曲であれば大人数向き。百人
で5声のミサ曲をやるくらいなら、こちらをやりたい。なお、当盤では第4曲にあたる
「キリエ」が省略されている。また、アンセム3曲を併録。
○Rutter指揮Cambridge Singers(COLLEGIUM,COLCD110)89年
アンセム3曲とモテット15曲。この演奏者の数多い録音の中でも推薦できる内容。イチ
オシは冒頭に入っているアンセム「Sing joyfully」。細かい音の動きもあって楽しげ
な曲想が良い。なお、同じ演奏者の別の盤(COLCD107)に入っているラテン語のモテット
「Heac Dies」が力強く、是非チェックしておきたい佳品だ。
上記3枚でメインのレパをおさえることはできるが、他にも多くの録音がある。特に、
モテット「Ave verum corpus」などはオムニバス盤に入っているケースが多い。ここでは
シリーズ録音の注目盤を挙げておく。
○Carwood指揮Cardinall's Musick(ASV,CD GAU
170)96年
○同(ASV,CD GAU 178)97年
「バード・エディション」のその1と2。当シリーズが全集に発展することを望む。名
合唱歌手を集めており、演奏も上出来。その後も続編が次々と発売されており、バード
を研究したいなら必携。
もう一枚だけ、最重要レパではないが、悪くないアルバムを挙げておく。
○Rooley指揮Consort of Musicke(OL,443187-2)80年
1588年の「詩篇、ソネット、歌曲集」から12曲を抜粋したもの。英語の作品集。この演
奏家たちだから、一定水準は保証済み。有名なマドリガル「Lullaby」も聴ける。
以上、バードは簡単過ぎて申し訳ないが、まずは3つのラテン語ミサ曲は押さえておく
べき。目下のところ、僕は「グレート・サービス」命だ。CDではASVの全集完成を楽し
みにしたい。
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