ヴォーン・ウィリアムズ(VAUGHAM WILLIAMS,Ralph、1872-1958、イギリス)

 近現代英国音楽ファンには欠かせない存在で、管弦楽曲を中心に愛好されている。生き
た時代からすれば作風は穏健だが、決してわかりやすい音楽、というわけでもない。専門
家の言うネオ・モーダル(新旋法)による音楽と聴き手の相性にもよる。民謡やマドリガ
ルの伝統などを踏まえた合唱曲、及び合唱が絡む曲が結構な量あって、イギリスのCDレ
ーベルの活躍のおかげで、録音にも恵まれているし、知られざる作品も続々録音されつつ
ある。「南極交響曲」や「海の交響曲」といった大曲もあって、それらを代表作とすべき
なのだが、僕個人は、民謡を素材とした小規模な合唱作品に共感を覚える。また、日本の
合唱団が最も愛好するのは無伴奏混声の「3つのシェークスピアの歌」だろう。その曲も
含め、無伴奏の世俗的合唱曲でまず一枚だけ買うならこれ、と言えそうな盤から。
○Layton指揮Holst Singers(HYPERION,CDA66777)95年
収録曲:An Acre of Land; Alister McAlpin's Lament; Bushes and Briars;
Ca' the yowes; Come away,death; Down among the dead men;
Five English Folksongs; Greensleeves; Heart's Music; Loch Lomond;
Mannin Veen; Rest; The Seeds of Love; Three Elizabethan Partsongs;
Three Shakespeare songs; The Turtle Dove; The winter is gone;
 近代イギリス合唱曲の傾向を知るために、この一枚は持っていて損はない。余り話題に
 ならないが、この指揮者と合唱団のコンビがHYPERIONに録音しているブリテンやホルス
 トも素晴らしいアルバムだと思っている。有名な「ロッホ・ローモンド」や「グリーン
 スリーヴズ」、合唱団の手ごろなレパになりそうな「五つのイギリス民謡」を中心に、
 美しい曲が並んでいる。いくつか男声合唱曲もある。この合唱団は、びっくりするほど
 上手いわけではないところが、日本の合唱団の進むべき一つの道を示しているように思
 われる。

 僕はとても難しい曲だと思っているのだが、日本でよく演奏会のプログラムで見かける
「三つのシェークスピアの歌」は、いくつかのアルバムに収録されている。すぐ終わる。
○Rutter指揮Cambridge Singers(COLLEGIUM,COLCD104)86年
 スタンフォード「The blue bird」に始まり、ディーリアス、民謡編曲物、ブリテンの
 「五つの花の歌」が聴ける好盤。なお、ラターは数枚のアルバムに少しずつヴォーン・
 ウィリアムズを入れている。「五つのイギリス民謡」は(COLCD120)で聴ける。
○Summerly指揮Schola Cantorum of Oxford(PROUDSOUND,PROU CD 130)92年
 20世紀の世俗的合唱曲集。
○Spicer指揮Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9425)93年
 ホルストとヴォーン・ウィリアムズの無伴奏合唱曲を選りすぐった好選曲盤。演奏も安
 心のフィンジシンガーズだが、ソプラノの声が耳に疲労をもたらすかもしれない。シェ
 ークスピア以外のヴォーン・ウィリアムズは、演奏機会の多い「イギリス民謡」と、
 「The Turtle Dove」。それにモテットを4曲(O taste and see; O vos omnes;
 The Souls of the Righteous; Valiant for Truth)。
○Woebcken指揮Madrigal Chor Kiel(AMBITUS,amb97926)95年
 北ヨーロッパの合唱曲集になぜかヴォーン・ウィリアムズが。
○Alldis指揮Netherlands Chamber Choir(GLOBE,GLO5170)96年
 このイギリスの合唱曲を集めたアルバムは全体に非常に出来が良い。推薦盤。
○Brewer指揮LAUDIBUS(HYPERION,CDA67076)98年
 このアルバム「All in the April evening」は素晴らしい。推薦盤。
○Creed指揮RIAS-Kammerchor(HARMONIAMUNDI,HMC901734)2000年
 演奏だけをとれば高水準で推薦盤だが、ヘッドフォンで聴くと指揮者の唸りが怖い。イ
 ギリスのパートソング集。
○Most指揮Academic Choir of Aarhus(DANACORD,DACOCD607)2001年
 シェークスピアから題材をとった合唱曲だけを集めたアルバム。デンマークの合唱団。
○Bruffy指揮Phoenix Bach Choir(CHANDOS,CHSA5031)2003年
 同様にシェークスピアに題材を求めた合唱曲のみのアルバム。アメリカの合唱団。

 世俗的合唱曲をある程度集めた盤をもう一つ。
○Quink(VANGUARD,99003)87年
 意外なレーベルから、このオランダのヴォーカルアンサンブルの録音が出ている。タイ
 トルに「Verses and Songs」と記しているが、そういう曲集があるのではなく、パート
 ソングなどの小曲10曲を集めている。中世のマドリガルそのまま、という趣きのものも
 ある。小アンサンブルでヴォーン・ウィリアムズをやりたい人には大いに参考になるだ
 ろう。カップリングはフィンジの「3つの短いエレジー」「7つのブリッジの詩」。

 クィンク盤にも入っているが、ホルストシンガーズ盤で合唱で歌わる小曲「Rest」は、
下の2枚の様にヴォーカルアンサンブルで演奏されると、なんだかおしゃれ。特に、ジン
ガーピュア盤は心に染みる。こういうのを聴くと、是非アンサンブルで演奏したくなる。
○King's Singers(EMI,TOCE7669国内盤)87年
○Singer Pur(ARSMUSICI,AMP5035-2)94年

 次に、管弦楽付きの世俗的合唱曲に行く。
 交響曲第1番にあたる「海の交響曲」。4つの部分で約75分の大作。ホイットマンの代
表作「草の葉」による。ホイットマン文学にも興味がある人には必聴と言えそうだ。混声
合唱はずっと登場するので、疲れるが歌いがいのあるレパだ。特に第4部のクライマック
スなど、とても良い部分がある一方で、全体としては長過ぎるように感じるので、好きな
部分だけを選べるCDは便利。録音は多数あるが、どうしてもイギリスのオケによるもの
が多く、併設の合唱団の名前を見ただけで購入意欲を失わせる。さりとて発音の点で英国
に頑張ってもらうしかないのだが。手許には一枚のみ。
○Haitink指揮LPO,Ch(EMI,CDC7 49911 2)89年
 この合唱団にしては健闘している。最上とはとても言えないが、不合格でもない。高揚
 する部分でのサウンドもダイナミックに録れていて楽しめる。

 交響曲第7番にあたるのが、探検家スコットを主人公にした映画の音楽がもとになって
いる「南極交響曲」。合唱付きといっても、歌詞のない女声合唱が入るだけ。題材からも
ある程度想像されるが、スペクタクルな魅力は忘れ難い。有名曲なので録音はそれこそ多
数あるが、手許には超廉価盤の一枚のみ。
○Bakels指揮Bournemouth響他(NAXOS,8.550737)96年
 どんな曲か知るだけなら十分な演奏。カップリングは合唱は関係ない交響曲第8番。

 割と有名な曲に10数分の「Serenade to Music」がある。この曲は、合唱というよりは
16人のソロ歌手と管弦楽のために書かれていて、名歌手16人を集めた録音がかなりある。
題材がシェークスピアの「ヴェニスの商人」からとられていることもあって、好まれてい
るのだろう。手許には、珍しく4人のソリストと合唱で演奏した一枚。
○Pullan指揮Vancouver Bach Choir他(CBC RECORDS,SMCD5121)93年?
 合唱団が余り良くないのが残念だが、大人数で演奏したサンプルとして貴重。

 バリトン、混声合唱、管弦楽のための「Fantasia on Christmas carols」。題名からは
親しみやすそうなイメージだが、そうでもない。ヴォーン・ウィリアムズのファン向けの
渋い音楽になっている。録音がたくさんあるが、手許には2種。
○Rutter指揮Cambridge Singers(COLLEGIUM,COLCD121)93年
○Hill指揮Choir of Winchester Cathedral他(DECCA,444130-2)94年

 続いて宗教的合唱曲。

 無伴奏の宗教的合唱曲では、まず二重合唱のための「ミサ曲」をあげたい。中世以来の
合唱の伝統に則りながらも現代の感覚も盛り込んだこのミサ曲は、20世紀の無伴奏ミサ曲
の佳曲にあげていいと思う。僕はどうも以前からつかみどころの無さを感じてはいるが。
手許にあるCD、いずれも、それぞれの合唱団の長所が出ている。なお、未聴盤で良い評
判を聞くのはオックスフォード・ニュー・カレッジ盤。
○Willcocks指揮King's College,Cambrige(EMI,CDM5 65595 2)68年
 録音が古くなってしまった。きっとLP時は良い音だったのだろう。併録はフィンジと
 バックスの宗教的合唱曲。
○Best指揮Corydon Singers(HYPERION,CDA66076)83年
 オルガン伴奏付きの「テ・デウム」と、ハウエルズのレクィエムなどをカップリング。
 このレーベルの初期録音だが、この「ミサ曲」とハウエルズの魅力をデジタル録音で紹
 介することに成功した画期的な一枚と言える。
○Eby指揮Mikaeli Chamber Choir(PROPRIUS,PRCD9126)94年
 プーランク、ヒンデミットのミサ曲とカップリング。録音がうまくとれている。
○Edison指揮Elora Festival Singers(NAXOS,8.554826)2000年
収録曲:Come down,O Love divine;Lord,Thou hastbeen our refuge;Mass in G
 O clap your hands;O how amiable;O taste and see;O vos omnes;
 Prayer to the Father of Heaven
 これは素晴らしい。ミサ曲の演奏がとびきり美しいし、他の宗教的合唱曲もまとめて聴
 くことができる上、超廉価盤だから、基本盤として推薦できる。

 管弦楽付きの大曲もある。
○Best指揮Corydon Singers,Corydon Orchestra(HYPERION,CDA66655)93年
収録曲:Dona nobis pacem; Lord,thou hast been our refuge;
 O clap your hands; Toward the unknown region;
 35分ほどかかる、ソプラノ、バリトン、混声合唱と管弦楽のためのカンタータ「我らに
 平和を与えたまえ」をメインに、管弦楽付きのモテット3曲も収録。この作曲家の宗教
 的合唱曲をもっと聴きたい人向け。「Toward the unknown region」の終曲の高揚は、
 結構いける。悪い演奏ではないが、この合唱団にしては良くない。

 次いで、バリトン、混声合唱、オルガン、管弦楽のための「Five Mystical Songs」。
約20分かかる。ピアノがよく聞き取れるのが僕自身の好みにも合っているのだが、いずれ
にせよなかなか聴きごたえがある。
○Willcocks指揮King's College,Cambridge(EMI,CDM5 65588 2)66年
 音が古くなってしまっている(少しひずみ気味)のが残念。バリトン・ソロにシャーリ
 ー・カークを起用しているのが目をひく。同じ作曲家の曲ではトランペットのソロで始
 まる短いモテット「O clap your hands」も収録。カップリングはホルストの「合唱幻
 想曲」などとフィンジのクリスマス・カンタータ。
○Tims指揮Kirk Chancel Choir(ARKAY,AR6163)97年
 合唱団も伴奏のオケもちっともうまくないが、この曲の表現に関しては悪くない。ラタ
 ーのレクィエムの抜粋などをカップリング。

 クリスマス・カンタータ「Hodie」。全曲のCDもあるが僕は未聴。ただ第5曲の短い
コラール「The blessed son of God」が愛唱曲のようで、単独の録音が手許に3種。
○Kibblewhite指揮East London Chorus(KOCH,3-7202-2 H1)92年
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(CONIFER,CDCF517)93年
○Hill指揮Choir of Winchester Cathedral他(DECCA,444130-2)94年

 以下、落ち穂拾い。
○Darlingon指揮Christ Church,Oxford(CLASSIC CD,CDCLR003)
 「ミサ曲」のCorydon Singers盤に入っている「テデウム」の管弦楽伴奏版。イギリス
 の雑誌「CLASSIC CD」の付録CDの音源をまとめて発売された2枚組に収録。
○Spicer指揮Finzi Singers(CHANDOS,CHAN9019)90年
 モテットを3曲、無伴奏混声の「Prayer to the Father of Heaven」、オルガン伴奏の
 「A Vision of Aeroplanes」、管弦楽伴奏でも演奏されるがここではオルガン伴奏とト
 ランペットソロだけが入る「Lord,thou hast been our refuge」。メインはハウエルズ
 の「レクィエム」。美演揃いで推薦盤。
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(CONIFER,75605 51249 2)96年
 ヴォーン・ウィリアムズが編纂した賛美歌集から選曲。彼の作編曲物は6曲収録。この
 訓練された合唱団だから演奏は良いのだが、礼拝に日ごろ関わらない者としては、75分
 以上これを聴き続けるのは辛い。
○Broadbent指揮Joyful Company of Singers(EMI,CDC5 5696 2)99年
 ここでも何度か言及している、ポール・マッカートニーの妻リンダのために20世紀の作
 曲家たちが曲を寄せたアルバム「A GARLAND FOR LINDA」だが、その前置きに、ヴォー
 ン・ウィリアムズの5分ほどの混声合唱曲「Silence and Music」が置かれ、効果的な
 導入になっている。演奏の方は、さらにハーモニーの安定を望みたい。

この他にもオペラや、劇付随音楽など、合唱が入る曲のディスクがかなりある。好みに
合う人は、どんどん開拓すべきだろう。


ヴェルディ(VERDI,Giuseppe、1813-1901、イタリア)

 コメント不要の、合唱人にも大切な大作曲家。

 まず有名な「レクィエム」。曲については言うまでもない、古今東西のレクィエムの中
でも最高に劇的。僕自身は、第2部が長すぎることに、どんな演奏を聴いても必ず不満を
覚えるが、第1曲の緊張感、リベラ・メの無伴奏合唱の良さなどには全く文句が無い。合
唱は関係ない「オッフェルトリウム」が最も美しくて好きな場面だ、
 CDはそれこそたくさん出ている。この曲のCDなら全て集める、というのも楽しい作
業になりそうだ。しかし僕は大して聴き比べをしていないので偉そうなことは言えないの
だが、自分の推薦盤は3枚。即ち、モノラル時代のトスカニーニ、アナログ時代のアバド
(デジタルのではない)、デジタル時代のモランディがそれ。その3枚も含め、手許の録
音を挙げる。
 それにしても、この曲をCDで聴いていつも感じるのだが、第1曲の冒頭の雰囲気は、
実演でないと味わえない。CDだと音が小さ過ぎるので・・・。
○Toscanini指揮NBC響他(RCA,60299-2RG)51年
 合唱はロバート・ショウ合唱団。モノラル録音だが、いまだにこの演奏の価値は減らな
 い。特に「怒りの日」の冒頭の衝撃(その中でも11小節め)は、これが一番。必ず掌に
 汗をかく演奏だ。ネッリ、バルビエリ、ディ・ステファノ、シエピと揃ったソリストも
 含め、今後も記録として残っていくだろう。演奏の精度だけをとれば、現在の演奏水準
 からみれば不満も残るのも確かだが。カップリングは「聖歌四篇」の第4曲「テ・デウ
 ム」、それに録音が珍しい「諸国民賛歌」、オペラから有名な「行け、我が思いよ」。
○Abbado指揮Scala(DG,POCG9847/8国内盤)79,80年
 ミラノ・スカラ座の合唱団の声がとにかく凄いの一言。ソリストには賛否両論あるよう
 だが、僕はここでのソプラノ、リッチャレッリは気に入っている。この国内盤2枚組は
 3千円未満で買えるし、後述するオペラ合唱曲集とカッリングされている。合唱愛好家
 がただ1枚ヴェルディを持つとしたらこれ、といっても過言ではない名盤だと思う。ア
 バドには輝ける未来がある筈だった。
○Morandi指揮Hungarian State Opera O,Cho(NAXOS,8.550944/5)96年
 ヴェルレクは、ステレオ初期に名盤が多く、デジタル時代にはいまいち不作。どうせダ
 メなら、安いナクソス盤がいい。ここではモランディの指揮が絶品だと思う。細部まで
 手を抜いていない。そしてハンガリー国立歌劇場の合唱団が良い。上述のスカラ座だと
 凄すぎて、とても我々には真似できっこないとうちのめされるが、このハンガリーの演
 奏を聴くと、日本人が参考にするのにはこれじゃないかと思わせる。「聖歌四篇」全曲
 とのカップリングで、出来はレクィエムの方が良い。
○Markevitch指揮Moscow State PO,Russiana State Academy Choir
 (PHILIPS,UCCP3405/6国内盤)60年
 合唱団がスヴェシニコフ率いるソヴィエト国立アカデミー合唱団であるという一点に惹
 かれて購入したディスクだが、ここではマルケヴィチの音楽性溢れる指揮と、地響きを
 たてるような管弦楽が素晴らしい。全曲の冒頭、「怒りの日」の最初の5分間、そして
 終曲「リベラ・メ」だけを聴いて、それで十分に満足できる演奏だ。特に「怒りの日」
 の冒頭は、なかなかこういう衝撃的な演奏は聴けない。
○(1874critical edition)Tiboris指揮Sofia Opera(ZZ,GRK708)95年
 この他にも録音があるのだと思うが、クリティカル・エディションを用いた録音という
 のがウリ。それだけではなくて、普通は演奏されない合唱が入っており、第2部の途中
 「Liber scriptus」が合唱によるフーガになっている。全曲をCD一枚に収める。演奏
 の出来は、まあまあ。
○Gardiner指揮Monteverdi Choir(PHILIPS,442142-2)92年
 ガーディナーが手兵のオルケストル・レヴォルショネール・エ・ロマンティークを率い
 て、ピリオド楽器初のヴェルディを録音したもの。カップリングは「聖歌四篇」。この
 演奏も、特にレクィエムは素晴らしい。しかし、ピリオド楽器なら、もっと衝撃的なサ
 ウンドが生まれるのではないかと期待していたのだが、これならピリオドである必要は
 感じられない。それに、この合唱団としては「聖歌四篇」が意外に粗いのが残念。
○Muti指揮Philharmonia O,Ambrosian Chorus(EMI,CZS5 68613 2)79年
 これもまあ、悪くない。

 レクィエムのCD紹介の中でも触れた「聖歌四篇」も合唱の代表作。「アヴェマリア」
「スタバト・マーテル」「マリアへの賛歌」「テ・デウム」の4曲から成る。第2、4曲
には管弦楽が付くが、他の2つは無伴奏。上述のモランディ、ガーディナー盤も悪くない
が、僕が今現在は手許に置いていない盤でムーティ指揮スウェーデン放送合唱団+エリッ
ク・エリクソン室内合唱団のCD(EMI)が絶賛されている。第1曲「アヴェマリア」は
半音階的和声で有名だが、どうも僕は苦手。第3曲は女声合唱の名曲とされ、単独でもし
ばしば取り上げられる。手許にいい録音がある。
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(CONIFER,75605 51261 2)96年
○Rutter指揮Cambridge Singers(COLLEGIUM,COLCD116)91年
○Kokars指揮AVE SOL(MAZUR MEDIA,GOV002)98年
 この中では、マーロウ盤が特に素晴らしいと思う。アヴェソル盤は珍盤なのが残念。

 その他の合唱曲もいくつかあるようだが手許のCDで聴き比べできるのは、無伴奏混声
5部合唱のための短い「パーテル・ノステル」。
○World Youth Choir'95(SDERS,HOD290467)95年
 WYCの95年度の記録CD。「聖歌四篇」の中の「アヴェマリア」も入っている。指揮
 者名が2人(BerniusとMcNeil)クレジットされていて、どちらの担当なのか不明。
○Poole指揮Group vocal de France(EMI,72435 55150 2)94年
 ラフマニノフ「晩祷」などの項であげた良い一枚。

 2001年の没後百年を前に発売された珍曲アルバムに触れておく。
○Chailly指揮Orchestra sinfonica e coro di Milano Giuseppe Verdi(DECCA,467280-2)
2000年録音
 珍曲ハンターには格好の一枚。最近発見されたという初期の合唱作品など、5曲が世界
 初録音。その5曲とは、「Messa solenne(Messa di Gloria)」「Qui tollis」「Tantum
 ergo in F major」「Tantum ergo in G major」「Laudate pueri」。それ以外の3曲は
 既に知られていて「Pater noster」「Ave Maria」「Libera me」。最後のリベラメは、
 「ロッシーニのためのミサ曲」として多数の作曲家の合作になったミサ曲でヴェルディ
 が担当した部分で、かの「レクィエム」の終曲の原形になったもの。演奏の素晴らしさ
 に拍手を送りたい。何より、イタリアの合唱の神様、ガンドルフィが合唱指揮をする合
 唱団は、十分にトレーニングされていて、心地よい演奏。オケも、特に低弦の個性的な
 ゴリゴリした響きが腹にずっしりくるのが良い。シャイーの情熱的な棒もいい。その良
 さが最も現れたのが「リベラメ」、レクィエムにおける完成稿に比べて音が整理されて
 いないところがまた魅力で、この曲における演奏の爆発度は、一聴の価値が十分にある
 と言える。世界初録音の曲たちだが、モーツァルトみたいで、特に聴く価値があるとも
 思えなかった。ま、ヴェルディも最初はこんな風に作曲を勉強してたということだ。

 ヴェルディの合唱と言えば、オペラをはずすことはできない。名場面が沢山ある。合唱
ファンとしては、他のオペラ作家全てを無視しても、ヴェルディだけは押さえておくべき
だろう。特に有名な作品だけでも、マクベス、リゴレット、トロヴァトーレ、椿姫、仮面
舞踏会、運命の力、ドン・カルロ、アイーダ、オテロ、ファルスタッフ、と盛りだくさん
だ。僕は、彼のそれほど知名度が高くないオペラは聴いていない。きっとそれらの中にも
合唱曲だけをとれば素晴らしいものがあるだろうと推測される。今後の楽しみにしたい。
ところで、数多い合唱名場面の中で、最も有名なのは、「ナブッコ」の中のヘブライの奴
隷たちの合唱「行け、我が思いよ、金色の翼にのって」。イタリアでは第2の国歌、とさ
れるらしい。そういう話を高校生の頃に知った僕は、FM放送でこの曲を聴いて「なーん
だ、こんなもんかあ」と感じた記憶がある。確かにメロディーは歌いやすいし覚えやすい
し、名曲の要素はあるのだが、もっといいオペラ合唱曲がヴェルディにはあると思う。

 さて、ここでは、ヴェルディのオペラ合唱曲を集めたCDで手許にある2枚を挙げる。
○Abbado指揮Scala(DG,POCG9847/8国内盤)79,80年
 上述のレクィエムとのカップリング。ここに有名曲が網羅されているのも、この2枚組
 の価値を高めている。収録曲は以下。
 祭りの飾りを;行けわが思いよ金色の翼にのって(以上、ナブッコ)、
 行軍の合唱;十字軍兵士と巡礼の合唱(以上、ロンバルディア)、
 アンヴィルコーラス(トロヴァトーレ)、凱旋の合唱(アイーダ)、
 ここに明けた、輝かしき喜びの日が(ドンカルロ)、虐げられた祖国(マクベス)、
 火の合唱(オテロ)、今一度目覚めるのだ(エルナーニ)
○Muti指揮Scala(EMI,CDC7 54484 2)86〜91年
 アバド盤と同じ演奏家たち。こちらは「アッティラ」と「運命の力」から合唱が入る場
 面を入れているのが珍しい。反面、アイーダの合唱が入っていないのが残念。

 こういうCDには収録されないが、彼のオペラで合唱が絡む場面では、最後のオペラと
なった「ファルスタッフ」のフィナーレで、「この世は皆冗談」という言葉で始まるフー
ガが素晴らしい。


ビクトリア(VICTORIA、Tomas Luis de、1548-1611、スペイン)

 かつての録音に聴くビクトリアは、たいていルネッサンス物の中で、とびぬけて劇的な
表情づけで演奏されている。またそれが結構似合うので、あまりうまくない合唱団でも聴
かせる演奏が可能だ。日本人好みでもある。

 特に愛好されているのが、4声の「アヴェマリア」で、これは合唱人なら、歌唱体験が
ある人も多いだろう。CDでも色々なアルバムに収録されている。手許の盤は、いずれも
魅力がある。なお、Rutter盤やタリススコラーズ盤では8声の同名作品も聴けるが、これ
は隠れた名品と呼ぶに相応しい。またKeene盤に収録のモテット「O Magnum mysterium」
も、名曲として有名で、多くの合唱人に好まれている。
○Phillips指揮Tallis Scholars(GIMELL,CDGIM202)86年
 Christmas with the TALLIS SCHOLARSというタイトルの2枚組。
○Warland指揮Dale Warland Singers(D'NOTE,DND1022)89年
○Rutter指揮Cambridge Singers(COLLEGIUM,COLCD116)91年
○Keene指揮Voices of Ascension(DELOS,DE3138)93年
○当間修一指揮大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団(P30C53038)95年
○Kokars指揮AVE SOL(MAZUR MEDIA,GOV002)98年


 デジタル録音時代に入って、ヒーリングの風潮にも乗って、ビクトリア演奏にも新しい
波が押し寄せているように思われる。僕の好みもあって、現在手許に置いている録音は、
タリススコラーズ以降の古楽演奏の波にのったものが殆ど。以下、ビクトリアだけの作品
集を挙げる
○McCreesh指揮Gabrieli Consort(ARCHIV,447095-2)94年
 日本でも特に人気の高い無伴奏6声の「レクィエム」。通常のミサ形式で録音されてお
 り、ビクトリアの作曲していない部分をグレゴリオ聖歌で補っている。セクエンツィア
 に有名な聖歌DIES IRAEを使っているのが嬉しい。録音も響きたっぷりで気持ちいい。
 歌手が全員男性なので、混声合唱で演奏する場合の参考としては不向き。
○Phillips指揮Tallis Scholars(GIMELL,CDGIM012)87年
 同じく「レクィエム」。この演奏家たち、期待通りの名唱。同国の作曲家ローボによる
 ビクトリアの死を悼むモテットを併録。
○Cave指揮Magnificat(LINN,CKD060)95年
 こちらも同じ「レクィエム」。タリススコラーズのメンバーが指揮しているが、負けず
 劣らずの素晴らしいグループ。
○Marlow指揮Trinity College,Cambridge(CONIFER CDCF188)90年
「エレミアの哀歌」と、「テネブレ・レスポンソリウム」からの抜粋。ひいきの団体と
 いうこともあるが、良い演奏。
○Conte指揮St. Clement's Choir(DORIAN,DIS-80146)96年
収録曲:Ascendens Christus in altum; Ave Maria(8v); Laetatus sum;
 Missa ASCENDENS CHRISTUS IN ALTUM; Missa Laetatus sum a 12; Vidi aquam
 アメリカの隠れ名合唱団。ここでも実に美しい合唱を聴かせる。ビクトリアを愛する人
 なら聴いて損はない。三重合唱のミサ曲もある。
○Christophers指揮The Sixteen(COLLINS,15012)97年
収録曲:Alma Redemptoris Mater a 8; Ave Maria a 8; Ave maris stella a 4;
 Magnificat a 8; Missa Salve a 8; Regina caeli laetare a 8; Salve Regina a 8;
 Vadam et circuibo civtatem a 6;
○Christophers指揮The Sixteen(COLLINS,15212)97年
収録曲:Ad caenam Agni providi a 4;Laetatus sum a 12;Magnificat Sexti toni a 12;
 Missa Laetatus sum a 12;Veni creator spiritus a 4;Vidi speciosam a 6
○Christophers指揮The Sixteen(COLLINS,15182)97年
収録曲:Lametations of Jeremiah
 上記3枚、意外なほどこの演奏家たちが適合性を示していて、推薦盤。

 トリニティ・カレッジ盤やシックスティー盤で聴ける「エレミアの哀歌」や「レスポン
ソリウム」を含む大規模な曲集が「Officium Hebdomadae Sanctae聖週間聖務曲集」。手
許に2種類の全曲盤がある。
○Gipon指揮Ens. Voc Jean-Paul Gipon(ADDA,CSM0001)91年
 新しい録音ではあるが、演奏スタイルは古い方で、推薦できるレヴェルには達していな
 い。とにもかくにも全曲盤であることは貴重。
○Cuesta指揮Santo Domingo de Silos他(EMI,TOCE-6266/7国内盤)
 これはもう、演奏スタイルが古くて、現在にあってはとても推薦できない。が、かつて
 は国内盤で、全曲対訳付きの充実解説を伴ったアルバムが発売されていたのだ。


ヴィエルヌ(VIERNE,Louise、1870-1937、フランス)

 壮麗なオルガン音楽が人気だが、合唱も入る「Messe solennelle荘厳ミサ曲」は、なか
なかの聴き物。オルガンが2台必要、というだけでわくわくするではないか。カタログに
数種類の盤が並ぶ、それなりに人気曲である。

○O'Donnell指揮Westminster Cathedral Choir(HYPERION,CDA66898)96年
収録曲:Ave Maria;Messe Solennelle;Tantum ergo;
 「荘厳ミサ曲」と小さいモテット2曲。当盤は、オルガン曲ファンにはちょっと興味を
 惹くもので、ヴィエルヌ、デュプレ、ヴィドールの合唱曲を収録。曲としては、ヴィド
 ールがオルガン作家らしいマッシブな音響をうまく利用している。これらの曲は、もち
 ろんCDも資料として嬉しいけれど、機会があれば是非教会で聴いてみたい。

 聴き比べしたい人のために、他の盤も挙げておく。
○Gustafsson指揮Klemetti Chamber Choir(FINLANDIA,3984-25987-2)98年
 この合唱団の名演集2枚組。
○Hennig指揮Knabenchor Hanover(ARSMUSICI,AM1096-2)93年
 デュリュフレ「レクィエム」とのカップリング。
○Wynkoop指揮Duke Univ. Chapel Choir(ARSIS,CD133)2000年ライブ
 ラター「レクィエム」とのカップリング。


ヴィラ=ロボス(VILLA-LOBOS,Heitor、1887-1959、ブラジル)

 この人は近代音楽ファンなら見逃せない。何しろまず音の量が多く、いかにも亜熱帯の
熱気むせかえる音楽が多い。この「音が多い」というのは、近現代の管弦楽曲が人気の昨
今、それだけで愛好される要因になり得る。僕は鍵盤をぶったたきまくる「野生の詩」な
どのピアノ曲から入っているが、その後宗教的合唱曲などがあるのを知った。日本でも愛
好されている「ミサ曲」など、声楽曲のCDも増えてきているので、挙げていく。

○Best指揮Corydon Singers(HYPERION,CDA66638)93年
収録曲:Ave maria; Bendita sabedoria; Dor dulce,cor amabile;
 Magnificat-alleluia; Panis angelicus; Pater noster; Praesepe;
 Sub tuum praesidium; 聖セバスチャンのミサ曲;
 日本の合唱団も時折とりあげている無伴奏女声三部合唱のための「聖セバスチャンのミ
 サ曲」がメインで、その他の宗教的合唱曲を集めた貴重なアルバム。ラテン語による無
 伴奏混声の作品は、ごちゃごちゃした邦人曲が得意な日本の合唱団にも推薦できるレパ
 ではないかと思われる。「Bendita sabedoria」は特に面白い効果がある。全体に、ポ
 リフォニーの音楽もありますという、作曲者の意外な側面を見せる。「Magnificat-
 alleluia」は一曲だけ管弦楽付きの小曲。

 続いて世俗作品。彼にはブラジルの民俗舞曲であるショーロスの題名を持つ曲が10曲以
上あり、合唱付きの曲が含まれている。以下に第3番と第10番のCDを挙げる。なお、第
14番も管弦楽、吹奏楽、合唱のための作品のようだが、目下CDが無い。
○Singphoniker(CPO,CPO999257-2)93年
 男声合唱、クラリネット、サックス、ファゴット、3ホルンのための「ショーロス第3
 番」。だがここで聴けるのは原曲ではなく、声のみのために編曲。ジングフォニカーの
 擬音の名技を楽しむアルバム。
○Tilson Thomas指揮New World Symphony(RCA,09026 68538 2)96年
 第10番。10分少々で終わる管弦楽曲だが、いかにもヴィラ=ロボスらしい、ブラジルの
 熱帯雨林の雰囲気が楽しい。合唱の出番は後半しかないが、怪しげな叫び声をあげる。
 こういう曲の演奏に参加してみるのもよさそうだ。合唱団はBBCシンガーズ。カップ
 リングは、いずれも合唱は関係ないブラジル風バッハ第4、5、7、9番。
○Mata指揮Simon Bolivar響他(DORIAN,DIS-80101)90年
 上述のティルソン=トーマス盤は上品過ぎるという評判もある。その点、当盤は、この
 テの曲なら欧米の有名演奏家でなくても楽しめることを教えてくれる。ベネズエラのオ
 ケと合唱団が頑張っている。カップリングはエステベスの「Cantata Criolla」。

 また、ヴィラ=ロボスの代表作の一つに9曲の「ブラジル風バッハ」がある。題名から
推測されるとおり、バロック音楽のブラジル風味現代化という趣き。第9番が無伴奏混声
合唱で演奏される(器楽のみの弦楽合奏版もある)。
○Martinez指揮BBC Singers(LORELT,LNT102)92年
 その第9番。弦楽合奏版の方が後にできたのだが、合唱版は難し過ぎるために敬遠され
 ていて、録音が少ない。前奏曲とフーガの2曲で約10分。たまに日本の合唱団のレパで
 も見かける。歌詞が無い点は演奏に際しては楽だ。なお当盤をヘッドフォンで聴くと、
 鳥のさえずりのような音をマイクが拾っているのがわかる。演奏はまずまずだが、更に
 良い演奏の余地が残されているように思われる。
○Rabl指揮Wiener Konzertchor(ORF,CD100)96年
 第9番の競合盤。20世紀合唱曲だけを集めたアルバムは選曲が良く、演奏も推薦するに
 十分な水準。
○Gli Scapoli(PHILIPS,PHCP-11116国内盤)97年
 彼の作品で最も大衆的に人気があると思われるのが「ブラジル風バッハ第5番」の第1
 曲「アリア」。もとはソプラノソロが美しいメロディを歌って器楽伴奏が付くのだが、
 ここではソプラノソロと男声合唱のためにUtnemという人が編曲。ソロはリレハンメル
 五輪の開会式で話題になったシルシェブー。男声合唱のリ・スカポリも上手い。
○村治佳織、Christopher指揮Sixteen(DECCA,UCCD-1176国内盤)2006年
 ギターと合唱のコラボ盤で、「ブラジル風バッハ第5番」のアリアを合唱とギターのた
 めに編曲。さらに、ギターのための「5つの前奏曲」から第3・4曲も同様の編成にし
 ている。編曲者はボブ・チルコット。

 その他、合唱が付く管弦楽曲。
○Heller指揮モスクワ放送響、モスクワ工科大男声合唱団(CONSONANCE,81-0012)95年
 70分に及ぶ「Forest of Amazonアマゾンの森林」、題名通りの熱帯音楽。ヘップバー
 ンが出演して失敗に終わったとされる映画「グリーン・マンション」の音楽を改作した
 もので、ポルトガル語の歌曲が4つ入る。ここではソプラノのルネ・フレミングが歌う
 が、歌詞が無い部分もありソプラノソロの出番は多い。合唱が入るといっても出番は少
 ないが、冒頭から雄たけびを上げるのには笑ってしまう。一般には必聴作とは言い難い
 が、重度のヴィラ=ロボス・ファンの期待を裏切ることは無いだろう。

 落ち穂拾い。
○Sjoberg指揮World Chamber Choir(BOHEMIA MUSIC,BM0017-2231)93年
 世界の合唱曲を集めたるアルバムに「Rosa amarela」を収録。これは楽しい。

 なお、ヴィラ=ロボスのCDとしては、6枚組の自作自演盤が有名で、「ショーロス第
10番」や映画音楽「ブラジルの発見」などが収録されているが、目下のところ僕は未聴。


ヴィレット(VILLETTE,Pierre、1926-1998、フランス)

 音楽辞典に名前が載っていないことすらある人だが、たった1曲、輝ける小品がある。
「Hymne a la Vierge聖母への賛歌」がそれで、この数分で終わる作品は、フランスらし
い気品のある抒情を伝えてくれる宗教的合唱曲だ。好まれているのであろう、割と録音に
恵まれている。
○Brown指揮Clare College,Cambridge(MERIDIAN,CDE84153)88年
○Rutter指揮Cambridge Singers(COLLEGIUM,COLCD116)92年?
○O'Donnell指揮Westminster Cathedral Choir(HYPERION,CDA66669)93年
 この3種、いずれも良い演奏だが、僕には最初のクレア・カレッジ盤が最も好ましい。
 やはりこのフランス合唱曲集は必携盤と言えるだろう。

 もう少しヴィレットを聴いてみたいという人のために、ヴィレットだけの好アルバム。
○Layton指揮Holst Singers(HYPERION,CDA67539)2005年
収録曲:O sacrum convivium; Hymne a la Vierge; Attende,Domine; Notre Pere d'Aix;
 Inviolata; Tu es Petrus; O quam suavis est; Salutation angelique;
 Strophes polyphoniques pour le Veni Creator; Panis angelicus;
 O salutaris hostia; Ave verum; Salve regina; O quam ambilis es;
 Jesu,dulcis memoria; Adoro te; O magnum misterium
 宗教的合唱曲17曲を集めている。レイトン指揮で、演奏の水準は低くない。合唱団の力
 は最上級というわけではなく、「聖母への賛歌」の出来栄えも傑出しているわけではな
 い。いずれにせよ貴重な音源。


ヴィヴァルディ(VIVALDI,Antonio、1678-1741、イタリア)

 この有名な作曲家の作品はむちゃくちゃに多い。ナクソス・レーベルが協奏曲全集に着
手しているが、一体CD何枚になるんだろう。
 合唱曲なら1曲だけ有名作品、ニ長調の「グローリア」がある。明るい冒頭が人気。合
唱部分が実に単純に書かれている点もポイントが高い。CDはびっくりするほど多いが、
僕はそれほど聴き比べていない。たまに聴くと気分が爽やかになるのだが、繰り返し聴き
たいとはならなくって。手許にはいくつかの全曲盤があるが、ここでは、その「グローリ
ア」を含む、ヴィヴァルディの声楽曲だけを集めた2枚組廉価盤を2種類挙げておく。こ
れらは安いのはよいが、解説は貧弱。とにかくたくさん聴きたい人向け。合唱が絡む作品
は、コルボ盤の方が多い。なお、いずれの盤でも聴けるNulla in mundo pax sinceraは、
映画などで使われて有名になった(合唱は関係なくて残念)。以下のプレストン盤では、
カークビーがソロを歌っているのが涙物。
○Corboz指揮Lausanne Ens.(TELDEC,0630-18969-2)
収録曲:Beatus Vir RV597; Canta in Prato; Credo RV591; Gloria; In Furore;
 Kyrie RV587; Lauda Jerusalem RV609;Magnificat RV610;Nulla in mundo pax sincera
○Preston指揮Academy of Ancient music(L'OISEAU-LYRE,455727-2)
収録曲:Amor, hai vinto RV651;Cantata RV678,680,682;Nisi Dominus RV608;
 Nulla in mundo pax sincera RV630

 ヴィヴァルディといえばもちろん協奏曲「四季」ということになるだろう。その編曲版
を聴く。
○Swingle Singers(SWINGCD14)96年
 「春」の冒頭部分。SWINGCD11という番号の盤にも収録。やはりこういう仕事は彼ら。
○Equilbey指揮Accentus(NAIVE,V5048)2006年
 「冬」を克明に通奏低音と混声合唱のために編曲したもので、9分近くかかる。これは
 マニアックな仕事だが、大した挑戦である。

 最近出たヴィヴァルディのオペラ・アリア集に、その「四季」の冒頭の旋律を合唱が歌
う曲が含まれていて驚いた。ヴィヴァルディ・マニアなら是非押さえておきたい一枚で、
人気メゾソプラノ歌手バルトリが歌う(DECCA,466569-2)。


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