第29回 日本書展
上位入賞作品評

審査員長 佐伯司朗


第一席・日本大賞      該当者なし


第二席・文部科学大臣奨励賞(同人推挙)  秦野 韶游

「出師表」
ゆったりとした、流動感のある筆致で書き上げた秀作。伸びのある、清々しい仕上がりとなった。原作の持つ雰囲気をこわすことなく拡大しまとめ上げた点が高く評価された。


駐日中華人民共和国大使館賞      渡  司歳
「仇鍔墓碑銘」
久しぶりの大作だが、やや迫力には欠けた。安定した技術で、丁寧にまとめ上げた好作。今後はさらに作品に深さを加えてほしい。


毎日新聞社賞    石川 司瑤
「源氏物語絵巻」
自作の料紙に源氏物語を臨学した。王朝美あふれる作となった。墨色の変化と鋭さに欠けた点が残念。今後の精進に期待したい。


毎日新聞社賞    渡邉 司航
「道因法師碑」丁寧な運筆で、難しい素材をよくまとめ上げている。やや統一感に欠けた点が惜しい。前半はよくまとめているが、後半、書き急ぎの感が残念。


全日本書道連盟賞        矢倉 司粹
「金剛般若経」
多字数を一貫した筆致で書いた秀作。原作の持つ強さを表現できなかったことが残念。可能性を秘めた人なので今後の飛躍が楽しみ。


審査員特別賞(同人推挙)        吉住 柴園
「大字普門品」
横作品の写経を縦にしているので、一文字一文字の形は良いが、一行のバランスに欠けた。落款がもう少し大きいと更に良かった。


最高顧問賞      佐々木 司風
「過庭復語十節」
筆の上下動が少なく平板な仕上がりとなってしまった。三幅のまとめ方ももう少し考慮してほしかった。実力のある人なので、今後の前進に期待が大きい。

 


芸術新聞社賞    齋藤 英媛
「三体千字文」
三体の千字文のうち、楷書・行書はよく書けているが、草書がやや堅く、字形が不安定になってしまった。全体に好印象の作である。


芸術新聞社賞    柴田 周黎
「説文解字叙」
多字数の篆書をよくまとめた。文字によって、筆勢がそろわず、弱い所が出てしまった。今後さらに勉強してほしい。


五禾書房賞      田中 秀歌
「出師表」
丁寧な筆致でよくまとめているが、終筆がやや弱い点と横画が右上がりになった点が惜しい。幼い頃からの修業の結実がうれしい。


五禾書房賞      田部 司斉
「離騒」
丹精な臨書で、きれいな仕上がりとなった好作。筆を紙に食い込ませるようにすると、原作の持つ迫力が出たのでは・・・。


全日本美術新聞社賞      阿久津 寳綵
「絶句十二首」
原作の持つ大らかさはよく表わせた。やや文字が大きく、そのため統一感に欠ける点が残念。今後のさらなる勉強に期待したい。


全日本美術新聞社賞      石崎 司瀞
「西本願寺三十六人集」西本願寺三十六人集を巻子三本にまとめた労作。運筆が速く軽くなってしまった点が気になる。また墨量に留意すると更に良い作品になると思う。


現代書道研究所所長賞    関川 司晶
「離騒」
丁寧に作られた一作。やや小ぶりとなってしまったのが気になる。滲みを気にしてか運筆が早くなったようだ。紙と墨の相性の研究はこれからの課題。


現代書道研究所所長賞    前橋 司澄
「何紹基作品集」
一貫した筆脈がなく、表面的な臨書になってしまい、空間を生かすことに配慮が欠けたように思う。腕を大きく動かして書くようにするとさらに大きな作品になると思う。


現代書道研究所理事長賞  伊與田 司雲
「桂本万葉集」
桂本万葉集をコツコツと時間をかけて勉強した努力はほめたい。墨量が少し多かったので、原作の持つ躍動感に欠けたのは残念。


現代書道研究所理事長賞  乘田 祥旭
「杜甫(少陵)詩 哀江頭」
才能豊かな人で今回は大字の草書作品。気持ちよく筆を動かし自由奔放に書いている。もう少し、押えた表現で余白の美しさが欲しかった。