2.それで、シマノはABUになれたのか?
<2008年8月24日追加>
こんな古い話を持ち出すことに他意はない。部屋を整理していたらたまたまこんなものが見つかり、単に懐かしかっただけだ。そしていろいろ想像して笑ってしまった。要らないから捨てようと思ったが、せっかく出てきたのだから、その前に写真に撮って話題にしておこう。
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これはシマノ・バンタムのリール袋である。肝心のバンタム本体は、このサイトのどこかで話題にしたと思うが、湖の底に沈んだ。ずいぶん昔の話だ。
面白いのは紋章がつけられていることである。ヨーロッパでは紋章には厳しい掟があり、模倣・盗用は許されない。だからこの紋章は架空のものだと思うが、シマノがこんな紋章を使うことに全く意味はないはずだ。 |
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拡大してみよう。下部のリボンには“FISHING TACKLE”と記されている。なんだ、これは? 思わず吹き出してしまった。通常、このリボンには紋章の意味やスローガンが入るものだ。それがただの「釣り道具」とは。なぜシマノはこんな滑稽なことをしたのだろう?
紋章は何かの象徴であり、神聖/崇高なもので、ときにはそのために命を懸けるほど重要なものだ。 |
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紋章の中で最もイデオロギッシュなのは、旧ソ連国章だろう。リボンの中には“ПРОЛЕТАРИИ
ВСЕХ СТРАН,СОЕДИНЯЙТЕСЬ!”(万国の労働者、団結せよ!)と、ロシア語をはじめ各共和国語で書いてある。
もしこのリボンに単に「釣り道具」とだけ書いてあったら、さぞかし間抜けで滑稽だろうなと想像して、独りで笑ってしまった。こんな突飛なことを想像するのは私ぐらいなものだろうけど・・・。 |
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さて、それでは正直に白状しなさい、シマノさん。本当はABUを真似たんでしょう? そうでなければ、ベイトキャスティングリールには紋章が欠かせないとでも思ったのかな?
今でこそシマノは世界最高峰のメーカーの1つだが、当時は“シマノ”を隠したかったと思える。冒頭のリール袋には“SHIMANO”の社名も“S”のエンブレムもない。紛らわしい紋章をつけて、よほどABUに似せたかったようだ。 |
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では、あの誇らしげなABUの紋章にはどのような意味があるのか。この図柄はスウェーデンの国章であり、その由来は王室の家紋である。(スウェーデンは日本と同じ立憲君主制)。
ABUのリールにはこの下にリボンがあって、“KUNGL. HOVLEVERANTÖR”の文字がある。「王室御用達」。その意味は、王室納入業者であると同時に、スウェーデン国家による高品質のお墨付きでもあるようだ。詳しくはこちらのサイトを参照のこと。
→http://www.hovlev.se/index.html |
だから、シマノがABUの紋章を真似ても、なんの意味もない。それでも真似るところが、あの時代の日本企業だったんだなとつくづく思う。釣り道具に限らず、今これと同じことを韓国や中国の企業がやっている。後進の者が先達の真似から始めるのは、いつの時代も同じということか。いまさらナショナリズムに目覚めてヒステリックになることもあるまい。模倣は最高の賛辞というではないか。
「それで、シマノはABUになれたのか?」とは、ずいぶん意地悪な言い草だ。シマノはまじめに製品作りに励み、今では世界の一流メーカーになった。現在のその地位は、当時のABUにも比肩するだろう。バンタムは間違いなくそのきっかけになったリールの1つだ。だからシマノはABUの真似なんかする必要は微塵もなかった。あの紋章の一件は、企業としてまだ若かった時代に、シマノが掻き捨てた恥である。
<2008年8月24日追加>
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