■一ノ倉沢探勝■


●1978年9月27日(水)●


*晴れ

同行者:K.K.

 当初は、谷川岳馬蹄形を一日で縦走しようという予定で、土合のプラットホームに2:45am下り立った。しかし私の日頃の不摂生が祟り、眠気が激しく、縦走はあっさり諦めることにする。白毛門の登山口にて一旦オカン。

 7:00、改めて起床。さしたる目的とてなく、蓬峠への小道を辿り始める。明け方ぱらついていた小雨も、今は嘘のように晴れている。迷った末、一ノ倉沢正面に立つと、さすがに圧倒される。悪夢のような歴史が、その魁偉なる風貌に彷彿としている。悲劇と栄光の輪舞がある。

 この谷の奥に足を延ばし、名もなき小さな岩小舎にて、岩と蒼空とに掻き抱かれる一日を過ごす。紅茶とビスケットと、遠く衝立岩正面壁を攀じつつあるクライマーたちの動きが、我らあてのない軟弱なる山旅人の友となる。紅葉にはまだ遠く、トカゲにははや肌寒い初秋の一日であった。13:00、下山。


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