| 船戸与一は、異色だ。早稲田大学探検部出身の彼が、モスクワ経由でソ連入りして国後島のチャチャヌプリを登ったという記事を読んで、彼は小説を書くために、現地踏査を厭わない人だと実感した。未だソ連邦崩壊前夜のことである。彼はその探検行を元に後に『蝦夷地別件』を創り上げた。 豊浦志朗の名義で『叛アメリカ史』を書いた彼は、先住民族とそれを虐げてきた略奪者たちの構図、その上に成り立った現代史の上に皺ぶく闘争と不条理の歴史に、小説という弾薬をもって風穴をあけようと試みてやまない。恩讐と欲望の果てに沸き起こる血と硝煙の宴を、彼のペンは日本冒険小説の名の下になぞってゆく。他の誰もが決してやろうとはしない世界の果てを自ら旅し、取材し、調査し、彼なりの咀嚼を施す。 われわれが目撃するのは小説作品というかたちに昇華された彼なりの叙事詩である。現代史の語り部としての、船戸の存在は、日本活字文化において、まさに唯一無二なのだ。
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| タイトル | 発行年 |
| 風の払暁 満州国演義 I | 2007.04 |
| 事変の夜 満州国演義 II | 2007.04 |
| 群狼の舞 満州国演義 III | 2007.12 |
| タイトル | 発行年 |
| 非合法員 | 1979.3 |
| 祖国よ友よ | 1980.10 |
| 群狼の島 | 1981.6 |
| 夜のオデッセイア | 1981.7 |
| 蛮族ども | 1982.4 |
| 血と夢 | 1982.5 |
| 銃撃の宴 | 1984.6 |
| 山猫の夏 | 1984.8 |
| 神話の果て | 1985.1 |
| カルナヴァル戦記 | 1986.4 |
| 猛き箱舟 | 1987.4 |
| 伝説なき地 | 1988.6 |
| 緑の底の底 | 1989.10 |
| 炎流れる彼方 | 1990.7 |
| 砂のクロニクル | 1991.11 |
| 黄色い蜃気楼 | 1992.9 |
| 蝦夷地別件 | 1995.5 |
| 蟹喰い猿フーガ | 1996.1 |
| かくも短き眠り | 1996.6 |
| 蝕みの果実 | 1996.10 |
| 午後の行商人 | 1997.10 |
| 流沙の塔 | 1998.5 |
| 海燕ホテル・ブルー | 1998.8 |
| 龍神町龍神一三番地 | 1999.12 |
| 虹の谷の五月 | 2000.5 |
| 新宿・夏の死 | 2001.5 |
| 緋色の時代 | 2002.1 |
| 夢は荒れ地を | 2003.6 |
| 三都物語 | 2003.9 |
| 金門島流離譚 | 2004.3 |
| 降臨の群れ | 2004.6 |
| 蝶舞う館 | 2005.10 |
| 河畔に標なく | 2006.3 |
| 藪枯らし純次 | 2008.1 |
| タイトル | 発行年 |
| 硬派と宿命 はぐれ狼たちの伝説 | 1977.11 |
| 叛アメリカ史 | 1977.11 |
| 諸士乱想トーク・セッション18 | 1994.6 |
| 国家と犯罪 | 1997.5 |
| タイトル | 発行年 | 著者 |
| 闇の中から来た女 | 1979.3 | ダシール・ハメット |