●ジム・トンプスン <ノワールの復権>

 作家は金のために、生活のために書いたと言う。作家の本は使い捨ての犯罪小説として読まれ、蔑称でパルプと呼ばれたと言う。アメリカ犯罪小説の歴史の一角をなさぬうちに、作家は死んだ。彼の作品を評価したのは、セリ・ノワールのブームに沸いたフランスの読者たちであった。作家の作品はフランスに渡って高く評価され、そうしてやっと世界に注目され始める。死後に有名になった作家として知られる作家の作品は、狂気の波長、破綻する結末、作中の意想外の断裂……と、通常の作家には見られぬ大きな特徴があった。天才か、狂気か。人間の内なる暗黒を追求した半世紀前の作家が、日本でも今世紀に入って大きく評価され、翻訳は今も進んでいる。王者の復権を思わせる現象だ。


タイトル発行年訳者
取るに足りない殺人1949三川基好
内なる殺人者1952村田勝彦
サヴェッジ・ナイト1953門倉洸太郎
深夜のベルボーイ1954三川基好
死ぬほどいい女1954三川基好
失われた男1954三川基好
アフター・ダーク1955三川基好
荒涼の町1957三川基好
ゲッタウェイ1959高見 浩
グリフターズ1986黒丸 尚
ポップ12801964三川基好
鬼警部アイアンサイド1967尾之上浩司


Back To Home