アブラハム・ルイ・ブレゲ工房物語Part3
<外回りから帰ってきたフトメスキー・・・>
フトメスキー
「ただいまーーっ!師匠、出来ましたかぁ?
あれ?誰もいないの?おかしいなぁ。
師匠ーーーーーーーーーーーっっ」
何故か、ブレゲ工房には誰もいませんでした。
不思議に思ったフトメスキーは嫌な予感がしました。
ま、まさか、師匠が失敗したのでは?などと、
自分の中で、反省が沸き起こりました。
エナメルの自分の仕事場に行きますと…
…手紙が机の上に置かれていました。
| 師匠アブラハム・ルイ・ブレゲからの手紙: フトメちゃん。お帰り。師匠です。 ちょこっとだけ失敗しちゃった。。。 円が綺麗にならなくって、いびつな楕円になっちゃった。 ゴメンネ!怒っちゃいやよ。 フトメちゃんとの約束は守るからさ!! ジャンヌちゃんのときは一緒に行こうね!!テヘッ 師匠より |
フトメスキーは思った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・失敗したって?
綺麗な円じゃなくっていびつな円?
ええ?なんだぁ?解らんぞ??
ところで、作品は何処にあるんだ?
どーでもいいけど、”テヘッ”ってなんだぁぁぁぁ
フトメスキーはいろいろと探しましたが、すぐに見つかりました。
申し訳なさそうに紙に包まれて置かれていました。
フトメスキーは紙をとって見てみました。
「た、確かにいびつだ。
しかも、中の綺麗なジャンヌちゃんの絵と対象に
無茶苦茶へたくそな楕円!!
しかも、色の合っていない周りのピンク!!!」
フトメスキーのその作品は、ちょっとだけ、失敗でした。
中の絵の出来に比べて楕円がゆがんで、ピンクの周りの配色。
はぁ、ブレゲ師匠・・・。
フトメスキー談
フッ。ブレゲ師匠にはまいったなぁ。
下手なくせにやりたがるんだから。ま、いいか。
後世では師匠の作品になるんだし。
さて、今日はお仕舞い。
家に帰ってジャンヌちゃんのことでも考えながら風呂に入るかな。
ナレーション
いやぁ、かの有名な2世紀を縮めた男。
アブラハム・ルイ・ブレゲ。
当時の工房でのやり取りは如何でしたでしょうか?
いくら有名でも、なかなか人間味がある工房だったようですね。
あ、そうそう!この後、フランス革命が起こって、
いったんこの工房は閉鎖。
ブレゲはスイスへ避難します。
フランスのパリで再開されるのは1800年に入ってからです。
さて、今回のネタになった懐中時計を見てみましょう。
210年前の時計です。
中心の女性(ジャンヌ・ダルクだぜ。Byフトメスキー)の綺麗さとあいまって、
外側の円のいびつさと、ピンクの合っていない周辺色をお楽しみください。
ノンフィクションとして読まれるといっそう面白いです。
1790年、ソリッドゴールド、チェーン引き、バージ脱進器。
エナメル絵画は女性・犬・鳥・が入った風景画、バックはブルー。
53mm。
真珠の装飾。
オープンフェイス、金の上に白エナメルダイヤル、石数不明。
ムーブにブレゲ銘有り。 200年前とは思えない良い状態。
金のポカード針。
ま、普段使いは出来ません。(貴重過ぎて・・)。
女性に”これぞ時計だ!!”と1回でもみせれば、
ずっと覚えていてくれる。
これは、うんちくたれれます。
(ウンチク)
エナメル絵画程、懐中時計が高価に見える物はない。
飾ることがメインになってしまうが、それゆえ、
クラック物は安くても手を出さない方が良い。
どうしても手放さないといけない時、
クラックありはかなり買いたたかれるからね。
←ブレゲの下手部分は内緒にしなくてはなるまい。
←結構大きく重い。
実はちょっと円がいびつなの(Byフトメスキー)。
ああ・・・ジャンヌちゃん・・・。
| 注) ジャンヌダルクは、若い年齢十代に民衆の支持を受け、 フランス開放を成し遂げます。 が!最後は悲しい結末で、結局殺されてしまう。 フトメスキーは、恋が実ることもなく・・・は、 この時点では分かりませんでした。 (*)しかーし!お気づきの方もいらっしゃるとおり、 ジャンヌは15世紀のイギリス配下のフランスの革命解放軍の聖少女。 400年ほど時代が違いますがその点は良しとしてください〜 え?気づかなかった?設定をちゃんとしなかった作者(私)が悪いです。 200年前の懐中時計は王侯貴族以外は持っていませんでした。 大変高価でした。だいたい、大邸宅ぐらいとイメージください。 また、ブレゲの作品である懐中時計は博物館もキープしており、 生涯に約4000個作ってます。 パテックでは、年間に4万個ぐらい生産しています。 シチズンは数時間で2−3万個ぐらいです。 如何に少ないかお分かり頂けましたでしょうか? 有名な”マリーアントワネット”という、彼女が特注した時計は、 イスラエルの博物館で盗難に遭い所在不明ですが、 出てきましてオークションにかけられれば数十億円は確実といわれています。 ブレゲの古い懐中時計は一番安い物でも80万円からのスタートですので、 おいそれと手が出ません。 |
作者は見なおした時に思った…
理系のくせに、よくもまぁ、こんな素晴らしい短編を書いていたものだ…と。 ←オイ
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