「温故知新」 カントリー&ウェスタンの魅力
"Sound of the earth ""Songs of our soil"
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カントリー・・・・正しい名称は、カントリーミュージックまたはカントリー&ウェスタンとも言う。
日本ではロックやJ・ポップスの勢いに押されてしまい、現在は存在感が薄く、マイナーな音楽
になっている。若い世代のファン数も音楽関係者の努力により徐々に増え続けているが、どちら
かと言えば、1950年後半から1960年〜1970年代にかけて青年期を過ごした愛好者の数が圧
倒的に多いと思う。
ジミーロジャーズ、ハンクウィリアムズに始まり、レフテイフリッゼル、ハンクスノー、ボブウィルス、
レイプライス、ビルモンロー、ロレッタリン、パツイクライン、ジムリーブス、マーテイロビンス、マー
ルハガード、バックオウエンズ、ジョージジョーンズ、チャーリープライド、ジョンデンバー、グレン
キャンベルといった大物歌手が次々登場し、最近ではジョージストレイト、アラバマ、アランジャ
クソン、ヘザーマイルズ、ダニーリー、メアリーC・カーペンター、エミルーハリス、ピーターローワ
ン、ヴィンスギル、ドリーパートン、フェイスヒル、トビーキース、TG.シェパード、リーアンライムス、
マルチナマクブライド、ジョデイーミラーら、バーバラマンドレルなどが先代から伝統を引継ぎ、カ
ントリーという大木の幹をしっかりと形成している。
本場アメリカでは、世代を問わず支持層が厚く、音楽=文化であるという考え方がベースにある。
若いプレーヤーも年輩のプレーヤーも同じ1つのステージで演奏し、歌っている光景を見かける。
リスナーにしても然り。カントリーのコンサート会場に若いファンだけ、年寄りだけ、男性だけ、女
性だけが固まるといった現象(仲良しグループ)を見かけることはほとんどないと言ってもよい。カントリーというと「古くさい」、「田舎の音楽」、「おっさんが帽子をかぶって歌うアレか」という誤
った偏見を持っている人々が多いが、必ずしもそうではない。根拠のない「偏見」や「先入観」ほ
どミーニングレスなものはない。誰か1人の人物が主観でマス・メデイアを介して「こうだ」と言っ
たことをそのままうのみにするとまず固定観念が頭の中に残る。そして、1つのことがきっかけ
となり、他の領域においても波及し、物事を客観的に観ることができず、色めがねで観てしまい、
結局は大切なものを見失うという結果にもなりかねない。自分の頭や感性で確かめるという土
台ができていないから、周囲の風潮に流されやすく、コマーシャリズムの奴隷と化していること
に気がつかずに時を過ごし、何もしないで老後を迎えることになる。
別にカントリーが1番優れた音楽と言っているのではない。ジャズ、R&B、クラシック、レゲエ、
ワールドミュージック、ラテン、シャンソン、カンツオーネ、アイリッシュ、タンゴ、フォークソング
等何でもよい。自分自身の目や耳で確かめ、自分の感性に真に合ったものであるかどうかが
大切なポイントである。一流のほとんどのポップス歌手は、カントリーをリスペクトしており、自分のレパートリーに取り
入れている。エルビスプレスリー、トムジョーンズ、エンゲルベルトフンパーデインク、ナットキン
グコール、ビートルズ、リンゴスター、エルトンジョン、ビリージョエル、ブルーススプリングステ
イーン、カーペンターズなどである。ビートルズのポールマカートニーとジョンレノンは、グルー
プを結成する前は、カントリーのスタイル=スキッフルに非常に興味を持っていた。ポールは、
エルビスプレスリーを尊敬し、あこがれていた。イギリスのフォークシンガーやロックシンガー、
ポップシンガーがカントリーを好んで取り上げるのは、共通のファクター=”血縁” を持つとい
うことが考えられる。ヨーロッパ大陸やイギリス諸島で親しまれていた歌や舞踊曲が、移住者たちによってアメリカ
に伝わり、アパラチア山岳地帯でヒルビリーまたはマウンテンミュージックと呼ばれているスタ
イルの音楽が1920年代にでき上がった。これが今のカントリーの原型である。代表的なグル
ープ歌手はカーターファミリーである。
更に時代を溯って歴史的な背景にふれたいと思う。18世紀から19世紀にかけてヨーロッパか
ら多くの移民がペンシルバニアなどの東部の州に移住してきた。1番多かったのは、イギリス
人、スコットランド系アイルランド人、ドイツ人である。これらの人々は最初の開拓者としてカン
バーランドギャップという山道を通ってアパラチア山脈に入り、土地を切り開いた。開拓者の先
頭を切ったのは、スコットランド系アイルランド人である。彼らは1日の労働の後に歌を歌ったり、
フィドル(=バイオリン)を使ったダンス曲に合わせて踊った。更に彼らは、多くの苦難にめげず、
ミシシッピー川を渡って南部や西部の荒野を開拓していった。
音楽のみならず言葉の面でもアメリカ全土に英語を広めるのに大きな役割を果たしたのがス
コットランド系アイルランド人であると言われる。大げさでユニークな表現を好み、多くの詩や
格言を残していった。スコットランドの低地地方の人々はイギリス=イングランドから移動して
きたアングロサクソン系の人々である。尚、高地地方やアイルランドにはケルト系の人々も住
んでいる。一般的には、スコットランド低地地方→北アイルランド→北アメリカへ移住した人々
をスコットランド系アイルランド人(アングロサクソン系)と呼ぶが、ケルト系の人々も含まれる。
(NHK TV 「英語の歴史第4章」を参照)
今のポップスやロックのルーツは、言うまでもなく、白人のカントリー&ウェスタンと黒人のリズ
ム&ブルースが融合したロカビリーだ。代表的な歌手に、エルビスプレスリー、カールパーキン
ス、エバリーブラザーズがいた。特にエルビスは、後世のポップスシンガーに多大な影響を与え
たのは言うまでもない。エルビス本人もポップスシンガー+ロックシンガー+カントリーシンガー
だったのである。尚、彼がイギリスでライブのコンサートを開く際、ロンドンではなく、直接スコ
ットランドへ行ったというエピソードがあるが、何となくわかるような気がする。
大自然を背景にしたアメリカ中西部(アパラチア山岳地方)で始まったカントリー&ウェスタンは、
次第にアメリカ全土に広まり、現在では多くの地方の都市でもライブやコンサートが催されてい
る。西部のカウボーイだけの音楽ではないのである。日常生活の中で、人々が感じた喜びや悲
しみ、苦労を歌で表現したアメリカ人の人生そのものであると1人の大統領は語っている。日本
の演歌と共通する部分はあるが、全く同じようなものではない。レパートリーが広く大変軽快で
ダンスをしたくなるようなアップテンポの曲もあれば、美しいメロデイーを持つバラード調の曲も
ある。私の知り合いの若者は、曲を聞いたら、落ち込んでいた気持ちが一気に吹っ飛んでしま
った、と話してくれた。ポップカントリー、カントリーロック、ブルース、ウェスタンスイング、ヨーデル、カントリーバラード、
セークレッドソング(ゴスペル)、ブルーグラス、カウボーイソング、ケイジュン、トラッド、ダンス曲
等がありレパートリーに幅があるのが特徴だ。本場アメリカだけはなく、カナダ、オーストラリア、イギリス、アイルランド、ドイツ、ロシア、日本
にもカントリー愛好者がおり、多くの人々の心を引きつけている。日本では60年代に、ジミー時
田、小坂和也といったウェスタン歌手が登場し、J・カントリーの草分け的な存在になった。
(初代はテデイー原氏?)。本場の歌手が顔負けするぐらい歌唱力があり、ぐいぐいと心を引き
つける魅力を持っていたことを覚えている。 最近ではチャーリー永谷、ハンク佐々木、Isao
石橋、Yuki宮前などが活躍している。
マスメデイアを使ったカントリー番組については、60年代〜70年代にかけては、文化放送や
FM大阪(土曜の朝オンエア。担当は現音楽評論家の清水敏夫氏)、NHKFM放送(日曜の朝)
のレギュラー番組があった。しかし、70年代後半からロックやJ・ポップスの勢いに押され、定
期的にオンエアされている番組は次第に姿を消していき、NHKBS2の年に1度の「カントリー
ゴールド」か、有料のスカパー271chの「Countryfied」(毎日オンエア)、461ch(毎日オンエ
ア)でしか聞くことができなくなった。アメリカ、オーストラリアではカントリー専門の放送局=
CMT)が1日中カントリーを流しているにもかかわらずだ。本場のアメリカやオーストラリアにはカントリー愛好者が多くいて、日本ではかつて流行ってい
たカントリー&ウェスタンの支持層の数が減り、なぜマイナーな音楽になったのだろうか。音楽
に国境はないから、英語圏の国々だけの特権ではないと思う。ある時は底抜けに明るく楽しく、
ある時はもの悲しく、これほどメロデイーが素朴で美しく奥行きの深さをもったすばらしい音楽は
ない。リスナーも含めて音楽関係者や放送関係者にも責任がある。第1に政治家をはじめ、社
会の上層部の人間が、ビートルズとプレスリーしか知らないでは話にならない。
南部のWASP(アングロサクソン)には、保守的な人が多く、急激な社会の変革を嫌い、少し頑
固で偏屈(へんこ)な一面もある。ファンの中には必ずしもいるとは限らないが。
アーロンテイッピンやトビーキースが湾岸戦争をテーマに行ったセッションは、保守的な南部の人
々から見たら、「何っちゅうやっちゃ、けしからん!」と思われたに違いないだろう。
まっ、何はともあれ、おいしい水を飲むのは、カントリー通の人だけの特権ではない。もっと多く
の人々にカントリーミュージックのすばらしさを伝え、次世代に引き継いでいくのが私たちに課
せられた課題ではないだろうか。Short Essay by Micky from HyogoAll rights Reserved Copyright (c) T. Mishima