お隣の都計審を拝見・拝聴すると

      伊達美徳

 横浜市の隣にある藤沢市(2009年11月11日)と川崎市(2009年11月25日)の両都市計画審議会を傍聴してきた。
 11月9日に横浜市都計審があったばかりだが、これらの審議会に同じ生産緑地地区の議題が出ているので、 場所は違っても事情はかなり似ているはずだし、制度上の矛盾は同じなので、どう審議するのか比較したかったのである。

●傍聴は邪魔か

 川崎も藤沢も先ず会場に入ったときに困ったのは、傍聴席は椅子だけで机が無いことである。傍聴記録を書くのに、机無しではメモをとるのに困るのである。仕方ないので隣のあいている椅子を前において机代わりにした。
 会場の広さはそれなりに余裕があるし、藤沢では使っていない会議用の長いテーブルが少なくとも4基はあったので、そばの職員に目顔で使いたいと訴えたがNOであった。
 藤沢の会議資料の中に、本日のその他案件として「藤沢市都市計画審議会会議傍聴要領(案)について」がはいっている。その資料を読むと、「傍聴席は机と椅子を用意することが望ましい云々」と書いてあるのに、これはなにごとぞ。
 川崎では、報道記者用は5席ぐらい空いたままだし、工夫すれば4〜5席分は机のある傍聴席があってもよさそうなスペースはあるのだが、壁際にずらりと椅子が並んでいるだけである。
 ほかの都市の審議会の多くもそうだが、川崎も藤沢も傍聴者をお添え者か邪魔者扱いしている感がある。横浜市ではかつて傍聴にかよっていた私が机をくれと毎度訴えていたのだが、私が委員になった審議会から机つき傍聴席になった。
 藤沢では、入る前に渡された「会議の傍聴要領」(お代官様のお触れ書みたいな禁止事項が羅列してあるA4の紙1枚)には、「会議資料につきましては、会議終了後、退出時に回収させていただきます」と書いてあったのだが、実際にはもちかえりOKといってくれた。今回から変ったのだろうか、今後ともそうしてほしい。
 川崎では資料をくれたが、委員と資料が違うのは、こちらはモノクロ印刷であったことである。藤沢は委員と同じカラーであった。

●生産緑地の説明態度と委員の認識

 生産緑地地区の案件を都計審でどのように説明するのか、11月9日の横浜市都計審と比較しようと思って傍聴に行ったのだが、両市とも横浜市よりもはるかに丁寧であった。
 横浜市では概要説明だけで、30ヶ所以上あってもそれらについてほとんど説明しないし、地区ごとの図面さえない。藤沢市ではひとつひとつ地区ごとに都市計画図 が資料にあるし、説明用の画面にも映して、理由も説明していた。
 川崎は60箇所以上も出しているが、資料には全部の図面がつけてあったのでよく分かる。委員の質問もその図面によるものであった。ただし資料説明は横浜なみの雑駁さであった。
 これらの3都市を比較すると、横浜市があまりに雑駁過ぎることがわかった。
 新規指定分生産緑地地区についての説明はしても、廃止した地区がその後どうなったかは、何も説明が無い。
 指定の時には防災緑地や街区公園並みだから指定すると言いながら、廃止したらその機能はどうなるのだとは何も言わない。
 特に藤澤でも川崎でもそうに違いなはずだが、跡地がいわゆるミニ開発になっていることの問題指摘はなかったのは、わたしとは問題意識が違うのだろうか。
 また、この制度の関する都市計画手続きの無能さについて、誰も何も発言が無かったのは、それでもよいのだろうか、分かっているのだろうか。
 私は事前に現地を見てきて、これらについて横浜都計審で愚直に毎回毎回発言するのだ。
 川崎でも藤沢でも委員は誰も現地を見てないので、都市計画審議会の無能さと生産緑地跡地利用の問題が分かっていないのが真相であろう。
参照→都計審はいったい何を審議するのか

●委員の決め方は

 藤沢でも学識委員の欠席が多すぎる。委員は全部で20名、出席したのは15名、欠席は5名のうち4名は学識経験者委員である。出席した学識委員の一人 (大学教員)は、一言もしゃべることなく途中退席した。
 川崎では欠席者4名中、学識委員が3名であった。
 藤澤市と川崎市の都市計画審議会委員名簿を見て気がついたのだが、委員の属性による人数配分が川崎と藤沢はあまり違わないのだが、横浜市はすいぶん違うのである。
        横浜市   藤澤市   川崎市
 学識経験者  12    11     10
 市議会議員  10     2      4
 市民(公募)  2     5      3
 その他     2     2      3 
 計      26名   20名    20名
 大きな違いは、横浜の市議会議員委員が多すぎることである。また、公募委員はその逆であることだ。これをどう考えるか。
 市会議員が委員に入っていることは、都市計画が議会審議案件ではないので、その代替として都計審に議員が入ることはよいことと私は考えるが、入り方や人数が問題である。
 藤沢市や川崎市ではどのようにして議員枠の委員を選んでいるのか知らないが、横浜市の場合は名簿を見ると議長、副議長、各委員長であるから、宛て職で機械的に選んでいるらしい。
 川崎市の委員は名簿に所属政党が書いてあり、各政党から公平に出ているらしい。横浜市では、多数会派ばかりとなっているようだが、それでよいとは思えない。
 横浜の議員の委員の中には、発言する時にどこか議会の委員会のように、市当局に質問し要望するような言い方をなさる方がいる。都市計画審議会はそういうものではなかろうと、違和感を持って聞いている。なんだか市長が議案を出していて、それを与党議員が“異議なし要員”として可決する雰囲気もなくもないのである。
 川崎と藤沢では議員が少ないからか、そんな雰囲気はなかった。
 ただし、これはいつもなにか提案をしては否決されるこちらの僻目であることは、もちろん承知している。
 横浜市のように議員の数が多いと、審議会の日程が議会の日程で決まってしまうことにならざるを得ない。議員で半分近くを占めていれば、会長と議会の都合日程だけで審議会決めても、出席定足数は足りるということになる。
 だから忙しい学識経験者委員は後回しになるので欠席が多くなる、という言い訳が通じることになる。
 ましてや公募市民委員はどうでもよろしい、って、こともないのだろうが、どこかおかしいと感じるのである。

●委員報酬に見合うか
 ところで、わたしの審議会員としての報酬額は、1回につき税抜きで振込み額13800円である(税込み20000円)。
 11月の横浜都計審のように、合計して40地区もあるような議案の場所が登場すると、現地を必ず見て判断して審議会の臨む主義のわたしは、結構な日数とハードスケジュールとなった。 それでも全部は見切れなかった。
 そして見て来るための準備や、見てきたことを意見として発表するためにも映像編集も時間がかかっている。
 その交通費や人件費を都市計画コンサルタントフィーとして計算するといくらになるだろうか。
 そんなことやらなくても審議会はいいんだよ、誰も期待していないんだよって言われては困ってしまうが、逆に、そんなことしなくてどうして審議ができるのか聞いてみたい。
 東京のほうでは報酬が2000円のところもあるそうだが、それではその日の交通費ということであろう。事前に調べることなど全く期待していない証拠であるが、そんなことでよいのか。
 では、横浜市も2000円にしたらおまえはどうする、と聞かれたら、さて、、、もう現場に行くのはやめるかというと、そんなことはないのだ。
 これまでは報酬があるから、現場を見てきて言いたいことがあっても少しは遠慮していた(と、思う)のだが、そうなればもう遠慮はいらない、言いたいことをどんどん言うことにするだけだ。 ますます愚直に委員を務めるのだ。
 ところで、議員の委員にも審議会報酬が出ているのだろうか。 受け取っているとしたら、宛て職議員として出ているのだから、報酬の重複にならないのかしら。(091112、091126川崎関係を追記修正)
 ●参照→藤沢市都市計画審議会傍聴記録

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