シンポ「開発審査会・建築審査会のあり方を考える」
           伊達美徳

 ここでは都市計画審議会のことを書いているのだが、都市計画や建築に関連しては開発審査会と建築審査会がある。
 20010年1月11日午後、建築学会で「開発審査会・建築審査会のあり方を考える」というシンポジウムがあった。集まったのは60人くらい、都市・建築系の学者が一番おおく、ほかは弁護士、コンサルタント、まちづくり運動家などである。

1.シンポジウムのきっかけ
 シンポジウムを開くきっかけは、都市計画家の稲垣道子さんが、一昨年まで2年間、東京都の開発審査会の委員をしていたのだが、1期2年の任期で再任されなかったことから始まる。
 通常は関連として2期以上、4期までは委員を務めることになっている。これまでの例では、当人がやめると意思表示したときは1期だけだった人もある。ところが稲垣さんの場合は、当人の都合でもないのに1期だけでクビとは、いったいどういうわけか。
 そこで、稲垣さんは不再任の理由を、文書で都側に求めたのである。審査会の委員の任免の透明性は、都市計画の公正なる執行の基本にかかわることだからである。
 都からの回答は、任免権者の勝手でしょ、みたいなことを担当課長が電話で言ったきり、文書回答は来ない。
 そこで、稲垣さんを知る都市計画に携わる専門家らが、大勢の連名で不再任理由についての開示を求める文書を都知事宛に出した(わたしも加わった)。これもなしのつぶて。

2.奇妙な不再任の理由
 そこで、ある都議の紹介で、稲垣さんと文書に連名した世話人の大学教授と弁護士とで、副知事の猪瀬さんを訪問して事情を訴え、聞いた。
 猪瀬さんが事前に担当課長に不再任の理由を問うたところ、それは稲垣さんが審査会でいったん裁決したことを2回もくつがえしたからである、とのことだった。
 稲垣さんに言わせると確かに1回はあったが、2回もあった記憶はない。
 その1回は、ある開発行為に関する不服申し立てについて審査会は棄却裁決してから
裁決書の検討段階で、稲垣さんが適用するべき法の条項を誤っていること を発見した。その条件だと不服審査を認める必要があるので、再審査を求めたのであった。その指摘はそのとおりなので、臨時審査会が開かれた。結論は、それはそのとおりであるとしながらも、不服審査請求は棄却となったそうである。棄却反対は稲垣さん一人。
 一昨年から去年にかけてのこの経緯をもって、都市計画関係者が集まって話をしようということになったらしい。

3.委員の役割は
 さて、これがなぜ不再任の理由になるのか。法に基づいて適切に審査する委員を、どうして都は忌避するのか。都も他の委員も分からなかったことを指摘するのが、どうしていけないのか。わたしにはさっぱり分からない。稲垣さんはもちろん憤懣やるかたないだろう。
 審査会とか審議会とかいうものは、原案を提示する市長や知事側事務局が意図する方向に納まるべきものと考えているらしい。その意図に反して、質問やら意見やら異議やら言う委員は邪魔なのである。
 わたしがもうひとつわからないのは、その都の審査会の他の委員は、稲垣さんの不再任問題をどうとらえているのか、と言うことである。既に稲垣さんの後釜委員は決まって動いているのであるが、そのあたりは何も知らないのか、知っていてもほお被りなのか。都市計画の世界は狭いから、知らないことはあるまい。

4.専門家は無謬か
 シンポジウムの基本的なテーマは、審査会のあり方、特に委員に関してどうあるべきかということにあったのだが、話は学者は制度論に、活動家は現場論にと、マクロとミクロが入り乱れて、問題はいろいろ分かったが、まとまるものにはならなかった。3時間半ほどでまとまるものでもない。
 学会だから学者専門家が多いので、どうも学者専門家は誤謬の無い善なる者であるという前提があって話をしている様に聞こえたのは、一介の市民であるわたしのひがみ根性のせいだろうか。
 例えば、審査や審議に市民参加をさせることが重要と言う発言があったが、それはよいのだが、どこか専門家はよく知っているのだから市民を導きたいと聞こえて、高みから見ているようないい方が気になった。いわゆる専門馬鹿問題は根深いのだが、、。
 学者専門家は本当によく知っていて、役割をしっかり務めているのか、それなら都市計画コンサルタントである稲垣さんが指摘したような再議問題は起きないはずだ。

5.すぐできることからやれ
 今回の会議で、わたし個人として参考になったことは、発言者の中に、制度や基準にに合いさえすればよい、という行政あるいは審査会や審議会の態度への疑問を提起されたことであった。
 横浜市の都計審委員をやっていて、現行制度や基準に対する問題点をきちんと採り上げて、とりあえずでも解決策を探ることが必要であると、いつも思っている。
 例えば、生産緑地制度のような、都市計画を馬鹿にしている法制度は、法がそうだから仕方ないとはいわないで、運用でナントカしたらどうだ。生産緑地指定してもその都市計画が決まらないと農地並み土地評価額にしないと、自治体 がきめてはどうか。制度として必要なら、法改正を待たずに条例で決めればよいはずだ。
 あるいは意見書の対する決定権者の見解書が木で鼻をくくるような書き方であるのを改めるとか、そのほか、疑問点をのある事柄は、どんどん附帯決議としてつけて、審議会意見をアピールすることだってできるはずである。
 行政が事なかれ主義というばかりか、審議会や審査会が事なかれ主義におちいっているかもしれないと思う。(100112、100113一部修正)
 

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