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●まちもりコラム2003年10月号●その1

御食国若狭おばま食文化館Mermaid Plazaを見てきました

 若狭の小浜は美しい町である(参照:若狭ー能舞台の宝庫)。その小浜に、食べ物に関する面白い施設が開館したらしい。「御食国食文化館」という、地域産業振興プロジェクトで、企画段階から知っていたので、朝飯抜きで期待して見に行った。

 敦賀から小浜線で1時間、朝9時、小浜駅を降りると、
「さあ、シャトルバスが出ます。おはやくー、、」とせきたてられる。
 なにごとかときけば、若狭路博覧会をやっているから、その案内という。
「御食国文化館はどこですか?」と聞けば、
「さあ、それなに?」と聞き返される。
 え、観光案内係が知らないとはどういうことなんだろう。
「なんでも、お風呂があるとか聞いていますが、」
「それなら多分、ウミカイジョウです」
「ウミカイジョウってなんのこと?」
「とにかくそのシャトルバスに乗ってください、もうでますよ」
 せきたてられて、なんだか分らないけど乗れば、街を通り抜けてさびしい港の工場地帯に入る。
 え、こんなところにあるのか、へんだなあと思えば終点にて、降ろされる。ガラーンとした広場にぱらぱらと人が居て、暑い日差しのもとに手持ち無沙汰に立っている。
 むこうに大テントがいくつか張ってあり、ゲートをみて、やっと、これが若狭路博覧会の海会場だと分かった。

 で、肝心の「御食国文化館はどこですか?」と、入り口ガードウーマンに聞くと、「さあ?」
 おりよく案内ボランティアが通りかかり、またもや「御食国文化館はどこですか?」「さあ?」
 おいおいどうなっているんだよ。
 見回せば、博覧会場外のちょっと向こうに、「御食国食の工房」と広告塔が立っている建物がある。
 おおあれだなと訪ねると、これは海産物のみやげ物屋兼工場である。鯖を店先で焼いている。うまそうだ、ここで食べさせるという。
 それなら朝飯をと、味噌汁とご飯でいただく。これが予想に反して、まことに不味いのであった。
 どう見ても考えても、ここではなさそうだ。

 しかたない、せっかく来たのだから博覧会場をのぞいて帰ろうと入場すれば、なんだ、そこにあるではないか。「御食国若狭おばま食文化館Mermaid Plaza」と、とてつもなくながながしいネーミングになっている。
 会場案内図を見ると「マーメイドプラザ」と書いてある。これじゃあ、聞いても分からないはずである。でも、分からないこと自体が、どこかおかしい。
 建物はどう見てもどこか都会によくある公共施設みたいな、つまらないデザインである。なんの個性もない。

 中に入って見る。食をテーマなので、料理の盛られた郷土料理らしいお膳が、めったやたらに展示していある。これがみんなレプリカである。見た目は綺麗だけど、どうにも美味そうとは見えない。見本がこれだけ並ぶと、合羽橋のどこかみたいである。
 2階の工芸体験の場は、いかにも観光客のためにつくりましたという感じ。早く言えば、デパートの催場である。本物感がまったくないのである。本物らしきものさえも売っていない。
 それはこの立地条件からして、偽者らしさを備えている。小浜には誇るべき美しい立派な街並みの市街地があるのに、なんでまたこんな街外れの埋立地の殺風景な工場街にもってきてわざわざつくるのか、その考えが分からない。
 入口に、入場者10数万人突破、とか書いてあったけど、博覧会の一時的見世物小屋のひとつとしての記録をとっても仕方あるまい。
 ついでにテント見世物小屋をみる。二つばかり通り抜けて、こんなものわざわざここまできて見るのが馬鹿らしくなって、もう帰ろう。
 ゲートのところで「小浜駅に歩いていくにはどっちですか?」ときく。
「そこからシャトルバスが出ますからどうぞ」
「いや、歩いていくのです」
「えーっ?、だってバスが、、」 

 なんだか変な人って視線を背に、殺風景な工場街を通り抜けて、八幡神社から昔の色町のあたり、これぞ小浜の美しい伝統的街並みをまわって、やっと満足、口直しをしたのだった。
 駅に向かおうと商店街を通ると、空き店舗の臨時活用らしく、ところどころに「若狭路博覧会里会場」とにわかづくり看板がある。
 のぞきこむと、ちょっと展示もしていて休憩所になっているけど、誰も客が居ない。ボランティアガイドさんが、手持ち無沙汰につくねんとしている。
 聞けば、誰も居ないけど、このあたりも博覧会場なのだそうである。
 なんだ、それならあんな街外れじゃなくて、ここに見世物小屋を持ってくればいいじゃないか。テント張らなくても空き店舗はたくさんあるし、空き地駐車場だらけだから、いくらでも博覧会用地はある。
 そもそも「御食国若狭おばま食文化館Mermaid Plaza」(なんとながたらしい)を、ここの街なかにおけばよいである。もっとも、あのデザインのままもってこられては困る。
 体験工房は、あちこちの伝統町屋でやればよい。街並み観光の核にもなるし、空洞化した商店街の活性化にもなる。同じ魚でも、あんな工場の食堂で食うより、町屋の中の座敷で、本物の箱膳に盛り付けて郷土料理として食べたなら、どんなに美味かろう。

 博覧会が終わったら、あんな寒々しいところに、あんなつくりものを誰が見に行くものか。
 どういうものか福井県人は、県立ハーモニーホールとか中央図書館とか、人々が集まる公共施設類を、人々の居ない町外れの辺鄙なところに建てるのが好きなのである(参照:福井と横浜)。

注)「御食国」とは、「みけつくに」と読み、若狭が古代に天皇の食料「御食」(みけ)を納めた国であったことに由来するそうだ。       (031003)
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