水上温泉(群馬)

「私たちは、仲の良い兄妹のように、旅に出た。水上温泉。」

「姥捨」文学碑

池水は濁りに にごり藤波の 影もうつらず 雨降りしきる 録左千夫歌 太宰治

太宰治「姥捨」の宿
昭和二十三年六月十三日夜半、作家太宰治は日頃より 敬愛する歌人伊藤左千夫の歌”池水は濁りににごり藤波の 影もうつらず 雨降りしきる”と色紙 に書いて親友伊馬春部に遺し三鷹下連雀の玉川上水に入水して世を去った。 おそらくこの歌が死をまえにした太宰治の心情にまさに ぴったりであったからだろう。太宰治の代表作でもある 「人間失格」は、昭和十一年八月、谷川温泉に滞在して 月末に下山したあと、麻薬中毒を理由に精神病院に監禁 された事件を題材にした作品である。この時の滞在先は 当時の書簡に「群馬県水上村谷川温泉川久保方」を記載 してあるので、同村大字谷川五二二番地の川久保屋がこ れに該当するが、この建物をのちに増改築したのが谷川 本館(旅館たにがわ)であり、現在の駐車場がその跡地 にあたる。「人間失格」事件の因となった「創生記」は 谷川温泉で執筆した問題作、名作「姥捨」は川久保屋の 老夫婦と水上温泉郷を舞台とした作品である。
昭和六十三年六月佳日長篠康一郎

川久保屋跡地

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