巫女さん座談会 「日本代表になりた〜い!」の巻
 
●●●登場人物●●●

ウズメさん
巫女さん(21) 
年長者で国粋主義者 
主な口寄せキャラはトキワ荘の人々
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サグメちゃん
巫女さん(18) 
ケミカルなナゴムギャル 
主な口寄せキャラは蒙古人チョイバルサン
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シコメちゃん
巫女さん(14) 
PTSDの幽霊族
主な口寄せキャラは低級動物霊
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〔すべての作画:うそつきさん〕






「こんにチワワー(茶魔語)! ……あれ、二人ともまだ来てないんだ。どしたのかなあ」


「おっす、シコメ来てたのか」


「シコメちゃんこんにちは!」


「あっ、二人ともドコ行ってたのお! 社務所カラにしちゃダメだよおー!」


「いやそれがさ、駅前の中華料理屋までちょっと」


「あっ、『松葉』に行ったの? なにそれー、二人だけでおいしいもの食べてきたのー!? ずるーい、ずるーい! このズールー民族!」


「ちがうよ、さっき松葉から電話がかかってきてさ。『やっとこを持ったへんな巫女が店の前に立っているせいでお客さんが入ってこない』ってんで、行ってみたら案の定ウズメ姐さんでやんの」


「つーん」



「あー、まだ怒ってたんだ、こないだのサッカーアジアカップ決勝戦のこと」


「当たり前田のろくでなしブルースよ! あんなところにまでお粗末なスリコミ反日感情を持ち込まれちゃ、国粋主義っ娘として黙っていられないわ!」


「だからって松葉の前でヤットコ持って仁王立ちすることないじゃない。そのへんの行動がきちんと連結してないよ!」


「連結してるもん! もうあたし、中華料理は点心とあんまん以外絶対口にしない! 中国に対する抗議のハンストよ!」


「そういうのはハンストとは言わないけど、まあいいんじゃない。それで気が済むなら。とりあえず世間体があるから松葉の前でヤットコはやめようね」


「あっ、待って、しょうゆラーメンとみそラーメンもハンストから除外するね。だってしょうゆとかみそとかって、それってむしろ日本食のはんちゅうだと思わない?」


「わかったわかった。ラーメンもハンストから除外しなよ」


「そうだわ! ねえ、フカヒレのスープは一回だけ食べていい? あたしフカヒレって食べたことないから、一回だけ食べてみたいんだけどな」


「なんでアタシに聞くのよ。自分で考えて勝手にやってちょうだいよ」


「それはダメよ。だってこういうことはキチンと言っておかないと、たとえばあたしがこころの中で杏仁豆腐をハンスト除外品に定めていたとして、それで杏仁豆腐を食べたとして、杏仁豆腐がハンストセーフガード除外品目であることをまわりのみんなが知らなかったら、あたしって意志の弱い女みたいな目で見られちゃうわけじゃない。いつまでたってもダイエットが成功しない女、みたいな。自己管理のできない女、みたいな」


「うるさいなあ。わかった、わかりましたよ。えーと、点心とあんまんとみそラーメンとしょうゆラーメンとフカヒレはハンストメニューから除外ね」


「杏仁豆腐も!」


「肉まんは?」


「肉まんも食べるわ。ちなみにピザまんはイタリア料理だから元からセーフよね」


「もう。あとで一覧表にまとめてアタシの机に置いといて」


「とにかく! 中国はゆるせない、っていう話なのよ! あんなアンモラルかつインモラルな国で次回のオリンピックが開催されるのかと思うと心配で心配で、松葉でくすねた月餅も喉を通らないわ……こほこほ、サグメちゃんお茶ちょうだい」


「それは単にむせてるだけでしょう。というか月餅も適用外なのね。いったい何を食わないつもりなんだ」


「次こそは完膚なきまでに中国をたたきのめしましょう!」


「おー!」


「ま、次は4年後だから、今からさわいだってどうしようもないけどね」



「なに言ってるのサグメちゃん? 次っていったらあと一週間後じゃない!」


「え、来週って? なに言ってんの? アテネオリンピックが終わったばかりじゃないのよ!」


「そうよ。そして今かの地で開催されているのがパラリンピック。いわゆる健全な精神を健全でない肉体に宿して頑張る人たちの祭典ね」


「まあ、そうだね。語弊があるような気もするけど」


「そのパラリンピックが終わると次に始まるのが、『健全でない精神を健全な肉体に宿してしまって持て余している人たちのオリンピック』、通称ミコリンピックなのよ!」


「ええーっ! ミコリンピック!?」


「そしてそのアテネミコリンピック日本代表はサグメちゃん、アナタなのよ!」


「ええーっ!? ええーっ?」


「わー! ぱちぱちぱち」


「ちょっと待ってよ! いつのまにそんなことになっちゃってんの!?」


「いや、三人ぶんの書類を出したんだけど、書類審査であたしとシコメちゃんは落選しちゃったの」


「えー、そうなんだー、ざんねんー!」


「なんかホラ、こういうのって芸能人が芸能界に入るエピソードとかでよくあるじゃない。友だちに誘われて応募したらあたしだけ受かっちゃってー、みたいな」


「ウソだ! ぜったいアタシの分の書類しか出してないよこの人!」


「だってあたしも色々忙しいし、お休みの日はアロマテラピーとかしてくつろいでいたいし」


「あっさり認めてるし!」


「それにこういう話をしたら、きっと平和の祭典ずきなサグメちゃんのこと(ヒッピーだけに)、きっとこういうポーズを取りながら『日本代表になりた〜い!』とか叫びだすと思ったの」


「人の心情とかポーズとか勝手に類推しないで! なんかものすごくめいわくです!」


「サグメよ、これからがほんとうの正念場だぞ」


「わ……誰?」


「がんばれ、力のかぎり。おまえには、こ……この……」


「……?」


「角刈りの星一徹がついているぞ〜〜っ!」


「そのくだらないギャグ……もしやキン肉大王が憑依しているのねっ! ジャンプコミックスでいうと3巻75ページの場面だわ!」


「わかるか! もういやだこんな展開!」


「たえるんじゃサグメ。お前にはこの…」


「また角刈りの星一徹かよ……」


「この二枚刈りの一徹がついているぞ! ドギャーン!」


(もうこれは何を言ってもムダだ……)


「サグメよ。たえてたえて……そして花をひらかせようじゃないか…!?」


「ほら、早く」


「……え? なに?」


「ここで『鼻がひらいた』と言って、鼻をくす玉みたいに開いて、そしてそこから紙吹雪と「おめでとう」の垂れ幕を出さなきゃ面白くないじゃない」


「できるか!」


「えー、なにそれー、つまんないのうー」


「こんなんで優勝できるのかしら、不安だわー」


「しないよ! というかまず前提として出ないよ!」


「スグルのいつものおくびょう癖が始まったようじゃ」


「スグルのことは放っておいて、さっそく決勝トーナメントの対戦カードを見てみましょう! それもジャンプコミックス3巻『Bブロックの秘密の巻』風に!」


「おわーっ、それは気になる! 楽しみじゃのう!」


「だれがスグルか! おわーとか言うな!」


「Aブロック第一試合、ロシア代表ミコルスキー対イギリス代表コナンマスク」


「かたやミコルスキーはシベリアの山奥出身だけあって地球さえ憑依させるパワーの持ち主」


「コナンマスクは幻視あり自動書記あり妖精召喚ありのオールラウンド覆面巫女だ」


「こりゃすごい一戦だ。よだれが出そうですねえ」


「たらしとるたらしとる」


「Aブロック第二試合、アメリカ代表ティトゥバマン対ポルトガル代表ミス・ファティマ」


「かたやミス・ファティマは聖母マリアとマブだ!」


「“セイラームの魔女”の異名をとるティトゥバマンはすごい使い魔の持ち主だ」


「ティトゥバマン対ファティマはすごいカードだ。ハナ血が出そうだ」


「もうでとるでとる」


「Bブロック第三試合、中国代表拉麺娘々対ドイツ代表ルーディ・シュナイダー」


「わかっているのはサイコップが恐れて戦おうともしなかったということ」


「この二人についてはナゾだ。わからん」


「拉麺娘々対シュナイダーは不気味だな。小便をもらしそうだ」


「もらしとるもらしとる」


「Bブロック第四試合、日本代表出口サグメ対インド代表ミコクック」


「今さらいうまでもなくツッコミしか出来ないダメ巫女のサグメ」


「ミコクックも拉麺娘々同様ナゾでなにもわからん。ナゾだ!」


「まったく無意味なカードだ。鼻で笑ってやれい。フォハヒホホホ」


「えーっ、なにこの扱い! というか試合ったって、巫女どうしどうやって戦うのよ!?」
「どうやってって……そんなの、プロレスに決まっているじゃない?」
「ねえ?」

「なんで! アタシが! インドの巫女と! プロレスで! はあ、はあ、ごほっ、戦わなきゃならないのよー!」


「落ち着いて、こうふんしすぎて睡眠時無呼吸症候群みたいになってるよ」

「ことばの意味はわからんが、とにかくすごい自信だでよー」

「意味わかれよ! 妥当なツッコミだよ! つーか自信とかどっから読み取ったんだよ!」
「あそーれ、巫女さんひとすじさんびゃっくねーん!」
「(朝が)はやいの (氏子のセクハラが)うざいの (給料が)やっすーいのー!」

「ギュウ! モーたまらん!」





 なんかオチ最悪。