「ちょっと二人とも、いくら夏休みだからってたまには巫女さんポストくらいチェックしたらどうなのよ」


「え、なにそれ? 巫女さんポスト? なにそれなにそれ? サグメちゃん、そんなヘンなことやってるの?」


「巫女さんポストお〜? なにそれ超あやしい〜。頭おかしいっぽ〜い」


「ちょ、おま……お前らが始めたんだろー! “妖怪ポストに対抗する”とかいって! そんなものに不用意にライバル意識燃やすなよッ。しかも世の中バカばっかりみたいで、依頼の手紙がこんなに届いちゃってるよ!」


「うーん、よく覚えてないけど、そういわれればそんなポストを設置したことがあったかも。どれどれ。依頼者は四国山中と山陰ね……」


「小笠原からもきてるよー」


「あ、行くんなら小笠原がいいな。夏のバカンスは小笠原に限るよ」


「こ、この依頼は……こうしちゃいられないわ。二人とも、今すぐ仕度して。小笠原諸島に向かうわよ!」


「い、今すぐ!?」







真夏の巫女さん座談会  血戦小笠原!





 
●●●登場人物●●●

ウズメさん
巫女さん(21) 
年長者で国粋主義者 
主な口寄せキャラはトキワ荘の人々
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サグメちゃん
巫女さん(18) 
ケミカルなナゴムギャル 
主な口寄せキャラは蒙古人チョイバルサン
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シコメちゃん
巫女さん(14) 
PTSDの幽霊族
主な口寄せキャラは低級動物霊
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〔すべての作画:うそつきさん〕






「ということでアタシたちは夏休みを利用して小笠原にやって来ました。ここぞとばかりにバカンス満喫しちゃうぜーい!」


「うわはーい、シコメは早く泳ぎたいよーん」


「もうー、まったくもって二人ともあわてんぼさんねー」


「いやー、いくら遠いっつったって船でまる一日もかかるなんて思ってなかったよ」


「おがさわら丸、超おそかったねー」


「とりあえず宿で落ち着きたいよね。で、どんなトコロ予約してあんの?」


「え? 泊まるとこなんて決めてないけど」


「え?」


「小笠原が目的地だなんて、誰が言ったの?」


「またへんなこと言ってるよ、この巫女は。アタシたち小笠原に遊びに来たんじゃないの?」


「こらっ、バカンス気分もたいがいになさい!」


「姐さんだって麦わら帽子とかかぶって超バカンス気分じゃん! そもそも巫女装束+麦わら帽子+サングラス+ビーサンとかって、トータルコーディネートという単語に自我と四肢があったらぜったい姐さんの頸部を絞めてるところだよ!」


「まあまあ落ち着いて。あたしたちはここから更に船に乗り、愛国主義者の天竺的存在、沖ノ鳥島を目指します! 今回の旅行は単なるバカンスではなく、そこに日の丸国旗を打ち立てるという重大な使命が……」


「やっ、やめて! やめてそれだけは! バカンスを利用して新たな国際的緊張を生み出すのだけはやめて! 」


「緊張の夏、日本の夏! なんちゃって!」


「たいしてうまくないから!」


「あー、ここよここ、ここの貸し船屋さん。ここのお店の人が巫女さんポストに手紙を寄こしたの。沖ノ鳥島までタダで船を出してくれるって言うのよ」


「『貸し船・THE-SHOW』って、どんな屋号だよ。あやしいよ」


「あっ、ウズメさんですね」


「あっ、お手紙をくれた『貸し船・ザショウ』のオーナー、船幽霊さんですね! はじめまして!」


「いやだから、あやしがれよ」



「まさか本当にこんなとこまで来るとは。すげえな。いや、もとい、来てくれてありがとうございます。沖ノ鳥島クルーズの準備は整っています。ほら、小船と、櫂と、万一浸水したときのためのヒシャクです。念のため、ヒシャクの底は抜いてあります」


「まあ、いたせりつくせり!」


「だから怪しい! 全方位的に怪しいっつーの!」


「もう、さっきからなんなのサグメちゃんは! 人の好意にいちいちなんくせをつけて! ばかなんじゃないかしら? きっとばかなんだわ」


「もういい、付き合ってらんないよ! シコメ、どこか泊まれる場所探そう、こんな船で沖ノ鳥島になんかぜってー行けないから……って、あれ? シコメ?」


「シコメちゃん? ……どこに行っちゃったのかしら?」


「きっとシコメもイヤで逃げたんだよ。アタシだって沖ノ鳥島なんて願い下げだかんね。絶対乗らないよ」


「くすん、ケチー。神国の威信がかかってるのにー」


「え、乗らないの? そりゃそうだよな。沈むもんな」


「お前もわかってやってんのかよ」


「……はっ! あたしの“巫女さんアンテナ”にぴぴーんと反応がッ! みてみて!」


「えっ? えっ? えーっ! なにその能力!?」


「何って……だから“巫女さんアンテナ”でしょ?」


「その、世間一般の巫女さんにデフォルトで備わっている能力のような名称と物言いはやめて! そんなのあなただけだから!」
「えっ。あれっ。そうなの?」


「そうだよ! っつーかそれ、何に反応してんの?」


「気をつけて! 近くに左翼か三国人か非国民がいるわよっ」


「なんでそんなものに反応するようチューニングしてあんのよう!? ……っつーか、それってたぶん、ここにいる妖怪に対して反応しているんだと思いますけど」


「えー、妖怪なんていないわよー。いるわけないじゃなーい」

「いるわけないですよー」


「いくら開放的な夏休みとはいえ、そこまでデンパを開放しちゃうなんて……かわいそう……」


「だーかーらー、こいつ! こいつ妖怪だってば」


「ははははは」


「……誰っ!?」


「ははははは」


「シコメちゃん!? ……ちがうわ、なにかにとり憑かれているみたい!」


「この肉体が……完璧になじむには、やはり真性右翼の血が一番しっくりいくと思わんか?  ウズメ、おまえは血を吸って殺すと予告しようッ」


「きゅ、吸血鬼イィィ!! ヒイィィィ!」

なんかもうよくわかんないけどつづく