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誰も書かなかった悪魔組織(フリーメーソン)の犯罪 「九州ヤクザ戦争」「マフィア」「襲撃 伊丹十三監督傷害事件」など これは「マインドリーディング」「遠隔透視」「テレパシー」などを
考える上で、興味深い具体的事例。 この部分を転載する。 |
| メーソン同士の秘密の合図 そんなある日のこと、外出して丸の内線新宿駅ホームにいたら、身長160センチくら いの上下黒スーツ、アゴと口元にヒゲを生やしたひと目でユダヤ人とわかる40代の男が そばにきた。ちょうどその時私は、フランスから送られてきた四冊目のフリーメーソンの 本を読んでいた。そのA5版の洋書には、イニシエーション(入門儀式)に使うシンボル、 各ロッジの集会風景、会員が衣装を着た絵、テンプルの内側図、ガイ骨のカットやイラス トなどが多数入っていた。 表紙にカバーをかけていたのは別に深い意味はなく、隣席に座った人などから一瞬でも 好奇の目でのぞかれるのが嫌だったからだ。本を立てて隠すようにして読んでいたので、 刺激的なカット、図版がなければ問題がない。だがこの男から一種のパラノルマルな電波 のようなものを受け、文章が頭に入らなくなった。その男の顔を見てはいけないという声 がしたので人影に隠れるようにして、一段と本を立てて顔を埋めた。彼が二、三回、私を 見た気配がし、距離が縮まった。 ついに彼と私は一人の中年男を間にして並んだ。どうかその中年男がずっとそばにいて くれるように、イラストや図版がめくれて現れないようにと願ったが、彼が間に立ってい る男の腕の間からのぞき込むようにした時、ハンマーとコテ、コンパスと定規を組合せた カットのぺージが出てしまった。 地味で目立たず物腰は柔和で、何も危険な感じでないのに、突然、ある種の昆虫が近づ いてきたような気分になった。服装は決して上等ではないが、知性や感性が一級なことは 顔に表れている。圧迫感を覚えたのは、私自身がいわゆる涜神的な本をこっそり読んでい たひけ目のせいもあったろう。 電車が来て乗客が乗り込み押されて中に入ると、男の姿は消えた。その時本をカバンの 中に入れ別の雑誌を読むことはできた。ぺージを閉じ小脇に抱え、目を閉じて立っていて もよかった。だがなぜかできなかった。吊り革につかまりたがら再び読み始めると、視界 から消えていた男がいつの間にか左側に寄り添うように立っていた。 やはり来たか。そう思うと車内の暑すぎる暖房のせいだけでなく、私の顔は火照ってき た。黒ずくめの小柄な人は両手を前に突き出すと、右手の親指、人指し指をこすったり動 かし始めた。メーソン特有の合図だ。相手は私を同志と見たと私は思った。いや、違う。 同志かどうか確認するためサインを送っている。活字が目に入らなくなった。 私は頭脳をフル回転させた。 フランス・ロッジから日本の支部に連絡があり、彼らはマンテ神父の身辺調査を始めた。 すでに半世紀日本にいる神父は在日バチカン大使やイエズス会、パウロ会などの幹部とも 親しく、サレジオ会の有力神父だ。そこでフランス側はイスラエルの秘密機関、在日モサ ド本部に調査を依頼したのじゃなかろうか。 私はモサド関係の本を読みあさっている。モサドはコンクリートの厚さ一メートル以上 の壁に囲まれた部屋での会話を、100メートル先から盗聴できる機械を20年以上前か ら開発している。米粒大の録音機もある。だからマンテ神父と私の、古いモルタル壁の修 道院の応接間での会話など、やすやすと聞けた。彼らの力をもってすれば、修道院から徒 歩10分にあるわが家の建売住宅など口笛を吹きながら見つけ、私の思想傾向を調べられ る。もっともそんなことをする暇なエージェントがいたらの話だが。 地下鉄は冷房の時は神経痛が起こりそうになるくらい冷やし、暖房の時は脇の下や額か ら汗が吹き出すまで暑くする。嫌がらせかサディズムでやっているのか。それとも調節装 置が悪いか職員の鈍感のせいか。毎回腹を立て無神経さを呪っているが、その時は額だけ でなく頬からも汗が流れアゴから雫が落ちだした。私は妄想の渦に巻き込まれていった。 出版杜の湯島社長がパソコンで、フリーメーソン会員らと通信し合っている。そのうちに 湯島は洗脳され日本ロッジの思うままに動き、私の行動日程を通報したのでこの男が出現 したと私は確信した。 電車は二つくらい駅を通過したが、どの駅を通ったのかわからない。車内は混みだして いたが、私と彼の間にOLと老人が挟まった。だが彼はカニ歩きして距離を縮めようとし ている。そのぎこちない動きも衝撃的だった。 電車が揺れ、彼の上半身が吊り皮ごと前に倒れた。その隙を狙い私は素早く観察した。 禿げだした額の一部と薄そうな肩、貧血気味で青白い頬が見えた。昔から私は小心で臆病、 不器用な人が好きで、生活力がなく社会の片隅でひっそり生きている無口な男に、自分の 分身を見ている思いがしてメロメロになる。彼がまさにそれだ。ユダヤシンパの私は人種 を超えた一体感を覚えた。 彼は貧相な撫で肩を反らせると、再び右人さし指を突き出し首を曲げたりグーチョキパ ーを始めた。すぐ止めると、ちらちらと私の反応を窺った。絶対に暗号だ。私はとっさに 過去に読んだ本の一部を見い出した。 イギリスの裁判所で被告人がある動作をすると、裁判長の顔に驚きの色が浮かんだこと がある。間を置いて裁判長が素早くサインを送った。二人はメーソン同士とわかり、判決 は異常なほど軽かった。被告人がどのようにして判事を同志と見破ったのかわからないが、 その時被告人がやったのが今のと同じ首振りとグーチョキパーだ。やり方が文章化されて いたのに読み飛ばしていたのを後悔した。最も単純なサインでも覚えておけばよかったと 思っても、間に合いやしない。 「私は酒の力を借りないと何一つ自己主張できない男です。もう会員でないことがわかっ たのだから勘弁してください」と心の中で咳いているうち、どんどん駅を通過して、下車 駅の霞が関が接近している。なんなら彼が話しかけてくるまで乗り過ごすことにしようか と思った時、彼はジンマシンで体がかゆいのかもしれず、下手に反応したら赤恥をかくと 気づいた。だがジンマシンであるわけがなく、サインは複雑で意図的すぎた。 マンテ神父と私の会話を、イスラエル秘密機関のモサドかメーソンに盗聴されたとか、 湯島社長のはしゃぎ過ぎから私が浮かび上がり尾行されたというのは滑稽だ。 彼はエージェントという柄でない。ただメーソンの本を読んでいる私を見て驚いただけだ。東京に 1000万人住んでいても、JRや地下鉄でそんな本を読んでいる人間はまずいないから、 同志を見つけたと喜んだだけだ。せめて名刺を交換し次回に会う約束を取りつけたかった が、私にはそんな勇気はなかった。 電車は霞が関に着いた。その日私は東京地方裁判所で行われる連続殺人事件の傍聴をす る予定だった。被告人は二一歳の時一審で死刑判決を受け、二七歳の今控訴審が進行中だ。 冤罪の可能性があり私は取材を続けねばならず、遅刻はできなかった。私は本を閉じて右 側のドアに向かった。男は反対の左側から下車する人たちに飲み込まれ一瞬姿が消えた。 私が裁判所へ通じる階段を昇る時、左側の降車口から降りて来た人たちと合流する形とな ったが、その中に彼がいた。だいぶ髪の薄くなった頭と、脅えたような両眼が見えた。 黒い上着の下にだいぶ古びた灰色のセーターを着て靴を引きずり、膝をガクガクさせな がら接近してきた。彼は話しかけるためにわざと下車し、私もそれを待っていたのに、敵 を迎えるような固い姿勢になっていた。知っている限りの外国語の単語を並べ、礼儀正し く「メーソンには大変興味がありますが、せっかくながら入る意思はありません」と答え ようと決心したが、その必要はなかった。彼はふと視線をそらすと去って行ってしまった。 |
誰も書かなかった悪魔組織(フリーメーソン)の犯罪
安田雅企 著 第一企画出版 P166〜172
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