ボブ・グリーン ファイル
今、ボブ・グリーンというコラムニストは、どのくらい知られているのだろうか? あまり書店には置いてなくなってきたかもしれないけれど、少しはあるはずだ。ぜひ、何か一冊を読んで欲しい。
ボブ・グリーン 全作品
(コラム)
『アメリカン・タイム』 菊谷匡祐訳 集英社 1988年 1291円
『アメリカン・ドリーム』 菊谷匡祐訳 集英社 1989年 1301円
『アメリカン・ヒーロー』 菊谷匡祐訳 集英社 1990年 1262円
『アメリカン・スタイル』 菊谷匡祐訳 集英社 1991年 1262円
『晩秋のシカゴ ミシガン大通りから』 菊谷匡祐訳 集英社 1992年 1456円
『チーズバーガーズ』 井上一馬訳 文藝春秋 1986年 1359円
『チーズバーガーズ2』 井上一馬訳 文藝春秋 1990年 1456円
『チーズバーガーズ3 ボブ・グリーン七十歳になる』 井上一馬訳 文藝春秋 1992年 1456円
『チーズバーガーズ2 書きつづける理由』 井上一馬訳 文藝春秋 1993年 1650円
『アメリカン・ビート』 井上一馬訳 河出書房新社 1985年 1602円
『アメリカン・ビート2』 井上一馬訳 河出書房新社 1986年 1301円
『アメリカン・スナップショット −22歳の視線』 井上一馬訳 河出書房新社 1989年 1262円
『ボブ・グリーン 街角の詩』 香山千加子訳 NTT出版 1989年 1340円
『シボレー・サマー』 桜内篤子訳 TBSブリタニカ 1999年 1600円
(エッセイ)
『ボブ・グリーンの父親日記』 西野薫訳 中央公論社 1987年 1505円
『十七歳 1964春』 井上一馬訳 文藝春秋 1988年 1301円
『十七歳 1964秋』 井上一馬訳 文藝春秋 1988年 1301円
(小説)
『オール・サマー・ロング上 夏を追いかけて』 井上一馬訳 新潮社 1996年 2233円
『オール・サマー・ロング下 夏がいっぱい』 井上一馬訳 新潮社 1996年 2233円
(ノンフィクション)
『マイケル・ジョーダン物語』 菊谷匡祐訳 集英社 1993年 1942円
『マイケル・ジョーダン リバウンド』 土屋晃訳 文藝春秋 1997年 1893円
(手紙集)
『ホームカミング』 井上一馬訳 文藝春秋 1991年 1,942円
※注意 仮にジャンル分けしたのですが、あくまでも仮です。文庫になっている本もいくつかあるのですが、ハードカバーのみをここで取り上げました(実は文庫は持ってないもんで)。「年」は刊行年、金額は本体価格です。
ボブ・グリーンについて書こうとしても何も浮かんでこない。別に語ることはないのだ。読めば、それだけでいい。それ以上何が必要なのだろうか。
こうやって、日本で発行されている彼の本を並べてみるとなんだか面白い。80年代から90年代へと、本の値段が少しずつ上がっているようだ。
僕がボブ・グリーンという名前を最初に知ったのは『週刊プレイボーイ』だった。かつて、この雑誌にボブ・グリーンのコラムが連載されていたのである。それにしても、この『週刊プレイボーイ』は凄い雑誌だ!! 昔の青少年男性向け週刊誌って、ただエッチなだけでなく、すごい中身があたったと思うのだけどね。今もこの雑誌は続いているか。
ボブ・グリーンのコラムを読んでいると、「アメリカで書かれているものなの?」と何だか疑問を持ってしまう。一見、日本のご近所の話みたいな感じなのだ。日常というものは、日本もアメリカも、実は変わりの無いものなのかもしれない。
仕事や家庭の、生活の中のほんのさやかな事が、彼のコラムの中にはいっぱいつまっている。朝ご飯を食べたり、「おはよう!」と挨拶をするように、ボブ・グリーンのコラムを読む、そんな感じがとても似合っている。ちょっと、元気のないときには、ちょっとだけ元気にさせてくれる。このさりげなさがボブ・グリーンの魅力ではないだろうか。
それにしても……、90年代になってから出版されたコラムは一冊だけだ。
ボブ・グリーンはコラムを書いているのだろうか。日本ではもう彼のコラムは必要とされていないのだろうか。
ボブ・グリーンはコラムと呼ばれるものだけでなく、いくつか他の本も書いている。
『ボブ・グリーンの父親日記』というのは、その名の通り「日記」で自分の子供が出来てからの1年間がこと細かに書かれている。現代では、ビデオカメラで子供の一部始終を撮るというのが流行りみたいだけど、文字のチカラというのは大きいのではないだろうか。
『十七歳 1964春』『十七歳 1964秋』もその名の通り、17歳のときの日記。でも、この日記に関しては、日本とアメリカの違いというのを思いっきり感じさせられてしまう。日本の17歳って、つまらないと思うのは僕だけだろうか……。
僕がボブ・グリーンの本の中で一冊を選ぶとするなら『ホームカミング』だろう。
この本はコラムではない。ボブ・グリーンの文章もほとんどない。手紙を集め、ボブ・グリーンのセンスにより、並べたものである(これを編集というのだとうけど)。それでも、この本はボブ・グリーンらしい。ボブ・グリーンのセンスに溢れている。
「帰還兵たちはほんとうに唾を吐きかけられたのか?」 これがこの本のテーマである。YESの手紙と、NOの手紙と。兵士の手紙と、迎えた市民の手紙と。
そんな手紙のひとつひとつが、ボブ・グリーンの視線とだぶって見えてくるように思える。恥ずかしながら、この本を読み終えてしばらく涙が止まらなかった。
今、ボブ・グリーンの本はあまり見かけなくなってきた。このまま埋もれてしまうのだろうか。『ホームカミング』は埋もれてしまってはいけない本だ。もちろん、多くのコラムも。
(2000.7.17)
DOLPHIN
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