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読書日記2000年9月
シドニーオリンピックを見てしまって編
2000年9月某日
この月に読んだ本は何度数えてみても5冊しかなかった。もう1冊くらい読んでいないだろうかと思うのだが、増えてもあと1冊くらいなもんである。こんな冊数で「読書日記」なんて書いてもいいのだろうか。この日記を毎月書いていくとするならば、月に1冊なんてこともあるかもしれない。
こんな僕も全盛期は月に20冊くらいは読んだりしていたんだよね。
2000年9月某日
なぜだか、“おにいちゃん”花田勝の『独白 ストロング・スピリット』(文藝春秋)を読む。たまにこういうスポーツ・芸能関係の人の本も読んだりするけど、けっこう楽しく読めた。いろいろとスポーツ新聞に書かれたりする人だけに辛いことはいっぱいあるみたいだった。話題となった事件の裏側などが書かれているのだけど、それよりも若い新弟子だったころの話がよかった。弟の貴乃花と一緒に、夜遅く、朝早くに稽古をしている場面というのについつい読みいってしまった。
ちらりちらりと外のスポーツ、趣味についても書かれている。この人はF1などのモータースポーツが好きで、僕も鈴鹿だったかのピットに応援に来ていたのを見たことがあった。そういうこともあってか、花田勝という人の相撲感というのがこの本を読んでこれまでとはちょっと違った感じに見えてきた。相撲というものは日本の伝統的な文化ではあるけれど、それと同時にスポーツとしての位置付けといっていいのかな。
相撲だけでなく、家庭のこともしっかりと書かれている。ちなみに、花田一家は親子全員がB型なのだそうだ(笑)。同じB型として、なんだか面白く読めた。
2000年9月某日
実は8月からだらだらだらだらと時間をかけてこの本を読んでいた。大沢在昌の『新宿鮫風化水脈』(毎日新聞社)である。だらだら、というのはもちろんちょっと違っている。ひとつひとつの文章を噛み締めながら読んでいたのだ。
この新宿鮫シリーズは好きでずっと読んでいる。
そして、ようやく出た新刊で僕の好きなキャラクターがこうやって今も動き回っているというのが、とても嬉しい。このシリーズの最初の頃の感動とは違ったものだ。人は歳をとり、体力が衰えてくるように、この鮫島を読んでいても、なんだか弱くなっているような気がしてならない。ひねくれた見方をするならば、このシリーズがマンネリとなっているのかも。しかし、僕にはそうでなく読めるんだよな。ちょっと弱くなった鮫島がいい感じなのだ。このシリーズは、世間の評判がどんなに悪くなっても僕は応援していきたいような気持になっている。ボロボロになったらなったで、ボロボロの鮫島という男の姿を見てみたい。
この『新宿鮫風化水脈』というのは、鮫島だけでなく、他の登場人物には十分に作者の愛情がそそがれているように感じる。特にヤクザなんかのボロボロさというのは、何かとても象徴的である。すごく、いい感じなのだ。
そして、この物語のもうひとつの主役というのは「新宿」という街である。これまでの新宿鮫シリーズは、この街の多国籍性のような部分がクローズアップされていたように思う。この『風化水脈』では、この街の歴史というものが語られている。戦後、急激に発展してきたこの街と、ずっと見守ってきた一人の男。登場人物と、この新宿という街が微妙に絡み合い、まさに風のように水のように、時間が過ぎていくような感じなのである。
とてもいい。たぶん、シリーズの中で一番好きな作品になるのかもしれない。
2000年9月某日
オリンピック、オリンピックの毎日。NHKのオリンピックの番組を見て寝ようとして、テレビを消そうとしたら、なんと吃驚! 突然に『アリーmyラブ』の再放送が始まった。実は僕はこのシリーズのファンで第1回の放送から見ているのであった。10月から第3シリーズが始まるらしい。その関係での再放送なのだろう。ひと晩に2話づつ放送されていく。ついつい見てしまったり、ビデオに撮ったり。再放送を見たいとずっと待っていたのだ。
しかし、よりによってなんでNHKはこのオリンピックウィークスに『アリーmyラブ』の再放送をやるのだろうか? 放送の前には当然オリンピックの番組がある。時間のずれるときもあり、単純にビデオで予約するというのもあぶなかったりする。
それにしても、この番組を見ていると思う。三角関係と職場での人間関係というのは、世界各国共通の問題なのではないかと。この番組ではよく下のバーで飲むシーンがあるのだけど、そこで歌ったりというのもあるんだよね。ほとんどカラオケ屋さんのようにも思えてきたのだけど。
2000年9月某日
なんだか売れているみたいだから、という安易な理由でこの柳美里の『命』(小学館)という本を読んだ。著者である柳美里が子供を産む話なのだろうな、そのくらいの知識しかなかった。半分はあたっていたのだけど、半分は違っていた。その半分でこの“命”というタイトルの意味がこんなにも違ってくるとは思ってもいなかった。
柳美里と、東京キッドブラザースの作・演出家である東由多加とがこのような間柄だとは全然知らなかった。
この『命』という本の、もう一人の主役は癌と闘病する東由多加である。柳美里にとっては、自分の妊娠と元恋人であり友人の東由多加の癌というものがほぼ同時に発覚して、この話は進んでいく。
癌という病気に関しては、抗がん剤などの治療についてけっこうリアルに書かれている。実は僕の知り合いにも癌で現在抗がん剤を飲んでいる人がいることもあり、こうした話は親身になって読み入ってしまった。
やや、この本についての余談なのだが、食事制限のことが気になった。
柳美里は、食事、特に塩分について制限するように注意を受けたようなことが書かれている。でも、食事のほとんどは外食でとても難しいということだ。
個人的なことながら、僕も塩分制限というのを8月くらいからやっている。塩コショー、醤油というものをほとんど使わないようにしている。なんとか慣れてきたところ。しかし、外食をするとなると、塩分を制限するなんて、ほんと無理なのではないだろうか。ほとんどの料理は塩コショーされて出てくるもんね。
塩分を控えたレストラン、なんてないのだろうか? ベジタリアン用のメニューのあるレストランはあったと思ったけど。自然食とかっていうと堅苦しくなってしまうので、さりげない「減塩メニュー」のおいてあるファミレスなんてあったら流行ると思うのだけどね。
2000年9月某日
オリンピック、オリンピックの毎日。サッカーのゲームを見るために、仕事の時間を調整したりとっても忙しい……。しかし、もう終わってしまったのね。
これまで日本人の平均寿命が長かったのは、サッカーの人気がなかったからではないだろうか。現在サッカーを見ている人がそれなりの年齢になったときには、この平均寿命というのは、ぐぐぐっと下がってしまったりして。
2000年9月某日
松田静子著『藤沢周平の魅力』(庄内日報社)という本を読んだ。本業は高校の先生で、この本の最後には、なんと授業で『蝉しぐれ』を生徒に読んでもらったことについて書かれている。生徒の感想文も載っているのだが、これがとてもよかった。
僕は『蝉しぐれ』を高校の時に読む(読んでもらいたい)、という発想自体を持っていなかった。高校生にはまだ早いかな、などと勝手に思っていたのだ。僕の勝手な、浅はかな思い込みだった。高校生いや中学生でも、10代のときにぜひこの『蝉しぐれ』を読んで欲しいと思う。恋愛は友情、家族。将来への希望など。いっぱい詰まった作品だと思う。
僕の視点をちょっと変えてくれた著者の松田静子さんに感謝である。
2000年9月某日
オリンピック、オリンピックの毎日。サッカーで強いショックを受けたしまった僕は、テレビ拒否症になりそうだった。しかし、それを救ったのが日曜深夜のアメリカからの生中継だった。
久しぶりのF1実況生放送! 久しぶりのアメリカGPである。ここ数年は“世界選手権”なのにアメリカ合衆国でこのF1GPは開催されていなかったのである。数年ぶりの、アメリカGP。しかも場所はアメリカンレーシングの聖地、インディアナポリスなのである。サーキットでの観客は20万人。マクラーレンとフェラーリが僅差でぶつかりあう今年最高の一戦と言える。
いやあ、おもしろいレースだった。途中ちょっとだけ寝てしまったけど。
このところ、F1を見るのはちょっと飽き気味だったのだけど、こういう盛り上がりのレース、プラス、レース中継をやってもらえれば、どんどん楽しくなるんだけどね。
2000年9月某日
オリンピック、オリンピックの毎日。ふと三越にお買物に行くと「読売ジャイアンツ優勝記念」のバーゲンが行われていた。昨年まではジャイアンツが優勝すると、そごうデパートだったはずなのだが今年からは三越だというのはニュースでは知っていたけど。
西武ライオンズが優勝して、西武デパートでバーゲンが行われるのはわかる。もちろん、西武鉄道グループと西武流通グループの骨肉の争いを物語で読んでも、それでも同じ西武なんだと身体で感じてしまのだ。
しかし、ジャイアンツと三越というのはまったくピンと来ない。こんなふうに感じるのは僕だけだろうか。もっとも、僕はジャイアンツの優勝というもの自体を知らなかったのだけど。
そういえば先日、夜の散歩をしていたときにも「ジャイアンツ優勝記念」という文字に出会った。ちなみに僕は眠れない夜には近所のお散歩をしたりする。たまにだけどね。むかしは、本を読んで過ごしたりしていたのだけど、まだ引越しをして1年経ってないこの街を歩くのはまだまだ楽しかったりしている。
その「ジャイアンツ優勝記念」というのをやっていたのお店というのは、小さな飲み屋さんだった。お母さんが一人でやって、お袋の味なんかを売り物にしているような雰囲気のお店を想像してみてください。確か、2割引きとかそんなサービスだったと思う。
たぶん、間違いなくこのお店は読売グループとは関係ないはずである。
それでも安売りをやるんだよね(笑)。たぶん、このお店の女将さんは熱狂的なジャイアンツファンなのかもしれない。女将さんではなく、お客さんの何人かがたまたま熱狂的なジャイアンツファンで、いつも劇空間プロ野球中継を見て盛り上がっていたのかもしれない。そんなある日「このところあんまりお客さんも入っていないし、巨人の優勝でちょっとサービスでもやって新しいお客さんに来てもらうようにしるのもいいかね」なーんて会話がなされて、この優勝記念サービスをやることになったのではないかと想像してしまうのだが。
なんだかどうも三越の安売りというのも、この小さな飲み屋さんのサービスと同じようなものに思えてしまうのだけど……。こんなこと書いていると、熱狂的なファンの方々からお叱りをうけてしまうかな。
2000年9月某日
村上春樹は前から好きで、出た本はだいたい買うようにしている。翻訳はでは手を出していないけど。そんなわけでこの『またたび浴びたタマ』(文藝春秋)という本というかカルタのような本もすぐ買ってしまった。読む、読まないは別にして(笑)、本棚に並べておきたい本である。ひょっとしたら読者の中にはこの本を分解してカルタ大会を開催している人はいるのだろうか。
さてさて、僕は本棚に本をきれいに並べたい方の性格である。しかし、ムラカミハルキファンとしては、次々に出版されてくる本はちょっと不満だったりしている。本棚に並べても、ちゃんとキレイに並んでくれないんだよね。本のサイズも様々だったりするし、同じサイズでも、本の一冊一冊が個性的すぎて、隣に並んでもうまく噛み合わない。
もちろん、この『またたび浴びたタマ』という本はまったく噛み合わない。本屋さんでも実はキラワレテいるのではないだろうか(笑)、などといらぬ心配をしてしまう。
(2000.10.1)
DOLPHIN
HOTEL
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