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読書日記2000年10月
ちょっとねっとさーふぃん編


2000年10月某日
「読書日記」というタイトルでありながら、読書の話が全然出てこないと思っている皆さんは鋭い感性を持っています(笑)。タイトルを「読書日記」から「未読書日記」にしようかな、と思っている。「積読日記」というのもいいかもしれないけど、僕の場合「積読」というのはあんまりやらないので、本が待っているわけではないもんで。
 ところで、最近思う。今の若い人は(ああ、こんなことを書いていると寂しさが……)一体何の本を読んでいるのだろうか。先日、20代の女性なのだけど、『エディプスの恋人』を読もうとしていた。最近、テレビのCMに出ている筒井康隆の感性あふれる小説である。僕はついついお節介で「前の作品は読んだの?」と聞いてしまった。彼女はキョトンとしていた。そう、この前の作品である『家族八景』も『七瀬ふたたび』も読んでいないどころか知らないのである。三つ合わせての「七瀬三部作」と言えば、僕らの10代の頃で言えば、読書入門シリーズ最終戦みたいな存在だった。
 僕は高校の中学、高校とほとんど本は読まなかったけど、それでも、星新一と筒井康隆の何冊かは読んでいた。他にこうしたSFで読みやすいのがなかったこともあるのだけど、だいだいこれがコースだったと思う。今の若い人には、新しい感性でのコースというものが存在するのだろうか。
 しかし、何を読んでもいいんだけど、「七瀬シリーズ」をじっくり味わって、宮部みゆきとかを読むのもまた味わい深いものがあると思うのだけどね。

2000年10月某日
 テレビ朝日の「おすぎとピーコの本ビニエンス」をたまたま見てしまった。ウワサには聞いていたけれど、なにせ放送は深夜。わざわざビデオで録画をするなんてのも面倒だし、これまで見ることはなかった。眠れないとある土曜日の夜、ふとテレビをつけるとこの番組が流れていたのである。
 いやあ、おもしろかった。深夜で頭がぼぉーっとしているので、どっちが「おすぎ」でどっちが「ピーコ」なのかわからなくなってきてしまうのだけど、ただ二人の話が面白いだけでなく、こだわりを持って話をしているのがたまらなくいい。
 本の紹介番組というのは、変にかっこつけて解説しても仕方がないと僕は思っている。「この本はいいんだ!」ということを、声を大にしてストレートに伝える姿勢が大切なはずだ。この番組はほんとに思い入れたっぷりなのである。『新宿鮫・風化水脈』(大沢在昌)を取り上げたときなんて、僕はただテレビの前でうなづくだけだった。うんうん。

2000年10月某日
『アタマにくる一言へのとっさの対応術』(バルバラ・ベルクハン著/瀬野文教訳/草思社)を読む。一般生活を営んでいるとアタマにくることは実にいっぱいある。そうしたときの対処法が具体的にいろいろと書かれていて、実用的な一冊と言える。最後の「おしまいになぐさめのひとこと」がいいです。

2000年10月某日
 先々月のこの「読書日記」で、「オランダせんべい」について書いた。残念ながら反響はまったくなかった。こんなことを書いても誰も食べてくれないかもしれないけれど、僕はこの「オランダせんべい」にひょいと出会ったしまった。
 ある酔って帰った金曜日の夜だった。こんな時は、あまり用もなくコンビニをうろついたりする。咽が乾いていたら、ウーロン茶とかを買ってとかはするけど。ちなみに駅から部屋までの間に、「セブンイレブンン」「ファミリーマート」「お酒の売っている名も無きコンビニ(名前は忘れました)」、ちょっとだけ遠回りをすると「ローソン」もある。歩いて4分くらいのところにこれだけあるので、なかなか便利だ。最近はどの駅でもこんな感じなのかな。
 場所はセブンイレブンだった。ちょっとほろ酔い気分であちこち店内を見ていたら、お菓子のコーナーでなんとも懐かしい袋を発見。よく見てみると、酒田米菓という会社名が書かれている。むかし、この酒田に住んでいてこの会社の近くで遊んだこともあったので、この名前は忘れることはない。商品名は「オランダせんべい」ではなく、「サカタのうす焼き」となっていたが、これはまぎれもなく、「オランダせんべい」だったのである。いつの間には、このお菓子はセブンイレブンで全国販売されていたのである。さっそく買って食べた、塩味は高血圧に悪いだろうな、と思いながらもついつい食べてしまうのであった。おいしい。
 なんと、この酒田米菓はホームページも持っていた。時代はよい方向へ流れていっているのかもしれない。ITは素晴らしい。
 ちなみに、「あの雑誌ananにも紹介された幻の「オランダせんべい」がいよいよ有力コンビニを中心に新しい名前で全国デビュー」なーんて紹介されている(笑)。シブヤ系作家の阿部和重がこの「オランダせんべい」を全国区にしたのかもしれない。
・酒田米菓 
http://www.inetshonai.or.jp/~sakatabk/

 山形の美味しいもので、まだ全国区になっていないものは他にもある。「オランダせんべい」は海側の酒田のお菓子なのだけど、、高畠の「おしどりミルクケーキ」というのがお薦めだ。高畠という町はどこにあるかというと、米沢の北側、井上ひさしの故郷である川西町とほとんど同じというか、隣町のようなところ。
 味は全然違うけど、地元では当然のように食べられていて他県に行くと、まったく知られていない。名前の通り、この「ミルクケーキ」はとっても甘いミルク味のお菓子である。お土産でもらったりすることも多いのだけど、子供の頃はよく食べていたような気がする。考えてみると、20年以上、たぶんもっと長く、ずっと食べていないような気がする。今の僕であれば、甘すぎてあまり食べる気はしないけど、甘いものが大好きだ!という人であれば、この「おしどりミルクケーキ」はきっと喜んでもらえるのではないだろうか。ぜひとも、全国区になって欲しいお菓子である。
・日本製乳株式会社 
http://www.sm.rim.or.jp/~mn01-nsn/

2000年10月某日
 ずっと工事中だったマンションが完成に近づいている。ほとんど、駅から僕の部屋までの帰り道といっていいようなところにある。工事中の外側が取り外され、キレイなマンションの姿が露わになった。
 ふと気がつくと、うちの部屋からこのマンションの部屋が見えてしまうんだよね。ちょっと距離があるので、望遠鏡でも使わなければちゃんとは見えないけど、でも使えば見えてしまうのである。僕の部屋は2階なので、見上げてはあまりみえないだろう。しかし、逆に考えると、向こうからはこちらが丸見えではないか。なんだか急に高層マンションが嫌いになってきたぞ。反対運動してもどうしようもないのだけど。

2000年10月某日
 久々に池波正太郎を読む。ぼそりぼそりとこの数ヶ月読んでいたのだけど、やっと最後のページまでたどり着いた。短編集の『江戸の暗黒街』(新潮文庫)。藤枝梅安シリーズの元となっているような作品で、殺し屋が登場したりする。数年前に「池波正太郎の作品をぜんぶ読むぞ」と誓いを立てたが(いろいろと実現していない誓いは他にも多い)、ほとんど進まないでいる。3大シリーズは最後にとっておいたほうがよかったのだろうか。また、そのうち池波正太郎にはチャレンジするつもり。

2000年10月某日
 ついつい買ってしまった。毎週発売される雑誌(?)『世界遺産』である。これまでにもこうしたも雑誌の創刊号を買ってしまうことはあった。でも、最後まで買わないんだよね(笑)。第1号の「ローマ」、第2号の「ヴェネツィア」を買い、なんとか衝動買い気分は収まりそうである。でも、この『世界遺産』シリーズは興味があるので、毎週買って揃えたいという気持ちもあるのだけどね。でも、読みそうもないし、なかなか難しいものだ。
 こうした週刊の特集雑誌を発売する場合、どのくらい発売できるかなど、当然ある程度計算するだろうね。もちろん、宣伝にもよるのだろうけど。けど、創刊号と最終号と、どのくらい部数が変化しているのだろうか。10分の1を遥かに下回るようにも思えるが。ローマ帝国の滅亡のように、はかないものなのかもしれない。

2000年10月某日
 ふと「無印良品」に入った。なんだか嬉しくなってきて時間を忘れてあちこち見ていた。むかしは、東急ハンズとかが好きで渋谷に行ったときなどは、半日くらいぶらぶらと見ていたことがあったけどな。いつの間にか、そんな気持ちはなくなっていた。
 どうしてだろう、「無印良品」は新鮮だった。シンプルであること、あまり多くの主張をしないことは、僕にとっては心地よい。なんと、ここでは乾電池なんてものまで売っているのである。とてもシンプルでよいデザインだった。他にも商品はいろいろあって、なんと「旅」なんてのもあったりする。」
 この「無印良品」は海外でも人気があるらしい。無印といいつつ、これはひとつのブランドになっているのだろうけど、他にもこんなのがあったらいいなぁと思う。
「無印良品」というと、ついつい群ようこの「無印シリーズ」を思い出してしまった。これもシンプルな面白さだった。「無印良品」でぜひ書籍も販売して欲しいものだよね。新聞なんかの書籍の広告を見ているとちょっと腹が立ってくることがある。面白い本=どんどん宣伝されている本、ではないはずである。「無印良品」みたいなお店で、地味に、長く、シンプルに本が売られ、読み続けていかれたら、ちょっと素敵な生活と言えるのではないか。
・MUJI.net 
http://www.muji.net/

2000年10月某日
 馳星周『雪月夜』(双葉社)をやっとこさ読む。なんだか、読んでいてむかし、北方謙三を読んだときのことを思い出してしまった。こういう作品というのは、ヒット曲のようにその時代にあっている必要があるのかもしれない。時代の流行り廃りに関係なく本を読んでいきたいと思いつつ、書店に平積みにされている本がついつい気になってしまうもんな。
 ふと、むかし読んだ本のことを思い出すと、北方謙三だけでなく、大藪春彦、高木彬光なんかもすごく面白かった。今はこうした作家の本はあんまり売っていないような気がするのだけど。

2000年10月某日
「アリー・myラブ」の第3シリーズが始まった。とても嬉しい。男と女のことに、国境はないように思えてしまう。国境だけでなく、時間をも超えてしまっているのではないだろうか。ストーリーは相変わらずで、第1シリーズと何かが大きく変わったわけではない。これは、「サザエさん」と共通した面白さということなのか。
 この番組を見ている多くの女性のみなさんは、やっぱりアリーを自分と重ねて見ているのだろうか。僕は、このところついついジョン・ケイジやビリー・トーマスに感情移入してしまっている(笑)。たまには、リチャード・フィッシュにも自分を重ねてみたいのだけど。
・NHK海外ドラマ「アリー・myラブ3」 
http://www.nhk.or.jp/kaigai/ally/index.html

2000年10月某日
 確か平日の午後2時頃だったと思う。三越デパートの地下のトイレに入った。中に入るとびっくり、洗面所に背広とズボンが置かれ、アタッシュケースは開かれ、一人の30代半ばの男性が携帯電話で仕事の話をしていた。なんと彼はステテコ姿なのである。電話では、会社の上司と次の客先での打ち合わせの話をしているみたいだった。ステテコ姿で、なのである。けっこう年配のオジさんだったら、ステテコをはいている人はいるわけだけど、わりとカッコイイ系の営業マンである。でもまあ、ステテコをはいていてもおかしくはない。僕もそのうちはくようになるかもしれないし。
 この男性は、次に奥さんのいる自宅に電話をしていたみたいだった。「あのさぁ、トイレで用を足しているときに急に携帯が鳴ってさ、服を汚ししまったんだよ。今、三越の地下のトイレにいるから、スーツ一式持って来てくんない」
 つまりは、わかりやすく言うと、彼はオシッコをしているときに携帯がなって、取ろうとしているときに、オシッコを自分の服に思いっきりかけてしまったのだろう。しかし、僕も同じ男だ。ズボンに引っ掛けてしまうことはわからないでもない。なぜに背広まで汚してしまったのだろう??
 男性は時計を見て、奥さんが来る時間と打ち合わせの時間と、いろいろと計算しているみたいだった。
 それにしても、暖かな午後のひとときに、旦那のために三越デパートの地下の男子トイレまでスーツ一式を持ってくる奥様の気持ちというのはどんなものなのだろうか。この男性はあとどのくらいステテコ姿でこのトイレで過ごすのだろうか。
 最後まで事の成り行きを見たかったのは山々だったのだが、あんなところに何十分もいたくはないもんね。

2000年10月某日
 話題の『君ならできる』(小出義雄/幻冬舎)を読んでしまった。うーん、こういう本の感想を書くのは難しいよ。すらすらと仕事の合間にでも読める本だし、とてもいいことも書かれている。でもさ、「世界的なランナーを目指すのなら、恋はしばらくお預けにしたほうがいい」って言われて納得するのだろうかととても疑問を持ったのも正直な気持ちなのであった。もちろん、ある時期、何かを我慢しなければならない時というのはあると思う。女子プロレスなんかでも「男は禁止」ということがあったのも十分理解できる。でも、でも結婚して子供を産んでスポーツをやっている人もいっぱいいるのにね。なんで、男はよくて女はよくないのか。
 なんだか僕はこうしたスポーツ関係の本は苦手なのかもしれないな。
 僕にとってのスポーツというのは、F1といったモータースポーツのイメージが強かったりしている。オリンピックでは今だに、プロとアマについての論議がされているが、モータースポーツにプロもアマも関係がない。こんな議論自体があり得ない。速ければいい、という単純な世界だ。オリンピックというもの自体も、正直なところよくわからなかったりもしてしまう。代表選手の選考に関しても、全く理解できないもんね。
 話を本に戻すと、このところ幻冬舎のイメージが変わってきてしまっている。なんだか角川書店に似てくるような(笑)。
 あの、別につまらない本ではないと思います。十分に楽しく読める本です。

2000年10月某日
 この10月はサッカーの月だった。前の月もそうだったのだけどね(笑)。なにはともあれ、優勝して終わるのは気持ちのいいことだ。僕も含め、多くのサッカーファンはJリーグができたあたりでファンになったので、こんなふうに国際大会で優勝するなんて初めてなのではないか。嬉しいものである。
 ところで、アジアの大会でサッカーを見るたびに悩み、自己嫌悪に陥ることがある。
 実は「イラン」と「イラク」の違いというのがわからなくなってしまうのだ。今回のアジアカップで日本が決勝トーナメントで対戦したのが、「イラク」であるということはかろうじてはわかる。しかし、サダム・フセインの国がどっちだったかというと、うーんと唸ってしまう。ドーハの時には、しっかりとどっちがどっちだったか、ちゃんと理解したつもりだった。地図を見て、中東戦争の記事も何かで読んだ。湾岸戦争というのも見てきた。わかったつもりにはなっていたのだけど、今回のアジアカップサッカーでやっぱりわからなくなってしまった自分に気づいたのである。国際人、いや社会人として僕は失格なのだろうか。こんな僕に「イラン」と「イラク」の人々は怒っているのかもしれない。僕だって、「日本」と「韓国」を間違えられたらちょっと困ってしまう。漬物とキムチでは全然違うことと、同じように「イラン」と「イラク」も違うはずなのである。
 ということで、ゴメンナサイでした。

2000年10月某日
「WEB本の雑誌」を見た。おもしろいおもしろい。特に「連載ページ」にある「吉田伸子の恋愛のススメ」にはまってしまった。恋愛で悩む人々には、お薦めです。
 ドルフィンホテルも、こんなサイトを実は目指しているのだが。誰か、連載を書いてみたい! なんて人はいないものかな。
・WEB本の雑誌 
http://www.webdokusho.com/index.html

2000年10月某日
 今月はだいたい10回ほど、外のお店で飲んでいた。かなり新しいお店を開拓したような気がする。新しいお店を探して、ドアを開ける緊張感は、新しい作家の本を読む最初の数行との感覚とも似ているかもしれない。けっこうおしゃれでいいなぁと思ったお店は、池袋のリブロのすぐ隣くらい、ジュンク堂からも近くという「嘉の香」という京都DINING&BARのお店。地下にあって、広くもなく、狭くもなく、うるさくもなく、料理はうまい。ちょっとお値段高めというイメージはあるけれど、料理の量があるので、そんなでもない。池袋本屋さん巡りをした帰りに、恋人同士で本を語り合うには(そんな恋人同士はいないか)いい感じではないだろうか。冷たいうどんが美味しいです。

2000年10月某日
 正直言って、長野県が面白かったりしている。田中康夫知事と藤井局長の問題なんて、小説の世界のようである。僕はこのニュースを見て、上杉鷹山を思い出してしまった。この人は上杉家の養子に入り、ボロボロの財政状態の米沢藩を立て直したことで有名である。堂門冬二の『小説上杉鷹山』、藤沢周平の『漆の実のみのる国』などの小説にその改革の様子が描かれている。上杉家というのは、お金はないのだけど伝統とプライドだけはあるという、困ってしまうようなところで、鷹山と上杉家の重鎮との対立というのは生半可なものではない。けれど、ほとんど奇跡のようなことを、この上杉鷹山という人物は成し遂げていくのである。
 上杉鷹山だったら、どうするのだろうか? そんな視点で僕はニュースを見てしまうのだ。

2000年10月某日
 村上春樹の新しい本が出た。今回のは柴田元幸さんとの共著、『翻訳夜話』(文春新書)。31日に買ってだらだら読んでいるので、内容については11月の読書日記に書こうと思うが、思った以上におもしろい。
 それにしても、村上春樹の文章というか、タッチが僕は好きだ。この『翻訳夜話』というタイトルを見ただけで、なんだかやんわりとした気持になってくる。こういうのは相性とかの問題なのだろうか。文章を読んでいるだけで、肩を揉まれているような気持なのだ。穏やかな気分でこの10月は静かに終わったのだった。


(2000.11.3)



DOLPHIN HOTEL