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読書日記2001年10月 鍋のおいしい季節ですね編 2001年10月某日 岸本葉子の『禁じられた島へ 国後・色丹の旅』(凱風社)を読む。この作品は彼女の本のほとんどのエッセイとはちょっと違い、旅のルポという感じ。よく北方四島というのは話題にはなるけれど、その島でどのような生活が行われているか、実はよくわからなかったりしている。この島に生まれ、日本という国とロシアという国へと別れて暮らしている家族もいある。近くて、遠い国である。岸本葉子の文章は暖かくて僕は凄く好きだ。寒いこの島(気候だけでなく、政治的な意味においても)にも、暖かな人びとの吐息が感じられる。 2001年10月某日 このところ飲みに出かけるときには、『ホットペッパー』というリクルートが出している0円の雑誌を参考にすることが多い。あちこちのお店のクーポン券の集まったもので、これで安く飲める良いお店を見つけるのである。中には20%引きなんてところもある。 このクーポン券の20%割引を使おうと池袋の『ちゃちい家』というところに飲みに行った。地下から3階まであるこのお店はおしゃれでなかなかの雰囲気。お酒の種類はいっぱいあるし、料理は美味しいし、まあまあの満足度だった。そうそう、問題は20%の割引だったのである。メニューをあちこち見ているときに、チャージ料金が目に入った。なんと、10%がチャージ料金とのこと。ええと結局の割引は10%にしかならないのでは(笑)。まあ、なんというかね。また行こうと思っているお店なので別に悪口を書いているつもりではないんだけどね。 そうそう、このお店でとっても楽しいことがあった。4人で飲んでいたのだけど、隣のテーブルが大人数。20人近くいたのかな。なーんと女子大生なのである。テニスか何かのサークルみたいだった。女の子ばっかで、楽しそうな雰囲気。みんな可愛いし。隣の客が会社の愚痴話をしている、なーんてこっちまで気分が悪くなるもんね。 2001年10月某日 このところ『アンデルセン』というお店のパンが好きでよく食べている。1週間に1回くらいお昼とかにパンを食べることにしていて、あちこちいろいろ食べてきたのだけど、このお店のパンの歯ごたえがなんとも言えなく良いのだ。値段もまあまあお手ごろ。1個100円なんてのもちゃんと食べ応えがある。しばらくはこのパンを食べるのが楽しみな今日この頃なのであった。 2001年10月某日 実は今月は10日ほど旅行に出ていた。荷物をできるだけ少なくしたい旅で、何の本を持っていこうか、けっこう悩んだりしていた。いつもだったら通勤に2冊くらいの本を入れているのだけどね。あまり難しい本は読みたくない。新しい本を持っていってすぐに挫折してしまっては単なる無駄になってしまう。一度読んでいる本でもいいけれど、何度読んでも面白い本というのはなかなかあるものではない。そんな時に、藤沢周平・掲示板に書かれてあった藤沢周平の『驟り雨』(新潮文庫)が気になり、この本を持って行くことにした。 大正解だった。いくつかの話は2度読んだりもした。ちょっと時間のあったとき、寝る前に、この本の言葉のひとつひとつが僕に優しく語りかけてくれる。 2001年10月某日 僕がよく食料品の調達をするスーパーマーケット「西友」は、終わりの時間がちょっと残念なことにけっこう早く夜の8時になっている。でもまあ出来てまだ1年、20時と書かれているところがシールで被っているような状態になっているので、そのうち21時くらいにならないのかと期待している。 それはそうと、この8時のちょっと前というのがこのところの僕のブームになっている。お寿司のコーナーなんかに行くと、50%引き!なんてことになっているんだよね。もちろん、この50%までに達するにはそれなりの道程というものがある。30%でどうしようかと悩むことも多々あるのだ。何せお寿司の場合は新鮮さというものが重要だったりする。食べて身体を悪くすることはないにしても、ちょっと干乾びた感じは見た目も美味しくなくなったりもする。それに、いつも50%の値段のお寿司が並んでいるというわけでもない。お寿司コーナーにほとんど何もない状態のときもある。お寿司でなく、他のお弁当も悪くはないな、と思いつつも、ついついお寿司コーナーに向ってしまうのであった。 2001年10月某日 わりと最近に出版された岸本葉子の『本棚からボタ餅』(中央公論新社)を読む。タイトルから想像できるように、本についての話がいろいろと書かれている。本についての本というのはいろいろな人が書いているけれど、この岸本さんの文章はすごい気持ちが入っているように思える。ほんとうにこの本が好きなんですよ!といった感じ。だから読んでいても楽しくなってくる。そして、自分も本を読もうという気持ちになる。気持ちだけで終わっている読書の秋の10月だったのだけど。 2001年10月某日 なぜだか日本橋の『たいめいけん』(http://www.taimeiken.co.jp/)でお昼を食べることになった。池波正太郎もよく通ったというけっこう有名な洋食屋さんである。友人とお昼のちょっと早めに待ち合わせをして、店の前に着いたのは12時の10分ほど前だった。 なんとなんと、この平日のランチの時間の10分も前に行列ができているのである。ちょうど真向いにあるラーメン屋さんも長い行列。食べ物屋さんに並ぶのは休みの日とか、それなりに暇な人だけかと思っていたのだが、サラリーマンが並ぶんだね。この列で並ぶ自分は何者だという問題はさておき、何を食べようかとあれこれ悩む。 それにしても店の中は活気があったな。オムレツにしようかどうしようか悩んだ末、ランチメニューのクリームコロッケにする。友人は魚のフライに。このランチメニューが800円で、これにお店の名物と言えるボルシチと酢油キャベツを(両方とも50円)を注文。4人テーブルに並んで座ったのだけど、前のサラリーマンの男性2人は生ビールを飲んでいる。美味しそうだ。1人はこの生ビールのお替りまでしていた。飲んでも顔に出ない人はうらやましい。 それにしても、コロッケは美味しかった。さすがに洋食の美味しいお店ということで、よくテレビとかに登場するお店でもある。食べにきてよかった。今度来たときには、何を食べようか。ラーメンも美味しそう。 2001年10月某日 映画『GO』(http://www.go-toei.com/)を見た。なぜだかこの映画の評判は非常に良い。一般的にベストセラーの小説の映画化となれば評価は厳しいものとなりがちなのに。うーん、どのようにこの映画のことを書こうかちょっと悩んでいる。別に面白くなかったわけではないし、悪く言うつもりもない。ただ、どうしても原作の持っている僕の好きだった部分と比べてしまうんだよね。 原作での僕の好きだった部分というのは、杉原と桜井とのデートの場面というのかな。ただのいちゃいちゃしていたというのではなく、美術館に行ったり、音楽を聞いたり、映画の話や本の話までもが、いろいろな側面で出てきたことだった。そしてその集大成として、「オペラを見に行く」ということがあったのではなかったのだろうか。そのオペラのために、ちゃんと勉強しようということもあったはず。ところが映画ではそうした細かなところ、一番いいところが全く抜け落ち、ただ単に突然オペラという事柄がでてくる。いくらなんでも高校生が普通のデートでオペラを見に行くかよね(笑)。この映画を見た友達に「オペラと出てきたシーンはどうだった?」と聞いたら、やっぱり「浮いていた」という答えが返ってきた。やっぱりそうだろうねぇ。 でもまあ、そんなことを言ったらこの映画は10時間くらいの大長編になってしまうかもしれない。仕方が無くこうした場面をカットしたのかもしれない。つまりは原作と違い何をテーマとして映画という作品にするかということになるのだけど、僕の好きなテーマとなる部分はなかったというだけのことか……。そうそう、それから「泣かないんだ」というエピソードもなかったな。あれもいい話なのに。 この映画を見た帰り道、僕は書店に立ち寄り金城一起の『レボリューションNO.3』(講談社)を買ってしまった。これは映画が面白かったからということでもあるか。 電車の中でさっそく読みはじめたのだけど、面白いのなんのって。『GO』よりもこっちの方が映像作品には向いているのではないだろうか。それにしてもこの本を読み終えたとき、僕は凄く元気になった。何がとか、何所がとか言われるとすぐには答えられないのだけど、ジメジメと悩んでいることなんてくだらないぞ!という力強さがこの本にはある。悩んでないで、レボリューションという行動あるのみだぜ!と。 2001年10月某日 マンションの更新の連絡が来た。そうか、今のところに引っ越してそろそろ2年になるのか。窓からの景色に少々飽きてきたけれど、引っ越すわけにもいかないからね。普通だったらひと月分の更新料が掛かるところ、このマンションはほとんど掛からなかった。すごいでしょう。 2001年10月某日 今月から『アリー・myラブ4』が始まった。正直なところ1回目を見て、ちょっと飽きてきたような感覚があった。『渡る世間は鬼ばかり』のようにこの番組も見なくなるときがあるのだろうか、そんな不安が少しだけあった。 しかし、何回目だったろうか。アリー・マクビールとジョン・ケイジが久しぶりに2人で語り合う場面で、やっぱりいいなぁと感じてしまった。この2人がこんなふうに一緒にいると僕は安心してしまうのだけど。こんなことを思うのは僕だけなのだろうか。 2001年10月某日 久しぶりに東京モノレールに乗った。ガタガタ揺れて乗り心地は悪かったが、窓からの景色はとてもよかった。この景色を海と呼ぶにはやや無理があるかもしれないが、それでも十分に海を感じることができる。そうか、東京には海があったんだ。普段は電車に乗り、自分の部屋と職場との往復、それにちょっとお店で飲んだりするくらいだからね。時にはこうやって微かに海というところを感じるのもいいものだ。 2001年10月某日 「MoMAニューヨーク近代美術館名作展」(http://www.ueno-mori.org/special/moma/index.html)と見に行った。どちらかというと絵画などは見ないのだけど、たまには見ることもある。画家の名前とかも満足に知らないのだけど、それでもパブロ・ピカソはよかったなぁ、などと思う。これからも時々、美術に接したいものである。本と読むことと、やっぱり何かしら共通点もあるからね。 こういう所に行くと、東京に住んでいることはある意味で贅沢なことなのだろうな、と思う。地方に住んでいる人はわざわざ泊りがけで東京まで来たりするわけだからね。 2001年10月某日 うちのマンション(見た目はほとんどアパートなのだけど、契約書にマンションと書かれてあったので、いつもこう呼んでいるのであった)の3軒ほど隣に焼き鳥やができた。けっこう遅くまでやっているような雰囲気。常連さんばかりでいつもいっぱいという雰囲気もなく入りやすそうでもある。実はうちの近所には、お店が多い。ただ、割烹料理店やスナックなどが主なのでほとんど入ることはないのだが。 しかし、この焼き鳥やさんはちょいと気になる。ビールにちょっとしたツマミを食べるだけならば大してお金も掛からない。どうしようか、少しは悩む。でも、部屋に帰って冷蔵庫を開ければビールはあるし、しかも安く飲めるという方向へついつい流れてしまうのであった。 2001年10月某日 それにしても本当に寒くなっていた。ちょっと前まではタオルケットとその上に毛布で寝ていたのだけど、これでは朝方にブルブルと振るえてしまう状態となり、ちゃんとした布団で寝ることになった。実は僕は寒い夜にこの暖かな布団で眠ることが大好きなのである。布団と毛布とシーツの奏でるハーモニーが言いようのないほど素晴らしい。抱きしめていつまでも離れたくないのである。 寒くなっての問題点は何よりも洗濯物が乾かないということである。うちには乾燥機などというハイカラな品物はない。休みの日の午前中に洗濯機を回し(ぐるぐる)、夕方に(ちょっと夕陽に当りながら)取り込むという幸せな休日のひとときというのが出来なくなってきた。そうそう、洗濯物をたたむという行為は僕は嫌いではないです。アイロン掛けはやっぱり面倒だけどね。 2001年10月某日 ドルフィンホテルの掲示板を見ると、このところ圧倒的に岸本葉子さんのところが発言が抜きん出て多くなっている。最初の頃はほんとに寂しかったのだけどね(笑)。どうしてなんだろうね。ちょうど彼女のエッセイを読むような人が、掲示板に気軽に書き込みをするようなタイプだったのかもしれない。よくわからないけど、とても嬉しいことだ。 こういうことがあると、他の掲示板が少なくても、焦ることなくのんびりやるのもいいだろう、という気持ちになってくる。 2001年10月某日 またまた10%割引クーポン券を利用して『えんざ』というお店に飲みにいった。メニューを見ると、ちゃんと美味しそうに載っているではないか。そう、鍋である。寒くなると寂しくなったり哀しいことも多いけれど、鍋で温まることもできる。世の中、うまくできているんだなぁと関心したりする。鍋は僕達の生活というものをとても平和にしてくれているのだろう。 地鶏の料理が美味しいとうたっているお店だったので、鳥団子の鍋を注文する。この鍋がたまらなく美味しかった。出てきたときにちょっとびっくりしたのだけど、よく練られた鳥の団子の素の状態の真ん中に卵が。入れる前にそれをかき混ぜるのである。この鍋のスープは濃い醤油味ではなかった。けっこう澄んだスープ。これが絶品だった。その辺の居酒屋で鍋を注文すると自分の家でも材料さえあれば簡単にできそうだったりするのだけど、このお店の鍋の繊細さはなかなか真似のできるものではない。お値段もけっこう手頃。その上、お店はガラガラだった。また来てこの鍋を食べよーっと。 2001年10月某日 ずーっと、F1GPが好きだった。中学生の頃から新聞の片隅の小さなレース結果にわくわくしたり、フジテレビの中継が始まってからはほぼ欠かすことなく楽しみにして見たものだった。ただ、この数年は以前と比べると全くもって心踊るようなものが無くなってしまっていた。中嶋悟が走っていた頃なんてスタートの時は必ず正座をして見たものだったのに。 今年の日本GPのテレビ中継は見ることがなかった。用事があって見ることが出来なかったのだけど、無理してでも見ようという気持ちは全くなかった。 こうした気持ちというものは何なのだろうか。ひょっとしたら恋愛とかと似ているのだろうかね(笑)。来シーズンは佐藤琢磨がジョーダンチームからフル参戦する。これまでの日本人ドライバーにはない体制といってもいいかもしれない。チームという回りの状況よりも、佐藤琢磨自身がこれまでの日本人になかった速さを持っているのだけど。 わくわくした気持ちになるだろうか。ちょっと不安はあるけれど、ぜひスタートのときには正座をしてテレビの前に向いたい。そうだ、来年はワールドカップの年でもあるんだ。W杯のある年にはF1では大きな事故が起こったり、なんてことがあった。アイルトン・セナの事故があってから来年でもう8年にもなるのか。早いものだね。2002年という年がこつこつと近づいているんだね。 2001年10月某日 毎月毎月、この日記をまとめて書くときにけっこう悩むのである。少しはかっこいいことを書きたいものだな、と。そうやって悩んでいる間に時は過ぎ、晴れた日は少なくなり、悲しみは増えていく(まあウソだけど)。来月こそは早くから準備をして、日々の生活に注意し、良い日記を書きたいと思っているのある。こんなことを考えていると、年賀状のことを思い出すよね。「今年は時間が足りなかった。来年の年賀状は今から準備しよう!」という決意をこれまで何度繰り返してきただろう。 そう、今年もあと少しなんだよね。あーあ。 (2001.11.6) |