読書夜話2002年2月前半
たんたんと過ぎていく静かな毎日編
2002年2月某日
このドルフィンホテルでは基本的にというか、あまり本、作家の悪口は書かないことにしている。面白くなかったら、そのまま静かに流す。特に書くことがないから静かに流すということも多いのだけど。どうしてこうなったかというと、「読んだ本について、面白くなかったと否定的なことは書かないで欲しい」と言われたからである。誰に言われたかというとドルフィンホテル設立者の相方だったので、ハイハイというしかなかった。
ここでやや補足するが、ドルフィンホテルというのは僕ひとりで始めたものではなかった。本好き青年2人がパソコン通信を使って何かやろーよ、と言って始めたものだった。途中から僕ひとりで勝手に運営するようになったのだが。
今になって思うと、その姿勢は凄くよかった。僕はどちらかというと、面白くない本、作家については、「あれは酷いよね、へっ」などとカッコつけて言う方である(笑)。
ここ数年、酒を飲みながら本の話をすることが多くなった。このドルフィンホテルと全く関係のない人とかである。そんなとき、他の人から「ああ、あの作品はひどいね」とかマイナスの声があったりする。「あの作家は自分とは合わないから」とか。もちろん、僕だってこういうことは言うし、別に悪気はない。でも、少しばかり酔いが覚めて、ため息をついたりする。
何かが違っているということでもないかもしれない。でも、このところ気になってしまう。なんだかその時点で、大切なことを遮断してしまっているような気がして。ふと自分の発言を考えたり、悩んでしまったりもする。
もちろん、黙っていることがいいことでもないのだろうけど。ドルフィンホテルで基本的に取ってきたスタイルは悪くはないのだろうな、と。
2002年2月某日
図書館から借りてきた川上弘美の『なんとなくな日々』(岩波書店)をなんとなく読む。なんとなくいい気持ちである。
2002年2月某日
新宿で飲む。新宿といっても代々木まで歩いて、そこで飲んでいたのだけど。歩いた数分の時間を考えるならば新宿といってもおかしくはない。オジサン達しかいないような居酒屋である。煮込みもちゃんとある。鍋料理の一人前もある。隣のオジサンはひとりでスポーツ新聞を見ながらひとりで飲んでいる。一緒に飲んでいたのは学生時代からの友人で、家庭を持ち、子供が3人もいる。結婚してどうだったかという話をいろいろと聞き込む。ふむふむ。そして人生について考え、また酒を飲むのであった。静かに時は流れる……(笑)。
2002年2月某日
コンタクトレンズを買いに行く。でもさ、あんまり「買いに行く」とは言わないような気もするな。「コンタクトをつくりに行く」という言い方が一般的なような。既製のやつを買うのだけどね。ちなみに僕が使っているのは、ひと月の使い捨てタイプです。
ところで、今だに信じられないのが、あのレンズの試着をしてくれる人たちである。なんであんなに簡単に人の目にコンタクトを入れることができるのだろうか。僕なんて、自分の目に入れるだけでもひと苦労しているのに。
2002年2月某日
一橋文哉の本はどうしても読んでしまう。この『ドナービジネス』(新潮社)も書店で見てすぐ買って読んでしまった。それにしても、この本は怖かった。臓器移植に関しての、世の中の表に出てこないことが書かれている。何がいいか悪いか、正直なところよくわからない。この本はそうしたことを主張しているのではなく、現実が書かれている。世界のあちこちで、実は身近なところで、臓器がビジネスとして取引されているのかもしれない。
2002年2月某日
池袋の『呑菜DONNA』というお店で飲む。新しい年になって、お店の開拓をしているのだけど、ここはかなりのヒットだった。料理は美味しいし、店員さんのサービスもよくて気持ち良く飲むことができた。最近はなかなかこういうお店はないような。ご飯が美味しかったので「お米は」と聞くと「魚沼産コシヒカリ」ということ。魚沼ってよく聞くけど、どこにあるのだろうか(笑)。でも、美味しいのだよ。お店の入口は小さな印象なのだけど、2階があってけっこう広い。個室が多く、ひそひそ話にもよいですね。
2002年2月某日
数ヶ月前からけっこう気に入ってちょくちょく覗いているウェブサイトがある。『えんじょい ひとりぐらし』(http://page.freett.com/minimaki/)というところなのだけど、ひとり暮らしをしていている人には、とてもよいのではないだろうか。ひとり暮らしの色々なこだわり。食べ物のレシピとかも載っているし、部屋の写真もセンスがあってとても楽しい。本の感想なんかもあったりしています。
2002年2月某日
オリンピックが始まった。正直なところ、そんなに興味があるわけでもないけど、ついつい見てしまったりもする。それで少しばかり感じたのは「オリンピックは一発勝負なんだな」ということである。例えば僕の好きなF1レースなどは、まずは予選というものがある。ひとりひとりがタイムアタックして、1周のベストタイムを競うわけだ。なんだか、この予選のアタックを4年に1回だけやっているみたいで、ちょっと可哀想になってしまったのだ。
F1の場合は、予選の結果はあくまでもスタートの順位。そのあとで本レースがある。しかも、1年に17戦もあってチャンピオンが決まる。
もちろん、4年に一度だからこその、1回か2回の競技だからこそのドラマというのもあるのだろう。でも、そこでなんだかんだと言うのも可哀想というか、ちょっと違うのではないかと思ってしまうのだけど。
2002年2月某日
綿矢りさの『インストール』(河出書房新社)を読む。高校生3年生、17歳でこの本は書かれた。僕は自分の高校の頃を思い出してしまった。ゴミ捨て場の景色とか、部屋の景色とか、とてもいいです。
2002年2月某日
読書日記は「読書夜話」という名前になり、月2回の更新ということになった。実は、密かに僕の考えていることを言うと(決して誰にも言わないでください)、週間・読書夜話、日刊・読書夜話へのステップアップをしたかったりしていて。でも、そうなる日刊・読書日記ということになってしまうのか(笑)。
でもな、毎日なにかその日の出来事を書いて発表するというのはやっぱり出来そうもない。もし、やったとしても、愚痴や文句ばっかり書いてしまうような気がする。とても人様に読んでもらえるようなものにはならないだろう。毎日毎日、けっぽってやりたくなるようなことばっかりだもんな(笑)。なんとかそうしたことを削って削って、なんとか読んでもらえるようなネタを書いていくのは、やっぱり月に2回くらいかなぁなんて考えている。もちろん、明日のことはわからないけど。
2002年2月某日
話題のカルロス・ゴーン『ルネッサンス 再生への挑戦』(ダイヤモンド社)を読んでしまった。そのうち、カルロス・ゴーンを日本の首相に!なんて声が出てくるのではないのだろうか(笑)。けっこう面白く読める。ビジネス書ということでなく、ひとりの男の人生という読み方でも、十分に楽しめます。
2002年2月某日
突然「卵かけご飯」が食べたくなる。ほんとにひと月かふた月に1回くらいではないだろうか。ほんとうに、他の何よりも食べたくなるのである。僕の「卵かけご飯」というのは、お店で食べられるものではない。ましては、牛丼屋さんの「並に卵もお願いします」というやつともまた違う。炊きたてのご飯でなければならないという大前提があるのだ。炊き上がって、そんなに蒸らすようなこともなく、まさにアツアツの状態のご飯に、醤油で軽くかき混ぜた卵をかける。ご飯の熱でちょっとばかり卵が固まりたくなりたいな、というくらいがいい。そのアツアツをずずずずーっと食べるのだ。僕の今の生活では朝ご飯というのはほとんど食べない。林檎を食べたりするけど、ご飯は食べてない。「卵かけご飯」はお昼にも、夕食にも馴染まない。早く起きてしまった休みの日の朝とかになるのか。久しぶりに食べたけど、やはり美味しかった。
2002年2月某日
月始めに収入が入ることになっている。その金額を見て(毎月変わらないのだけど)、「今月は節約するぞ!」と決心する。スーパーでもお惣菜のような贅沢なものは買わない。野菜も100円均一とかのもので、とにかく安く切り詰めた生活をする。しかし、時は流れ月も後半になってしまうと、「なんでオレはこんなことで悩むのだろうか。人生は一度だけだ。美味しいものを食べ、満ちたりた人生を選択しなければいけないのでは」と考えが変わり、外食も多くなりけっこう贅沢な毎日になってしまう。別に最初から普通にしていれば、普通の生活のような気もするのだけど、なんだか毎月同じような流れで出費が増えて行くような。
2002年2月某日
映画『息子の部屋』(http://www.warnerbros.co.jp/sonsroom/)を見た。2001年カンヌ映画祭最高賞であるパルムドールを受賞した作品である。正直なところ、ヨーロッパ系の映画は退屈することがある。この映画の前評判も「たんたんと」みたいな感じだった。でも、とってもよかったのであった。静かに、いくつかの場面が流れていく。悲しい場面もある。でも、涙がでるわけではない。けれど、胸があつくなる。静かに。また、映画を見に行こう。
2002年2月某日
職場の近くの、新しくできた焼き鳥屋さんの飲んだ。煙の中で焼き鳥を焼く親父さんと、バイトの青年の1人か2人がいるくらいの店である。お通しはキャベツ。店内のインテリアは昔風の田舎の家のよう。懐かしい空き缶が串入れだったりしている。店の名前は忘れてしまった。でもさ、忘れるという特別なことではない普通さがいいかな、と思う。焼き鳥も美味しかった。やっぱり、焼き鳥とビールは絶妙の組み合わせだよね。
2002年2月某日
岸本葉子さんの『女は生きる ひとのためならず −人生すごろく付』(講談社+α文庫)を読む。このサブタイトルの「人生すごろく付」ってのが凄いよね(笑)。彼女のエッセイはさらりと読める。ほんとうに、すごろくをやるように。でも、会社を辞めたこと、父親が借金をしたこと、母親のことなど、けっこうシビアなことが書かれている。人生はおもしろいなぁと思います。
2002年2月某日
今年も14日はバレンタインデーだった。来年も再来年もバレンタインデーという日は消えてしまうことなく続くのだろーか。
その前の日にちょっと衝撃を受けたことがあった。20歳前半の女性Aさんと話をしていた。彼女は結婚を前提として付き合っていた男性と決定的な喧嘩をしたという。チョコレートを買っていたのに、と少し泣きそうな表情をしていた。「送ったらいいじゃないの? 手紙でも書いてさ」と僕はとってもオジサン的な話をした。すると、「住所を知らない」と当たり前のように彼女は言うのであった……。なんでも、今のワカモノ達の付き合いは携帯とメールで、住所を知らないことはけっこう普通だという。僕の生きていた頃と、今は全然別の時代だったのだね(ため息)。
2002年2月某日
恒例の「ぬけさく図書館」(http://homepage2.nifty.com/Rumiko/)情報です。それにしてもこのウェブサイトは今年になってとても活発になった。昨年末の数ヶ月がウソのようである。いったい館長さんに何があったのだろうか。人生とは面白いものだよね。いつまで続くのだろうか。あとひと月くらい続いて、また静かなときが来るのではと僕は見ているのだけど(笑)。
2002年2月某日
知り合いの女性が、バレンタインのチョコレートを送ったという。義理ではなく本命だ。ほとんど会うこともないような間柄なのだけど、好きになった様子。なんだかさ、見ていて素直に微笑ましい気持ちになった。このところ僕のまわりではこういうことはあまりなかった。バレンタインデーは色々とその是非が問われるイベントなのかもしれないけど、こういうのを見るとやっぱりいい。といいつつ、その結果を予想しての賭けで盛り上がったりするんだよね(笑)。
2002年2月某日
『ファストフードが世界を食いつくす』(エリック・シュロッサー/草思社)を毎日少しずつ読んでいる。先日は「マクドナルド」で読んでいた。それにしても、このお店は落ち着かないね。お店がどうのこうのではないのだけど、客層のほとんどが高校生で、その声のでかいことでかいこと。学生の頃は僕もよくこうしたお店に入っていた。コーヒーを飲みながら手紙を書いたり、何だか自分でもよくわからない日記のようなものを書いたりしていることがよくあった。でも、この日感じたけど、ぜんぜんそんな雰囲気ではないよな(笑)。今度は今流行りのカフェとかに行ってみよう。
まだこの本は途中なのだけど、ディズニーランドについてもいろいろと書かれている。僕はふと思ったことがあった。考えてみると、「ディズニー」って人の名前だったんだよね。自分の名前に「ランド」ってつける感性って、よくよく考えると凄いよね。例えば、むらてさんという人が「むらてゆうえんち」って名前をつけるみたいなもんだからね。
ディズニーランドなどのテーマパークは今けっこう流行っているけど、新しいのができないかな、と思っている。こういうのって、どうしてもワカモノが対象になっているような気がするのだ。これからの日本は高齢化社会である。年配の人の方がお金を持っているのである。そこで僕は「NHK大河ドラマランド」というのを創ってもらいたい。戦国時代のコーナーとか、明治維新のコーナーとか、その時代その時代に別れているのだ。船に乗ると蒙古まで行けたりもする。楽しいと思いませんか。
肝心の『ファストフードが世界を食いつくす』の話はまた今度。しかし、これを読むともうファストフードを食べる気はなくなるかも。
(2002.2.15)
DOLPHIN
HOTEL
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