読書夜話2002年5月後半
新たなる旅立ち(なんだかよくわからない)編
2002年5月某日
スターバックスでショートココを飲みながらパソコンを使っていた。ちなみに僕のノートパソコンのバッテリーは2時間もつ。できればもっと長い時間パソコンを使いたいのだが、まあお店で使うにはこのくらいの時間がちょうどよい。時間が決まっている方がなんだか引き締まってパソコンを使えるような気がする。ノートパソコン(電源コードなしの状態で)を取り出したとき、僕はウルトラマンになったような気持ちになる。2時間と3分とはかなりの違いなのだけど、それでも2時間はあっという間だ。
さて、ここでのテーマはウルトラマンではなく、スタバ(スターバックスね)についてである。最近こうしたお店に入ることが多いのだけど、コーヒーは苦手なのでだいたいコーヒー以外の飲み物にしている。そうそう、スタバってバナナが置いてあるんだよね(笑)。僕のよく行く南池袋店というのはけっこう空いていてとても気に入っている。ジュンク堂のお隣という場所も嬉しい。タバコを吸うおじさんがいないので、スタバの場合はお客さんの雰囲気が大分違うように思う。ひとりで来て本を読んでいる人もいれば、勉強している人もいる。けっこう昼間の時間とかはおばさん達(みなさん美しい)井戸端会議が行われているんだよね(笑)。先日、店員さんが僕に声を掛けてきた。小さな声で最初はよくわからなかったのだけどよく聞いてみると、「壁の電源を使っていいですよ」という。僕がパソコンを使っていたので気を利かせてくれたのだった。嬉しいですね。電気代だって掛かるのに(笑)。だんだんとスターバックスが好きになっていくのだった。別にこのお店の回し者ではないけれど。
2002年5月某日
斎藤美奈子の『文章読本さん江』(筑摩書房)を読んだ。なんだか難しそうな本だろうと思って読み始めたのだけど、そんなことは全くなくところどころ笑いながら楽しんで読んだ。昔からよくある文章読本というものについていっぱい書かれていて、ずばずばと作者によって切られている。爽快である。例えばよくあるエッセイの書き方の本などで「文章を書くことが美しさに繋がる」なんてことがあったりする。しかしこの本ではしっかりと否定されるのである。文章を書くことは美容の敵で「目は血走る」「肌はボロボロ」「髪はボサボサ」「運動不足で足腰はガタガタ」(P116)などと、たまらなく面白いのである。
この本はただ、過去の文章読本なるものを茶化して書かれただけというものではない。日本の作文教育の歴史のようなことが書かれている。学校で書かされたつまらない読書感想文なんてのも、実は文章読本の歴史に繋がっているようである。
2002年5月某日
健康診断を受けた。数日前から不安だったのは、あの胃検診である。そう、バリウムを飲むのが苦手なのだよ。僕はビールとかでも一気のみというのができない。飲みのもというものは、少しずつ少しずつ飲む。ただでさえ一気に飲めないのに、あのバリウムを飲まなければならないなんて。しかも、狭い車の中。すぐ隣にはステテコ姿のおっさんなんかがいるのである。ただでさえ暗いのに益益悲しい気持ちになる。そして担当の人も怖そうだった。げっぷしそうになるのをこらえながら、僕は苦しみながらバリウムを飲む。すぐ隣で、こいつ早く飲めよ、という感じで僕を睨んでいる。こういう場所にレースクィーンのお姉さんがいたらとっても雰囲気は違うのだろうな。辛いことも耐えようという気持ちになるではないか。
関係者の人にこんなことを読まれたらやっぱり張り倒されるのだろうか……。胃検診の結果は何も問題はありませんでした。
2002年5月某日
たまにしか見ないのだけど好きなテレビ番組がある。フジテレビの『こたえてちょーだい』なのである。午前の9時55分から始まる番組なので、「いつも見ているよ」とは言いにくいものがある(笑)。たまーに見るだけです。たまーにね。いくらビデオデッキが普及しているといっても、こうした番組を録画して見ている人はいないと思うけどね。
読者からの話を元に、ちょっとした再現ドラマがある。それがすっごく楽しいのである。失敗談などの笑い話、けっこう感動的な話、なんといっても凄いのは不倫の話だったりする。この間なんて、旦那が浮気して子供が出来たから別れることになってその相手がなんと自分の姉でそのショックから救ってくれたのが元(になってしまった)旦那のお兄さんで今度結婚します、という話だった。ただの電話相談ではなく再現ドラマなのですごいリアルなのさ。このところ、夜のドラマがつまらなくなっていると感じているのだけど、こうした実話をドラマにしてしまったほうがよっぽどおもしろい番組になるんじゃないかな。
2002年5月某日
ワールドカップということでサッカーに関しての本がどんどん平積みにされている。普段だったら買わないのに、ついつい財布の紐がゆるんでしまうんだよな。村上龍のサッカーのエッセイは雑誌はメールマガジンなどで読んでいた。それでもタイトルが気になってしまった。『MUNDIAL2002
世界標準を越えて Physical Intensity W』(光文社)では最初にこの「MUNDIAL」という言葉について触れられている。少し説明すると、このムンディアルというのは「世界の」とか「国際的な」という意味で、英語圏以外ではこの言葉がワールドカップを指すのだという。日本はわざわざ「サッカー・ワールドカップ」と断り書きをつけているのに、大きな違いである。まあ、「サッカーに関心がない」と言われればそれまでなんだけど(笑)。
2002年5月某日
確か何かの映画でノートパソコンをベッドに入って使っている場面があったのではないだろうか。僕の部屋にはベッドはないけれど、なんだかとてもカッコいいな、と思っていた。パソコンという道具がとても身近なものになったような気がする。
よくよく考えてみると、うちでも簡単にできる。インターネットをやるにはコードの問題はあるが、布団に足だけ入れた状態で座りパソコンを使ったって何らおかしくはない。そう、僕はやっていたのだ。本を読むように、この読書夜話を書いていた。なかなか良いではないか。素晴らしい。こんな風に寝床でパソコンが使えるならば「週刊・読書夜話」も夢ではないかもしれないぞ。しかし、夢とは実に儚いものだった。僕は数分後にこの布団でパソコンというものを断念した。なにせ、熱い。足の腿のあたりが熱くてどうしようもないのだ。これが冬であれば暖房の代わりにもなるのかもしれないけど。
2002年5月某日
スコット・ヒックス監督、そして何よりもスティーブン・キング原作の『アトランティスのこころ』(http://www.warnerbros.co.jp/atlantis/)
を見た。そんなにもの凄く面白かったというわけではなかったのだけど、確かに見てよかったと思えた映画だった。強烈に目立つことはないが、23人の代表には欠かせない存在のような。
たぶんこの映画は僕よりも上の年齢にならないとよくわからないのではないだろうか。野球のグローブが出てきたりして、少年の頃のことを思い出す。そして一緒に走り回って遊んだ女の子のことがいとおしく思えてくる。この映画で目に入れても痛くないような女の子キャロルをミカ・ブーレムが演じる。すごくいいのだよ。そうそう、少しばかり藤沢周平の『蝉しぐれ』を思い出してしまった。
ちなみに、調べていて知ったのだけどこのミカ・ブーレムは「アリー・myラブ」でアリーの少女時代を演じていたのだった。
2002年5月某日
風邪を引いた。熱が出るまでにはならなかったが、咽喉が腫れて身体もダルく(いつもダレているという話もあるが)、うだうだと過ごしていた。そして、なぜか口の中を切ってしまった。歯で噛み切ってしまったのだけど、痛い。一週間ほどでどちらも治ったけど、毎年季節の変わり目は弱いのであった。
2002年5月某日
実は僕の誕生日があった。自分へのご褒美にとスーパーで「シック・トリプルエッジ 曲がる未来型3枚刃」を買った。そうテレビで宣伝しているやつである。僕は毎朝、シャワーを浴びて髭を剃る。髭剃りというのは、まさに一日の始まりの儀式のようなものなのである。視力の悪い僕は風呂場では当然カガミを見ても自分の髭の状態なんてわからない。そんな僕でもしっかりと速く剃ることのできる髭剃りが欲しかった。
この「シック・トリプルエッジ」はなかなか良い。なにせ3枚も刃がついているのだ。数年前だったろうか、2枚刃の髭剃りが登場したときには大きな驚きがあった。誰がこの3枚刃というのを予想しただろうか。しかも、ヘッドは曲がるのである。感激しながら僕は朝の儀式を行っているのであった。この先、髭剃りはどんな風に進化を遂げるのだろうか。楽しみである。
2002年5月某日
このところ佐野眞一にはまっている。『だれが「本」を殺すのか 延長戦』に続き、『東電OL症候群』(新潮社)を読んだ。前作である『東電OL殺人事件』も面白く読んだので前から読みたいとは思っていた。
前から感じていたことがあった。この事件には女性が強い関心を持っていた。『東電OL殺人事件』を読んでいる人をよく見かけたのである。
この『東電OL症候群』は事件の裁判でのその後が中心となって書かれているわけだが、もうひとつの柱と言えるのが、事件に関心を寄せる女性、それと日本の社会についてである。
東電OL殺人事件というのは何も特別な事件ではなかった。夜の仕事をする被害者、加害者はアジアの貧困国からの不法滞在者。男女の差別、国籍での差別、何よりも日本の司法の問題を深く抉り出している。
2002年5月某日
前回の読書夜話で取り上げた『だれが「本」を殺すのか 延長戦』についてもう少し書いてみたい。最後の方で、「『本コロ』は、だれに、どう読まれたか」というタイトルで書評になったものがいくつも載っている。なんと、金子達仁の文章も。サッカーについていろいろ書いていて最近はテレビにもよく出ている。彼は編集者の力量について書いていた。サラリーマン化した編集者が増えていて、強く嘆いている。彼の初めての単行本もそうした中でたらい回しにされていた。しかし、熱意のある編集者がいて状況が変わったのだという。
本についての書評について何かを語るのは実に難しいけど(笑)、なんだかこの話はよかったのである。どこもかしこもおかしくなっていくような世の中だけど、ほんのひと握りかもしれない熱意のようなものが確かにあって、どこかに繋がっていくような。
2002年5月某日
「おばんざいとお酒 京町家 池袋店」(http://www.kyomachiya.jp/)というところで食べて飲んだ。けっこう綺麗なお店で値段もほどほどで、美味しいということでいうならば池袋では現在ナンバーワンと言えるのではないだろうか。名前の通り、和食の店である。何よりも内装が凄く、廊下を歩いただけで感動してしまう。そして、どんなふうに掃除をしているのだろうか、なんて考えてしまうほどである。
料理も美味しい。何よりも嬉しかったメニューは「土鍋炊きたて たこ飯」だった。当然注文してからすぐには出てこない。薪のかまどで炊いているのだという。ご飯が、ひと粒ひと粒が本当に美味しいのである。ご飯の美味しいお店というのはなかなかなかったので、とっても嬉しかった。食べ物は他にも美味しいものがいっぱいあった。お酒のメニューには杜氏さんの名前まで書かれていた。
それにしても……、不思議に思ったのはこのお店がガラガラさなのであった。かなりの座席があるのに、3分の1も使われていない状態。奥の方にはいい雰囲気の個室もあったのに。流行ることなく消え去ってしまうのか、それとも気軽に入ることのできない超人気店になってしまうのか。ほんとうに行って損はしないお店だと思うのだけどな。
2002年5月某日
雑誌「クロワッサン」(http://croissant.magazine.co.jp/)を買ってしまった。僕は雑誌というものはなるべく買わないことにしているのだけど、この雑誌は好きでついつい買ってしまうことがある。特にこの号の特集は本について書かれている。「人生の財産といえる
本と映画と音楽と。」 ああ、このタイトルを見ているだけで幸せになってきてしまうではないか。まだちゃんと全ての記事を読んでいるわけではない。ただ、この雑誌をテーブルの上に置き、たまにパラパラと本についての文章を見ているだけで楽しい。
ところでこの雑誌って、女性誌なのだろうか。男でも買っている人は多いんじゃないかな。
2002年5月某日
足裏マッサージなるものを経験してみた。けっこう話題になっているみたいである。女性が多いようなところに男の子である僕が行くのはちょっとだけ恥ずかしかったのだが、「男性も大歓迎」と書いてあるし、疲れていたので一度どんなものかやってみることにした。僕が行ったのは「英国式リフレクソロジー」(http://www.raja.co.jp/)というところ。
5500円、50分のコースを受ける。ちょっと暗めの室内なんだけど落ちついた雰囲気がいいのかな。お店の人も応対がしっかりしていて、とてもいい感じ。腹の立つことの多い今日この頃、リラックスできることは確かだろう。はっきり言って揉まれた足裏は痛かった(笑)。でも、痛いところが胃腸であったり肩のところであったり、納得できるものだった。終わってから靴を履いて歩き出すと、なんだか凄く軽くなっているではないか。あちこちにお店はあるし、値段も安いので、ついつい行ってしまうのだろうなぁ。
2002年5月某日
特に理由はないけれど、サーチエンジンで「村上春樹」を検索していた。そうそう、理由はあったんだよね。コンビニで雑誌を立ち読みしていると、村上春樹の名前があったんだ。六本木だったかでニセ村上春樹が出現してナンパをしていると。ほんとかどうかわからないけれど、村上春樹のコメントみたいなのも載っていて(笑)。そこに、書き下ろしの新作が秋頃に出るとか、全集の準備がどうしたこうした、なんてことが書かれてあった。どうなるのだろう、よくわからないけど。
そんなことで、村上春樹の情報を調べていたのだった。そこで引っかかったのが『A2』(http://www.jdox.com/)という映画のサイトだった。これはオウムを裏側から撮ったドキュメンタリー映画だった。そして村上春樹はこの映画について、「映画『A2』をめぐって」(http://www.kyodo.co.jp/kyodonews/2002/aum/)という文章を書いていた。
この映画については田口ランディのエッセイでほんの少しであるが知ってはいた。興味がないわけでもなかったので、さっそく見に行った。
場所は東中野にある「BOX東中野」という映画館。雰囲気は芝居小屋のような感じだった。たまたま最終日だったからなのか、けっこうな人が並んでいた。正直言って「どんな人がこの映画を見るのだろうか」という気持ちがあった。ほとんどが二十歳前後の若者ばかりだった。真面目に社会を見て考えているからなのか。どうしてこの映画を見にきたのか、ひとりひとり理由を聞いてみたいような気もした。
それにしても、おもしろい映画だった。新鮮な驚きがあった。たぶん、この先メジャーになることはないのだろう。確かに、マスコミには出てくることのない、オウムと関係する人人の姿があった。
カメラは客観的にその姿を映し出している。例えばニュースなどにも流れた記者会見の裏側。終わってからネクタイをゆるめて話をする姿などもある。この作品のテーマは、オウムというものを内側から映し出すということだろう。ただ、それと同時にマスコミというものに対しての、強いメッセージがあるように感じられる。
反対する住民運動が今もあちこちであるだろう。そうした映像も多くある。驚いてしまうのだが、信者と反対する住民がとても仲良く話をしているのである。最初はもちろん強く反対したいて。反対する気持ちには変わりはないけれど、毎日会って話もすれば情も移ってくるよ、と住民は言う。監視小屋の撤去と、監視する側と監視される側と共同で行っているのである。新聞にはこういう場面は取り上げられない。他にも新聞やテレビには出ない真実が、このカメラによって映し出される。ある信者が友達だった新聞記者に話をするのが象徴的である。「マスコミは事実と違う事も、バンバン報道しちゃうしそれで傷つく人がいるのに、なんでそんな職業につくのかな?」と。
この映画について考えるのは難しい。けれど、この映画を見てよかったと思う。
2002年5月某日
ワールドカップが始まった。ということで、何年ぶりかでカップヌードルを食べた。テレビのCMを見ていたら食べたくなったのさ。
2002年5月某日
いつの間ににか「だらしな村」(http://www.darashina.com/)というウェブサイトが出来てしまっていた。そう、あの『だらしな日記』の藤田香織のサイトである。それにしても、「だらしな日記」という名前が「更級(さらしな)日記」から来ているとは知らなかった。工事中ばかりに村だけど、これからも注目していきたいと思う。
2002年5月某日
友人が本を出した。自費出版なのだが、普通の書店でも売られているものとなっている。プロの作家になることを目指している。何年も家では小説を書き続けている。そのために仕事を変えた。文章を書くことに長い時間を費やし、夜は登場人物と共に眠っていた。
どうして高いお金を出して自費出版にしたのか。前に進みたかったから、と言った。他の作品も書いているけれど、この本にした作品は自分の中で宙ぶらりんの状態になっていると。この本でデビューはできなかった。けれど、大切な作品であることには変わりはない。ひとつの形にすることで、この作品と別れることができるのではないかと。なんだか、本の出版というよりも恋愛の話を聞いているようだった。彼女の作品がこれからどうなるかはわからない。でも、こういう本を手にするのは僕にとっても凄く嬉しいことだ。
2002年5月某日
アールグレイの紅茶を飲みながらこの文章を書いている。最初にこのアールグレイを飲んだときにはその香りに違和感を覚え、正直なところあまり美味しいとは思えなかった。125gのアールグレイはしばらくの間戸棚の置くで眠っていた。けれど、いつの間にかこの香りが好きになってしまった。強い香りが癖になってしまったみたいだ。そのうち、他の紅茶にもチャレンジしてみようと思っている。美味しいものをただ知らないだけなんだろうな。
(2002.6.4)
DOLPHIN
HOTEL
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