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読書夜話2003年8月

粗製濫造 2003/8 #1


2003/8/17

◆ 何をお見舞いしたものか
 毎日雨である。確かにこんな夏は珍しいようなぁ、なんて外を眺めている。蝉のイラストの入った暑中お見舞いのハガキも、キャンディースの歌も、全くイメージすることのが出来ない夏だ。そう僕は今、「ショチュウオミマイ」と入力しようとした。ところが「ショウチュウオミマイ」と打ち間違えてしまったようで、別の文字が変換されてでてきた……。
 そんなわけで僕は酒を飲み、ぐだぐだとしているわけである。
 それにしても、寒いよなぁ。今年は夏は無かった、と言い切ってもいいような気がしている。まあ、蒸し暑いという意味では十分に暑いのだけど、太陽がないのだから。野外のプールはどうなるのだろうか。今年だけの特別なものなのだろうか。「そういえば、2003年は夏がなかったねぇ」なんて。

◆ 映像の洪水
 僕はけっこうテレビを見るほうで、だいたいは何かを流している。ただ直接何らかの番組を見るというよりも、録画したテープを見ることが多い。ビデオデッキを2台持っていて、何だかんだと録画している。ちなみに今見ているのはF1ドイツGP。そんなに真剣にテレビだけを見るということではなく、何かをしながら見ているわけだ。さて困っているのは、だんだんとテープが溜まってきていることだ。ドラマなどは当然のように連続で見なければわからなくなってしまうので、順序よく早めにこのテープを見ていかなければならない。現在このテープが5本ある。1本5時間の番組が入っているとして、25時間分。まるまる1日眠ることなく見ても間に合わない。見なければいいのでは、と言われたならばそれまでなのだけど、スポーツの中継は見たいし、最近はノンフィクションの番組が面白いと思うようになってきた。
 その他に僕の部屋には映画を録画したものが14本ほどある。ひとつのテープに3つくらいの映画が入っている。ほとんどは字幕付きのものなので、何かをしながら見るということはできない。それなりに集中して見る必要がある。かなりの時間がかかる。
 もちろん、テレビ好き、映画好きという人はもっともっと多くのテープを所有しているのだろうと思う。どうやって見ているのだろうかと、大きな疑問があるのだが。
 このところ凄いな、と思うのではDVDの普及である。レンタルビデオ店でもどんどん増えている。通常のお店でも、DVDは安く購入できるようになっている。ほとんどCDを買うのと同じように。しかも、古い映画その他のDVDも出ているので、気を許すとすぐに買ってしまいそうになる。本と比べてば当然高いが、上下巻の本を買うのだと考えるならば、納得できる値段でもある。レンタルビデオ店に置いていない好きな映画監督のDVDがあれば、やはり欲しい。僕の部屋にDVDが増殖していくのも時間の問題のように思える。
 どうやって増えていく映像を見ていったらいいのか。漠然と考える今日この頃なのであった。

■ 森達也著『職業欄はエスパー』(角川文庫)
 このところ森達也に嵌っている。面白いのだ。彼が注目するテーマ、対象となる人物がいい。
 秋山眞人、堤裕司、そして清田益章がこの本に登場する。超能力者として有名な人達だ。特にスプーン曲げというものは、ひとつの象徴だったのかもしれない。僕のテレビを見て、スプーンを曲げようとした。
 本当か、嘘か。超能力というものに関しての多くの人の見方はこの2つに迫られる。このことがとても深い意味を持っているのかもしれないのだ。
 この本はテレビドキュメンタリーとして放送されたものを元としている。カメラは、この人たちの日常を捕らえる。それがとてもいい。
「本気で夜空を見上げたことがあるのかよ?」
 これは清田益章の声だ。確かに、夜空を見上げることなく、本当か嘘かを語っているだけかもしれない。
 テレビというメディア、それを見る側、多くのことを考えさせられる。そして、少しかもしれないけれど優しい気持ちになれる本だ。

◆ 悲しきビアガーデン
 僕は寛容な人間なので、食べ物が多少美味しくなくても我慢する。この店は、食べ放題飲み放題のセルフサービス。寛容な僕は、店員さんの態度だって文句は言わない。だいたいにしてビアガーデンというところには同情すべきて点が多い。雨ばかりだし、営業日数はどれだけあるのだろうかと思えてしまう。多くのビアガーデンは赤字なのだろうし、来年も営業しているかというと、大いに疑問である。僕は素直に大変だろうなぁと思うし、声援を送りたい気持ちでもいる。もし、日本の夏にビアガーデンが無くなってしまったならば、それは、水着のお姉さんがいなくなるのと同じくらい悲しいことだ。
 しかし、僕はこの日のビアガーデンに激怒していた。もちろん大きな声で怒鳴ったりはしなかったけど。
 とてもとても暑い日だった。僕は基本的にビール断ちをしている。健康のためだ。あまりの暑さに「たまにはいいよな」と、常日頃がんばっている自分へのご褒美と思い、2時間だけのビール解禁にしようと思ったのだ。
 僕は、ぐいぐいと一気に半分ほどのビール飲んだ。けれど……。生ぬるかったのである。冷えていないビールを飲んでも全く美味しくないではないか。これには我慢できない。これは僕の運命だったのだろうか。日頃の行いが悪かったのだろうか。
 冷たく、美味しいビール。これこそがビアガーデンに必要なものだ。あとは何もいらない。枝豆はあったほうがいいけど。できれば、ビアガーデンの真ん中に大きな鍋を置いて、そこで枝豆を茹でて欲しい。塩は天然荒塩にして。その茹でたてと、冷たいビール。この2つが食べ放題飲み放題であれば、僕は喜んで3000円を払うだろう。もうちょっと希望を言えば、焼きたてのトウモロコシなんかも嬉しい。目の前で焼いてくれるのが一番いい。ついでに言えば、鉄板焼き蕎麦もいい。お祭りにあるような感じで、目の前で豪快に焼いて欲しい。このくらい揃っていたならば、4500円までは出してもいい。行ったとしても、年に1回か2回のことだ。ほんとうに、美味しいものを、美味しいと感じられるように出して欲しいと思うのだけど。

■ 映画『デブラ・ウィンガーを探して』ロザンナ・アークエット監督http://www.debra.jp/
 この映画を観た渋谷ル・シネマは多くの人がいた。けれど、この映画館は完全定員制のために、混んで大変だ、という印象はない。少し早めに行って、番号札をもらえばけっこう簡単に好みの席に座ることができる。休日のときでも、意外と穴場の映画館かもしれない。
 ところでこの映画を観る人、ほとんどは女性だったのではなかろうか。家庭か女優業かに悩む女性、というのがテーマとなる作品なわけで、当然と言えば当然だけど。最近、ドキュメンタリーの映画が普通になっているような感じがしている。特にこの映画の良さは、どんどん映像が切り替わることが。じっくりと話を聞く、という感じではない。話は聞くけれど、テンポがいい。女優さんたちが、レストランで普段の食事に会話を楽しんでいるというところが、とても良かった。
 ところで、「乳が垂れて……」という某女優さんの発言のところで、けっこう会場の笑いがあったのだけど。こういうときに、男性はどう反応したらよいのだろうかと、少し悩んでいました(笑)。

◆ 田村が負けた
 田村潔司が負けてしまった。僕はかなりのショックを受けた。負けるはずはないと思っていた。何というのかな、負けてはいけなかったのだ。
 8月10日、PRIDEのリング。第1ラウンド、相手は吉田秀彦。技は袖車絞めだった。フジテレビの放送は完全に吉田が主役で田村が脇役という造り方だった。田村潔司のプロフィールはどのくらい紹介されたのだろうか。
 なぜ、このPRIDEのような格闘技のイベントがあるのか。長くプロレスを見てきた者にとっては、不思議な感覚さえある。以前はプロレスがあり、その中で「異種格闘技戦」というものが行なわれてきた。プロレスという世界から、UWFという格闘技色の高い団体が発生した。中心となる人物は前田日明だった。UWFという団体は実はいくつかの歴史がある。1988年に旗揚げした新生UWFでデビューしたのが田村潔司だった。このUWFにいた前田日明、高田延彦、山崎一夫、藤原義明、船木誠勝、鈴木みのるなどは、もともと新日本プロレスにいたレスラー。田村潔司というのは、初めての従来のプロレスを体験していないレスラーで、Uの申し子と呼ばれることとなる。その後、UWFは解散し、いくつかの団体に分裂する。田村潔司は高田延彦率いるUWFインターナショナルへ。前田日明はリングスという格闘技ネットワークをつくり、オランダ、ロシア、ブラジルなどと強い関係を築く。UWFインターナショナルはその後、消滅。のちに田村は前田のリングスへと移る。彼はここでチャンピオンとなる。しかし、このリングスという団体は、前田日明が選手から引退し、次第に衰退していくことになる。数多くいる強豪の外国人レスラーの何人かは、引き抜かれる。相手はPRIDEだった。
 格闘技の歴史を読み解くならば、こうしたいくつもの話が出てくる。エメリヤーエンコ・ヒョードル、ヒカルド・アローナ、アントニオ・ノゲイラ、ダン・ヘンダーソンも、実はリングスで活躍していたレスラーだった。Uの申し子・田村潔司はそのリングスのエースだったのだ。
 田村潔司は吉田に負けた。まあ、それはそれで仕方が無い。勝つときもあれば、負けるときもあるのだろう。しかし、田村というレスラー人生が、このフジテレビで放送された番組でどれだけ伝わったのだろうか。今のこの格闘技界の繁栄を、ずっと支えてきた男が敗れたのだ。
 ずっと起き上がれないでいる田村潔司は悔しそうだった。

■ ビデオ『逃亡者』アンドリュー・デイビス監督 [日本テレビ]
 まあ、普通に楽しめた(笑)。特に前半の展開なんかはスピード感に、ドキドキ感があってとてもよかったのだけど。後半が僕にはちょっと物足りなかったというのが素直な感想。

◆ お盆
 お盆に実家に帰らなくなって、何年経ったのだろうか。親不孝な奴だなぁ、と我ながら呆れている。まあ、仕事で帰れないというのはウソではなく、仕方のないことでもあるのだけど。ふいに、お盆のときの実家の景色を思い出した。なんだか懐かしい気持ちになってきた。
 思い出したものは、堤燈であった。子供のころ、このお盆に時期に実家に行くと仏壇のある部屋にはいくつもの堤燈が並べられてあった。その数に僕は驚いたのだが、押入れにはもっと使ってないものがあるのだという。いつだったかの夏、僕もこの堤燈を出して、組み立てるようになった。ほんとに、お盆の時期の数日しか使わないものだけれど、この堤燈の灯があって、お盆のイメージがあるようにも思える。
 このところ、建築関係の番組が増え、他所のお宅というものを良く見る。当然といっていいほど、仏壇はない。堤燈が置かれるようなイメージもない。一年のうちの、ほんの数日のことである。僕が今、新しい家を持ったとしても、そのような部屋は作らないだろう。
 でも、僕は子供の頃に堤燈の灯を見ていた。ぼんやりとした灯だ。夜中に起きて、その部屋を通るときには、とても怖かった。
 堤燈の灯を知らない人も多くいるのだろう。そういうことを思ったりしている。たぶん、昔は普通のお盆の景色だったのだ。

■ 角田光代著『今、何してる?』(朝日新聞社)
 いくつかの雑誌や新聞に書かれていたエッセイがまとめられた本である。前半は恋愛の話が多い。そういう意味では、恋愛に悩み苦しんでいる人は面白く読めるのかもしれない(笑)。後半は朝日新聞に連載されていた「本と一緒に歩くのだ」が載っている。読みたくなるような本がいくつかあって、チェックしたところ。
 それにしても、角田さんは元気だなぁと思ってしまうのは僕だけだろうか。

◆ 鯵の活き造り
 このところ、日本酒を飲みたい気分のときが多い。日本酒といえば、やはり肴は魚である。焼き魚も好きだけど、まずは刺身を食べたい。そんなわけで僕はとある創作料理の店で鯵の刺身を注文した。ちなみに、アジと読む。魚のメニューは恥ずかしながら、読めないことが多い。ちゃんと読めるようになることが、大人への第一歩かな、と思うこのごろである。
 さて、この鯵の刺身。サービスとなっていて、とてもお得な値段になっていた。刺身というものは店によって、ピンからキリまで。ほんの少量しか出てこないということもある。この店で初めての鯵の刺身。はたしてどんなものが出てくるのか、やや緊張する。
 その緊張というのは、水槽にあった。料理人が網をつかって水槽から魚を一匹捕らえた。泳いでいる魚が何なのか。まあ、大よその想像はできるが、確信は持てない。数分後に出てきた鯵の刺身を見て、やっぱりな、と嬉しいような悲しいような気持ちになった。
 箸を近づけると、ピクッと口が大きく動いた。ほんとうに活きのいい、鯵の活き作りである。ずっと昔に、お寿司屋さんで食べたことはあった。でも、こんなにピクピク動かなかったようなぁと思い出す。向き合うこちらの方もピクピクしてきた。
 しかし、食べてみると、確かに美味しかった。残酷なような気もしないではないが、こうやって生き物を食べるということも大切なことなのかもしれない。
 今だにこのときの鯵を思い出すと、なんだかピクピクしてくるのであった。

■ ビデオ『永遠の愛に生きて』リチャード・アッテンボロー監督 [WOWOW]
 主演はアンソニー・ホプキンス。けっこういい感じだった。でもなぁ、やっぱりレクター博士の印象がどうしても残ってしまっているなぁ、なんて思ったのだった(笑)。そして相手役はデブラ・ウィンガー。
 ストーリーはもうひとつピンと来なかったけれど、映像はとてもよかった。イギリスが舞台なのだけど、ほんとうに歴史のある綺麗な景色を感じさせる。こういう景色を大きなスクリーンで観たならば、「永遠」という言葉もまた強い印象となったのかもしれない。

◆ 夏のクーラー読書
 夏という季節はとても苦手である。外を歩いているだけで、汗がだらだらと流れてくる。半端じゃない。恥ずかしく思っている。身体がだるくなり、血圧も上がる。正直言ってあまりいいことはない。辛いことの方が多いと思う。
 しかし、この暑さがあるからこそ、気持ちいいなぁと思える瞬間もある。かつては風呂上りの冷たい缶ビールだった。どう考えても、この楽しみを自ら放棄したというのは、僕の人生においても大きな選択であった。
 暑いときに冷たいからいいかというと、そうでもなかったりする。僕はこの汗が流れるようなときに、暑い風呂に入るのが好きだ。毎日朝風呂に入る。時間的にはほんのわずかだ。特別な熱湯ではないけれど、外の気温はかなりの暑さだったりしているために、十分な暑さであることは確かだ。その後、朝食を食べる。ちなみに、納豆ご飯である。この季節は何よりも栄養をつけなければならない。ラッキョウもニンニクも食べる。食器を洗ったあとが、僕のささやかなお楽しみタイムである。でえ〜んと、クーラーの下に横になる。そこで本を読む。やや冷たいなぁと感じる。朝食を食べたとはいえ、お風呂に入った熱でまだ身体は汗をかいているような状態。この冷たさが心地よいのである。毎日30分この時間を過ごす。読んでいる本が面白いからなのか、本当に天国にいるような、気持ちのよいひと時なのだ。ほんとうに30分が経ったのかな、といつも残念に思う。冬にこうした時間が持てるかというと無理だろう。夏の暑さがあるからこその、至福の時なのかもしれない。
 まあ、今年の夏は寒いけどね(笑)。

■ 森達也著『放送禁止歌』(光文社知恵の森文庫)
 たぶん、僕からいくらか上の年代の人達はこの本を読んで、深い思いに駆られるのではないだろうか。この本の中にはいくつもの曲が出てくる。
 なぜか放送禁止となった言われていた曲たち。有名な曲でないにしても、頭脳警察、岡林信康、三上寛、泉谷しげるなど、放送禁止の伝説のようなものとなっているのではないだろうか。
 放送禁止歌というのは、なぜ禁止になったのか。誰がそうしていたのか。分からなかった疑問が明らかになる。そして、より深い部分へと話は展開していく。ある意味でタブーとなっているようなことが、どんどん書かれている。少し驚きもある。けれど、読んでよかったと思える本である。
 僕はこの本を読み終えて、「紙ふうせん」の歌を聴きたくなっている。

◆ 明るい表情
 知り合いの男性が結婚することとなった。このところ僕の周辺では、いわゆるメデタイという話は全くなかったので、この話を聞いたとき、とても嬉しい気持ちになった。なんだかんだ言っても、結婚して将来を共に歩むというお話は、良いものだなぁと思ったのである。よくよく考えてみれば自然に多くの人が行なっていることなのだけど。
 この男性と知り合った頃、彼は人生のどん底のような表情をしていた。ところが、人間とは変わるものである。こんなにも、変わるものかとけっこう考えてしまうほどであった。
 新聞には、失業のニュースが載っている。相変わらず離婚する人も多い。暗い顔をしている人は多く、よく分からない世の中だけど、幸せな表情をしている人は良いものだと素直になったのでした(笑)。

■ 映画『HERO(英雄)』チャン・イーモウ監督http://www.hero-movie.jp/
 初日の上映でこの映画を観た。こんなことは僕の人生で初めてではないだろうか。そんなにも観たくてたまらなかったというわけではないのだけど、この日は時間があったということで観ることにした。通常はやっていない、初日特別の夜8時45分からの回。前の回は立ち見が出ていたということで、早めに映画館に入る。次第に人が集まってくる。ほとんどが若いアベック(笑)。たぶん、チャン・イーモウの映画だから、という感覚ではないのかもしれない。だってだって(笑)、僕が今年観たチャン・イーモウ監督の映画『キープ・クール』は、新宿武蔵野館に僕を含め13人しかいなかったのだから。この満員の客はいったいなんなのだろう……。
 まあ、ぐだぐだ言うのはやめよう。チャン・イーモウの映画が広い世界へと飛び立つのだ。
 正直に言って、この映画について語るのは難しい。十分に面白く、驚きのある映画である。特にその色彩感覚は素晴らしい。チャン・イーモウ監督作品の好きなところはなんといってもチャレンジしていくところで、その点では言うことはない。
 もちろん、観る僕の側にも問題はあるのだと思う。純粋に作品を楽しむというよりも、他の人にはどういう感想を持たれるのだろうな、なんてことが気になる。「マトリックス」と比較させた陳腐な宣伝がたまらなく嫌だった。
 とにかく、複雑な印象を持ちながらこの映画を観た。面白い。それは間違いないのだけれど。
 そうそう、『初恋のきた道』のチャン・ツィイーは立派になっていた。もう餃子を持って転ぶこともないのだろう。
 ところでこの映画を観た感想として「英雄」という名前の飲み屋が出来たらいいなぁと思ってしまった。この映画に出てきたようなセットの店内で中華料理を食べたら楽しいだろうなぁと。



春雨秋冬 2003/8 #2


2003/8/20

◆ 夏の思い出
 今年は夏なのか何なのかさっぱりわからない気候である。でも、この東京での季節感とは何なのだろうか。寒さで朝方に起きてしまったろき、そうしたことを考え込んでいた。プールが儲からないだろうな、ビールの消費はどうなるのかな、若い女の子の露出度は下がるかな、なんて……。考えてみると、こうしたことでしか「季節」というものを感じることができないのは何か情けないような気がしてきた。では、夏とは何なのだろう。
 子供の頃の夏を思い出してみる。ギンギンに暑かった。クーラーなんてものはなかった。昔だから過ごしやすかったなんてことはない。目を閉じて、振り返ると、音が聞こえる。それは蝉の声である。東京でも公園などに行けば蝉の声は聞こえる。でも、子供にとって夏の蝉採りというのは特別のものだった。いつも網を手にしている奴もいた。
 そうなのだ、うるさいくらいに蝉の声が聞こえていた。最初に蝉の幼虫の抜け殻を見つけたときには、驚きだった。一度、殻を破り脱皮するところを見たことがあった。残念ながら、その蝉は羽を広げて飛ぶことはなかった。
 ささやかな夏の思い出なのだけど、今だに忘れることはできないでいる。
 エンカルタ百科事典で「蝉」を調べてみた。何種類かの写真がある。クリックすると鳴き声が聞こえてきた。ああ、夏なのだね。

■ ビデオ『マルホランド・ドライブ』デイヴィッド・リンチ監督http://www.mulholland.jp/)[WOWOW]
 ちょっと不思議な雰囲気の映画だった。ドキドキしたし、出演者も魅力的だった。特にナオミ・ワッツはよかった。けれど……。恥ずかしながら、僕にはこのストーリー、何がどうなっているのかわからなかった。わかったならば、その微妙なところが凄く面白いのだろうけど。わからないのは僕だけなのだろうか、不安がある。かなり評価の高い映画なのだ。まあ、いつかまたチャレンジしよう。「映画を観よう」と思い始めてから、まだそんなに経っていない。本だって、長いあいだ読んできて、ようやくおもしろさが感じられるようになったものもある。

◆ から騒ぎ
 土曜日の夜といえば、明石家さんま司会の「恋のから騒ぎ」が定番だった。綺麗なお姉さんを見ることができるということで、けっこう楽しみであった。それがこの数ヶ月見なくなってしまっている。土曜日の夜、この時間は何かと忙しい。ビデオ2台で何らかの番組を録画するのだけど、他に撮りたいものがあって、この「恋のから騒ぎ」は外れてしまっている。昨年のシリーズ(出演者ですね)あたりから、なんとなく馴染まなくなってきているというのもあった。
 外で飲んで、部屋に帰ってテレビをつけると「恋のから騒ぎ」が映っていた。2分半くらいは見ていた。けれど、どうしようもない気持ちになってチャンネルを変えてしまった。たぶん、今年は見ないような気がする。
 どうして、こうなったのだろうか。僕も少しは大人というものになったのだろうか。それとも、バカなオヤジになってしまったのだろうか。
 年齢と共にこうした感覚は変わるのだろうか。それとも血液型なのだろうか。

■ 山本博著『日本のワイン』(早川書房)
 ワインについてウンチクを語る人がいる。そんなに詳しくないにしても、持ち方とか何だかんだと気にする人がいる。まあ、ぶっちゃけた話、女性に多いよね(笑)。でも、楽しく飲めればなんだっていいじゃん、と思ったいた。
 この本を読んで、自分の考えは間違ってはいなかったのだと嬉しくなった。だいたいにして、ワインについて語る人で、日本のワインを飲み、育てようという気持ちを持っている人なんて、いなかった。
 この本には、ワインとは日常的に飲むものだと書かれている。つまり、安いというのがワインなのだ。高級なワインという例外はある。しかし、楽しむということで言えば、安いのでいいのではないか。
 日本のあちこちにあるワイナリーについて書かれている。けっこう手厳しいことも書かれている。『美味しんぼ』の山岡君についても意見を言っている(笑)。でも、ワインを育てていこうという気持ちに溢れている。
 ワインを飲むのだったら、あえて日本のワインを飲みたいと思うようになってきた。情熱を持ってワイン造りをしている人が多くいるのだから。
 ところでこの本を読んでいて考えたことがある。日本でワインを造るということがあるのならば、将来的に日本酒が海外で造られることがあっても、まったくおかしくないのだろうということだ。今はアメリカでも米は作られている。日本以外でも美味しい水はあるだろう。ワインも、日本酒も、がんばってほしいと思うのである。

◆ テレビコマーシャル、その1
 携帯電話のテレビCMを見て、腹が立つのは僕だけだろうか。特定するわけでなく、どの会社も何か感覚がズレてしるように思えるのだ。
「話せればいいじゃん」というCMがある。確かにそうだ。僕もこの意見には、大きく賛成する。カメラのない携帯電話というのがもっとあってもいいと思っている。でも、携帯電話(ケイタイ)と電話とではやはりその意味は違っているはずなのだ。僕はこの携帯電話で一番利用している機能は何かというと、目覚まし時計である。「アラーム」を朝起きる時間に設定していて、携帯電話で起きることにしている。部屋には他の目覚まし時計もあって、平行して使っているのだが、時間が狂うということはほとんどなく、安心して使うことができる。僕にとって携帯電話という存在は、話せばいい、だけではないのである。たぶん、携帯電話を使っている人のほとんどは同じではないか。僕は電話として話をするよりも、メールを使う方が多い。携帯電話において「話をする」ということはいくつかの機能のうちのひとつとなっている。「話せればいいじゃん」というのは気持ちとしてはわかる。けれど、メールの出来ない携帯電話なんて、あまり買う人はいないと思う。もう少し、明確な日本語を使った方がいいのではなかろうか。話せればいい、と言いつつ、伝わる話になっていないような気がする。
「話せればいいじゃん」というのであれば、1機種だけでもいいから、「話す」以外の機能を全く持たない携帯電話があれば、良いと思うのだけど。だったらすごく話はわかる。

■ ビデオ『HANA-BI』北野武監督 [WOWOW]
 WOWOWで北野映画の特集をやっていて、観ることにした。特にこの映画は評判の高かった作品。楽しみにして観たのだけど、僕にはよくわからなかった。でも、こういう映画はほんの少しで印象が違ってくるのだろう。静かな映像が流れてくる。自然の描写があり、暴力がある。ふと、この世界に入っていったりもするのだけどね。

■ ビデオ『菊次郎の夏』北野武監督 [WOWOW]
『HANA-BI』に続いてこの映画を観る。やっぱりよくわからなかった(笑)。ごめんなさい。
 いつか違った感覚で観ることができる日もあるだろう。この監督の映画は、日本よりも海外で評価されているように思うのだが。例えば、フランス映画なんかをどんどん観ていくならば、こうした映画の感覚もわかってくるのかもしれない。

◆ 停電
 アメリカ、カナダで大きな停電があって大騒ぎになったという。どうにも、遠い国のことのように思えてしまうのだけど、現実問題としてこの東京で起こったら、なんて考えてしまった。
 食事に関しては、冷凍庫に眠っている食べ物は困ったことになる。でも、食べてしまえば問題はないはず。炊飯器は使えないけれど、ガス台でご飯を炊くことは出来る。カセットコンロもあるし。酒もちゃんとあるし。食べる文には何も問題はないだろう。テレビは見ることができなくても、困らない。1週間とかの長さであれば考える必要もあるけれど、けっこう食べ物はあるなぁと思った。まあ、準備をしていたほうがいいのだろうけど。
 考え込んでしまったのは、インターネットについてだ。バッテリーで6時間くらいは電源は持つ。こういうときに、電話回線はどうなのだろうか。
 僕の部屋には未読の本がいっぱいあるし、取り立てて困るということはないようにも思えた。
 外からの情報はどうやって……。実は僕の部屋にはラジオがないということに気が付いた。やれやれ。このくらいは買って用意していた方がいいのかな。携帯電話のカメラの代わりにラジオが付いていればいいのにね。
 こんなことを書いてしまうと怒られるかもしれないけれど、たまには停電というものがあってもいいように思うのだ。電気というものを大切だと感じるようになるかもしれない。言葉でただ言われても、そう簡単に実感できるものではない。電気のない時というのを過ごして、何らかの大切なことが感じられるかもしれない。
 最近の日本には、少子化という問題もある。これなんかも、大きな停電によって少しは解決になるのかもしれない(笑)。離婚率が高くなっている世の中、静かな空間で語りあったり、語らなかったり、そういう時間が無くなっているのかもしれない。
 とにかく、実際に停電が起こっても、落ち着いてその状況を楽しんでいられたらと思うのだけど。

■ 映画『名もなきアフリカの地で』カロリーヌ・リンク監督http://www.gaga.ne.jp/africa/
 数ヶ月前から楽しみにしていた映画だった。ナチスの時代、ドイツからアフリカへと渡った家族の話である。直接的に戦争のことが語られているわけではない。故郷の様子を、手紙やラジオで聞くくらいで、現実的な悲惨な映像もない。けれど、それだけに、深く悲しいものがあったように感じられた。
 そして、この映画は何よりも家族の物語である。どの時代でも変わることはない、夫婦の関係がある。気持ちのすれ違い、生き方の問題。辛いことは多くあるのだけど、人というのは確かに強くなっていくのだな、と嬉しい気持ちにもなった。
 子役のレギーナを演じる2人が、どうしようもなく良い。この物語の進行と共に、大人になっていくところが凄くいいのだ。心が大きく成長していく。彼女はこの物語の象徴なのかもしれない。

◆ ブックショップ
 渋谷のbunkamuraには映画を観るために、何度か行っていた。正直なところ渋谷という街は苦手で、この場所まで辿り着くまでがけっこう大変なのだが。先日映画を観たときに、ぶらぶらと地下のスペースにエスカレーターで下りてみた。どうなっているのか、少し気になっていたのだ。
 なんと、この場所にはひっそりと本屋さんがあった。「ブックショップ ナディック モダン」(http://www.bunkamura.co.jp/shop/book/)という。写真集やCDが多く、普通の書店とは違うのだけど、ちゃんと本は売っている。とてもこだわりのあるセレクトとなっている。ちょっとした2階もあるこの店は、オシャレだ。嬉しくなってきた。この店(というよりショップと呼ぶべきか)は他にもいくつかの店舗(http://www.nadiff.com/)を持っているようだ。とてもいい雰囲気。
 他にもこうした書店があるのかもしれない。読書というと、あまりかっこよくないイメージがあったかれど、変わってきているのかもしれない。

■ 映画『エデンより彼方へ』トッド・ヘインズ監督http://www.gaga.ne.jp/eden/
 評判の高いこの映画、その通り、素晴らしかった。大絶賛したい。映像はきれいで、不思議な夢の中にいるような感じさえする。ほんとうに、映画館のスクリーンでこの風景を体験できたことは幸せだった。衣装と、それを着こなすジュリアン・ムーアも言うことは無い。そして、この物語も好きだ。
 観る人によって、この物語に対しての感想は違うのかもしれない。話を聞いてみたいような気もする。
 強い印象ではない。静かな、表面のところにあるものではないずっと奥のところに、静かにこの映画を観た印象が流れている。

◆ 映画館
 映画『エデンより彼方へ』は「日比谷スカラ座」で観た。古いときには何回は入ったことがあったけど、新しいところは初めて。綺麗でとてもいい映画館だった。雰囲気が日常から離れた気持ちにさせるからだろうか。椅子もゆったりしているし、その傾斜もいい。となりのオバサン2人組が話をしていてうるさかったのには頭にきたが、とにかく、とてもよかったのだ。
 あちこちの映画館に行っているけれど、新しいところでその雰囲気を楽しんでいる。
 そこで、映画館というものをインターネットで探していた。こうした雰囲気をもっと感じてみたいと。
「港町キネマ通り」(http://www.cinema-st.com/)というサイトに出会った。けっこう有名なところなのだろうか、凄くグッドなサイトだった。映画が好きだという人は、誰しも気に入るのではないだろうか。デザイン、写真と、とてもしっかりとしている。まさに、映画館の雰囲気のようである。

■ 山本ふみこ著『食卓の力』(晶文社)
 久しぶりに山本ふみこのエッセイを読んだ。読みやすく、力が湧いてくる。食事というのは、大切なものなのだなぁと改めて思う。
 やや話は逸れるが、この本を読んでいるときに、NHKーBSで放送された「特選・プロジェクトX」の「妻に贈るダイニングキッチン」という番組を見た。戦後、住宅公団が新しい団地をつくるにあたってのダイニングキッチンの開発の物語。それまで、台所という場所は陽の当たらない暗いところにあったのだという。僕も昔の家は知っているので、確かに台所は家の中心ではなかった。キッチンを家の中の中心に置くという、ダイニングキッチンにより、日本人の生活が大きく変わったのかもしれない。
 こうしたダイニングキッチンの話と重ね合わせて、僕はこの本を読んでいた。2倍楽しめたように思う。

◆ 予告編
 映画を観ていないと、別に観なくてもいいや、という状態になる。別に死ぬこともないし、第一、せっかくの休日に電車に乗って人込みに中を歩くのは苦痛である。デートコースだという人もいるかもしれないけれど、その後のことが気になって映画を観るのに集中できないかもしれない。とにかく映画というのは、ちょいと重い腰を上げなければならないものだろうと思う。
 ところが観る習慣のようなものがついてしまうと、ついつい観てしまう。もちろん、面白い映画に出会ったということもある。けれど、最大の理由は映画の予告編ではないかと思う。短い時間にまとめられた予告編は、下手をすると本編よりも面白かったりする(笑)。何度本編を観てがっかりしたことがあっただろうか(笑)。
 実は、今から楽しみにしている映画がある。中国映画で『再見 ツァイツェン』(http://www.cinemaparisien.com/roots/)という作品だ。何人かの子供が出てくるのだけど、その表情がたまらないのである。岡江久美子さんが日本語でナレーションをしているのだけど、その声が優しくて「がまんしなくていいんだよ」と言われているみたいなのである。僕はこの予告編を3、4回ほど観ているのだけど、この予告編だけで目頭が熱くなって、コンタクトの目薬が必要ないという状態になってしまう。ハンカチを用意してください、とこの予告編に出てくるのだけど、1枚では足りないかもしれない。
 もう1本の楽しみはやはり中国映画。『たまゆらの女』(http://www.herald-arthouse.com/tamayura/)という作品。コン・リー主演のラブ・ストーリーだ。彼女は2人の男のあいだで、揺れ動く。きれいな表情なんだな。この映画のコン・リーは。実は僕が最初に観たコン・リーと言えば、チャン・イーモウ監督の『秋菊の物語』。まったくもってキレイという感じはしなかった(笑)。考えてみると、現代を舞台としての恋する女性の役を演じるというのは初めてなのではないだろうか。とにかく、コン・リーを観るのが今から楽しみなのである。
 ところで、映画には予告編というものがある。CDなど音楽にはプロモーション・ビデオというものがある。多くの人に観て、聴いてもらおうと、あの手この手でがんばっている。よく考えると、本の世界というものはどうやって宣伝をしているのだろうか。ひとつの本に、ひとつのウェブサイトがあっていいと思うし、その作品の舞台の映像などがあれば、より深くその作品世界に触れることができるかもしれない。文学とはそういうものではないと、お叱りを受けるかもしれないが、他のメディアに比べて営業努力をしているのだろうか、という疑問も正直なところあったりしている。

◆ カップラーメンに捧げる
 力なく帰路につく夜。ひとりで居酒屋にでも入ればカッコいいのだろうけど、僕はどの店にも入れそびれ、結果としてコンビニに入る。弁当か何かの惣菜を買って部屋で飲もうと考え、店内をウロウロする。弁当を買っても、やっぱり美味しくないだろうなぁとそのまま帰ろうとする。うーん。また悩む。ついつい美味しそうなカップラーメンに眼が行き、3つほど買ってしまう。帰ってからの気分で決めようと、味噌味と醤油味と豚骨味と。部屋に帰り、焼酎を飲む。冷蔵庫にはいくつかのツマミがあるので、それを食べる。ビデオを流し、インターネットを眺める。お湯を沸かし、カップラーメンを食べる。この日は日清のGooTa(http://goota.jp/)雲呑坦坦麺にした。汗を流しながらスープまで飲み干す。美味い! まあ、欲を言えば麺についてとか、スープについてとか、いろいろとある。でも、これはカップラーメンなのだと思う。お湯を沸かしてから食べてしまうまでの、時間限定のちょっとした楽しみだ。もの凄く楽しいというわけではないけれど、300円分は十分に楽しい。過度の期待はしないけれど、ほどほどの期待は裏切らない。
 たまに、どうしても食べたくなる。あと3日しか生きられないというときに、残りの食事のメニューをと聞かれたならば、その1食にカップラーメンを入れるような気がする。健康に良いわけではないだろう。でも、食べたい。
 例えば、現状における日本というものが、このカップラーメンの中に全て凝縮されているように思えるのだ。ある意味で、造り手の芸術品とも言えるだろう。競争の激しい世界、生き残るのはほんの僅か。限られた値段、美味しいと感じさせる宣伝。良いことも、悪いことも全てがこの小さな世界の中に入っている。
 それにしても不思議だ。今は健康ブームと言われている時代である。「健康に良いカップラーメン」というのは出てこないのだろうか。カルシウムが入っていたり、乳酸菌が入っていたり、頭の良くなる鰯ラーメンなんてあってもいいのではないか。塩分控えめ、にがりラーメンなんてのもいい。健康ドリンクの成分がまるごと入ったリゲイン・ヌードルなんてあったら大人気になりそうにも思えるけれど……。
 祭りの後というのは寂しいけれど、カップラーメンを食べた後の寝るまでの時間というも負けることなく寂しい。


捲土重来 2003/8 #3


2003/9/22

◆ 復活??
 ドルフィンホテルはこのひと月更新されていなかった。僕が夏休みを取らせてもらったというわけだ。せいぜい2週間くらいだと自分では思っていたのだが、いつの間にか時間は流れてしまった。日本の感覚から言うならば、ひと月の夏休みは長いかもしれないが、実はまだ休み足りないでいる(笑)。
 この休みでリフレッシュすることができたかというと、まったく出来ていない。よし!頑張ろう、といった意欲が湧いてきたわけではない。何のための夏休みだったのかわからないでしたりする。とりあえず、復活はしてみたけれど、すぐに秋休みに入るかもしれない(笑)。
 休みとはいっても、毎日インターネットにアクセスしていたわけで、全く「休み」にはなっていないのだろうと思う。旅行に出れば強制的にネットと離れた生活になるわけで問題はないのだが、自宅にいながらウェブサイトの夏休みを取るというのも難しい。休みを取るのには、時間だけでなくお金も必要なのかもしれない……。
 それにしても、日本の多くのサラリーマンの人達は長期の休みを取るとはいっても、せいぜい10日くらいだろうか。このくらいでリフレッシュできるのだろうか。例えば、サッカーや野球などのスポーツ選手は、オフを取り身体を休める期間というものが必要とされる。普通の仕事に関しても、こういう期間は必要だと思うのだ。ウェブサイトを運営するのであれば、全く見ることすらしないオフ(あの、オフ会のことではないです)の期間が。
 まあ、オフ期間というものに関しては、これからもゆっくりと考えてみようと思っている。
 読書夜話を月に4回アップするというのは今年の僕の目標というか、自分で決めたことである。そろそろ9月も残り僅か、そろそろ何か書かないと挽回できないわけなのであった。
 もちろん、今後どうなるかはわからない(笑)。

◆ パン屋さんの謎
 日比谷で映画のハシゴをしていたときのこと、シャンテの中にあるヴィドフランス(http://web.infoweb.ne.jp/VDF/)というパン屋さんに入った。できればどこかお店に入って食事をしたかったのだけど、次の映画までの時間がない。このパン屋さんはあちこちに店があって、前はよく食べていたところ。シールを集めて白いお皿をもらったこともあった。ここ数年は近場にないために、懐かしさもありここでパンを買うことにした。アイデア満載のパンが多いので、楽しいんだよね。もちろん映画を観ながら食べるなんてことはできないけれど、待っているときに食べることもできる。弁当を広げることは当然難しいわけで、考えてみればこんな風にパン屋さんでいくつかのパンを仕入れて映画を観るというのはグッドアイデアかもしれない。でも、なんで映画館ってものを食べる雰囲気はないのだろうか。歌舞伎座なんて、弁当を食べてこその楽しさがあるはず。ポップコーンとホットドックだけでなく、もう少し食べる楽しみをと思うのだけど。
 ところでここでのテーマはシャンテの中にあるヴィド・フランスである。僕は3つほどのパンをトレイに乗せて列に並んだ。お昼時でトータルで15人くらいは並んでいた。その列を良く見ると、女性ばかり。パンを買おうと選んでいる人達も、よーく見ると100%女性だった。なんで男はいないのだろうか……。
 米とパンでどちらが好きかと問われるならば、米の方が好きである。でも、パンだって美味しいし、たまには食べる。男性は女性と比べてあまりパンを食べることはないかもしれないけど、それにしてもゼロってこともないと思うのだけど。ほんとうに、この日、この瞬間、この場所では男は僕しかいなかったのであった。
 だから何?っと聞かれると困ってしまうのだけど、何事も男女のバランスというものは大切だと僕は思うというお話でした。

■ 籏智優子著『カフェをはじめてみませんか?』(柴田書店)
 ちょっとした入門書、インタビュー本、この本を何と表現したらいいのだろうか。カフェの本ではあるのだけど。
 8件の実際のカフェのケースが書かれている。カフェ作りのハウツーというよりも、カフェのマスターの人生のようなものである。どうしてカフェをやろうと思ったかとか、そのとき蓄えがどのくらいあって、借金をどのようにしたかとか。もちろんどういう手続きが必要か、なんてこともしっかりとは書かれているけれど、僕は、ああこんな人がこんなことを考えてカフェを作ったんだ、という感覚でこの本を楽しんだ。
 それにしても、みなさんけっこう貯金があるのだと驚き(笑)。家を建てることを考えるならば、カフェをやるということはそんなに資金の掛かることでもないのだろうけど。
 実は昔、僕が10代の頃。親に喫茶店をやりたい、と言ったことがあった。どのくらい僕が本気だったのか、自分でもよくわからないのだけど、親は相当怒った様子だった。でもな、大きな組織で歯車のような仕事をしていくよりは、自分でカフェなんかをやって、苦労していく人生というものも価値のあるものだと思ったのだけど。

◆ キラキラ星の花火
 としまえん花火大会を見る。公園の芝生にビニールシートを敷いて、宴会をやりながら。まわりにこうした人がそんなにいるわけではないが(笑)。東京都内の花火大会にこの花火のお知らせはほとんど載っていない。それだけ知らない人も多いかもしれない。でも、けっこう穴場なのだと思う。30分と打ち上げの時間は短いが、ちゃんとした本格的なもの。しかも、けっこう近くで見ることができる。遊園地の中でだったら、ほんとにすぐ真上で打ち上げているような感覚。
 他の花火大会を見たことで気が付いたのだけど、華やかな花火が多かったようにも思う。花火というもの自体華やかなものではあるけれど、キラキラと星が輝くような、まさに遊園地にぴったりという雰囲気の。ドカーン、ドカーンという大きな花火もいいけれど、その場所、テーマにもよるのかもしれない。
 夏は暑くて苦手だけれど、暑くないと花火がキレイに感じられないのだろうね。

■ ビデオ『ショーシャンクの空へ』フランク・ダラボン監督 [レンタル]
 スティーヴン・キング原作の映画。素直に楽しめた。ああ、よい映画を観たなぁ。よかったなぁ。数日間はニコニコと過ごすことができた。
 思い返しても、うまく作られていると関心してしまう。こんなことを言うのは失礼なのかもしれないけど、スティーヴン・キングって凄いな、と本当に余韻に浸っているのであった。

◆ 雑誌
 むかしむかし、僕は雑誌をよく買う人だった。モータースポーツとか、プロレスとか(笑)、書店で気になったものは何でも買っていた。それが今ではほとんど買わない。あまり面白いと感じなくなってきたのだろうか。とにかく人間、変われば変わるものだと思う。
 でも、ちょっとだけ買っている雑誌がある。「TOKYO BROS」(http://www.tokyonews.co.jp/tokyobros/)という情報誌。きっかけというのは、ひと月分のテレビ番組と映画上映予定が載っているというもの。この2つが、ひと月分載っている雑誌というのはなかなか無かったもので。でも、この雑誌の良さはそれだけではなかった。けっこう特集がユニークだったりしている。今月号は「東京NEW屋台ガイド」というものだった。若者のやっているオシャレな屋台なのである。こんなのもあるのだ、と驚かされる。他にも、カフェやインテリア雑貨に力を入れている雰囲気があった楽しかったりしている。
 もちろん、よく見ると他の雑誌だってけっこう面白かったりする。「OZ magazine」も凄くいい雰囲気。でもなぁ、ちょっと気を許すと、どんどん買ってしまいそうな気がするんだよな(笑)。

■ 映画『10日で男を上手にフル方法』ドナルド・ペトリ監督http://www.uipjapan.com/10days/
 いわゆる、フジテレビあたりのドラマによくあるようなテーマなのだけど、十分に楽しむことができた。
 なんといってもこの映画の魅力はケイ・ハドソン!! ハッキリと文句を言うけれど、ポスターやウェブサイトのトップページの彼女の写真は良くない! 実際に話をして、笑顔を見せている(怒っている表情もいいけれど)ケイ・ハドソンは、もの凄くキュートで最高なのである。服装や髪型がどんどん変わる。ものすごーーーーーく意地悪なのだけど(笑)、こんなに可愛く綺麗ならば、どんな男でも我慢できるのではないだろうか。でも、ワールドカップの日本戦でだったら、無理かもしれないかな(笑)。
 とにかく、たまにこういう映画を観ると、元気になったりします。

◆ 銭湯
 何もする気の起きない夜があった。夜と言ってもまだ時間は9時くらい。夕方から酒を飲んでいたので、もう飲むのも疲れてきている。寝るにはまだ早い。ということで僕は夜の散歩に出た。どこかの店で何かを食べようかとも思ったのだが、暑さのため食欲もなく、ただだらだら歩いて部屋へと戻った。
 そのあと、僕は洗面器にタオルを入れて銭湯へと向かった。なぜか歩いているときに大きなお風呂に入り、この汗を流すのもいいかと思ったのだ。もちろん、湯船に歩いているときの汗を流すということではないのだけど。歩き、汗を流し、そしてお風呂につかる。とにかく僕はユニットバスではない、大きなお風呂に入りたくなった。
 実は僕の部屋から歩いて2分ほどのところに銭湯はある。2分も掛からないかもしれない。そのくらい近くにありながら、入ったのは2回か3回くらいしかなかった。面倒な気持ちの方が優先していたのだった。
 400円を払って男湯と書かれた暖簾をくぐった。いつの間にか高くなっている。僕が子供の頃にはひと桁だったような記憶があるが。まあ、潰れないで残っているだけ嬉しいと思うべきなのだろう。前に住んでいるところでも、年に1回か2回、銭湯に入っていた。たまには入りたくなる。でも、その時の銭湯は潰れてしまった。銭湯が少なくなっているという話は聞いていたが、1回でも自分の入った銭湯が消えてしまうのは、辛いものだった。
 ちなみに下駄箱も更衣室のロッカーも32番を使用した。子供の頃は3番だったのだけど、新しい番号を選ぶことで、新しい自分が生まれてくるような気がしたのだ。もちろん、32番というのはハンブルガーSVの高原を応援しようという気持ちである。
 久しぶりに入る銭湯というところは、普通に混んでいた。洗い場がいっぱいになるというほどでもないけれど、適度に人はいて、この街の生活にちゃんと銭湯があるのだなぁという雰囲気があった。身体全体を泡立てて、ゴシゴシと洗う。隣のおっさんはやや気にはなるけど、やっぱり気持ちがいい。そして、ゆっくりとお湯につかる。当然のことだけど、ユニットバスとは違うものだ。ジェット水流の湯船に入り、漢方薬の入った湯船に入る。こうやってのんびりしていると、いろいろなことを忘れることができるのかもしれない。長くつかっていると、のぼせてしまうわけだけど。
 あと300円出せばサウナに入ることもできる。夏バテで血圧も高いという僕は、サウナはパス。でも、いついか入りたいと注意書きを読んでいた。そのとき、ちょっと奥の方にあるドアに気が付いた。ちょっとその方向に行ってみる。おそるおそると。なにせ普段コンタクトかメガネを書けているのが僕の実態である。銭湯の中で僕の行動力はもの凄くスローになる。
 なんとそのドアは露天風呂への入り口だった。前にこの銭湯に来たときには気づかなかった。この銭湯の建物の側面に、小さいけれど露天風呂はあった。木のベンチがあり、カエル(のような)の口からはお湯が出ている。見上げると、ちゃんと空がある。風は僕の身体に直撃する。おおお、なんと気持ちのいいお湯なのだろうか。湯船の向こうには白石美帆ちゃんもいるではないか(ウソだけど)。まさに露天風呂だった。
 毎日生活をしているすぐ近くに露天風呂があったとは。なんだか感激してしまった。嬉しくて、けっこう長い時間この場所に居たような気がする。時間の流れを忘れているので、この長い時間というのがどのくらいだったのか、よくわからなかったけど。

■ 船戸与一著『夢は荒れ地を』(文芸春秋)
 久しぶりに船戸の物語を読んだ。良かった。今回の舞台はカンボジアである。この本を読むと、いかにカンボジアという国を知らなかったかということがわかる。もちろん、この本はフィクションである。けれど、子供の
問題など悲惨な状況というのは確かにあるのだろう。
 これまで長いあいだ、この船戸の本を読んできたのだけど、なんだか世界旅行をしているみたいだ。ほとんどが紛争地帯とか、交通事情もよくないところだけど(笑)。でも、生きている、というのが実感できるのである。
 正直に言うと、船戸与一はこの数年(冷戦が終わり)元気が無くなっていたように感じていた。この物語は、元気があるというわけではないけど、タイトルの通り「夢」があるのだと思えた。なんというのかな、いくらかバージョンアップしたというのだろうか。

◆ 街を歩く
 なんというか、やるせない気持ちの8月のある日。けっこう暑い1日だった。僕は昔住んだ街を歩いてみることにした。荻窪駅から阿佐ヶ谷まで、汗をかきながら。暑いというのになぜか温かいラーメンなんぞも食べてしまって。
 まったくといっていいほどお金のない状態で僕はこの街に移り住んできた。もう15年ほど前のことだ。お風呂もない、とても安いアパートを借りて住んでいた。6畳の部屋にはほんとうに何もなかった。テーブルに、パソコン、数冊の本が並べられていた。何もなかったけれど、ちょっとは夢があったのだ(笑)。それがどんなものかはもう忘れてしまったけど。
 この小さな路地の住宅地がとても心地よいものだった。新聞の勧誘には腹が立ったけど、静かで穏やかな家庭というものが、溢れているように感じていた。
 前に住んでいたアパートはもう無くなっていたとばかり思っていた。かなり古いものだったからだ。ところがちゃんと残っていた。嬉しいような、恥ずかしいような。冷房はどうしているのだろうか。
 こんなふうに昔住んだ街を歩くことで少しは元気になるかな、と思ったけど。そんなことは全くなく、汗でシャツがぐしょぐしょになっただけだった。街並みは変わっていないのだけど、ハイカラな建物が多くなったように思えた。

■ ビデオ『ピアニスト』ミヒャエル・ハネケ監督http://www.herald.co.jp/movies/pianist/intro.html)[WOWOW]
 なんだろう。主人公の女性ピアニストが少し可愛そうに思えた。強い人なのだろうけど、強いからこそなのだろうか。これが男性だったら、ちょっと変わった奴くらいの話で終わるのかもしれないけど。どうなんだろうね。
 ピアノが好きで、がんばってがんばっている女性の人はこの映画を観てどう思うのだろうか。
 あとになって、不思議な余韻の残る映画なのかもしれない。

◆ 夏休み
 こういうことを言うのはあまりカッコのいいことではない。書くつもりもなかったことだけど、こういう気分だったということで、少しばかり書いてみる。
 僕という人間は、人と会うということがとても苦手だったりしている。飲み会のようなものをやったとする。あれっ、ひとり来ないぞ、と心配したりする。連絡をしてみると「忘れてしまった」なんて言われたりする。滅多にないことなのだろうけど、こういうことはけっこう頻繁にある。忘れたという相手はけっこう恐縮してしまっている。必要以上に謝られても困ってしまうし、仕方のないことなのだろうと思う。誰にだって、うまくいかないことはある。
 けれど、滅多にないという状況というものが、何度も何度も重なってくると、さすがに参ってしまう。
 まあ、だから何だというわけではないのだけど、しばらく静かに休むことも必要なのだと思ったのだ。しかし、休むということも難しい。このまま10年くらいは休んでいたいのだけど、それはそれでマズイなぁとは思うのだ(笑)。


懸崖撒手 2003/8 #4


2003/9/22

◆ ご祈祷
 都営地下鉄の広告に「根津神社」(http://www.nedujinja.or.jp/)が出ていた。そういう神社があることすら知らなかったのだけど、なんとなく行ってみたい気持ちになった。神社に行ってみたいという気持ちが密かにあった。気持ちを切り替えたいような出来事もあった。まあ、とにかく暑い暑い陽射しの日に僕は根津神社に行った。
 平日だったこともあり、人は少ない。ベンチで新聞を読んでいる人なんかもいる。静かだった。
 まずはお賽銭を入れて、お参りする。こういうことは久しぶりのこと。時にはいいものだ。
 さて、これからメインの目的へと移る。実は僕は「ご祈祷」というものをしてもらおうと思ってこの神社に来たのだった。生まれて初めてのこと(たぶん)。恥ずかしながら、厄払いというものをやってもらおうと思ったのだ。何もしないで過ごすよりも、ちょっとは安心できるかなという単純な動機でもある。受付で名前と住所などを記入する。すると、「お気持ちでご祈祷料を」と言われてしまう。当然いくらかの料金が必要だとは思っていたが、「お気持ちで」と言われても……。決まっていないのですか、と聞いてみても「お気持ちで」という返事しか返ってこない。いくら気持ちでも、100円を出すわけにもいかないしね。ああ、困った。僕の世間知らずなのがバレてしまったではないか。とりあえず、いくらかの気持ちを出す(内緒)。
 僕一人というのに、とても立派にご祈祷をしてもらった。時間は10分から15分くらいだったろうか。あまりにも立派すぎて、僕はずっとあの金額でよかったのだろうか、と悩みに悩んでいた。後から追加するというわけにもいかないしね。それに、久しぶりの正座も辛い。座っているのはなんとか耐えられるのだけど、立ち上がるときに、ちゃんと立てるか不安でどうしようもない。ということで、この2つの考えが頭の中をぐるぐるまわっていた。終わったところで、お守りにお札、それにパックのお粥をもらう。
 こういうことも経験なのだろうね。機会があったら、またどこかの神社でご祈祷なるものをしてもらうのも悪くはないかなと思った。
 終わってからすぐ近くにあった「根の津」という讃岐うどんの店で「ぶっかけ」を食べた。小さいけれど良い雰囲気の店で、美味しかった。この辺りの街並みも、歩いていて楽しかった。
 さてさて、僕のこれからはどうなるのだろうか。少しは運勢というものが前向きになるのだろうか。

■ 映画『ファム・ファタール』ブライアン・デ・パルマ監督http://www.ffmovie.jp/
 うーん、と唸ってしまった。面白く観たのは確かなのだけど。主役の女性はもの凄く美しかったしね。あとはパリの景色もとてもよかった。決してストーリーに文句があるわけではありません(笑)。なんというか、もの凄くお金を掛けたものが何処に行ってしまったのだろうか、という雰囲気です。
 そうそう、この映画を観ながら「なんだかルパン3世とおんなじじゃん」なんて思っていたのは僕だけだろうか。

◆ 高原へようこそ
 TBSのドラマ『高原へようこそ』が終わってしまった。少し寂しかった。いいホテルが無くなったという気持ちだろうか。こういう言い方は変かもしれないけど、このドラマは100点をつけるような良さではなかった。でも、そこがこのドラマの良さだったのかな、と余韻に浸っている。正直なところ、最終回のストーリーは僕には不満だった。長いものに巻かれるしかないような。頑張っても、何も変わらないという気持ちの方が大きかった。登場人物にしても、みんな少しばかり何かが足りないようだった。ある人は明らかに演技力が足りない。美男美女というにはもう一歩。ひとりひとりが、すごく魅力的なキャラクターではあるのだけど、100%ではない。何かが物足りない。けれど、物語の中で、あるひと時に他の登場人物の魅力と重なり合って、120%の良さが出てきたように感じた。
 たぶん、このドラマの物語の魅力と、登場人物を演じる俳優とが微妙に噛み合っていたように思える。キャスティングというのもテレビドラマの大きな要素であるけれど、それがとても成功したのではないだろうか。
 それにしても、もの凄く素朴な疑問だったのだけど、あんなホテルはあるのだろうか。規模的にはホテルというよりはペンションという雰囲気。「とっても落ち着けました」なんてお客さんのコメントはあるのだけど、夕食から朝食まで、寝る時間を抜いたらほんの数時間しかない。とっても良いところなのはわかるのだけど、高いお金を時間をかけて、こうした数時間の安らぎを得るというのは、とても寂しい毎日を過ごしているように思えてしまって……。
 なんかすごい文句をつけてしまった(笑)。でも、久しぶりに楽しいドラマを見せてもらって、嬉しかったのでした。
 ちなみに、あとでこのタイトルを見直すと「タカハラへようこそ」と読んでしまった(笑)。

■ 松井雪子著『イエロー』(講談社)
 帯に書かれている紹介文を読んで買ってしまう。ふむふむ。でもさ、この作者って漫画家なんだよね。
 いったいどんな人かとインターネットで探してみると、なんと松井雪子極楽HP(http://matsui-yukiko.com/)というウェブサイトを作っていた。このサイト、すごくいい雰囲気(笑)。スモークサーモン大好きの僕はすぐさま気に入ってしまった。まだまだ工事中というところは多いみたいだけど、「きのうのひとコマ」というコーナーもナイス。

◆ クローズ
 駅の近くにある書店が潰れてしまった。どうしてからわからないけど、突然に閉店の張り紙があった。たぶん僕はこの店で1万円か2万円くらいのお金を使っていたはずなのだ。書店は他にもあるけれど、なんだか寂しい。そう言えば新しい書店が1年ほど前に出来たのだけど、その影響だろうか。その新しい書店は雰囲気が悪かっただけに、歯がゆい気持ちだ。そして、近いうち僕がよく借りていたレンタルビデオの店も閉店するらしい。これも近くに別の店が出来た影響だろうか。なんというか、僕が良いと思っていた方の店ばかりが潰れてしまう運命にあるようだ。この店は、黒澤明や小津安二郎のビデオがいくつもあったのに。ああ、原因は僕の存在なのだろうか。
 最近、お気に入りのファミレスを見つけた。和食の店なのだけど、600円(300ml)の日本酒もあるし、ひとりでノートパソコンを開きながら酒を飲むのには良い雰囲気なのである。週に1回はこの店でドルフィンホテルの文章を書こうと思っている。けれど、ちょっとした不安もある。なにせ、客が少ないのである。少ない方が人間嫌いな僕としては良いのだけど、これだけ少ないということはどう考えても長くはもたない。アルバイトのおにーさんは全く気が利かなかったけど、店長さんらしきお母さんはよい感じの人だった。どうなるのだろうか……。
 池袋なんかの居酒屋でも、よいなぁと思っていた店はどんどん潰れてしまっているような気がしている。その後にはどーでもいいような、責任感のなさそうな雰囲気いっぱいのお店ばかりが増えていくのだ。
 やっぱり、僕が入ったことが原因になっているのだろうか。ドルフィンホテルに来てくれる人にも不幸が多くなっているのだろうか……。

■ 映画『HOTEL』マイク・フィッギス監督http://www.hotel-movie.jp/
 ホテルと名のつく映画はなんだか気になってしまう。どういう映画かわからずに、まあ行ってみた。何も知らないで観るのがまた楽しいのだけど。
 正直なところ、よくわからない映画だった。でも、わかるわからないは関係ない。それでも面白ければいいのだ、という考え方にこのところ変わってきている。まあ、不思議な映画だった(笑)。カメラの使い方など、普通の映画とはかなり違っている。ストーリーもちょっと変わっている。でも、そういうアバンギャルドなところが、この映画の面白さなのだろうな。

◆ 天気予報
 今年の夏は例年とは大きく違っていた。今も夏の延長のような季節なのだけど。それはそれでいいとして、天気予報が責められているみたいで、とても可哀相に思えた。そもそもが、「予報」なのである。当たらないことだって当然ある。天気予報に頼ることの方にこそ問題があると僕は思うのであった。
 問題なのは、天気予報の的中率がどのくらいかが明確になっていないことではないだろうか。例えば、「的中率70%のニュースステーションの天気予報の降水確率が30%だから傘を持っていこうか」なんて判断できればよいと思う。いくつかのテレビニュース、新聞、気象予報士の的中率のデータと、その天気予報とが一覧表になっていて、そこから一人一人が自分の判断で天気を予想するわけである。これだったら、誰からも文句はでないだろう。
 いっそのこと、サッカーくじと同じシステムで「天気予報くじ」なんてのがあれば楽しいはず。サッカーくじの人気はイマイチみたいだからね。10人くらいの気象予報士などの予想について、マークするのである。この天気予報くじの方がずっとエキサイティングかもしれない。ぜひ、実現して欲しいけど。

■ 山本ふみこ『食卓のこころ』(PHS研究所)
 やさしいエッセイである。食べ物について。レシピもいっぱい載っているのでとても楽しい。帯には「なにげない毎日をていねいに暮らす。」と書かれている。まさにその通りの内容である。
「人生のたのしみ」という短いエッセイがある。駅弁が好きだということがかかれtれいる。でも、乗ってみると通人電車スタイルの座席……。ボックス型の座席であれば、駅弁を食べるのもさまになるのだけど(笑)。彼女はちゃんと、あの座席で駅弁を食べていたという。ほのぼのとした駅弁を食べる風景。たまらなくいいです。

◆ 肩が凝る
 2週間ほど、ずっと読書夜話を書くということをしていなかった。まさに休んでいたのである。休日のときに久しぶりに部屋の机にパソコンを置いて書いてみると、右肩が凝るの何のって。新しいテーブルを買いたいと思っていたんだよな。希望としては、丸いテーブルが欲しいのである。だんだんと僕の好みは、角ばったものから曲線になってきている。角にぶつけて擦り傷をつくるなんてこともないし。ああ、それにしても肩が凝った。テーブルの高さを、ご飯を食べるときと、パソコンを使うときと、カシャとすぐに調整できればいいのだけど。自分で造るしかないのかな。あったら売れると思うのだけど。

■ 伊坂幸太郎著『重力ピエロ』(新潮社)
 帯の宣伝文句につられてついつい読んでしまった。雰囲気的には薄井ゆうじを読んだときの感覚に似ている。
 正直に言えば、ちょっと物足りなかったかな。そうそう、面白いといえば、この小説の舞台は仙台である。仙台の街を知る人はこの本を面白く読めるのではないだろうか。考えてみると、自分の住んだ街が本に出るというのは嬉しいものがある。イメージが当然のように膨らむ。街の景色がどのように小説の中で表現されているか。どうしても人物に注意が行きがちだけど、街の景色というのも小説を読む楽しいところなんだよね。

◆ とあるマンションの広告
 新聞に挟まっているチラシを眺めるのが好きだったりしている。特にマンションのものは、弁当を食べるときに下に敷いて、それを見ながら食べる。ちょっとした夢を見るわけだ。とろん。
 さて、チラシを見ていると、その内容にひっかかった。まあ、目くじら立てて言うようなことではないのだけど。
 そのマンションは見晴らしの良いことをウリにしていた。南向きであることが強調されていた。高層ビルで、日当たりがいいだけでなく、その景色にも緑があり、とても良さそうだ。ビルのイラストがあり、太陽の光線が矢印で書かれていた。なるほどなるほど、とてもわかりやすい。しかし、このビルのイラストには周辺の民家も書かれていた。どう考えても、太陽の光線の矢印を辿っていくならば、この民家に光は当たらない……。
 もちろん、高層マンションというものは、何らかの問題を抱えているのだろうと思う。工事現場に「建設反対」という文字を見ることも多い。けれど、光の当たらない民家をすぐ隣に書いておいて、日当たりがいいと強調する神経はいかがなものだろうか。それが事実だとしても、こうした広告を作る人、そのままOKを出してしまう人に想像力というものはあるのだろうか……。
 マンションの広告を見ると、夢があるように楽しい。設備、インテリアなど、センスのよい現代の最新のものが使われているのだろう。けれど、この夢とは何なのだろうか。

■ ビデオ『顔のない天使』メル・ギブソン監督 [WOWOW]
 ふむふむという感じで観ていた。少年の心というのは、いつの時代でも、どの国でも映画のテーマとなるのだろう。それにしても、アメリカの家ってでっかいよなぁ。例えはこの映画が日本版にリメイクされたら、なんてことを考えてしまった。飛行機に乗る場面はどうなるのかなぁ、なんて(笑)。

◆ 新しいパートナー
 アイロンを購入した。とは言え、家電店のポイントカードをそのまま使ったので、基本的にタダでこのアイロンを手に入れた。「National NI-CL501」というマシン(まあ、マシンと言いたい気持ちなのだ)。前からコードレスのアイロンが欲しかったのだが、まだ前のものが使えたということで新しいものを買うことができないでした。それが、ついに壊れてしまった。喜んでいいのかどうかわからないが、とにかく新しいアイロンと僕のフレッシュな生活が始まった。
 安いものにするか、高いものにするか、正直なところ少し悩んだ。ちょっとお値段高めのステンレスのコードレスアイロンは、それはそれは素晴らしいものだった。スムーズなんだよな。後ろから前から、シワになることなくスイスイとアイロンが進む。今までの苦労は一体なんだったのだろうか。これからのアイロンがけが楽しみになってきた。
 そうなのだ。恥ずかしながら僕はワイシャツのアイロンがけは自分でやっている。もう10年近くになる。クリーニングに出すお金がもったいなかったということもあるのだけど、村上春樹の小説を読んだのがきっかけだったと思う。確か『ねじまき鳥クロニクル』を読んで、自分もこの主人公と同じようにアイロンをかけようとしたのだった。好きな小説からは、すぐに影響を受ける奴なのであった。

■ 映画『シェフと素顔と、おいしい時間』ダニエル・トンプソン監督http://www.oishiijikan.com/
 大人の恋愛映画なのだろうけど、これは恋愛なのだろうか(笑)。まあ、そこが恋愛なのかもしれないけど。
 ちょっとしたすれ違いのようなものである。そこがいいんだな。舞台が空港というところも良い雰囲気だった。まったくの通行人みたいな感じで日本人も出てくる(笑)。しかし、正直に言って、ジャン・レノが料理をつくるのに違和感があって(笑)。この人はピストル持っているイメージが強くって。

◆ 無くしてしまって気づくこと
 手帳が無い! 僕はかなりビビッテしまった。職場に着いたときだった。後ろポケットに手帳を入れていたと思っていたのだが、無いのである。僕は常に手帳を持ち、何でもかんでもメモすることにしている。ふと気になったこともメモすることによって、このドルフィンホテルが成り立っているのである。そういうわけで、読書夜話ファンの皆さんは僕の手帳を労ってやってください。
 冬場であればスーツを着ているので上着の内ポケットにこの手帳を入れている。上着を着ない夏場は仕方なくズボンの右後ろポケットなのであった。
 部屋に忘れてきたのだろう。何だかんだと忘れ物をすることがある。どう考えても、部屋に忘れたのだろう。そう自分に言い聞かせ、1日を過ごした。外で飲むこともなく、さっさと僕は部屋へと帰った。ところが手帳は無かったのだ。ガーン! どうしよう。金目のものが入っているわけではないけれど、僕にとってはかなり大切なものが詰まっている。
 ダメもとで、職場に行く前に入ったカフェに手帳が無いかと電話を入れてみた。すると、あっさりと「ありますよ」という答え。一応僕の名前を言って確認してもらおうとすると、「中を見ていいですか?」と聞かれてしまった。わかりやすく、名前も住所も書かれているのに。僕から電話をしなかったならどうなっていたのだろうか。翌日この店に取りに行ったのだけど、名前を名乗ることもなく、ただ単にあっさりと手帳を渡されてしまった。よかったという気持ちよりも、なんだかいいのかなぁという疑問の方が多かったりしていた。
 大切なものが僕の手元に戻った。でも、どんなに大切かなんて、すぐに忘れてしまうのであった。



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