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読書夜話2003年12月

五陰盛苦 2003/12 #1


2004/1/5

◆ なぜか12月
 大変に申し訳ないのだけど、2003年に読書夜話を月に4回アップするのは無理だった。この回で終ってしまうと、なんと12月がないことになってしまう。それはそれで、何かやっぱりヘン。ということで、この回を12月にして1回だけで終ることにしようと思う。とまあ、こういうことにこだわっているのは僕だけかもしれないけど……。
 自分でやろうと決めたことなので、ちゃんと書きたかったのだけどね。ひょっとしたら、知らないうちにあとからアップする可能性もあります(笑)。真面目な話、2003年の後半はちょっとばかり変化があって、参ってしまう時期でもあった。まあ、僕も若くなくなってそんなに無理の出来ないこともあったということである。
 ただ、逆に考えるとこの数年の僕には変化が無さ過ぎたというようにも言えるかもしれない。ちょっとくらい変わったことがあった方が面白かったりするわけだ。
 ということで2003年、みなさんどうもお世話になりました。

◆ ビデオを観る毎日
 12月後半というのは部屋でボーっと過ごすことが多かった。ちょうどドラマなどのレギュラーが終った時期だったりということもあり、溜まったビデオ(映画)を観ることが多かった。録画するときに基準が特にあるわけではない。片っ端から、「映画」というものをテレビで録画して、それを観ただけのことである。あえて言えば、メジャーな作品は避けることもあるかも(笑)。
 正直なところ僕にも好みというものはある。しかし、テレビで中国映画の放送されるのを待っていても、なかなか放送してはもらえない。だいたいにして、いつものことなのだけど僕の好みはマイナーなのだ。ケーブルテレビには多くの放送局があるわけなので、ぜひとも「中国映画専門チャンネル」とか「イギリス映画専門チャンネル」とか、もう少し専門的であって欲しいのだけどね(笑)。
 でも、片っ端から観るということにも楽しさはある。10本に1本には驚かされるものがあったりする。美味しい居酒屋を探すときだって、目立たないところに10件も入っていれば、1件くらいはすごくいいところがあったりする。
 たくさんの映画を観ることは、ちょっと苦痛だったりすることもある。でも、自分の好みを見つけたときというのは、とても嬉しいものだ。

■ ビデオ『ふたつの時、ふたりの時間』蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督 [WOWOW]
 けっこう好きな映画だった。でも、正直なところよくわからなかった、というのも事実。でも、いい。
 うまくは言えないのだけれど、こういうのも映画であり。静かにだけど、深く気持ちの奥の方に伝わってくる感じがする。
 ただし、テレビの画面でこういう映画を観るのは辛いのだろうね。できれば、少し古い寂びれた映画館(客が5、6人しかいない)で観たならば、もっともっとこの時間に近づけるのかもしれない。
 それにしてもいい雰囲気の映像だった。壁紙にしたいくらい。

■ ビデオ『模倣犯』森田芳光監督http://mohouhan.yahoo.co.jp/) [日本テレビ]
 まあ多くを語ることはやめよう(笑)。と、これだけで終ってしまったならば、あまりにもコメントにならない。どうしようか。
 原作というのは、多くの人の人生のようなものが描かれている。あまり関係ないと思われる人の生まれてからの生活なども書かれていて、びっくりするくらいだった。けれど、多くの人生の断片みたいなものがこの事件で絡み合うというところが、この原作の魅力ではないだろうか。短い時間の映画であれば、当然どれかの人生に焦点が絞られることになると僕は思っていたわけだ。ところがその焦点の絞り方がなんとも中途半端。原作を読んでない人がこの映画を観て、話の筋がわかったのかどうか、とても疑問に思えたくらいだった。どうだったんでしょう?
「模倣犯」の映像化について僕の希望を言うならば、2クールくらいの長いテレビドラマにして欲しい。そして、1話完結の連作にしてしまうのだ。全体の登場人物は共通していいのだけど、1話毎に主人公を変えてしまう。そうやって、ひとりひとりの登場人物を深く描いて欲しいのだ。仮に映画だったなら、10分くらいのショートストーリーを繋いだものにしてしまう。しかも、ドキュメンタリータッチで。斬新な原作なのだから、それに負けないくらいの斬新さが映像では必要だったと思うのだ。

■ ビデオ『しあわせ家族計画』阿部勉監督 [TBS]
 なんともびっくりなのは、三浦友和の奥さんが渡辺えり子なのであった。山口百恵は、実際のところ家ではどんな奥さんなのだろうか……。なんて3分ほど考え込んでしまった。
 それにしてもこのお父さん、とってもいい人。こんな人いるの?と思ってしまうほど。奥さんに怒られている姿はあまりにも可哀相だった(笑)。

■ ビデオ『愛する』熊井啓 [NHK-BS2]
 最初は「愛する」という言葉の意味が軽いものだった。酒井美紀は可愛らしく、ただそれだけかと思っていたら、とんでもない深い映画だった。時間が進むにつれて、「愛する」という意味が変化していく。渡部篤郎もとてもいい。一見暗そうなのだけど、不思議な魅力を持った映画だった。

■ ビデオ『火星のわが家』大嶋拓監督 [NHK-BS2]
 実はこの映画、すごく良かった。日本映画ってそんなに捨てたものじゃないぞ、と心から思えた映画だった。派手さもないし、そんなに特別な良さというものではない(笑)。観なかったならばそれまでとも言える。でも、静かな、ほんとうに自然のありふれた生活のようなものが、この映画には描かれているように感じたのだ。
 老人とか、姉と妹とか、うまくいかない恋愛とか、とてもいい雰囲気なのだ。その独特の雰囲気を演じているのが、ジャズシンガーでもある主演の鈴木重子(http://www.shigekosuzuki-official.com/)。この映画を観て初めてこの人の存在を知ったのだけど、この人が実にいい! 演技が上手いとかということではなく、不思議な存在感なのだ。精神的に弱っている役なのだけど、その静かに自分を抑えていようという姿を見ていて、僕はどうにも抱きしめたい気持ちになってしまったほどだ。
 火星のお話というのは、正直なところどうでも良かったのだけど(笑)。

■ ビデオ『黄泉がえり』塩田明彦監督http://www.yomigaeri.jp/)[WOWOW]
 うーん。ちゃんと観なかったから、この映画の良さがわからなかったのかもしれにないけど、僕にはうまく馴染まなかった。まあ、映画というのは好き嫌いがあって、楽しければいいわけだからね。

■ ビデオ『プリティ・ブライド』ゲイリー・マーシャル監督 [TBS]
 ジュリア・ロバーツとリチャード・ギアという有名な俳優さんの出ている映画なのであった。しかし、吹き替えで観たからなのだろうか。正直なところ、もうちょっとピンとこなかった。たぶん、吹き替えではなく、字幕を読んでじっくりと観たならば、違った感じで楽しめたんじゃなかと思ったりする。
 まあ、部屋で観る映画というのは、映画館とは違ってけっこうだらけて観ていたりする。その意味でも、字幕を呼んだりするくらいの集中力を持って観た方が面白く感じるという、個人的な事情なのだろうけど。

■ ビデオ『鑓の権三』篠田正浩監督 [WOWOW]
 郷ひろみがすごくカッコよかった。そうそう、それにセットがすごくよかった(笑)。あの最後の場面の橋は実際にあるのだろうか。すごいすごい。と、これで感想が終ってしまったならば、申し訳ないな(笑)。まあ、こういうこともあるさ。

■ ビデオ『娘の結婚』市川崑監督http://www.wowow.co.jp/stock/dramaw/kon/contents.html)[WOWOW]
 WOWOWでリメイクされた小津映画。しかしなぁ、ちょっとヘンだと思ったのは僕だけではなかったのでは(笑)。まあ、仕方がないのかな。時代の感覚がちょっと中途半端なように思えてしまって。ここで出てくるような話し方をする人は、今の時代にひとりもいないと思うし、まあこうした娘もいないと思うし(笑)。もちろん、あえて小津映画らしさを出すために、こうした話し方にこだわったのだとは思うけどね。
 そうしたことを考えていくと、小津映画というのは遠い昔に撮られたもののように思えてくる……。

■ ビデオ『非・バランス』冨樫森監督 [日本映画専門チャンネル]
 いやぁ、びっくり。すごくいい映画だった。原作は魚住直子で、この「非・バランス」で講談社児童文学新人賞を受賞しているとのこと。たぶん、中学生とか高校生とかがこの映画を観たら、かなりの胸に響くのではないだろうか。魚住直子は読んだことはなかったけど、これからちゃんとチェックすることにしよう。

◆ 牛丼
 年末の31日に牛丼を食べた。ちょうど吉野家のことがニュースで取り上げられていることがあり、牛丼を食べたくてどうしようもなくなったのだ。時間の関係で吉野家でなく松屋で食べたのだけど(笑)。無くなるかもしれない、と聞くと食べたくなる。まあ、ニンゲンとは悲しい感情を持っているものだと冷静に僕自身を分析していた。
 それにしても。吉野家が他のどんぶりものを出すなんて……。自分の道を貫いて欲しかったと思うのだが。
 僕のアイデアはこうである。あくまでも牛丼にこだわる。本物の牛でなくてもいい。豚肉を牛肉風に徹底的にアレンジした牛丼風豚丼とか、牛丼風鳥丼とか、牛丼風鮪丼とか、牛丼風野菜丼とか。略したときに全て牛丼になるのであれば、許せると思うのだけど。ところで、カレー丼とか、親子丼とかを注文するときに、「ツユダクお願いしま〜す」とかって言うのだろうか……。

◆ JRの不思議 その1
 年末の31日に新幹線に乗った。今年は事前に予約することがなかった。まあ、面倒だったのである。昔から具体的な予定を立てるということが苦手な奴である。何をするにも、適当な時間に出かけ、ちょうど時間の合ったところで乗るというのが好きだ。帰省列車に乗るだけでなく、映画を観るのも、ご飯を食べるのも。ハッキリ言ってしまえば、仕事をすることだって、思うままに出来ればと心から思っている。
 年末年始の新幹線の場合、気ままな行動を取った場合の見返りは明確である。座ることなくずっと立っていることを強いられる。まあそんなに長い時間でもないけれど、できれば座りたい。この日は夜あまり眠ることができなかったこともあり、座りたいという気持ちが強くあった。だめかもしれないけど、自由席の車両のことろに早めに並ぶことにした。その帰省のピークにもよるのだが、この日の1時間前というのはギリギリどうかという判断だった。ホームに着いて、列に並んだとき、まさにもう1本前の新幹線が発車しようとしていた。座席の様子を見ると、とっても空席があるみたい。もうベルはなっていて発車してしまう……。僕はその車両に飛び乗った。なんと、この31日に新幹線の自由席の座席はまだ半分ほどが空いていたのだった。それにしても。僕の帰省経験上、こんなに空いているのは初めてのこと。禁煙車はさすがに9割ほどの状態だったが、2座席分を確保できる喫煙車の方に座ることにした。
 物語はこれから始まる。
 次の駅では、ほぼ2座席のうちのひとり分が埋まった形となった。この車両の定員のほぼ半分の状態。さて、問題は次の駅でどうこの状況が変化するかだった。隣にヘビースモーカーの、しかも巨漢の人には座って欲しくない。別に煙草を吸う人を悪く言う気もないし、巨漢の人に文句を言うようなことでもない。けれど、僕の座っているスペースが狭くなるのは嫌だし、あの狭い車両の中で煙を吸い続けるのはどうにも辛い。できれば僕の席の隣には座って欲しくはない。でも、ずっと席が埋まってきて僕の隣だけが空いていたならば、何か僕が嫌われてしまっているようにも思えてしまう。もし、逆の立場だったならば、なるべく安心できる人の隣の席に座りたいからだ。座って欲しくないけれど、人から嫌われるのは嫌だ。いやでも、原田知世だったらぜひ隣に座って欲しいな、とかいろいろと思い悩む。でも人生は成るようにしかならないし……。隣の席に鞄を置いてガードをするという方法もあるかもしれないが、そんなオバサンみたいな真似はしなくないし……。
 この車両は結果として9割ほどの席が埋まる状況となった。僕の隣の席にはすぐさま男性が座った。煙草は1本だけ吸っていた。それでも僕はけっこう大変だったが。
 ところでどうして新幹線の自由席に喫煙車なんてのがあるのだろう。指定席であれば、喫煙車があってもいいと思うが、たった2両しかない自由席の車両なのである。別に煙草を吸う人を毛嫌いするわけではないが、どこもかしこも煙草の煙のない状態を良しとする昨今である。今の新幹線は喫煙する人の方が優遇されている状況と言えるのではないだろうか。特に最近は煙草の煙を吸わないことが多くなっている。それだけに、この新幹線のあちこちから来る煙草の煙はキツイものだった。

◆ 2003年のラストシーン
 31日の夜のテレビは忙しかった。あれだけチャンネルを回しながらテレビを見た年末というのは初めてだったのではなかろうか。努力の甲斐があって、けっこういい試合のところだけを見たように思う。
 まずは「PRIDE男祭り」の「吉田秀彦VSホイス・グレイシー」。因縁の対決だったのだが、やっぱりホイスの方が強かった(もちろんこの試合では)。でも、引き分けっていうのはな。あと注目だったのはやっぱり田村潔司だった。まあ、当然勝つような相手と戦って、それで何なのと言ってしまえばそれまでなのだが。ちょっとは田村クン、メジャーになったかなぁなんて少し嬉しかったのだ。試合順序としては全ての団体の中での大トリとなった桜庭和志は、敗れはしたが男を上げたのではないだろうか。こうした格闘技の試合というのは実は見ていてツマラナイことが多い。正直なところ、ツマラナイ試合の多い1日だったなぁと思っていただけに、この試合が、その内容としてベストバウトだったのではないだろうか。プロレスラーの勲章というのは、チャンピオンになったりMVPを取ることではないと僕は思っている。ベストバウトこそが、一番の栄誉なのだ。その点で桜庭は最高にカッコよかった。
 さて、話は前後してしまうが、この桜庭の試合の数分前の「K-1 Dynamite!!」での「ボブ・ザップVS曙」はやっぱり注目だった。小柳ゆきの国家斉唱は、裏番組の何とか歌合戦よりも数段良かった。フジテレビやテレビ朝日だったならば、こんなにかっこいいイベントにはならなかったと思う。会場の設定、その演出など、TBSはすごく頑張ったのではないだろうか。試合はあっけなかった。まあ、予想はしていたのだが(笑)。でも、曙はカッコよかった。でも、ダウンした映像を上から撮ったらダメよTBSさん! ちなみに、曙のあのトランクスのお腹のところには「CCCC」という文字があった(と言われている)。これは家族を表しているのだという。家族と供に闘う曙。しかし、実際のところ、曙のお腹が大きくてその文字は隠れて見えなかったんだよね。まあ、そのあたりが一番の敗因ではないかと僕は思うのであった。
 敗れたけど曙は凄かった。それでいいではないか。この試合の瞬間、「NHK紅白歌合戦」を視聴率で上回ったのだという。こうしたチャレンジが2003年の締めくくりだった。甘いと言われようが(笑)、凄いことだと僕は思うのであった。
 それにしても……。テレビがリモコンでなく、昔のようなチャンネルだったなら、壊れてしまっていたのではないだろうか(笑)。



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