ドルフィンホテル
   
   
   
   
   
   
   
   
   


     

DOLPHIN HOTEL 読書夜話2006年2月

WALKABOUT 2006/2 #1


2006/03/02

◆ インターネット、そしてドルフィンホテルという場所

 ドルフィンホテルは1992年の秋にスタートした。その時の状況などについては、省略する。まずは、約13年半の時間が過ぎたということだ。そして、僕はこの期間、何人かと親しくなった。しかし、多くの人は去っていった。

 この話を書くことで、怒られてしまうのかもしれない。失礼だろう、と思う人には、ちゃんと謝ろうという気持ちはある。うまく言えないのだが、意識する、しないに関わらず、実はこんなこともあるんじゃないかと感じていることなのだ。

 ホテルという存在自体が、こんな意味を持っているのかもしれない、と。

 掲示板への書き込みがある。たまには、支配人宛ということで、メールをもらうこともある。たぶん、他のウェブサイトなんかの書き込みとは、ひと味もふた味も違っている。最近流行りのブログやSNSとも違う。僕の勝手な思い過ごしかもしれない。でも、特別な何かがあると思っている。

 とても気持ちを込めて書いてくれる。初めてこうした書き込みをしました、初めて知らない人にメールをしました、なんてのもあった。ほんの少数だけれど。

 ドルフィンホテルという場所で、何かを感じてもらえたのならば、こんなに嬉しいことはない。僕は、何だかんだ言って、このホテルにかなりの気持ちを入れ込んでしまっている。もっと抑えなければ、と思いつつ。
 ずっと、ドルフィンホテルを読み続けます、なんてことを言ってもらったこともあった。

 けれど、人は去っていくものなのだ。ホテルという存在自体が、通り過ぎていくところなのだと思う。ドルフィンホテルに来たとき、実は何らかの淋しさを抱えていたのでないだろうか。例えば、失恋してしまったとか、夫婦の関係がうまくいっていなかったとか、失業してしまったとか、とにかくそんなことで、どうしようもないときに森の中をさ迷い、ドルフィンホテルに出会ったのではないかと。

 そんなことを考えると、ドルフィンホテルから離れたことは、幸せな人生を歩んでいることかもしれないと思えてくる。真新しいシーツで寝るよりも、温もりのある布団で、信頼できる人の隣りで眠る方が、ずっと幸せなのだ。

 こんなことを考えると、ドルフィンホテルという場所は、不幸の溜まり場ということになってしまうではないか。

 あーあ、ドルフィンホテルを経営している僕という人生の幸せはどこにあるのだろうか。そして、ドルフィンホテルに長く宿泊している人は幸せなのだろうか……。


◆ 珈琲に包まれた本達

 表参道にある大洞珈琲という喫茶店に行った。しっかりとした看板は出ている。表参道の交差点のすぐ近くだ。しかし、なんというのだろうか、その階段はいたって普通のビルだった。少しどきどきして、その階段を上った。

 2階にその店はあり、どうやって開けばいいのかよくわからない入り口にしばし、悩む。良い場所には、ちょっとした困難があるのかもしれない。

 中に入った僕は、カウンターの奥へと座る。

 行く前に写真でその雰囲気は見ていたので、まあ、ある意味で予想通りの喫茶店だ。お酒がいっぱい並んでいたならば、しゃれたバーみたいな感じでもある。

 カウンターには、2人ほどの年配の人が座っていた。珈琲が好きな、という雰囲気だった。僕の座ったやや後ろのテーブル席では、3人が仕事の打ち合わせをしていた。月曜日の午前だった。
 渡されたメニューを見て、僕は「2番のをお願いします」と言う。どんな風に注文したらいいのか、わからないでした。この店では、珈琲のグラム数が表示されている。それぞれ値段が違うのだが、上から番号が付いている。上から2番目のを注文したというわけだ。僕はこの「2」という数字が好きである。ある意味で、常にチャレンジャー。1番をその下で支える存在でもある。

 すぐ目の前では、珈琲が煎られている。どのように表現したらいいのかわからないのだけど、ぐるぐると回る中で、珈琲が煙を出し、この空間に放出されていく。

 僕の隣りに座っている人が、マスターに何かしら質問をしている。マスターは、少し笑顔で答える。

 僕はときどき店のあちこちを見回す。この店では、ノートパソコンを開くのは似合わない。僕にとってパソコンは欠かせない存在だ。けれど、似合わない場所に出会うと、何故かホッとした気持ちになる。

 マスターは、丁寧に、丁寧に、そして丁寧に、珈琲をドリップする。どのように表現したらいいのかわからない。一般的ではない方法で、右手でゆっくりとお湯をおとし、左手で特性のフィルターのようなものを動かす。

 その珈琲が僕の前に差し出される。

 正直なところ、よくわからない。こんなことを書いたら怒られるのだろうが、それが素直な感想だ。たぶん、はじめて酒というものを飲んだときのようものかもしれない。酒といえば、この珈琲は米という存在を凝縮させた純米酒のようなものかもしれない。大吟醸ではない、珈琲らしい珈琲を飲んだという気持ちになっていた。

 半分くらい飲んだときだろうか、上の方にある本棚が目に入った。立ち上がってよく見てみると、ハヤカワミステリが、きれいに並べられていた。文庫ではない、新書サイズのあのハヤカワミステリだ。その背表紙の表面は、薄汚れていた。いや、「汚」という言葉は使いたくはない、薄茶色の膜のようなもの。そう、長い年月の珈琲の煙でこんな色になったのだろう。

 例えば、ワインやウヰスキーなどは、長く熟成されたものが貴重だとされたりする。このハヤカワミステリも、そんな存在だった。この店で珈琲を飲んだ人達の、ある意味での人生の香りがハヤカワミステリを包んでいるようだった。

 僕は珈琲をすべて飲み、数分の時間をおいてお金を取り出し、立ち上がった。コートを着て、入り口へと向った。

 本棚は、奥にあるハヤカワミステリだけではなかった。

 カウンターの上には多くの本が並んでいた。それは、山本周五郎であり、司馬遼太郎であり、池波正太郎だった。どの本も、珈琲の香りで包まれていた。長い長い、歳月でこんな色になったのだろう。僕は立ち止まり、それらの本に見入ってしまった。

 珈琲と、ハヤカワミステリと、時代小説。

 そのひとつひとつを僕はまだまだ知らない。
 もっとよく知りたい、と思う。もっとよく知るということは、香りのある煙のようなものに感じられる。


◆ 佐藤可士和デザインの携帯電話

 NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』(http://www.nhk.or.jp/professional/)が面白い。出てくる人物が、はじめて知る人ばかりなのだが、本当にそのセレクト、その人物が興味深い。

 先日はアートディレクター・佐藤可士和が出演していた。特に、NTTドコモの携帯のデザインの様子が描かれていた。デザインのコンセプト、会議なども含めた制作の過程などは、本当に面白かった。

 この新しい携帯電話(http://www.n-keitai.com/n702id/opn.html)。僕も店で手にとってみた。カッコいい!! これまで携帯電話を見て、このデザインだったら欲しい、なんて思ったことは一度も無かった。話せればいいだろう。そのくらいにしか思っていなかったのだ。他の携帯電話が可哀そうなくらいに、このデザインは飛びぬけている。デザインにはひとりひとりの好みというのは確かにある。しかし、そういうものではなく、あるコンセプトを追求したカタチみたいなものが感じられるのは、簡単にあるものではない。

 今後彼がどんなものをデザインしていくのか。とても注目している。個人的な要望としては、パナソニックのノートパソコンをデザインして欲しいのだが……。


◆ 開会式と鶴と亀

 この日僕は神田の大衆居酒屋「鶴亀」というところで飲んでいた。いつの間にか、この読書夜話では、「大衆居酒屋ひとり酒シリーズ」という連載が行なわれているらしい。本人も気が付いていなかったのだが。

 居酒屋に行き飲まなければレポートを書くことはできない。仕方なく、僕は新しい店にチャレンジしていた。この日は祭日ということで、まったくガランとした神田の街だった。ほんとに平日と休日とは人口密度が全く違ってしまう。

 この店もけっこう空いていた。僕はカウンターに座り、熱燗の2合を注文する。普通だったならチューハイなのだが、この日はいいこともあったので、ちょっとした贅沢だった。それに寒い日には、やはり熱燗だ。ひとり酒には熱燗なのだよ。

 つまみには、ニラともやしの炒め物を注文する。夜であれば、ちょっとした油ものも、食べたい気分になる。なんとお値段は300円である。お店の人は、料理を運ぶ係りの女性も、料理人も、中国人のようだった。

 僕は酒を飲みながら、少しは自分が成長したのかな、なんてことを考えていた。例えば、以前だったなら。店員が日本人で無かったなら、安い店なんだろうな、と醒めた気持ちでいたりしていた。こうした居酒屋に入るようになって20年以上が経つ。少しずつ、中国や東南アジアから来たのだろう店員が増えてきた。

 この日、僕は熱燗を飲みながら、「このお姉さんは、中国のどんな景色の中で暮らしていたのだろうか」みたいなことを考えていた。少しばかり失礼な話かもしれない。ただ、僕にとっての中国の景色というのは、主にチャン・イーモウの映画に出てくるもの、経済的には厳しいかもしれないが、豊かな何かを感じさせてくれる。

 中国人の料理人のつくった、ニラともやしの炒め物が僕の前に出される。あまり愛想がいいとは言えない。けれど、それはそれで、サービスが悪いといことでもないのかもしれない。以前だったら、むっとしたかもしれない。

 テレビの映像が流れていた。トリノオリンピックの開会式、入場のシーンだった。店員の女性も、料理人の男性も、テレビの方をじっと見ていた。

 僕は少しして、焼き鳥(2本で200円)を注文し、熱燗を1合追加した。


◆ 輪舞曲 - 韓国と日本

 TBSで放送されている『輪舞曲(ロンド)』(http://www.tbs.co.jp/rondo2006/)というドラマを見ている。内容に関しては、面白くもあり、ちょっとばかり、やれやれという部分もあるのだが(ごまかす)、雰囲気は凄くいい。とても興味深く見ていることは確かだ。

 さて、何がこのドラマを魅了したか、それは、この番組のサイトの「INTRODUCTION」(http://www.tbs.co.jp/rondo2006/intro/)を読んだからだ。

 日本と韓国との共同でのドラマである。それについての38歳のプロデューサーの想いのようなものが書かれている。歴史的な問題など、日本と韓国とでは根の深いものがある。これが、しっかりと考えさせてくれるものとなっている。

 これまでの感覚とちょっと違うというのだろうか。若さがあり、確かなものを感じさせてくれる。

 これからも、日本と韓国との共同制作のドラマや映画というのは増えていくだそう。その始まりとして、この「INTRODUCTION」があるように思うのだ。


◆ 西新宿をさ迷う

 久しぶりに新宿の人込みの中を歩いていた。お昼ご飯を食べようと思ったのだ。新宿西口の昼時の人は凄い。この日は平日である。ランチを食べるサラリーマンでいっぱいだった。時間的にちょうどピークとなる12時、少し人が引いた頃に店に入った方がいいだろうと、少し歩き回って店を探すことにした。

 店の前には、メニューの写真などもあったりする。むかーしの僕だったなら、あれも美味しそう、これも美味しそうと悩むところかもしれない。数年前に赤坂で仕事をしていたときには、1年半ほど、ずっと異なる店でお昼ご飯を食べていた、なんてこともあった。

 しかし今の僕は全く変わってしまった。どの店の前を通っても、美味しそうに感じられないのだ。揚げ物というのは、全く食べる気になれない。肉類もダメである。魚といっても、焼魚は油ギドギドという感じがしてしまう。蕎麦みたいなものだったら、食べられそうだ。しかし、立ち食いではなく座ってゆっくりしたい。それに、蕎麦というのは、うちの田舎では地元の手打ち蕎麦の店がいっぱいある。地元で食べずに東京で蕎麦を食べるのはなんだか変な感じがする。

 何を食べようとあれこれ悩んで、お寿司を食べることにする。これなら、ちょっと贅沢という感じを味わえるし、お腹にもやさしい。食欲もある。

 しかし……。入った店が悪かったのだろうか。1人前半で680円というのは安すぎたのだろうか。驚くように美味しくない寿司だった。回転寿司だったなら、ああ回転寿司だな、という美味しさのようなものがある。しかし、ここで食べた寿司は、回転しない寿司だったのだ。

 そう、注文してすぐ出てきた。店の隅には、このセットが100個くらいは重ねられていた。どのくらい前に握られた寿司なのだろうか。当然のように鮮度は落ち、当たり前ながら美味しくなかった。

 隣りの席では、ちゃんと握った高級なコースを食べている人もいた。けれど、あまり美味しそうには見えなかった。どうにも、店の隅にある大量の寿司のセットが気になる。

 僕は昼食のあと、いつもリンゴとケフィアヨーグルトを食べるのだが、当然そんなものはここには無かった。

 それにしても……。生きていくのはこんなにも切ないことなのかと感じた新宿の昼時だった。


◆ オリンピックのアメリカ化

 昔、ロサンジェルス・オリンピックの時だったろうか、商業主義になったとかなり言われたことがあった。アメリカ的になったみたいな。
 しかし、そうしたのとは全く別の意味で、トリノ・オリンピックを見て、アメリカ化しているんだな、と感じている。

 象徴的なのは、スノーボードクロスだった。見ていて面白い! フジテレビのアナウンサーとかも大絶賛していた。4人の選手がバトルしながら滑って、順位を競うのである。
 まるで、F1のネルソン・ピケとアイジェル・マンセルがバトルをしているような雰囲気。もっと面白いといってよかった。

 夏のオリンピックに比べて、冬季とういのは面白くない。それが僕の見方だった。なぜなら、「ミスしたら終わり」という競技が凄く多い。フィギュアスケートだって、ちょっとミスしたら致命的である。スピードスケート、スキーなどのタイムを競うレースも、ミスしたらおしまいである。

 競技としてのスポーツというのは、ミスをしたらダメなことくらいは僕だってわかる。しかし、見ている方としては面白くない。ミスがあったらあったで、挽回するところが面白いと思うのだ。

 球技などのスポーツは面白い。なぜかと言えば、ゲームの中でミスをしても取り返せるからだ。

 アメリカのスポーツというのは、エンターテイメントである。お客さんに見てもらって、楽しめるようにルールを設定している。それがつまり、この「ミス」の考え方なんじゃないかと思う。メジャーリーグ・ベースボールなんて、ワイルドカードでもワールドチャンピオンになったりする。でも、それを矛盾だとは思わせない。ミス、ではないかもしれないが、レギュラーシーズンで負けても、チャンスがあるわけだ。

 スノーボードクロスというのは、バトルである面白さと共に、ミスしても取り返せる面白さがあった。最後の最後まで何があるかわからない。

 オリンピックの競技の在り方みたいなものは、これからどんどん変わっていくのではないだろうか。そんなことを思った。


◆ 岸本葉子講演会レポート

 るんるん気分で岸本葉子さんの講演会に行ってきた。実際問題、行こうかどうしようか悩んだのだ。「行きましょうよ」と声を掛けてくれた人もいたし、ちょっとばかりプラス的な状況があったり、講演会のタイトルのように「機嫌良くなければもったいない」と思ったりして、参加することにした。

 それにしても、場所はホテルである。新宿のセンチェリーハイアット。早めに着いた僕はロビーの椅子に座り、知っている人は来ないものかと待っていた。鞄から紙を取り出し、ウロウロする人というのはいるのである。ひょっとしたら、岸本さんの講演会に行く人かなぁ、なんて思ってみたりする。

 実は少し不安だった。テレビドラマなんかでも、待ち合わせのホテルを間違えた、なんてことはよくある話だろう。ひょっとしたら、僕が東京を去ったあとに、センチェリーハイアットは六本木に移転していた、なんてこともあるかもしれない。東京の変わり行くスピードはあまりにも速く、僕には追いつけないのだ。

 開場の時間になったところで、地下2階にあるクリスタルルームというところに。会場の前では受付が行なわれていて、ややキンチョウしながら中へ。

 そんなわけで席に着き、知っている人と挨拶を交わし、静かに過ごす。講演会が始まり、岸本さんは僕の目を見て(かどーかはもちろんわからない)話をはじめる。話が終わり、質があり、サイン会が始まる。僕はサインをしてもらって、ひと言ふた言、挨拶のような会話を。キンチョウしていたのだ。最後に何人かで写真を撮ってもらい、さようなら、となった。

 さてさて、レポートは、ひっそりとこの夜話に書いている。この講演会に参加して岸本葉子ルームに来ても、この夜話まで来る人は少ないだろう。

 オフ会などをやることで、ドルフィンホテルを見ている人と会って話をすることはある。しかし、なんというか、そういうこととは違った接点のようなもの。微妙な緊張みたいなものがあったのだった。


◆ プリンターの旅

 プリンターが壊れてしまった。数年前に買ったキヤノンの一番安いインクジェットプリンター(BJ S330)である。買った方がいいかな、と少し悩んだりもしたが、MOTTAINAIと思い、修理に出すことにした。

 驚いたのは、修理の値段が決まっていて、さらに送料までも往復で決まっているのだった。もちろん、持込であれば修理の値段だけとか、いくつかのパターンはある。しかし、送料はクロネコヤマトと提携しているみたいで、往復の一律金額となっていた。梱包などもやってくれる。考えてみると、これは便利だ。パソコン関係の場合、その箱を取っておくかというと、たいてい捨ててしまうもの。いざ修理のときには、適当な箱がないかと、うろうろしたりする。

 ちなみに、修理費が7000円(電話で聞いたところによると大よそということでした)、送料が1500円である(これに消費税が加わり計8925円)。かなり高い。もちろん、実際に給料をもらっている人が何らかの仕事をすれば費用は掛るわけで、それなりの金額になるのはわからなくもない。しかし……。このくらいの金額では、安いプリンターを買うことも可能なわけだ。
 わからなくもないが、何かが違うと思ってしまう。

 翌日、クロネコヤマトがプリンターを取りにきてくれた。驚いたのは、その箱。僕のプリンターというのは、一番小さなサイズといっていい。想像してもらえばわかるだろう。なのに、箱というのは、大型のディスプレイなんかが入ってもおかしくないような大きなもの。しかも新品。指定されたものがあるのだと、ヤマトの人も苦笑していた。その箱は、ちゃんと中央で固定するようになっていて、たぶん、箱の内部の70%くらいは空洞となった状態だった。

 なんとも大きな無駄があるように思えるのだが、箱の種類が多くなれば、それだけ手間が掛ることもあるのかもしれないし、なんとも言えない。しかし、見ていて、笑ってしまうような状況だった。


 さて、ほんとうはこのお話、終わりのはずだった。しかし、第2部の面白い話に発展した。

 電話があった。原因は「廃インク満杯エラー」ということで、機種を取り替えたい、というもの。その確認だった。正直なところ、この機種の取替えというのがピンと来なかった。何らかのものを交換するよりも、外側の部分を変えた方がいいのだろうと思っていた。

 届いたものは、全くの新品のプリンターだった。箱は真っ白のものだったが、中は普通の新品の状態。機種は、iP2000というものに。この機種は、最新のものではないが、その一歩前のモデルらしい。インクは共通のものなので、何も問題はない。

 早い話、「プリンターの修理をして」と依頼をしたら、「全く新しい、しかも、かなり最新に近いモデルが送られてきた」ということ。

 実際にこのプリンターを動かしてみると、当然のことながら、僕が使っていたものよりも使い勝手がいい。数段、速いスピード。デジカメから直接印刷できたりなど、機能もずっとアップしている。

 最新のモデルと、その一歩前のモデルと、どのくらい性能が違うかと言えば、そんなには変わらないだろう。つまり、新しいのを買ったのと同じような感じだ。

 8925円という金額で、新しいプリンターを使うということを考えたなら、これはかなりお得なこと。もちろん、こうした修理というのはケースバイケースでいろいろあるだろう。しかし、修理に出して得をしたと感じたのは、あまり無いことではと思ったのだった。

 ちなみに、この「廃インク満杯エラー」というもの、インクジェットプリンターでは、使っていった先には、どうしても出てくるものらしい。メーカーの方に送って修理などをしてもらうしかないみたい。数年後にまたこのエラーが出たならば、また新品になるのだろうか、なんて考えてしまった……。


◆ BORN IN JAPAN

 先日、原宿を歩いていた。ふと気が付くと、「saf1.jp」と書かれた小さな旗が道路沿いに、数多くあった。スーパーアグリ・フォミュラ1(http://www.saf1.jp/)の発表会だったかがあったのだ。「BORN IN JAPAN」という文字も書かれていた。

 日本を拠点にするF1チームということだ。しかし、この「日本」というものに違和感を覚えるF1ファンというのは、けっこう多いのではないだろうか。

 日本のF1チームというのは、かつて数多く存在した。ラルース、フットワーク、忘れたがもう少しチームはあった。バブルの頃に日本人がオーナーになったのだ。チームは形の上で、日本人が所有するものとなった。しかし、エンジニアその他、チームの母体というのはほとんどイギリスであり、とってもわかりやすくいうならば、日本人オーナーはお金を出しただけだった。働くチームにとっては、ただのスポンサーという存在だろうか。

 さて、このスーパーアグリというF1チーム。一体何が日本のチームなのだろうか。オーナーが鈴木亜久里という元F1レーサーであることは、別に異論はない。どこかのチームを買って手に入れた権利ではないので、その意味では、確かに立派な日本のチームとも言える。

 エンジンはホンダ、タイヤはブリヂストン、しかし、これはだから何?という話。ホンダはエンジンサプライヤーとして、これまでいろんなチームと組んできた。日本のチームと組んだからといって、全てが日本のチームというのはおかしい。タイヤにしては、F1に供給しているタイヤメーカーは現在2社。F1で走るには、どちらかのタイヤで走るしかない。
 ドライバーは2人とも日本人のようだ。しかし、これはスポンサーに関係するものでもある。わかりやすく言えば、「日本のチームだ」とアピールすることで、日本のスポンサーがつきやすくなる。

 F1というのは何か。F1が他の自動車レースのカテゴリーと決定的に違うのは、製造者でなければならない点だ。F1というマシンを自分のチームで作って、走らせなければならない。では、このスーパーアグリが、マシンを開発したのか?

 答えは、ノーである。アロウズという数年前までF1を走らせていたチームスタッフが現在マシンを開発し、チームの母体となって活動することになっている。

 つまり、いじわるな見方によっては、バブル期に日本人がF1のオーナーになって、ドライバーを指名していたのと同じことなのだ。F1を知る人ならば、これを悪いことだとは思わない。僕だって思わない。F1の世界において、お金を所有するということは、力のあることの証明でもある。力がなければ、F1を走らせることはできない。

 しかし、スーパーアグリというチームが日本のチームかと問われれば、僕はノーと大きな声で言う。ただのスポンサー獲得の戦略。そして、フジテレビのアナウンサーを喜ばせるだけのことに過ぎない。

 今のF1はインターナショナルな世界であって、どこかの国のチームと限定するようなものではない。F1チームのほとんどは、イギリスに拠点を置いている。チームスタッフは、各国から集まっている。イギリス以外としては、フランスとイタリア(前はあったが今はちょっとよくわからん)と、トヨタの拠点があるドイツだ。

 F1というのは、乗用車のように、日本で生産しているというのとは、全く感覚の違った世界なのである。


 なぜ、僕がこのスーパーアグリの「日本のチームだ」ということに対して怒ってしまっているのか。それは、かつて日本のチーム(http://www2.gol.com/users/shin2/)というものが存在したからである。

 コジマエンジニアという日本のコンストラクターがあった。かつて富士で開催されたF1に出て、星野一義、長谷見昌宏といった日本のレーサーが、かなりの健闘をした。
 このチームは本気でF1にシリーズ参戦しようと、かなり苦労した。
 マキF1というチームもあった。参戦したはいいがボロボロだった。

 F1ではないが、ノバエンジニアリングが、ヨーロッパのF2やF3に参戦した。星野一義や中嶋悟が走った。その後には、違いがわかる男、由良拓也率いるムーンクラフトもF1を夢見て、オリジナルのマシンでヨーロッパF3000シリーズに参戦した。
 キラリと光る走りを見せたりもしたが、F1まで行くことはなかった。

 こうしたチャレンジャーの活躍というのは、社会的に大きく扱われることなく、専門誌に載るくらいだった。かなり熱い内容だったが。

 現在のF1はインターナショナルな世界であり、どこかの国が、自分の国のマシンだ、みたいなことを言うのは変な話である。しかし、実は僕は「日本のチーム」がF1を走るのを夢見ている。コジマエンジニアもマキF1も、めちゃくちゃカッコよかった。ノバもムーンクラフトも。最高のヒーローである。まさに、「BORN IN JAPAN」を目指していた。

 こんな気持ちでいるオールドF1ファンは、けっこういるのではないだろうか。


◆ 覚えてますか?

 それにしても……。ほんとうにヘンテコなメールが多い。迷惑メールのことだ。僕だけなのだろうか。「会ってください」とか、「無料です」とか、「当選しました」とか、「覚えてますか」とか、「コミュニティーの紹介です」とか、「はじめまして」とか。

 これでもたまにはドルフィンホテルや四国遍路日記宛のメールが来たりする。ひょっとしたら僕はそうしたメールを削除してしまっているんじゃないかと思うのだ。メールチェックというよりも、その作業の97%くらいがこうしたメールの削除になっているような気がする。当然のことながら、内容を読むまでもなく、だいたいタイトルで判断してしまう。

「文章を読んで素敵な方だと思いました。ぜひお会いしたいのですが」なんてメールがあっても、僕は知らず知らずに消してしまっていると思うのだ、ああ。

 ほんとうに不思議に思うのだけど、あれだけ大量のメールというのは、何らかの利益に繋がっているのだろうか。たまには、ひっかかる人もいるだろうとは思う。日本全国で100人くらいはいてもおかしくない。でも、そのくらいだったなら、あんなメールを出しても利益にはならない。利益になっているから出していると推測するなら、何千人、何万人という人が、あのメールで何らかのほにゃららをして、泣いたりしているわけだ。

 そうそう、恥ずかしながら、一度「覚えてますか」という感じのメールに返事をしたことがあった(笑)。実際に僕は掲示板というのを運営しているわけで、真面目な話、「覚えてますか」というメールが来ることはあるのだ。もちろん、それに対して来たメールですぐに気が付き、「すみませんが僕達の関係は終わりです」みたな感じで終らせたけど……。

 メールだけでなく、これからの春という季節、初めて東京に来る人なんかは注意が必要かもね。
 以前繁華街のところで仕事をしていたことがあった。路上でアンケートを取って、その後、話をということで事務所みたいなところに移動、そして化粧品とかを買わせるようなことが近くで行なわれていたんだよね。けっこう素朴なお嬢さんとかが、付いていったりして……。

 みなさん、気をつけましょうね。それからドルフィンホテル宛てに、メールを出される方は、タイトルに注意してください。特に「覚えてますか」というタイトルはキツイです……。


◆ 空飛ぶグータンなお茶会

 実はドルフィンホテルのメンバーで、とある午後のひと時に、お茶するということがった。どうしてお茶をしたかというと、この夜話を読めばすぐわかるのだが、まあ、そういう流れだ。

 場所は新宿。ビックカメラのあるビルの地下にあるカフェだ。メンバーは4人。なーんと、男性は僕ひとりだった。あとの女性3人が、既婚か未婚かはとてもシビアな話になってしまうので、ここではカットするが、とても魅力的な女性3人だった。

 そうなのだ。女性3人と言えば、フジテレビ系で放送されている「空飛ぶグータン」を思い出す。ちなみに、この番組といのは女性3人の語るトーク番組なのだが、かなり独特のものがある。基本的に台本が無いのだ(たぶん、だが)。そしてカメラも隠しカメラのようなもので撮っている。ほとんど、普通の女の子の普通の会話がなされる。そこが、バカな男性である僕としては面白かったりする……。

 新宿でのお茶会。僕を含めた3人はケーキセットを注文する。この店のケーキセットにはいろいろな種類があり、とても美味しそうなのだ。数時間前に、ホテルでケーキを食べたばかりだったのに、ケーキが食べたかった。2度も続けてケーキを食べるほど、僕はケーキ好きではない。僕以外の2人の女性がどうかは知らんが。しかし、美味しいケーキが食べたかった。その理由は、まあ考えてください。

 しかし、若干1名はなぜか、頑なにこのケーキセットを拒否する。さきほどのホテルでも、残していた。彼女に何があったのか、謎である。もちろん、女心をわかろうとする、なんて野暮なことは最初から僕はしないが。

 さて、3時間、いや4時間くらいは店にいたのではないだろうか。アルコールを飲むこともなく。考えてみたら、女性3人のお話し合いだったのだ。夫婦生活の会話がどーのこーのとか、まあそういうお話だ。「支配人はどう思いますか?」なんて質問が投げかけられる。

 ちなみに、この3人の女性の中、お1人は「もう一度人生をやり直すことがあっても、今のご主人と一緒になりたい」と言ってました。あとの1人は、あっちを向いていて、もうひとりは、むにゃむにゃでした。

 それにしても……。こんなに皆さん、活き活きと話をするとは。やっぱり女性は元気だよな、としみじみと感じた月曜日の午後でした。


◆ オリンピックに魔物なんていない。

 オリンピックについての表現で、とても嫌だな、と思うのがこの「魔物」という言葉である。ちょっとミスしたりすると、それが精神力とか、魔物とかという言葉になってしまう。もちろん、ミスをしないというのも実力である。しかし、ミスをしない人間なんて誰もいない。ミスを少なくすることはできるけれど、ゼロにすることは不可能だ。少なくとも僕はそう思う。

 例えば、F1は、年間16戦から18戦くらい行なわれる。その総合ポイントでチャンピオンを決める。他のスポーツでも、シリーズチャンピオンこそが、実力ナンバーワンという認識がある。日本の相撲にしてもそうだ。横綱がチャンピオンである。

 オリンピックは大きな大会であることは確かだ。しかし、4年に一度の大会に過ぎず、金メダルを取ることは大きな価値のあることは事実だが、それがチャンピオンかと言えば、やはり違うだろう。誤解されると困るのだが、別にオリンピックがどうのこうのと言う話ではない。そこに、「魔物」なんて言葉を使って欲しくないのだ。

 誰だってミスをする。たまたまオリンピックだったのかもしれない。たかがオリンピック、されどオリンピックだ。


◆ ローカルなテレビCM

 やれやれ、と恥ずかしくなることが多い。テレビのCMである。地方のもの。どこの地方でも、ローカルなCMというのは流れているだろう。東京のそれなりにお金を掛けたものと比べてしまっては、いけないのかもしれない。しかし……、あまりにも酷いCMが多い。まあ、パチンコとか、そういったものが多いから、仕方が無いと我慢しているが。

 しかし最近、ほんとうに情けなくなるCMがあった。NTT DoCoMo東北山形のテレビCMである。なんと、オリエンタルラジオが登場している。僕は、彼らの漫才が好きである。武勇伝ネタは何度見ても面白い。しかし……、間違いなくY県ローカルなのだと思うが、このオリエンタルラジオのネタというかCMはひどい。本人たちも、情けないけど仕方ないか、という気持ちでやっているんじゃないかと思う。そのくらい、ひどい……。

 オリエンタルラジオのファンの皆さん、Y県までこのテレビCMを見に遊びに来てください。唖然として、声を失うと思います。


◆ まわっている

 今年になって、「まわっている」と感じることが多くなっている。昨年の場合、何をやっても裏目裏目というか、結果に繋がらなかった。今年もそんなにいいわけではないが、少しは繋がるようになっている感じがするのだ。

 占いをやっている僕の友人に言わせると、今年は「司禄」という星なのだという。「謙虚に淡々と仕事し続けると運がやってくる星」とのこと。来年はもっと良い星なのだそうさ。

 ドルフィンホテルでも、そろそろ新しい出会いがあってもいいかな、という雰囲気になってきている。昨年はオフ会をやっても、あまり新しい出会いというのは無かったしね。

 ということで、ドルフィンホテルも、もう少し営業的に良い方向にまわるようになれば、と思っているところです。よろしくお願いします。




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