2006年5月30日
内閣総理大臣 小泉純一郎 殿
外 務 大 臣 麻生 太郎 殿
農林水産大臣 中川 昭一 殿
日本サハラウイ協会
(暫定連絡先)765-0004
香川県善通寺市善通寺町1774-107
西サハラ問題研究室 気付
西サハラにおける自決権行使実現のため積極的努力を強く求めます
1975年11月のモロッコ王国による、一連の国連総会決議や国際司法裁判所勧告意見を無視した軍事侵略以来、西サハラは30年を超える長きに渡ってモロッコの占領下にあり、サハラウイは厳しい難民生活、ないし占領体制による抑圧下の生活を強いられています。国連安全保障理事会決議に基づく和平プロセスのもと、サハラウイは1991年9月の停戦発効以来ひたすら和平プロセスに協力しながら、民族自決権行使のための住民投票実現の日を待ち続けてきました。しかし、停戦からおよそ15年を経てもなお住民投票は実現されておりません。モロッコは安保理決議658(1990)および690(1991)により採択された当初の「解決計画」も、また安保理決議1495(2003)として採択された「西サハラ人民の自決のための和平プラン」(いわゆるベーカー案)をも拒否し、いまやモロッコ主権下の自治以外は認められないとして、民族自決権および国連和平プロセスの根本を完全に否定する姿勢を公然化させています。
西サハラ被占領地域では2005年5月以来サハラウイ市民の非暴力的抵抗運動(インティファーダ)が継続し、これに対しモロッコ当局は人権活動家や一般市民の殺害、拘禁、拷問など甚だしい人権蹂躙を重ねています。モロッコ政府による情報統制や欧州各国の現地調査団への強制退去措置にもかかわらず、これらの人権侵害は国際人権団体・メディアの活動により世界周知のものとなっています。
モロッコ政府によるこうした諸々の西サハラ関連国連決議への非協力姿勢や人権侵害にもかかわらず、日本政府はODA供与、皇室を含む人的交流、さらにアフリカ開発会議(TICAD)プロセスにおける「南南協力」の枠組みにおいてモロッコと緊密な関係を構築しています。西サハラ侵略30周年にあたる昨年11月に、侵略の最高責任者であるモロッコ国王ムハマッド6世を国賓招聘しさらなる二国間協力を取り決めた不見識は、その頂点をなすものです。他方で、日本政府はアフリカ連合(AU)加盟国であり、一方の紛争当事者であるサハラ・アラブ民主共和国(RASD)/ポリサリオ戦線との対話を一切拒否し、TICADプロセスからも徹底的に排除し続けています。
日本政府は安保理に最多当選している国連加盟国であり、とくに西サハラで安保理決議に基づく停戦が成立した1991年以後、すでに三度目の理事国の座にあります。つまり、日本は安保理の議題である西サハラ和平プロセスの推進(そして現在の停滞)に常任理事国5カ国に次ぐ責任を負う立場にあります。しかも、西サハラ被占領地域におけるモロッコの人権侵害について、事務総長報告書やアブデルアジズRASD大統領/ポリサリオ戦線書記長の書簡を通じて熟知しうる立場にもあります。にもかかわらず、西サハラ問題の解決に表向き傍観者的姿勢を取りつつ、占領国モロッコに偏向した外交を続ける日本政府の姿勢は、サハラウイの人権と民族自決権に敵対し違法な侵略を容認するものであり、政府が追求する安保理常任理事国の地位への適格性はもちろん、世界平和への貢献という主張の真実性をも疑わしめるものといえます。
さらに、AU加盟国であるRASDとの対話を拒否し、西サハラ和平プロセスの促進に消極的な日本政府の姿勢は、「アフリカのオーナーシップ」「AU重視」「平和の定着」を喧伝するTICADの理念にも全く相反するものです。
日本政府が西サハラ問題の解決、違法占領と人権侵害の終結を実現すべく公正な外交姿勢をとらない限り、日本の国際平和や人権問題に関するいかなる主張や訴えも、国際社会の理解と共感を得ることは不可能といえるでしょう。
私たちは貴職に対し、日本政府として以下の行動をとるよう強く要請いたします。
1、日本政府は現役の国連安保理理事国として、かつ新たに創設された国連人権理事会理
事国、平和構築委員会組織委員国として、国連安保理および総会の一連の決議に則り、西サハラにおける独立を選択肢に含めた民族自決住民投票を実現するため、積極的な外交努力を行うこと。モロッコが国連諸決議を遵守し、西サハラに対する違法占領と人権侵害を終結するよう、モロッコにしかるべき外交圧力を行使すること。
2、西サハラが国連の認定する「非自治地域」であり、かつアフリカ連合(AU)が承認す
る国家であるという事実に鑑み、西サハラ領土・領海においてモロッコとの協定による違法な資源開発を行わないこと。とくにモロッコとの漁業協定において西サハラ水域が操業水域に含まれないことを明記し、西サハラ問題の解決に非協力姿勢をとる場合は協定打ち切りを検討すること。
3、西サハラ紛争の公正な仲介努力の一環として、かつAUとの政策対話の一環として、
これまでアフリカ開発会議(TICAD)プロセスから排除してきたサハラ・アラブ民主共和国(RASD)/ポリサリオ戦線との直接対話を実施すること。とくにアブデルアジズRASD大統領/ポリサリオ戦線書記長を日本に招聘すること。
なお、本要請書は5月22日に開催された「サハラ・アラブ民主共和国建国30周年 西サハラ訪問報告会」の参加者一同から支持を得たものであり、欧米の西サハラ支援団体のホームページ等を通じ国際公開する予定です。
以上