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ダウン症の知育


ダウン症は知的障害ではありません

多くのダウン症のお子さんを見てきましたが、お子さんの知育に関して次のようなお母さん方が多いようです。

・症状緩和に目が行き、知育面が遅れてしまうタイプ
・少しでも知育面を良くしようと一生懸命詰め込むタイプ

ダウン症のお子さんは理解がゆっくりですから、何度も丁寧に、そして楽しく教える必要があります。そのためには詰め込みは不要どころかマイナスにしかなりません。症状緩和も大切ですが、同時進行で知育面も教えていきたいのです。

ごく当たり前の知育を、しっかりと時間をかけて教えてあげてください。尚、ここで紹介する内容は「田中ビネー知能検査」を基に、ダウン症の発育に合わせた内容に構成した、独自の知育プログラム(DIP:Down-Intelligence-Program)です。

ダウン症と言語教育

“言語教育”はできましたら生後4〜6ヶ月頃から始めたいと思います。
これは早期教育、というものではなく、お子さんがお子さんらしく生活するために必要なものです。

ダウン症のお子さんは、この概念作りが少し苦手。これは言語能力に依存するからです。
言語能力を高めることが出来れば、概念作りもスムーズに行なわれる傾向にあります。

知識と知恵を身に付けるには言語能力が基本で、それから概念作り。
なるべく早めに言語教育に取り組んでもらいたいと思います。

言語教育に関する詳細は こちら をご覧下さい。

ダウン症のお子さんは概念作りが大事

“概念”というものがあります。
ダウン症のお子さんは、この概念作りが少し苦手。特に“数”が得意とはいえません。
そのために、数の概念作りはじっくりと腰をすえて取り組んで欲しいのです。

私は、全てのダウン症のお子さんは健常のお子さん同様、大学まで進学できる能力を持っていると信じています。そのためには数の概念は幼少期にしっかりと作っておく必要があります。小学校に入学してからでも概念作りはできるとは思うのですが、お子さんに時間をかけられる幼児期にこそ概念づくりは適しているのです。

知育は毎日の積み重ねが大事ですが・・。

毎日コツコツ続けていくことが、重要です。
重要ですが、知育に負われてしまってはご両親も、そしてお子さんも楽しくありません。
知育を行っていく上で重要なのは“楽しいこと”

毎日の積み重ねが、明日の、そして将来のお子さんを形作っていくのですが、
息苦しさや負担と感じ始めたら、スパッと中止するのも一手です。

気分転換をして、親子とも気力が充実してから再開してください。
知育(勉強)は楽しいと思えることが、小学校、中学校そして高校へとつながっていくのです。

○歳級、という考え方

お医者さんに「この程度できるのであれば、○歳位だね」と言われることがあると思います。

こういった「○歳位ならできる」ものを私は便宜的に「○歳級」と表現します。全ての能力が、均等に発達するものではありません。ですから、識別能力は3歳級で比較は2歳級、といった表現となります。お子さんの弱い部分を見つけ出し、それを基礎から丁寧に行なっていけば、能力の底上げができるようになります。

尚、各項目の色が変わっている部分は、私のブログの該当記事にリンクしてありますので、そちらもご参照下さると、理解の助けになるのではないでしょか。

ここに上げた知育はあくまで、お子さんが成長するにあたり獲得してもらいたいものの一部に過ぎません。できるだけ、お子さんとの接点を持ち、意思の疎通を図るように語り掛けや“楽しさ”を経験させることが、知育の基本です。楽しい知育となりますように・・・。

1歳級について

項目 内容
動物識別1 犬・猫・鼠の絵カードの中から犬を示す
身体名称1 お子さんが相手の頭・肩・胸などを理解する
積み木 積み木を3個積み上げる(3歳級では10個ほど目標)
物体名称1−1 身近なものを示して名称をいう
物体名称1−2 用途を言って絵カードを指示する
型はめこみ ○・△・□の型はめをおこなう
指示1 名称をいい、その物を指で示させる
指示行動1 「手を叩いて」「頭を触って」などの指示を行なえる
チップ差し チップを棒に差すことができる

2歳級について

項目 内容
動物識別2 犬・猫・鼠・鳥・牛の絵カードの中から犬と鼠を示す
身体名称2 お子さん自身の頭・肩・お腹などを理解する
物体名称2−1 日常用品の名称を言ってそれを示させる
物体名称2−2 絵カードを見せて日常用品の名称をいう
理解1 絵カードの中から「紙を切るときに使うものは?」などの用途による選択ができる
色識別 赤・青・緑から始まり、12色を識別できる
物体比較 大きさ・長さ・量などを比較できる
絵合わせ1 2つの絵(動物)を1つに組み合わせて絵を完成できる
復唱1 2語文を復唱させる
指示行動2 「〜を取って」などの指示を行なえる
線引き 縦線を引ける

3歳級について

項目 内容
物体名称3 社会でよく利用するものの名称をいう(バス・飛行機など)
理解2 「あいさつ」「清潔行動」などを理解できる
理解3 「属性」が理解できる(魚・野菜・鳥などを分類できる)
数概念1 「3個」までの概念がある
物体定義 物の定義ができる(これは掃除をするときに使うもの、など)
絵合わせ2 3〜5つの絵(動物)を1つにできる
復唱2 3〜5語文を復唱できる
異同弁別 2つの絵が同じか/違うかを弁別できる
記憶1 3〜5個の紙コップの中に隠した物を記憶できる
線引き2 円を描ける
反対類推
※ 数概念は特にじっくりと取り組んでください。

4歳級について

項目 内容
物体名称4 社会でよく利用するものの名称
数概念2−1 「5個」前後までの概念がある
数概念2−2 数と物を対応できる
理解4 身体の機能が理解できる
記憶2 3枚の絵カードを示し、2番目に提示したカードを示せる
絵合わせ3 2〜3に分けられた図形から長方形を完成できる
反対類推2

5歳級について

項目 内容
数概念3 「10個」までの概念がある
不合理1 2つの絵の中にある3個程度の間違い探しができる
絵画欠所 動物などの絵の一部が欠損したものを見せ、欠損部位がいえる
模倣1 お手本どおりに積み木をを積める
左右弁別 右と左を弁別できる
線引き3 三角形を模写できる

6歳級について

項目 内容
不合理2 2つの絵の中にある5〜7個程度の間違い探しができる
理解5 社会場面に対する理解がある
曜日感覚 曜日に対する感覚が備わっている
線引き4 ひし形を模写できる
数の比較 数字の大小などを理解できる
打数数え 太鼓などを叩き、その叩いた数を数えられる

モンテッソーリについて

できれば、早期療育において、モンテッソーリを取り入れていただきたいと思います。

<モンテッソーリ教育の基本となる考え方>

・子どもは、自らを成長・発達させる力をもって生まれてくる

・大人(親や教師)は、その要求を汲み取り“自由”を保障する

・子どもたちの自発的な活動を援助する存在に徹する


モンテッソーリは次のような狙いがあります。

・集中してやり遂げる経験を繰り返す

・自信・集中力・自立心

・自分で判断して行動する

・自分の意志・判断力

・興味あることをとことんやる

・好奇心・探求心

・いろいろな体験を通して五感を磨く

・思いやり・感性


ご両親から“与えられる”教育ではなく、「自発的な欲求から来る意欲」を高めることで、お子さんの自分らしさの獲得を促すことができるのです。

知育を行う上で

上記の項目を着実に一つ一つ積み重ねていっても、子供はその日の体調や気分によってできなくなることもあります。そういった時に、つい「この間はできたでしょ!」と声を荒げてしまいがちになります。

特に小さいときほど、こういった傾向が見られますから、できなくなっても、じっくりとお子さんと向き合い、付き合ってあげてください。ダウン症のお子さんは、ちょっとしたつまずきが大きく感じる時期があります。そういった時は、前に進むのではなく、半歩、下がって見ることも必要になります。

この間まで4歳級ができたのに、今日はできなかった。というのであれば、3歳級に戻っても良いのです。「できる!」という経験が幼児期には必要で、それを積み重ねることが自立と自律につながるのです。


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