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超早期療育で行なうこと


ダウン症のお子さんは早期療育が大切です。その早期療育には「医療ケア」から「家族の関係」といった幅広い問題を対象として、その改善や強化に努めることになります。ここでは、家庭での方法ですから、家庭でのリハビリテーションについて紹介していきましょう。

家庭でのダウン症リハビリテーションは、大きく
・粗大運動対策
・知覚発達対策
・緻巧性対策
・コミュニケーション対策
・社会力獲得対策
に分けられます。この一つ一つを同時進行で行なう必要があります。

5項目を同時進行ですから、一つのリハビリテーションに複数の要素を併せ持つものを行なうようにすれば、身体的・時間的な問題をクリアすることができますので、その子の問題に即したリハビリテーションの内容が必要となります。

地方にいけばいくほど、障害児医療の立ち遅れや社会的偏見の強さなどにより、この5項目のリハビリテーションを行うことは困難を極めることが多く、家庭での「リハビリ力」が重要になります。



 
超早期療育で行なって欲しいこと

できれば、次の事柄を留意して行なって欲しいと思います。
テレビ(モニター含む)、パソコン、携帯電話との接点を極力減らす
・絵本の読み聞かせをできれば1日5冊以上
・お子さんへの語りかけを心がける
・外との接点をできる範囲で増やす

テレビの害に関しては、ここで詳しく述べるまでもなく知られていることです。脳の発育を阻害する可能性が非常に高く、小児学会などでも警鐘を鳴らしています。

絵本を読む際は「ゆっくり」「はっきり」「大きく」に気をつけるようにしましょう。大きく、と書きましたが、耳元で大きな声を出すと聴覚に障害を来たすことがありますから厳禁です。

参考:乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です 小児医科学会最新情報より

粗大運動対策

粗大運動は特に、体液循環と相関関係にあり、フニフニ感の強いお子さんほど、粗大運動の獲得は遅れます

粗大運動の遅れは、筋緊張低下や原始反射の消失の遅れなどとしても表れ、多くのダウン症児に見られる特徴です。ダウン症のお子さんには、この粗大運動を考慮し、自らの意思による運動だけでなく、他動的に(第三者が動かす、この場合はご両親です)粗大運動介助を行うことが必要です。

ダウン症の診断は早期になされますから、診断と同時に、BABY-CDPや粗大運動を取り入れたベビーストレッチングを行ないます。また、月齢が進みますと、自らの意思でからだを動かすように促すように、ご両親が配慮することも必要になります。

知覚発達対策

知覚発達というのは、「見る」とか「聞く」といったものだけではなく、微細運動が含まれます。微細運動とは小さな運動、細かなコントロールが必要な運動のことです。微細運動は知覚と連動しているので、知覚発達の中に微細運動も含めて対策を行なっていくのです。

「微細運動」というと「押す」「入れる」「はめる」の伸張型運動を推進する方が多いようですが、微細運動が十分に発達していないお子さんには、
・引く
・取る
・出す
・破く
といった屈曲型運動による微細運動のほうが行ないやすいのです。

ですから家庭で行なう知覚発達対策にはこの屈曲型運動を考慮した遊びを行なって欲しいのです。例えば、ティッシュ出しは多くのお子さんが嬉々としてやりたがる遊びです。他にもブロック壊しや新聞紙破りを行ない、次第にミシン目破りなどを行なっていくのです。

こうすることで微細運動のコントロールが次第と身に付いていき、知覚発達も同時に促されていくのです。

緻巧性対策

これは前回の内容がある程度進んでから行われることです。目安として、つまみ運動がある程度、自律的(自分の意思で)に行なえるようになってからです。

人間の人間たる行動を特徴付ける運動のひとつが「つまみ運動」。これが出来る様になると緻巧性は獲得しやすく、反対に、つまみ運動が出来ないのに緻巧性を追求してもお子さんにとっては苦痛にしかなりません。

リハビリテーションは苦痛を伴うものですが、達成感が同時にあると苦痛が喜びを倍加させます。ですから、つまみ運動の出来ない子には、ある程度、素地ができてから根気良く教えていくようにします。そのために使われる方法として乾電池などによる方法があります。

乾電池だけではなく、お子さんが握ることのできる太さの適度なガラガラやソフトなボールなどを使っても良いと思います。これを握らせながら、親指とそれぞれの指の対立運動(親指の指先と他の指先をつけて輪を作る)を行なわせるのです。次第に、何も握っていなくても物をつまむことが出来るようになります。

コミュニケーション対策

ダウン症のお子さんの特徴として、「温和な性格」というのが挙げられますが、これはコミュニケーション能力が若干、低下していることによる一事象に過ぎないのではないかと思える節があります。

それというのも、高学歴のダウン症の方は、表現に少しばかり難がありますが、必ずしも「温和な性格」ではないからです。コミュニケーション能力が不十分なことによる、自己防衛の結果が「温和」なのかもしれないと考えられるからです。

そうなると、コミュニケーション対策は、ダウン症のお子さんにとって最も重要な対策の一つと言えるのかもしれません。ですから、私はこのコミュニケーション対策には十分な時間を割いて指導するようにしています。

コミュニケーションというのは、バーバル(言語的)/ノンバーバル(非言語的)な意思表示による意思伝達をいうのですが、ダウン症で聴覚に重複障害がない場合、「言語の表出」と「コミュニケーション受容能力」を重点的に獲得を図ります。

そのためには「ゆっくり」「はっきり」そして「大きく」を意識しながらの語りかけと発語促しが必要になります。そして、一般のお子さん以上に絵本の読み聞かせを行なうように指導します。これにより「言語の表出」と「コミュニケーション受容能力」が高まり、着実にコミュニケーション能力を獲得していくのです。

尚、難聴がある場合は、手話を使ってのコミュニケーションやシンボル・コミュニケーションの併用を行なうようにすると、コミュニケーション能力の獲得を促していきます。

社会力対策

はじめに「社会力」の説明から。

社会力というのは
・社会生活力
・社会適応力
の2つに分類することが出来ます。

社会生活力とは自分の力で生活するための能力で、いわゆる自立、というものです。社会適応力は「理解」「共感」「協調」という3つの能力によって行なわれる他者との係わり合いを円滑にするための能力です。ですから社会力というのは、単なる自立ではなく「他者との係わり合いを円滑に保ち、自分を律して行動できる」ための能力といえます。

ダウン症だけでなく、多くの障害を持ったお子さんは、この社会力に対する教育が遅れがちになります。それは、目の前にある障害に目が行き、人として生きるのに大切な「社会力」の部分が後回しになってしまう傾向にあるからです。

私は、絵本の読み聞かせを強調しているのですが、絵本の読み聞かせは様々な効果があります。知的な部分は勿論ですが、集中力の獲得や、好奇心を促す、親子の精神的な結びつき、そして社会力の獲得にも使えます。

もちろん、実際に社会にでることが一番ですから、障害を持っているからと家にこもるのではなく、積極的に外にでて、多くの子供たちと接する機会を持たせてください。それが、社会力の獲得に役に立ち、全体的な症状緩和へとつながるのです。



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