ペット動物法務支援事務所
行政書士 良子修行政法務事務所
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◎◎ 咬みつきなど・人や財産への加害事件 ◎◎
●《 事件 19 》
公園で酔っ払った飼い主が、警察訓練を受けさせた飼い犬(ドーベルマン・ピンシェル)に号令をかけ、面白半分に通りすがりの女性を襲わせ、大腿および下腿に咬傷を負わせた。傷の程度は、右大腿部は直径約10cmの楕円形の内出血、犬の牙跡5ヵ所位。右下腿部はL字型の縦2cm、深さ1cm位で、皮膚が咬みちぎられたような状態で3針縫合。
                             
                    【横浜地裁 昭和57年8月6日】

判決・・・< 判例タイムズ477号−216頁 >
犬の飼い主に懲役6月及び罰金5万円(懲役は傷害罪、罰金は犬の登録・狂犬病予防接種を怠ったとして)を言い渡し
た。
「犬の飼い主は犬が命令に忠実な性質を利用して、また人間が騒ぐと興奮しやすい性質であるのを十分知った上で、自分は草木の繁った暗闇に潜み、女性を狙って犬をけしかけ、女性から抗議されても謝罪せずに逆に居直ってさらに犬をけしかけた、その手段、態様は悪質である」




●《 事件 20 》
大型犬(土佐犬)の飼い主の内妻が飼い主に飼育場所を提供し、飼育に協力していたところ、飼い主の使用人により連れ出された大型犬が、幼児に襲いかかり死亡させた。
                                               【最高裁 昭和57年9月7日】

判決・・・< 判例時報1055号−45頁 >
飼育場所を提供した内妻は占有補助者にすぎないため、民法718条が適用されないことを前提として、内妻に民法709条(不法行為)による損害賠償を命じた。




●《 事件 21 》
5歳の少女が自宅近くの農道で、2匹の犬に襲われて死亡。咬傷は、顔・首・胸・腹・太腿などに及んでいた。
2匹の犬は近くの別荘で飼われていた雄の秋田犬で、しばしば放飼いにされていた。
犬の飼い主に対して3400万円の請求。
                                       【水戸地裁 昭和57年9月16日】

判決・・・
犬の飼い主に対して2921万円の支払を命じた。
行政も訴えられたが、飼い主の不適切な管理は予見出来なかったとして、責任無しとした。




●《 事件 22 》
けい留していない小型犬(ダックスフント・体長40cm)が公道に出たところ、自転車で通りかかった男児(7歳)にむかって2m程近づき、男児がその脇を通り抜けようとしたがハンドルをきりそこね、公道脇の川に転落し左眼失明の大怪我を負った。被害者側は犬の飼い主に損害賠償を請求した。

第一審(福岡地裁)は、飼い主の保管上の過失はないとして、原告の請求を棄却
第二審(福岡高裁)は、原告の損害賠償請求を一部認め、飼い主にも過失が1割あるとして、慰謝料含め31万円の支払を命じた。
福岡高裁(昭和57年5月27日判決)・・・
「大型犬でない愛玩犬であっても、一般的には人に危害を加えたり恐怖感を与えるおそれはないものということができるが、しかし子供にはどのような種類のものであれ、犬を怖がる者があり、犬が飼い主の手を離れれば、本件にような事故の発生することは予測できないことではないので、犬を飼う者は鎖で繋いでおくなど常に自己の支配下に置いておく義務がある」
                                                     【最高裁 昭和58年4月1日】 
                                    
判決・・・< 判例時報1083号−83頁・法律時報56巻4号−140頁 >
上告棄却。
原審判決が確定。

飼い主の手を放れた犬が男児に近づいて来たこと、普段から犬嫌いであった男児が犬を見て一瞬ひるんだこと、男児がやや大きめの自転車の操縦になれていないこと、などから因果関係が争われたが、犬が飼い主の手を離れると本件のような事故が発生することは予測できるとして、犬の飼い主の損害賠償責任を認めた。




●《 事件 23 》
紀州犬を自宅敷地内の檻で飼っていたが、飼い主が施錠するのを忘れ檻から逃走。子供に咬みつき3ヶ月の大怪我を負わせた。犬の飼い主に刑事責任があるかどうかが争われた。
                                                  【名古屋地裁 昭和59年6月6日】 

判決・・・
紀州犬は元来、狩猟犬で主人には忠実だが他人には馴染まず、他の人畜に害を与える性癖があるものであるから、一般の愛玩犬の飼養での注意義務よりはるかに高度の注意義務が要請されるとして、飼い主に重過失傷害罪を認めた。


※飼い犬が人を襲い怪我をさせたり死亡させたりした場合は、過失傷害罪(刑法209条、30万円以下の罰金または科料)・過失致死罪(刑法210条、50万円以下の罰金)・業務上過失致死罪(刑法211条前段、5年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金)・重過失致死罪(刑法211条後段、法定刑は前段と同じ)になることが考えられます。




●《 事件 24 》
狩猟中の猟犬に襲われた小学生がかみ殺された事件
                           
                                                   【神戸地裁 昭和61年3月28日】
                                                   判例タイムズ616号−110頁
現在裁判判決内容調査中




●《 事件 25 》
大型犬(秋田犬)を散歩させていた時、近づいて来た女性が犬に手を出したので、飼い主は「怖くないですよ。」と答え、自らその女性に犬を連れて近づいたところ、急に犬が女性に飛び掛り顔に咬みつき、大怪我を負わせた。
鼻を咬まれた女性は損害賠償を請求した。
                                                 【大阪地裁 昭和61年10月31日 】
判決・・・
飼い主としての十分な注意義務を払っていたとは言えないため、犬の飼い主責任を認め、治療費・慰謝料・弁護士費用などをあわせ、230万円の損害賠償を命じた。




●《 事件 26 》・・・判決文データ有
公園で犬を散歩させていたところ、放し飼いの大型犬が近づいて来て襲いかかったので、犬を追い払おうとして手を出したところ、いずれかの犬に咬みつかれて怪我をした。296万の損害賠償請求訴訟。
 
                                                 【東京地裁 平成4年1月24日 】

判決・・・
飼い主を咬んだ犬がいずれか不明としても、相手側の犬に襲われたことで自分の犬を守ろうとして手を出したのを咬まれたのであり、そのような状況が起こり得るであろうことを予測しうるにもかかわらず漫然と犬を放した方に過失があるとし23万円の支払を命じた。
相手は、手を出したことにより咬まれたのであるとして過失相殺を主張したが、公共の場所で犬を放すという相手方の過失の重大さに比べれば、とるに足らない程度のものとして過失相殺の対象にはならないとした。




●《 事件 27 》
ミカン畑で、闘犬(ビット・ブル・テリア)2匹を放し飼いで運動させていたところ、隣の公園にいた女児に襲いかかり、1人は大腿部に咬傷、他の1人は全身を咬まれ死亡した。
                                           【那覇地裁沖縄支部 平成7年10月31日】
 
判決・・・< 判例時報1571号 - 153頁 >
犬の飼い主に対し、重過失致死傷罪で禁錮1年の実刑。
裁判所は「被告人は、本件犬が闘犬でありことを熟知しており、むしろ、日頃から牛骨を与えるなどして、闘争性を高めようとしていた。」「闘犬愛好家の間では、アメリカン・ビット・ブルテリアは、常時鎖でつないで飼うことが常識であったと解されるのに、被告人は犬小屋からミカン畑までの2kmを放し飼いで連れて行き、農作業中も解放していた。闘犬の管理としては、あまりに無神経かつずさんで、本件が発生するまでは、当該犬が人を襲うことがなかったとしても、闘犬としての獰猛な闘争本能に照らせば、起るべくして起きた事故とさえ言える」「遺族に与えた衝撃、近隣住民に及ぼした恐怖・不安感ははかり知れず、刑事責任は極めて重大。被告人が深く反省していること、遺族に対し全財産を投げ出すような償いを決意していること、既に一部慰謝の措置を講じていること、高齢であること、前科がないことなど、斟酌すべき諸事情を十分に考慮しても、実刑に処するのが相当」と述べた。    




●《 事件 28 》
小型犬(ポメラニアン・雄・8歳前後)を散歩中に、手綱を離れた飼い犬に咬まれて死亡したことで、小型犬の飼い主が相手犬の飼い主に対し、38万円の損害賠償を請求した。

                                           【春日井簡易合判所 平成11年12月27日】
判決・・・< 判例タイムズ1029号 233頁 >              平成11年(ハ)第182号
死亡した小型犬は、8年ほど前に総額18万円で購入。その後、購入者の都合で半年程して原告に無償で譲渡された。事故当時の被害小型犬のような犬の時価は、8万円。
被害犬は既に老齢期に入っており、また血統書の存否が不明、無償での譲渡ではあるが、原告方での飼育状況(毎日散歩させ、長年にわたり愛撫飼育してきた)から判断して、かなりの精神的な苦痛を受けているとして、6万3300円(内慰謝料として3万円)の支払いを命じた。




●《 事件 29 》
杖をついて自宅前の路上に出た女性(71歳)が路肩のポールにつかまり立っていたところ、近所の男性が散歩に連れ出した飼犬にひと声吠えられ、驚いて転倒し足を骨折した。
女性は7ヶ月の通院治療。犬はラブラドールの雌(1歳5ヶ月)でリードはつけていた。
被害者は飼い主に対して610万円の損害賠償請求を行った。                       
                                                   【横浜地裁 平成13年1月23日】

判決・・・
飼い主側は、被害者の転倒は足の障害によるものと主張したが、裁判所は「女性の過失を肯定することは、身体障害者に外出を禁じることになる」と述べて、女性の転倒と犬の吠え声との因果関係を認めた。
その上で、「飼主には犬がみだりに吠えないように調教する注意義務がある」として、治療費など約440万円の損害賠償を命じた。
現在、控訴係争中。




●《 事件 30 》
ペットのハスキー犬を引き綱を付けずに散歩させていたところ、近所の人が飼う犬2匹に咬みつき大ケガをを負わした。
被害者飼い主側から損害賠償を請求された。
                                                              【川崎簡裁】

判決(川崎簡裁)・・・
「飼い主が散歩の際、引き綱をつけていなかったため、飼犬が咬みつくのを止められず、またトラブル後、すぐに引き離すことも出来なかった」と判断した上で、犬の散歩中ぬは、同様のトラブルが起こる可能性もあるから、飼い主は「飼犬にロープをつけて散歩させる義務がある」として、被告に約27万円の支払を命じた。

控訴・・・ハスキー犬の飼い主は不服として控訴したが、控訴審でも1審判決を支持して、飼い主側の控訴を棄却。
                                           
                                                    【横浜地裁 平成13年4月5日】



●《 事件 31 》・・・判決文データ有
小学校5年生の女子が他人の家にけい留されている飼犬に口部を咬まれて傷害(12日の通院)を負い後遺障害が残ったとして、当該女子とその両親が,飼主に対し、慰謝料等の損害賠償を請求した事案である。

公道から自由に出入り出来る自宅車庫の犬をけい留、「犬にさわらないで」という看板を設置していた。
飼主は飼犬が女子を咬んだことを否認。仮にこれを肯定するとしても、相当な注意をもって飼犬の保管をしていた。
仮に飼犬の保管につき不注意があったとしても、女子にも過失が認められるので過失相殺がなされるべきである。などと主張した。
原審は、飼犬が女子を咬んだと認定した上、飼主側の相当な注意をもって飼犬の保管をしていたとの主張を認めず飼主の女子に対する損害賠償責任を認めた。その上で,女子の損害として傷害慰謝料15万円を認めたが,後遺障害慰謝料は認めなかった。そして女子にも事故を誘発した過失が認められるとして5割の過失相殺をした。
なお両親の慰謝料請求については認めなかった(治療費の請求については認めた。)。
控訴審も、原審同様飼主の女子に対する損害賠償責任を認めた上で、女子の損害として傷害慰謝料20万円のほか、後遺障害慰謝料60万円を認め原審同様5割の過失相殺をして結局40万円の損害を認めた。なお両親の慰謝料請求については、原審同様認めなかった。
                                      原審  ・・・【松江地裁浜田支部 平成13年】
                                      控訴審・・・【広島高裁松江支部 平成15年10月24日】
判決・・・
            原審:         控訴審:
被害者治療費  全額支払       全額支払  
傷害慰謝料    15万円        20万円
後遺症慰謝料     なし        60万円
両親の慰謝料     なし          なし




●《 事件 32 》・・・判決文データ有
平成13年1月30日、京都府久世郡の会社1階の階段口付近に約1メートルの鎖で繋がれていた犬(雑種・雄)が、仕事で訪問して来た女性の腕に咬みつき、左腕から肘にかけ傷を負わせた。女性は約5ヶ月の通院(実数22日ほど)、腕にしびれや傷跡などの後遺症が残った。被害者は飼い主に約493万円の損害賠償請求を行った。
                                             
                                                   【京都地裁 平成14年1月11日】

判決・・・
犬は過去2度程咬みつき経歴があり気が強い性格であったが、会社は2階にあり、犬の保管位置は鎖の長さを含めても入り口付近は犬の行動範囲外にあった。女性は自ら近づいて犬にさわり咬みつかれた為、女性の過失を6割とした。




●《 事件 33 》・・・判決文データ有
平成12年9月、東京新宿区の公園を研究者の夫と一緒に散歩していた中国人女性(46歳)に、同公園内で飼い主が投げたテニスボールを追って走って来た大型犬(ゴールデンレドリバー・体重30kg)が衝突し、女性は飛ばされ転倒。顔を骨折し3ヶ月入院、退院後も固形物を食べられない程の後遺症が残った。被害者は飼い主に対し2,700万円の損害賠償請求を行なった。                             
                                                   【東京地裁 平成14年2月15日】

判決・・・
大型犬の飼い主は、犬は女性にはぶつかっていない。と主張したが、裁判官は目撃証言を重視し転倒の原因は衝突以外は考えられないと判断。飼い主に1,900万の支払を命じた。




●《 事件 34 》
平成12年1月、大阪市の女性(54歳)が友人の犬(体長60cm)を連れて公園を散歩させていたところ、綱に繋がれていない犬(ラブラドルレドリバー・体長90cm)が近づき、唸られたことから女性は恐怖を感じ離れようとして連れていた犬の手綱を引いたところ、バランスを崩して転倒。右太腿の骨を折る大けがを負った。現在でも立ち仕事が出来ないなどの障害が残っている。として、転倒し怪我を負ったのは犬の飼い主に原因があるとして3300万円の損害賠償訴訟をを大阪地裁に起した。
                                                  【大阪地裁 平成14年5月29日 】

判決・・・
平成14年5月29日、大阪地裁の野田恵司裁判長は、「犬の管理者が犬を公園・道路などに連出すには、他人に危害を加えないように綱をつけるべきで、原告の転倒の原因をつくった。しかし犬は、唸る以外のことはしておらず、転倒には原告の手綱の操作を誤った過失もあったが、飼い主が散歩させる際の基本的注意義務を怠った過失は小さくない。」として、被告に約870万円の支払を命じた。




●《 事件 35 》・・・判決文データ有
平成11年12月11日の昼前、男性(49歳)が愛知県尾張旭市の道路を歩いていたところ、急に犬に左ふくらはぎを咬まれ、傷害を負った上、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した。
飼い主は自宅に裏庭で自由に放飼いをしていたが、外部との遮断部に隙間があり逃走した。この犬は3年目にも人に咬みついた経歴があった。
男性はその後、PTSDによる影響で仕事が出来ず、平成13年に慰謝料含めて1807万円の損害賠償訴訟を起した。
                                          
                                                  【名古屋地裁 平成14年9月11日】

判決・・・
平成14年9月11日、裁判所は被害者のPTSDを認め犬の飼い主の家族に連帯で790万円に支払を命じた。
PTSDは個人差があるという判断で、過失相殺の法理を類推適用し4割減額とした。、
実際に世話をしている人とその家族との飼い主責任については、同等の責任があるという判断を示した。
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