Internet Magazine 2003年4月号 , impress , 2003年2月28日


動画・音楽・ネットでの利用に制限がかかる「自由」の意味とは
著作物の利用促進になるか? 文化庁が『自由利用』マークを発表



 文化庁は2月7日、ホームページで「自由利用マーク」を公開した。これはホームページや書籍、CG等の著作物について、一定の条件を満たせば著作者に連絡を取らずにコンテンツを利用できるようになるということを示すマークである。
 使用方法としては、著作者がマークを文化庁のホームページからダウンロードし、自分のコンテンツにつけるだけでよい。マークは現在3種類あり、つけた著作物は以下の条件でそれぞれ利用が可能になる。また今回の3種類のマーク全てで音楽や動画が対象外となっているので注意して欲しい。
 1つ目は「プリントアウト・コピー・無料配布」OKマーク。これは個人、企業に関わらず、あらゆる目的を対象としてプリントアウト・コピー・無料配布を認めるものである。この場合の無料というのは実費の徴収も含まれない。またインターネットでの送信や放送なども含まれず、コピーも改変無しのデッドコピーのみが許されている。
 2つ目は「障害者のための非営利目的利用」OKマーク。障害者のみが使うことを目的とする場合に限り、非営利でのあらゆる利用が可能になるマークである。これはコピーだけでなく改変利用等も可能だ。また障害者利用目的であればコピーをする人は障害者でなくても構わない。ホームページでの利用も可能だが、障害者のみがアクセスできるようにしなければならないため、パスワード等で制限する必要がある。
 3つ目が「学校教育のための非営利目的利用」OKマークで、これは授業やクラブ活動などの学校の様々な活動で使うことを目的とする場合に限り、非営利でのあらゆる利用が可能になるマークである。これもコピーを行う人は教員・生徒に限られない。

著作物利用者の誤解を考慮する

 この自由利用マークが作られた背景について、文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室長の尾崎史郎氏は次のように語った。
 「まず、著作物は個人が作ったものであっても著作権が発生して保護されるので、利用者が他人のコンテンツを使おうとすると許諾を得たりするのに手間がかかるという状況が前提としてあった。しかし、インターネットの発達によってプロアマ問わずに著作物が発表されるようになり、これらの著作物の中には、自由に使っていいよというものや、みんなに知って欲しいというものも多くでてきている。そのため、著作者が自分の作った著作物を使っていいよ、ということを示すための手段として今回のような意思表示システムが考え出された」
 自由利用マークは著作物を利用しやすく、あるいはされやすくするために開発されたシステムというわけである。基本的にプロよりもアマ向けと想定されている。
 しかし、それではなぜコピーOKマークがインターネットでの利用を禁止していたり、音楽や動画を今回の3種類のマーク全てで対象外としていたりするのだろうか。
 「インターネットでは著作物があっという間に広がる。そしてこのマークは事実上撤回不可能だ。そのため他人にマークをつけられた場合や、マークの意味を誤解してつけた場合の被害が大きく、今回は除外することにした。また音楽と動画については権利者の方は『含めても構わない』と言っていたのだが、現状では音楽の場合は他人の著作物をMIDI化したことで自分の著作物であると主張する人がいたり、動画では他人の著作物が含まれてしまう場合が多いなど誤解等によって被害が広がる可能性が高いのでこれも今回は除外している」(尾崎氏)
 また「今後も著作権に関する理解を深めてもらえるように啓蒙活動を進め、次に発表する際にはより幅広い条項を盛り込みたい」とも語り、今回は最初のステップであるということを強調していた。マークの発表によって違法な行為を助長するというようなことがないようにとの判断が働き、今回はこのような制限がついたそうだ。

著作権法を超えるものではない

 注意点として、今回のマークは著作権法で定められている制限規定を狭めることはないということがある。つまりコピーOKマークがついていても引用等は可能であるし、コピーOKマークが無くても私的複製等は可能である。障害者利用OKマークが無くても点字化などは行うことができる。あくまでも法律が優先し、マークは補助的なものということだ。あと、学校教育OKマークでは学校のホームページでの使用が可能となっているが、これには学校が管理しているサーバにある生徒のサイトも対象になる。このあたり、文化庁のホームページでは説明が不十分であったのだが、今後Q&Aを作るなどして説明していくと言う。
 文化庁としては、別の民間団体等の発行するマークの方が普及するのであれば、自由利用マークに拘る必要はないとも考えているそうだ。そろそろ本号でも特集しているCreative Commonsの日本語版が開始されるが、このような制度としてより自由度の高いCreative Commonsに移っていくということもあるかもしれない。



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法律娘真紀奈自由利用マークの問題点」 :本記事のきっかけ
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