嫡出推定
〜できちゃった結婚の罪〜
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 授業で仕入れたちょっとした話です。なんでこんなもの書いているかは気にしないように。
 そもそもおまえには結婚なんて縁のない話だろう、という意見は丁重に黙殺させていただきます(笑)

 できちゃった結婚というのが一時期はやったようですが、これはその時に受胎していた子供に不利益が降りかかったりします。なぜ、どのようにして降りかかるのか。今までこれに関して目にしたことがなかったので、ちょっと書いてみようと思います。



1.嫡出と非嫡出

 嫡出と非嫡出というのは、簡単にいうと、正式な結婚をした(入籍している)夫婦の子供かどうか、ということです。結婚をした夫婦から生まれた子供のことを嫡出子、結婚をしていない男女から生まれた子供のことを非嫡出子と呼びます。基本的に両親が子供の生まれる前に婚姻届を出していれば、その次の日に生まれたとしても子供は嫡出子として扱われ、婚姻届が出ていなければ、非嫡出子として扱われます。

 嫡出と非嫡出の違いは何か。非嫡出の場合、そもそも誰が父か、ということになります。父に認知をしてもらうか(任意認知)[民779条]、子供の方から認知を求めるか(強制認知)[民787条]をしなければ父子関係が発生しません。(他にも色々と問題はありますがここでは述べません)
 もう1つの違い。これが一番問題になるのですが、非嫡出子は相続の際に相続額が嫡出子の2分の1になります[民900条4号但書]。憲法14条の法の下の平等原則に反している、として長年議論されていますが、平成7年の最高裁判決[最大決平7.7.5]でもこれは合憲とされています。日本では法律婚主義をとっているため、非嫡出子の相続分を少なくしたのは合理的理由のない差別とはいえない、ということです。



2.嫡出推定

 先ほど婚姻届がでていれば、次の日に生まれた子であっても嫡出子として扱われる、と書きました。これは確かにその通りなのですが、普通子供は懐胎から生まれるまでに約10ヶ月かかります。まだ結婚していない期間に懐胎しているのは確実なのだから、生まれた子はその両親の子であるのか不明じゃないか、という問題が出てきます。

 ここで嫡出推定という考え方が生まれます。これは、婚姻成立の日から200日以降、または婚姻の解消もしくは取り消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する、というものです[民772条2項]。
 これによってこの期間に出生した子は夫の嫡出子とされます。

 嫡出推定された場合、嫡出子としての身分を奪われることは、嫡出否認の訴えか審判という手段によってしかありません。
 この嫡出否認の訴えは夫のみしか提起できず[民774条]、期間も夫がこの出生を知ったときから1年以内[民777条]とかなり厳格に規定されています。

 いったん嫡出推定をされれば、ほぼ確実に嫡出子としての身分を保障されるわけです。



3.嫡出推定されない嫡出子

 さてやっとできちゃった結婚によって生まれた子の話題に入れます。
 できちゃった結婚の場合になぜ結婚を急ぐのかというと、結婚前に子供が生まれてしまうと子供が嫡出子とならず、不利な条件下におかれてしまうためです。
 しかし、嫡出子として認定されたとしても、嫡出推定を受けられない場合は不利益が発生する可能性があるのです。

 嫡出推定が行われない場合、確認の利益がある限り誰からでも親子関係不存在確認の訴え又は審判によって、父子関係をいつでも否定できます。[大判昭15.9.20]  つまり、嫡出推定を受けていない場合は、いつ誰から親子関係不存在である、などと言われるかわからないわけです。

 これは主に相続の場合におきかねないものです。嫡出子か非嫡出子かでは相続額が違います。さらに、嫡出か非嫡出以前に、その子と父との間にそもそも親子関係が存在しないとなるとその子には相続額が無いことになります。自分の取り分を増やすために訴えを起こす人間がいないとは限りません。
 嫡出推定されない嫡出子は常に身分が不安定となるのです。



4.だから

 民法がおかしい、といいたいかもしれませんが、民法の規定にはそれなりに理由があります。そもそも結婚せずに子供を作る、という状況を想定していないのですから仕方ありません。家族生活は変化しているとはいえ、一応結婚してから子供を作ってくれ、ということでしょう。子供にとってもその方が望ましいという考えが根底にあると思われます。

 じゃあ、子供ができてしまった場合はどうするか。
 生むつもりで、結婚するつもりもあるのだったら、結婚を決めた時点でさっさと婚姻届を出すことを提案します。 だいたい3ヶ月かそこらで妊娠に気付くでしょうから、それからなら200日以降という条件に含まれる可能性も高いですしね。別に結婚式と入籍日が異なっていたってかまわないでしょうし。

 まあ、結婚してから子供を作るようにするのが一番望ましいとは思いますが。

 すでに嫡出推定されない嫡出子がいる場合。これに関しては今更どうしようもないです。問題が起きないようにきちんと説明しておくとか、少なくとも財産相続だけはきちんと為されるように遺言残しておくとか。個人でできるのはその程度。
 法令を変えるように運動する、というのも1つなんですけどね。非嫡出子と嫡出子の平等に関する問題はともかく、親子関係不存在に関しては難しそうですが。

 何よりも問題なのは、全てのしわ寄せが子供に行く、ということですね。結婚するとき、子供を産むときは、自分たちのことだけではなく子供のこともきちんと考えて行うべきだということです。






 いつもの通り著作財産権は特に主張しません。