さぁ、パッキングもばっちり決まって出発です。
寝袋も買ったし、温泉セットももちろん装備済み。
バイクも絶好調、ライディングジャケットも新調とくれば、早くいこーぜー、てな感じですが、なぜか遅れてやってきた会社の後輩8クンは、KAWASAKIエストレヤという渋いバイクに似合わず、軍手にダウンジャケット、半キャップタイプのヘルメットという、あまりにもシティーバイカーないでたち。
もう一人のOクンも、SR400にパッキングされた荷物は寝袋ひとつ。

おいおい、だいじょうぶかぁ?ま、何があっても知らんけどね(笑)。
そんな事いってももう10月、やはり冷えます。まずは温泉にどっぷりとつかり、併設のお食事どころで腹ごしらえと行きましょう。

ここ、道志の湯は露天風呂もあって設備も新しく、とってもおすすめ。ちょっと場所がわかりにくいかも知れんけど。
さぁ、飯だ飯。飯食わせろぉぉぉぉ、と、こ汚いいでたちのバイカー集団を前に、おカミさんも少々引き気味ではありますが、全員そろってこの地域の名物である「ほうとう」をオーダーするところがやっぱり田舎の味を愛する小市民でございます。

約一名、リーダーのOサンは、今晩死ぬほど食うことがほぼ決まっているにもかかわらず

「俺、ホルモン定食。」

とシブくオーダーをかまし、全員から尊敬のまなざしを受けておられました。
いくらホルモン食っても、手術で切除された内臓は生えてきませんよ・・・
ガルアァァァ、ゴフッ、ゴアァ。とかっこむOクン。
ンンガァ、ングフッと吸引する8クン。
そんなノイズに食堂内が満たされる中、一人今日の夕飯メニューに集中するS氏(シェフ長)。

あなたがいなければ、今までのツーリングで何人
死者が出ていたことでしょう。
で、例によってふもとのジャ○コだかサテ○だかでしこたま肉のみを買い込み、夕餉のお買い物の品定めをする奥様方を視線で威圧しつつ試食を制覇していたら、こんな時間になってしまいました。

急いでテントを設営し、夕食の準備にかからねばならんのに、建設部長O氏は、そのあまりの欲求に耐え切れず、一人ビールを闇にまぎれて流し込んでるのでありました。
で、案の定美しき夕焼けは儚くも短時間で消え去り、我々の周囲はただ漆黒と静寂のみが支配する状況と相成りました。

「明かりが無いとペグうてないっすー。」という軟弱な建設部員8クンの要求により、全車のヘッドライトを一箇所に集中する「ソーラーシステム」計画を発動することで、何とかこの難局を乗り切るにいたったのであります。

で、あとはいつものとおりの大焼肉大会。

「ごるぁぁぁ、その肉は俺が大事に育てていたのに!」
「早くくわねぇのがいけないんぢゃ!ボケェ!」
「ああ、そんなとこでホルモン焼かないでくださいよ、網がこげるからぁ!」
「誰だよこんなにいっぺんに薪くべたの?これしゃ一晩持たないぞぉ!」
「いいじゃんいいじゃん、あいらぶゆーおっけーぇぃー。」
標高1500m近い高所でのキャンプ、加えて10月という秋本番の気候。
もちろん夜間の気温はマイナスを軽く下回り、あたりは一面霜が降りておりました。
(テントの内側に結露した水滴が凍り、ボクの髪の毛が張り付いたくらいです)

あまりの寒さに何度も目を覚まし、やっとお天道様が山からお出ましくださったのを待ちわびて、凍えた私はテントを逃げ出すようにはいでたのです。

「・・・あれ、シェフ長もう起きてるよぉ。朝ごはんの支度かな?」
見回すと、シェフ長が散乱した自分の荷物をバイクにくくりつけています。

「どうしたのかな、荷物をあんなにぶちまけるだなんて・・・」
まぶしすぎる朝の光に目を細めながら、周囲をさらに見回すと、やたらに食料の入った袋が散乱しています。

呆然と立ち尽くすボクに、シェフ長が一言。

野犬みたいだね。肉だけ全部食われてる。」

なんともびっくり、(あとで管理人さんに確認したところ、最近良くいのししを見る、とのことでしたが・・・)よくテントが襲われなかったものだとぞっとしましたが、悲劇はまだ終わらなかったのです。

「そんなことより、あれ見てよ。」

シェフ長が指差すその先には、ごみに混じってとんでもないものが・・・
「・・・・・!!!」

そこにあったのは紛れも無く、寝袋ではありませんか!ディスカウントストアで1,000円で買った、と笑いながら言っていた、見覚えのあるペラペラの3シーズン用寝袋は、たしかに8クンのものだったからです。

氷点下の中、おそらく酔ってそのまま寝てしまったのでしょう。下手をすれば体温を奪われて凍死です。

僕らは勇気を振り絞って、棒切れでそのシェラフをなんどもつつくと・・・

「・・・・・・・・・・う・・さむいっす・・・・・・」
という声が聞こえてきたのでした。
ああ、生きてて良かった。ヤメロヨナー。
そんなわけで、ほっと一息ついた僕らは、シェフ長の提案で川へ水を汲みにいき、コーヒーでも沸かそうということになりました。

清冽とも言うべき渓流の水の流れは、寝ぼけたボクの脳細胞にやさしく活を入れてくれ、森林の穏やかな朝は、マイナスイオン吸収には最適と思われる環境です。

キャンプって、いいなぁ。

そんな感想を抱き、朝食の準備を続けるため、キャンプ地へと戻りました。
あまりさわやかには見えませんが、寝起きの一枚です。

しかし、私がこの渓流でさわやかなひと時を楽しんでいたちょうどそのとき、写真後方の土手の裏では、やっと起きてきたOクンが、自然の摂理に従い今まさに排泄行動を起こそうとその大柄な体躯をかがめて下腹部に力をこめていたのでした。

おまえ、次やったらしばくぞーーーーー。