4 ダンゴムシは永遠の課題 

 さて、こんな能力を充分に発揮していくと 大人には考えられない、驚くべきことをしでかしたリします。 
       
 ダンゴ虫の話をしましょう。 
        
 子どもにとっては、タンゴ虫は永遠の課題といってもいい生物。 
どんな子でも、タンゴ虫とは遊ぶことができるのではないでしょうか。 
手の上を這わせてみたり、レースをさせてみたり…。  
       
 ある日のことダイヤブロックが置かれているコーナーで、子どもたちが何かを囲んで、ワイワイとさわいでいます。 
       
「ほら、そこだよ」とか「こいつ頭いいな」とか言っています。 
         
 何事だろうと思って近づいてみると、彼らは、タイヤブロックで迷路を作ってタンゴ虫を這わせていたのでした。 
          
 さて、その次の日です。 
       
 いそいで帰ってきた一年生たちが遊び始めます。 
フィルムケースから出したダンゴ虫が、少しよろよろしながら歩き出します。 
たちまちおきる歓声。 
     
 二年生がやってくると、遊びも少し学究的になってきました。 
「ダンゴ虫って昆虫かな」「足は何本だ」「何食べるのかなあ」・・・話が広がっていきました。 
                
 しかし、一、二年生では、遊びは「タンゴ虫」と「迷路」から離れません。 
それが三年生か加わると、遊びがグンと変わっていきます。 
                 . 
 三年生の剣正君が「ねえ、俺のペットのモスラでやろうぜ」と言ってきたのです。 
モスラは、彼の飼っているシャクトリ虫です。 
     
 「タンゴ虫」から他の虫へとイメージがジャンプしていきます。 
これが三年生なのでしょう。 
 さて、シャクトリ虫ですが、当然のことながら、迷路の上を難なく乗り越えていってしまいます。 
「ああ! こいつずるい!」 
     
 迷路遊びが熱気をおぴてきた頃、英樹君が飛び込んできました。 
両手を握って。 
「ねえ、ねえ、実験に傾えそうなの、いっぱい持ってきたよ。」 
 みんなが一斉に見ました。 
      
彼が手をばっと開くと、そこには、タンゴ虫はもとより、 
        ハサミ虫、コメツキ虫、ミミズ等、ありとあらゆる虫がゴチャゴチャと入っていたのです。 
     
「ギャッ」「すげえ!」「やろうぜ!」 
「やろう、やろう」「ミミズすごいなあ・」 
         
 その姿はまさに科学者です。 
     
 大人にとってはたわいのないいたずら。 
しかし、そこにはまさに科学があるのです。 
      
自分たちのイメージにかりたてられ、実験−検証を繰り返していく彼ら。 
ここにこそ、学びの基礎となる力があるのです。 
          

 子どもたちのファンタジーは、 
一つのものに心をよせ見ることによって(あるいは聞くことによって)生まれます。  
     
仲間とイメージを共有し、イメージのキャッチボールをすることにより、豊かにふくらんでいきます。 
     
 そのことが、彼らの生活を豊かにし、様々な能力を開花させていくことだ、と私は考えます。 
           
「遊べない、遊ばない子ども」と言う前にこの子どもたちの力を、この時期大切にしてあげることが、今の日本の大人にとって必要なことだと思います。 
          
 そう、それは子どもたちの基本的人権「夢見る権利」なのだと思います。 
               
「夢見る権利」を大切に。これが今回の私の主張です。   
    

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この小論を読んで、大田区立多摩川幼稚園の加藤先生が、すてきな実践報告を寄せてくれました。ぜひ読んでみてください。 
 
 
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