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海外メディアが伝える日本
Japan Struggles With Surge in AIDS Cases
(June 4, 2005 AP)
A rapid spread of AIDS over the past decade has reached a level that has confounded and alarmed the health establishment in Japan, a country that has long felt protected by a first-rate health system and widespread condom use.(以下略)
日本で報告されたエイズウィルス(HIV)感染者とエイズ患者の合計が1万70人と、85年に最初の患者が確認されて以来、初めて1万人を超えたことが4月25日、厚生労働省のまとめでわかった。2004年に判明した感染者と患者の数も、それぞれ780人、385人で、いずれも年間件数としては過去最高を記録。合計人数も1165人で、初めて1000人の大台を突破した。
AP通信は6月4日、"エイズ急増に日本苦闘"との見出しで、日本のエイズ問題の現状と、医療関係者の危機感を伝える記事を配信。同記事によると、何人かの専門家は、日本のエイズウィルス感染者とエイズ患者の数は、実際には、厚生労働省発表よりもずっと多く、既に2万人-4万人に達しているとみており、ある医師は、エイズ急増で"日本は破綻寸前"と警告している。同記事はまた、日本では1990年代に薬害エイズ事件をきっかけに、エイズに対する注目が高まったが、その一方で、エイズは血友病患者、同性愛者、外国人の問題で、普通の人が性交渉で感染することはない、との安心感や誤解が国民のなかに生まれきっかけともなった、との専門家らの見方を紹介している。保健所で血液検査を受けながらAP通信のインタビューに応じた、東京在住で複数の男性と現在性的関係をもっている23歳の女性は、"エイズの危険は知っているけど、彼氏たちがコンドームを使うのを嫌がるので、結局コンドームなしでしているのよ" と語っている。
世界保健機関(WHO)の2003年版報告書によれば、世界のエイズウィルス感染者とエイズ患者の数は約4000万人で、年間300万人の人がエイズで死亡している。最も深刻なのは、サハラ以南のアフリカで、特に南アフリカでは、3人に1人はエイズで死亡している、と最近報道されたばかり。
たとえ日本の感染者・患者が、発表されている数字よりもずっと多く、4万人であったとしても、これは大雑把に言って、3000人に1人の割合で、タイの100人に1人、中国の1500人に1人の割合などと比べても少なく、それほど深刻にみえないかもしれないが、感染者・患者の2004年の増加率は14パーセントと、サハラ以南のアフリカと同水準だ、とAP通信は同記事で伝えている。
今年の主要先進8か国首脳会議(G8サミット)は、7月にスコットランドのグレンイーグルスで開かれる。議長を務めるブレア英首相は、アフリカの開発問題と地球環境問題を同サミットの最重要議題に掲げている。2001年の米同時テロ以降、"貧困はテロの温床"との認識が高まり、欧米先進国は競って、アフリカ向けを中心とした途上国援助を増やしている。アフリカなどの貧しい国々のエイズ対策にも、先進国は一層支援を強化していく必要がある。多くの勤労世代の人がエイズの犠牲になることは、途上国の経済発展にとってもマイナスだ。また、グローバル化で、人と人の往来が国境を越えて活発になる中、エイズなどの感染症は特定の地域・国の問題ではなく、国際社会が協調して取り組むべき問題だ。エイズで両親を亡くし、孤児となる子どもが急増していることを考えれば、人道的観点からも、国際社会が早急に対策を講じる必要がある。
Celebrating Japan's Trafalgar
(May 26, 2005 BBC)
This year Britain will celebrate the 200th anniversary of the battle of Trafalgar. But this week, on the other side of the world, another naval skirmish is being commemorated, in which the victor was trained in England and most of his ships were built in Britain.(以下略)
東郷平八郎元帥率いる日本の連合艦隊が、帝政ロシア・バルチック艦隊を破った日本海海戦は、世界の海戦史上ほとんど類例のない完勝で、世界中を驚かすとともに、日露戦争の帰趨を決するものとなった。この日本海海戦から、5月27日で100年を迎えた。この日本の連合艦隊の戦いぶりは、1805年にネルソン提督率いるイギリス艦隊が、フランス、スペイン連合艦隊を破り、ナポレオンのイギリス進行を阻止したトラファルガー海戦と対比されることも多い。
今年は、日本海海戦から100年、トラファルガー海戦から200年。日本海海戦100年にあたり、日本国内では記念行事も催されたが、イギリスのBBC放送は5月26日、"日本のトラファルガーを祝う"との見出しの記事をウエッブサイトに掲載した。
同記事は冒頭で、東郷元帥が当時世界第1の海軍国だったイギリスで訓練を受けたことや、彼の率いる艦隊の軍艦がイギリスで建造されたことを紹介、二人の英雄を生んだ両海戦の100周年、200周年が重なったことは、単なる偶然ではないことを伝えている。
同記事は、東郷元帥や日本帝国海軍とイギリスとの関係の深さ、東郷元帥とネルソン提督との類似点などを詳しく伝えている。例えば、東郷元帥がイギリスを第2の母国とみなし、ネルソン提督の大変な崇拝者だったことや、日本帝国海軍がイギリス海軍をモデルとしていたこと、旗艦三笠を含め東郷元帥率いる艦隊の多くがイギリスで建造された軍艦であったことなど。"東郷元帥率いる日本の連合艦隊がロシア・バルチック艦隊を壊滅させ、結果的に日露戦争に勝利したのはイギリスのおかげ"、との印象すら与える記事だ。
日本海海戦から100年目の今年、日本を取り巻く海は荒れている。北朝鮮の核問題は、北朝鮮が核実験を行う準備をしているとも伝えられるなど、事態は益々悪化している。日本と中国、韓国との関係も、歴史教科書、小泉首相の靖国参拝、尖閣諸島と竹島の領土問題、東シナ海の資源問題などで依然として極度に悪化したままだ。また、日露間の北方領土問題も未解決だ。日本海海戦から100年。勝ち負けは関係なく、今後100年、いや未来永劫、日本周辺が海戦のない、平和の海であることを祈る良い機会ではなかろうか。
Japan Prepares Case for Whaling Resumption
(May 18, 2005 Washington Post)
TOKYO -- It's blubber time. Through the end of the month, fishmongers and restaurateurs across Japan are stocking up on one of the sea's most pricey delicacies _ hunks of fresh, deep red whale meat _ brought in by a fleet of Japanese research whalers now operating off this country's northern coast.(以下略)
5月18日付ワシントン・ポスト紙(電子版)は、"日本、捕鯨再開弁護論を準備"との見出しの東京発AP電を掲載。国際捕鯨委員会(IWC)年次会合を直前に控え、日本政府の立場を詳しく紹介するなど、改めて米国の捕鯨問題への関心の高さを示している。
IWC第57回年次会合は、5月末に韓国・蔚山で始まる。科学委員会、各種作業部会、総会と1ヶ月近く続く同会合では、例年同様、日本など捕鯨国と米国、豪州など反捕鯨国との間で激しい議論が予想される。
米国、豪州といえば、いずれも日本の友好国。小泉首相は、9.11米同時テロ以降、アフガン戦争、イラク戦争で米ブッシュ政権支持を即座に打ち出した。小泉首相とブッシュ大統領との個人的信頼関係に支えられ、日米関係はかってないほど良好といわれる。また、日本と豪州は、お互いに重要な貿易相手国として深い関係にある。豪州にとって日本は、石炭、鉄鉱石などの資源を中心に、全輸出の約20パーセントを占める単独市場としては最大の輸出相手国。さらには、最近注目を集めている"東アジア共同体"構想でも、他の東アジア諸国の多くが反対、ないしは難色を示す中、日本は当初から豪州の参加を主張しており、日豪関係は全般的に良好だ。だが、話が捕鯨問題となると、これらの友好国の日本に対する態度も一転、極めて厳しくなる。
先月訪日したハワード豪首相も、日豪関係の一層の強化に意欲を示したが、反捕鯨の厳しい姿勢は崩していない。
"鯨は日本の文化"と主張する日本。ワシントン・ポスト紙掲載の記事も冒頭で、ちょうどこの時期、"日本中の魚屋やレストラン経営者たちは、日本北方沖で操業中の調査捕鯨船団が持ち込む、海の最も高価な珍味のひとつである、新鮮で深紅の色をした鯨の肉の塊を買い込んでいる"と伝えている。
捕鯨問題は神学論争の様相を呈しており、捕鯨国と反捕鯨国の歩み寄りの可能性はまったく見えてこない。
Japan Names Holiday After World War II Emperor
(May 12, 2005 New York Times)
TOKYO (Reuters) - Japan's parliament on Friday renamed a national holiday to honor World War II Emperor Hirohito, a move likely to spark opposition from China and others who view the late monarch as a symbol of militarism. (以下略)
4月29日を"みどりの日"から"昭和の日"に改める改正祝日法が、国会で自民、公明、民主3党などの賛成多数で可決し、成立した。
同法成立に対する海外の関心は高く、多くの主要メディアも東京発で伝えている。海外メディアの関心が高いのは、教科書、小泉首相の靖国参拝など、過去の歴史に起因する問題をめぐって再び日本と中国など近隣アジア諸国との関係が極度に悪化している中、昭和天皇の誕生日を"昭和の日"とする法成立が、最近の関係改善に向けた動きに水を差しかねない、との懸念があるからだ。とりわけ、アジアの2大国である日本と中国との関係は今後どうなるのか、諸外国も強い関心を持って見守っている。
5月12日付ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、東京発のロイター電を掲載。同記事も冒頭で、改正祝日法成立は"昭和天皇を軍国主義のシンボルとみる中国、その他諸国から反発を招きそうだ"と伝え、懸念を示している。同記事はまた、同法の国会審議が4月初めの衆議院可決後遅れたのは、中国などとの関係を更に悪化させるのではとの懸念があったため、との見方も紹介している。
Japan Cabinet To Dress Down To Cut Greenhouse Gases-Paper
(Mya 1, 2005 Wall Street Journal)
TOKYO (AP)--Japan's government officials will shed their jackets and ties at work this summer but they won't be dressing down just to cool off. Tokyo hopes the new style will also reduce greenhouse gases, by reducing air conditioner use.(以下略)
5月1日付ウオール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は、"温室効果ガス削減のためカジュアルな格好をする日本の内閣"との見出しの東京発AP電を掲載。冒頭で、"日本の官僚、今年の夏は上着とネクタイなしで仕事。涼しくなるためだけではなく、エアコン利用を減らして温室効果ガスを削減するため"と、同記事は邦字紙の記事を引用する形で伝えている。
官僚のカジュアルな服装は、6月から8月にかけてで、まず閣僚たちが会合や記者会見に半袖姿で出席し手本を示す予定だが、それでも外国からの要人と会う際は、きちんとした格好をする、との細田官房長官のコメントも同記事は紹介している。
夏にはカジュアルな服装をという決定は、今年2月に発効した京都議定書が定める、二酸化炭素など地球温暖化の原因とされる温室効果ガス削減義務を達成するための"奇抜"な手段、と同記事は伝えている。
京都議定書は、1997年に京都で開催された第3回気候変動枠組み条約締結国会合で採択されたもので、先進国全体で2012年までに1990年比で平均5.2パーセントの温室効果ガス削減を義務付けている。日本には6パーセントの削減義務があるが、2003年時点で、温室効果ガス排出量は、1990年比で逆に8パーセント増加しており、トータルで14パーセントの削減をしなければならない。日本が議定書の削減義務を達成できるかどうか、見通しは極めて厳しい。
同記事は、夏はカジュアルな格好でという今回の決定は、エアコン利用を減らし、官庁の温室効果ガス排出を削減するためというが、日本の官僚はフォーマルな格好に執着しているので、"過激なアイデア"だと分析。
さらに同記事は、"形式ばらない服装は米国では企業文化の一部となっているが、日本では広く受け入れられていない"、と日米の違いを紹介。最後に、"通常、日本の官僚は、蒸し暑い夏には、ハンカチ片手に上着とネクタイで汗だくになって仕事をしている"と同情的に締めくくっている。
Japanese economy stuck in deflation
(April 26, 2005 Financial Times)
Tokyo - Consumer prices fell for a seventh straight year in the 12 months to end-March 2005, confirming that the economy remains stuck in deflation in spite of three years of stop-start growth.(以下略)
4月26日付フィナンシャル・タイムズ紙(電子版)は、東京発の"デフレで身動きが取れない日本経済"と題する記事を掲載。冒頭で、"2004年度の日本の消費者物価は7年連続の下落となり、3年に及ぶ断続的な成長にもかかわらず、依然としてデフレで身動きが取れないでいる"と伝えている。
2004年度の消費者物価指数の下落幅は、2002、2003年度の0.8パーセントと比べ、0.2パーセントと緩やかなものにとどまった。日銀は昨年10月、今年度にはデフレが収束し、0.1パーセントの穏やかな物価上昇になると予測した。しかし、そうした見通しも1年先送りを余儀なくされそうで、その結果、日銀の"ゼロ金利政策"も少なくとも更に1年は続きそうだ、と同記事は伝えている。
一方、26日発表された3月の失業率は4.5パーセントに改善、同月の勤労者世帯の支出も前年同月比1.7パーセント増加するなど、日本経済の現状ははっきりとしないとするエコノミストたちの声を同記事は紹介している。
今後の日本経済の先行きについては、"原油・原材料価格が依然として高い水準にあり、米国経済の見通しも決して明るいというわけではないが、最大の貿易相手国となった中国が引き続き力強い成長をしており、日本の企業収益も記録的な水準にあることなどから極めて楽観している"とのエコノミストのコメントを紹介している。
小泉首相は26日、在任5年目に入った。就任した2001年当時、日本経済は深刻なデフレ不況下にあった。現在は、銀行等金融機関の不良債権処理も進み、平成不況は脱した。しかし、デフレは依然として続いている。
同記事の中で、あるエコノミストは、日本経済は2002年以降、少なくとも名目ベースでは成長してきたが、その原因は"一に輸出、二に輸出、三に輸出"だった、と述べている。現在も日本経済は輸出頼みの状況に変わりなく、自立的な内需主導の力強い成長がいつ実現できるか、同記事は問いかけているようだ。
Japan Foreign Policy Grates Asia Neighbors
(April 17, 2005 Washington Post)
TOKYO -- In diplomatic tussles with its neighbors, Japan has long been inclined to turn the other cheek. Not lately, though.(以下略)
4月17日付ワシントン・ポスト紙(電子版)は、"アジアの近隣諸国をいらだたせる日本の外交政策"と題する東京発AP電を掲載。同記事は、冒頭で"これまで長いこと、近隣諸国との外交紛争で、日本は侮辱されても甘んじて受けがちだったが、最近は事情が異なっている"と述べ、日本と中国や韓国との関係が、歴史問題、領土問題、日本の国連安保理常任理事国入りなどを巡って緊張しているにもかかわらず、日本が、従来と異なり、強く自己の立場を主張して一歩も譲らない態度を取っていることに注目している。
同記事は、"従来、日本は外交問題ではっきりとした立場を打ち出すのを避けてきたが、そうした戦術はうまくいかず、国民からも、あまりに弱腰との批判を受けている"との日本人識者のコメントを載せている。
日中関係は、小泉首相の靖国神社参拝、尖閣諸島領有権、東シナ海の日中中間線付近でのガス田開発などの問題で現在緊張している一方、近年の中国の軍事力強化、日本近海での中国海軍の活発な活動、台湾政策なども日本国内で懸念を高めている。日韓関係では、竹島領有権問題もある。
同記事は、さらに、日本が近隣諸国に強硬な外交政策をとっている例として、北朝鮮との拉致問題を巡る制裁措置、ロシアとの北方領土問題で小泉首相が昨年9月に首相として初めて行った海上視察なども挙げている。こうした日本の強い外交姿勢は、イラクへの自衛隊派遣、平和憲法改正の動き、米国とのミサイル防衛協力など、世界第2位の経済大国・日本のより大きな野心の反映、と同記事は分析。
また、今回の日中関係の緊張は、中国が資金力を使って外交的影響力や太平洋地域における軍事的プレゼンスを強化しようとしている一方、日本は、現在は米国・ロシア・英国、フランス・中国の5カ国が占める国連安保理常任理事国の地位を目指すなど、両国がアジアにおいて政治的、経済的に支配的地位を競い合うという、より長期的な摩擦の中で生じている、と同記事は分析。
最後に同記事は、日本の国連安保理常任理事国入りには中国の同意が必要であること、ロシアとの間ではシベリア石油パイプライン構想で太平洋ルート建設を求めていること、国際熱核融合実験炉誘致問題で韓国の支持が必要なことなどを挙げ、"近隣諸国を遠ざけると、日本は多くのものを失いそうだ"と警告している。
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