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「アルベール・ラモリス」アラカルト |
| 素晴らしい風船旅行 1960・仏 |
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![]() 監督:アルベール・ラモリス 脚本:アルベール・ラモリス 撮影:モーリス・フェルー ギイ・タバリー 音楽:ジャン・ブルドロミデ 出演:パスカル・ラモリス アンドレ・ジル モーリス・バケ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 「赤い風船」の一場面 ![]() |
物語 「これまで、人間の行動は地上に制約されてきた」 70歳になる発明家(アンドレ・ジル)はパリのアパートメントで友人たちを集めて自分の発明した装置についての持論を披露した。「重力の問題ゆえにな。しかし、空を飛ぶことは夢ではない」 発明家は理想的な移動手段を完成していたのだ。それは気球である。 その気球は上昇、下降が自由に操作でき、四方に突き出たノズルから空気を噴出すことで飛ぶ方向も操れる。 「天然の材料を使う。つまり我々の周りの空気だ。空気の比重を軽くして気球に送り込むのだ」 発明家の助手(モーリス・バケ)がミニチュアの気球にシリンダーから空気を送る。ミニチュアの気球が膨らんで浮き上がった。 「降りるときは空気の一部を抜くのだ」 発明家は胸を張る。ミニチュア気球は部屋の中を優雅に飛んだ。友人たちが驚きの声を上げた。 「フランス中を飛んでみせる、海から山へ・・・モンブランへも」 北フランスのベチューニュのとある町。広場で発明家の気球に比重を軽くした空気が送り込まれた。巨大な気球はふくらみ浮き上がった。気球から吊り下げられた篭に発明家が乗り込んだ。 人々が見守る中、気球はたちまち空に舞い上がった。はるか下方に町が小さくなっていく。 その時、篭の外側に孫のパスカル(パスカル・ラモリス)がしがみ付いているのを発明家が見つけた。あわててパスカルを篭の中へ引き入れる。パスカルも気球に乗って空を飛びたかったのだ。 パスカルを引き上げるとき、気球の錨がはずれロープの下にぶら下がったままだ。錨は洗濯物を引っ掛けた。洗濯物は気球から離れ、まるで人間のように宙を舞う。 発明家と孫は篭の中から地上を眺める。町から郊外へ。工場の煙突が煙を吐いている。道路を自転車に乗って追いかける少年たち。 農道を車が走る。「オウムの忘れ物ですよ〜」 助手が叫んでいる。 「中はもう一杯じゃ、密航者がいるものでな」 発明家が叫ぶ。「じゃ、又、あとで」 助手は走り去った。 パンとワインで、篭の中の空中レストランでの優雅な食事。 「ストラスブール大聖堂だ」 「ずいぶん高いね」 下を飛ぶコウノトリの群れ。古城が見える。森、山、麦の収穫風景。 「絶対に不可能だ、奴は到着せんよ」 パリのアパートメントでは友人たちが部屋に集まり議論していた。「おい、来たぞ!」 外を望遠鏡で見ていた者が叫んだ。遥か彼方に気球の姿が見えた。 エッフェル塔、セーヌ川の流れ、凱旋門を眺めながら気球が飛ぶ。 「驚くべき発明だ、まさに天才だよ」 友人たちが賛嘆した。 橋の上に建てた城、シュノンソーの館が見える。森の中をカモシカが走る。追う狩人たちと犬。カモシカは河原へ逃げる。パスカルはカモシカを何とかして逃がしたい。 やがて追っ手から逃れるカモシカにパスカルはほっとした。 陽が沈み、又昇った。雲の合い間に大海原に浮かぶヨットの群れが見える。ブカレストの沖合いで大型帆船のレースが行われていた。ウミドリの群れが大きな岩に張り付いている。 気球は教会の真上に来た。教会の広場に助手の用意した白いマットが敷いてある。気球はそこへ降りた。 発明家とパスカルが気球から降りた後へ、助手とダンスをしていた女が気球に乗り込んだ。気球が浮いた。助手は慌てて降りたが女は気球と共に浮き上がっていってしまった。 車で追う助手。気球からぶら下がるロープを掴む。ようやく墓地の墓石にロープを結わえる助手。 パリの部屋で友人たちがミニチュアの気球で遊び興じていると、突然、気球が爆発した。ミニチュアの気球が燃えた。 「分かったぞ!カバンスキー現象だ!」 一人が叫んだ。「気体の構造を変えるあの方法は安全性に欠ける、気温と気圧が急激に上昇すると、気球と周囲の空気のバランスが崩れるのだ」「ならば、気球は爆発してしまうぞ!」 山火事の上を気球が飛ぶ。下では消火活動に懸命の人々が見える。広大な面積が燻っている。やがて気球は失速し、発明家の気球は案の定、丘の中腹で爆発した。さてどうするか。 発明家は助手の待つ広場まで馬車でやって来た。 「わしが諦めると思ったら大間違いだ」 車に予備の気球が用意されていた。 「こうなるのは初めから予測していたのじゃよ」 パスカルを乗せ、発明家は再び空に舞い上がった。 豚の群れ。山上の城跡に羊の群れ。「アルプスは遠いの?」 「気球で行けばあっという間さ」 「間もなくモンブランの上に行くぞ」 「気違い沙汰だ。アルプスは越えられん」 「気球があの気圧に耐えられる訳がない」 「助かる見込みはないな」 パリの部屋で皆は噂した。 「あれがモンブランじゃ」 モンブランの頂が雪化粧している。ロッククライミングの人が見える。真下で口を開けるクレバス。霧が漂い始めた。 翌朝、目覚めるとそこはコートダジュールだ。気球から吊るされたロープで海水浴と洒落るパスカル。 闘牛場で牛と戯れる助手。気球はそこの広場に降り立った。 発明家が降りた時、助手が牛に追われて逃げてきた。気球が浮き上がる。まだパスカルが乗ったまま。 「あの子は気球の操作ができん、今に爆発するぞ!」 発明家は助手と車で追い駆けた。パスカルは気球に乗って有頂天だ。コウノトリの群れが下を飛ぶ。 空軍機の落下傘で降りた助手が気球のロープに掴まった。ロープをよじ登る助手。しかし、助手は落ちてしまった。すわ、助手の予備パラシュートが開いた。 気球はそのまま山、山、山。そして海へ向かう。低空飛行の砂浜でパスカルは飛び降りた。気球はそのあと上昇していく。パスカルを降ろして安心したかのように・・・そして、パスカルの姿がどんどん小さくなった。 |
| 映画館主から 短編メルヘンの「赤い風船」(’56年)から4年後にアルベール・ラモリスが発表した初の長編劇映画です。 ラモリスは空を飛ぶ話が好きなのでしょう。空中撮影用に特殊ヘリコプターを用いた“ヘリビジョン方式”を採用し、気球の旅を我々に満喫させてくれます。 台詞が少ない分、映像で楽しませます。下を飛ぶコウノトリの群れ。地上の動物たち。パリの俯瞰。モンブランの山。 子供がそのまま老人になったような発明家と、その孫の気球による大冒険。ストーリーは「80日間世界一周」に良く似ています。 ラストでは気球自身が人格を持ったかのように一人で空高く舞い上がって行きます。 全編、助手のモーリス・バケがチャップリンのパントマイムよろしくドタバタして笑わせます。 発明家の孫を演ずるのは、前作の「赤い風船」に続いてラモリス監督の息子のパスカル・ラモリスです。 「赤い風船」は小学校の体育館で見た記憶があります。「素晴らしい風船旅行」は映画館へ学校そろって見に行ったような気がします。が、記憶は定かでなく、夢を見ていたような錯覚だったかも知れません。 ワルツ風の軽快な音楽だけは耳に心地よく残っています。 映画とは関係ありませんが、エドガー・アラン・ポーの短編小説に「ハンス・プファールの無類の冒険」というのがあります。 ハンスがほら吹き男爵さながらに語った冒険譚です。ハンスは気球に乗り、何と「月世界」に行ってきたというのです。小説を読むと不可能な筈のほら話が物理的に矛盾せず、納得するような気がしてくるから不思議でした。 アルベール・ラモリスは、その後「フィフィ大空を行く」(’64年)、「パリの空の詩」(’67年)を撮ったのですが、イランで「恋人たちの風」を撮影中、ヘリコプターの事故で亡くなったそうです。享年45歳でした。まるで自分の作った映画のように、ラモリスは空に舞い上がっていったのです。 |
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