ソドムとゴモラ
  1962・米=伊
「ソドムとゴモラ」のスチュアート・グレンジャー

製作:ゴッフレード・ロンバルド
監督:ロバート・アルドリッチ
脚本:ヒューゴー・バトラー
    ジョルジオ・プロスペリ
撮影:シルバーノ・イッポリーティ
音楽:ミクロス・ローザ

出演:スチュワート・グレンジャー
    アヌーク・エーメ
    ロッサナ・ポデスタ
    ピア・アンジェリ
    スタンリー・ベーカー

スタンリー・ベーカーとロッサナ・ポデスタ

物語

数百年の栄華を誇るソドムとゴモラは、淫乱と悪徳の都であった。富と権力を巡る闘争の頂点に立つは砂漠の蛮族ヘラムの王であった。
都では裏切りと陰謀が渦巻き、砂漠には平和の民、ヘブライびとが生きる糧を求めて苦しい旅を続けていた。その中にアブラハムの一族がいた。

やがてアブラハムの一族のリーダー、ロト(スチュワート・グレンジャー)が東方ヨルダンを目指し、苦難の末、ヨルダン川のほとりにたどり着いた。

そこには、ソドムとゴモラの都が栄えていた。ソドムの女帝ベラ(アヌーク・エーメ)とその弟アスタロフ(スタンリー・ベーカー)はいがみ合っていた。アスタロフは姉のベラを倒し、ソドムの実権を握る機会を狙っていた。

女帝ベラはヘブライの民に乾いた土地を与えた。ロトはその土地をエホバ信仰の町にするため、土地を耕し、ダム建設に取り掛かった。
ある日、川を渡ってソドムからソドムの奴隷が二人逃げてきた。それを追って来たアスタロフをロトは馬から引き落とした。
都に憧れていたロトの娘シュア(ロッサナ・ポデスタ)はアスタロフを介抱するうちに、アスタロフの虜になる。二人は愛し合った。

一方、ロトは女帝ベラから与えられた奴隷女イルディス(ピア・アンジェリ)を妻とする。ヘブライびとは石を集め、着々とダムを造った。

アスタロフは遊牧民ヘラム族と謀議を謀り、姉を倒す計画を練っていた。
ある日、ヘラム族の大軍が襲ってきた。数千の軍馬の襲来。事前に察知したロトは大軍の来る道に石油を流し火をつけた。行く手を阻まれたところへ矢、石で応戦する。
更に、迫ってくるヘラム族に対し、ダムを決壊させ、一網打尽にした。ヘラム族は壊滅した。

ソドムへ勝利の凱旋をするヘブライびとの群れ。
ロトは、女帝ベラの申し出を受け、村が快復するまでソドムに人々を住まわせることにした。そして自ら農民のつつましい生活を捨て、塩商人としての暮らしを始めるのだった。そんなロトに対し、信頼の厚い部下イシュメルは批判的だった。「ソドムの暮らしはエホバの意思に反する」とイシュメルは言うが、ロトは請合わない。「エホバの神が私に示された思し召しだ」と。

イシュメルは密かにソドムの奴隷を逃がした。しかし、その大半がソドムの兵に捕まり、宮殿へ連行された。ロトには手が出せない。
アスタロフが言った。「お前の民はお前にはついて行かないのだ。お前の娘もな」 自分の娘の心を奪ったアスタロフを許せないロトは言った。「いつでも殺す」
女帝ベラの前でロトとアスタロフの決闘が始まる。ロトは先の曲がった杖を使いアスタロフをねじ伏せた。そして剣をかざした。ロトの娘シュアが叫ぶ。「やめて、助けてやって!」 だが、ロトの剣はアスタロフの胸を貫いたのだ。
「良くやった。死は甘美なるもの。お前こそソドムの者、喜ばしい」と、ベラは言うのだが、ロトは殺人の罪で牢獄に繋がれてしまう。

牢獄の窓からロトは地獄の光景を見た。ヘブライびとたちが女帝ベラの間の前で火あぶりの刑に処せられている。頭を抱えてうずくまるロトの傍に、その時、幻のように二人の使者が現れた。「みことばを伝える」使者は語り始めた。
「選ばれし民の堕落が神のお怒りにふれた。ソドムとゴモラの深き罪ゆえ、地上のもの全て死すべし。行け、ロト、人々を救うのだ。日が沈むとともにソドムとゴモラは崩壊する」 ロトは訊ねた。「神はソドムの者全て、無実の者をもお見捨てに?」 「正しき者、10人集めれば許して良い。だが、10人に満たなければこの都ともども破壊する。逃げてゆく時、一人でも振り返る者あれば、ソドムへの未練とみなしその者は滅ぼされる。誰も振り返るでないぞ」

使者の姿が消えると同時に、ロトの手錠が外れて落ちた。牢獄の扉が音もなく開いた。
牢から外へ出たロトは刑場の広場に集まった群集に向かって叫んだ。
「同胞よ、ヘブライびとよ、この都は呪われている。日が沈む前に出て行こう!」
女帝ベラはロトを捕らえようとはせずに嘲笑ってそのまま喋らせていた。
「この都は地上から消える。瓦礫と化す!」 大衆は笑った。 「私は愚かにも皆を堕落へと導いた。だが、神は救いを差し伸べられた。私と共に来るが良い。死ではなく、正を信ずる者10人が私と来るなら、エホバの神は都と人々をお許しになる!」

女帝ベラ「去るが良い。行きたい者は行け」 ロトはベラに言う。
ロト「市民のことを考えろ、私と来るのだ」
女帝ベラ「お前の言う罪は私には美徳。お前の憎む死こそ私の名誉。誰が行くものか」
その時、雷鳴が轟き天に稲妻が走った。ベラが天を見上げる。

ロトの娘シュア、妻イルディスをはじめ、多くのヘブライびと、多くのソドムの奴隷たちがロトに従いついて来た。
ロトは民衆に向かって言った。「神のみことばを伝える。都を出たら後ろを振り返る者があれば、神はその者がソドムを懐かしんでいるとみなして、一瞬に滅ぼす。誰も振り返るでないぞ」
ロトたちが城門に向かうと、ソドムの城門の閂がひとりでに開け放たれた。
「エホバが開けたもうたぞ!」人々は口々に叫ぶ。ロトを先頭にソドムを出て行く人の長い列がつながった。

その頃、ソドムの都に異変が起き始めていた。宮殿の壁が崩れ、地面が揺れた。逃げ惑う市民は瓦礫の下敷きになる。地面が割れて火が噴出した。
女帝ベラも崩れてきた宮殿の瓦礫に押し潰された。

ロトたちの砂漠への行進は黙々と続いていた。ロトの妻イルディスは歩きながら、夫の言った神のことばが信じられなかった。この脱出は、エホバの神の力ではなく、夫ロトの力なのではないか。
そして高台に立った時、ついにソドムの方角を振り向いてしまった。それを見たロトは叫んだ。「イルディス!振り向くな!」
振り返ったイルディスは見た。遠く、ソドムの町が大爆発を起こし、一瞬にして火の海になるのを。それがイルディスの網膜に映った最後の光景であった。次の瞬間、彼女は塩の柱と化してしまったのである。
ロトは塩の柱となったイルディスに駆け寄って、くず折れた。
泣き叫ぶロトをシュアたちが抱えて果てしない行進は続けられていったのである。

映画館主から

「ソドムとゴモラ」・・・東宝の怪獣映画のタイトルみたいですが、これは旧約聖書からのエピソードを映画化したスペクタクル大作です。

監督は「ヴェラクルス」、「何がジェーンに起ったか!」のロバート・アルドリッチ。
映画に合作相手のイタリアの血が入っているせいか、こういった史劇の中では剣にべっとりの血や、奴隷の火あぶりシーンなどにバイオレンスな扱いが目立ちます。
ソドムの都市の破壊場面もミニチュアの扱いに稚拙な感もありますが、勢いで楽しませてくれました。
特にヘラム族の襲撃場面とダム決壊シーンは相当な大迫力です。

主演のスチュアート・グレンジャーは本名がジェームス・スチュアートだとか。ジェームス・スチュアートはすでに映画界で活躍していたので、芸名をスチュアート・グレンジャーにしたということです。剣豪もので活躍していましたが私はあまり見る機会に恵まれませんでした。

アヌーク・エーメやロッサナ・ポデスタなどの肉体派女優が主要な役どころで出演しています。

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