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「嘆きのテレーズ」ワンシーン |
| 嘆きのテレーズ 1952・仏 | |
![]() 監督:脚本: マルセル・カルネ 原作:エミール・ゾラ 脚本:シャルル・スパーク 撮影:ロジェ・ユベール 音楽:モーリス・ティリレ 出演:シモーヌ・シニョレ ラフ・バローネ ジャック・デュビー ローラン・ルサッフル シルヴィ ![]() ![]() |
物語 フランス、リヨンの下町。生地店を経営するテレーズ(シモーヌ・シニョレ)は病弱な夫カミーユ(ジャック・デュビー)とその母親と3人暮らし。 母親は息子カミーユを溺愛しており、何かにつけてテレーズに辛く当たった。両親に早く死に別れたテレーズを育てた伯母がそのまま自分の息子の嫁にしたのだった。 ある日、運送会社に勤めるカミーユが酔っ払って帰って来た時、付き添って送ってきたイタリア人のトラック運転手ロラン(ラフ・バローネ)に惹かれたテレーズ。 ロランの方もテレーズが忘れられなかった。3度目に会った時、ロランはテレーズに求愛した。「こんな惨めな生活はやめて俺と一緒になろう」 だが、テレーズには病弱な夫が居る。しかし、テレーズは逞しいロランが自分の救世主に思えた。 逢引を重ねる二人は益々離れられなくなった。テレーズは思い切って夫に別れ話を持ち出した。カミーユは承諾せず、パリの親戚の家に監禁しようと企てた。「パリ旅行をしたら別れてもいい」と、テレーズに言った。 パリ行きの列車に乗った二人を、後から乗ってきたロランが探した。テレーズとカミーユは一人の水兵と相部屋だったが、水兵は眠っていた。 やがて、ロランは二人の部屋を見つけた。カミーユは疲れて寝ていた。窓にロランがいた。そっと抜け出したテレーズとロランは列車のデッキで激しく抱き合った。 そこへ目を覚ましたカミーユがやって来た。ロランとカミーユは激しく言い争い、もみ合った。しかし、腕力はロランが勝っていた。テレーズの目の前でロランはカミーユをデッキから突き落としてしまった。 ロランは次の駅で降りた。切符を調べに来た車掌がカミーユが居なくなっているのに気付いた。 テレーズはロランを責めた。「何で殺してしまったの?」「そのつもりじゃなかったんだ。はずみで・・・」「・・・別れましょう・・・」 カミーユの死体が発見された。テレーズは警察の調べを受けたが、結局事故ということに落ち着いたのだった。 カミーユの母親は息子の死を知って、ショックのあまり半身不随になった。耳は聞こえるが話せない。だが、世話をするテレーズを見る目は冷たい疑惑の目であった。「そんな目で見ないで、あれは事故よ」テレーズは義母の目が耐えられない。 そんなある日、一人の男がテレーズを訪ねて来た。列車で同部屋だった水兵(ローラン・ルサッフル)だ。「中古の自転車屋を開きたいんだ。50万フラン用意してくれ」 あの日、列車の同部屋にいた水兵は寝ていたと思ったが、実はすべてをお見通しだったのだ。水兵はゆすりに来たのだ。「それとも警察に行くかい?」水兵は言った。 テレーズはロランを訪ねて相談した。「逃げよう!」しかし、テレーズをつけて来た水兵がそこにいた。「金は無い!」ロランの言葉は無視して水兵は言う。「金曜日にもう一度連絡する。金を用意しときな」 だが、テレーズの疑惑が晴れ、カミーユが事故死と確定すると、テレーズに鉄道会社から大金が転がり込んだのだ。 水兵はテレーズの店へ金を受け取りに行く前にホテルのメイドに一通の手紙を託した。「僕が5時までに戻らなかったら、この手紙をポストに投函してくれないか」メイドは快く引き受けた。「5時になったらポストに入れるわ」 水兵は自分の身になにかあったらことの真相を警察に知らせる為に手紙を書いたのだ。 テレーズの店に水兵が来た。ロランとテレーズは用意した金を水兵に渡した。二度と姿を現さないと一筆を取った。 水兵はほくほく顔で外へ出た。そして、水兵がバイクに乗ろうとした時、走ってきたトラックが道へ飛び出した子供を避けようとハンドルを切った。トラックは水兵を跳ね飛ばし止まった。 2階から事故を目撃していたロランが、急ぎ飛び出た。水兵を店に運んだが既に虫の息だった。水兵のジャンパーから札束を取り出した。その時、水兵は「!!!・・・手紙!!・・・手紙!!」何かを思い出したように叫んだ。 ロランはあせった。「手紙とは何のことだ!」水兵を揺すぶった。しかし、水兵はそのまま事切れた。ロランとテレーズは不吉な予感に顔を見合わせたのだった。 ホテルのメイドが軽やかな足取りで歩く。手には手紙を持っている。ポストにたまたま郵便局員が来ていた。「これお願いね」とメイド。 リヨンの町のどこかで救急車のサイレンが鳴り響いていた。 |
| 映画館主から エミール・ゾラの原作「テレーズ・ラカン」の映画化です。映画化にあたって原作を現代風に変え、事件の目撃者の水兵を創作してテレーズを脅迫するという設定にしました。 そこに単なる不倫劇に留まらず、サスペンスが生まれました。人間の愛憎、肉欲、罪の意識による苦悩を描くとともに、犯罪映画としても一級品の風格を持っています。 監督のマルセル・カルネはフランスを代表する名監督。’45年の「天井桟敷の人々」は圧倒的な大作。本作も彼の代表作の一本です。そのリアリズムはついに師(ジャック・フェデー監督)を越えたと言われました。 主演のシモーヌ・シニョレはけっして美人ではありませんが、そのリアリティ溢れる演技と存在感は他の追随を許しません。「悪魔のような女」’55とともに彼女の代表作と言えるでしょう。イブ・モンタンの夫人。 それにしても怖いと思ったのは、半身不随となり、口が利けなくなった義母のシルヴィの疑惑に満ちた目。ゾッとします。 ラストも以外な展開で意表を突き、見終わった後に余韻を残します。 ’53年度、ヴェネチア映画祭銀獅子賞受賞。’54年度、キネマ旬報ベストテン1位。 参考文献:「ヨーロッパ映画作品全集」 キネマ旬報社 |
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