「ユージュアル・サスペクツ」予告編
ユージュアル・サスペクツ
          1995・米
ユージュアル・サスペクツ

製作:監督:
    ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マックァリー
撮影:ニュートン・トーマス・サイゲル
音楽:ジョン・オットマン

出演:スティーブン・ボールドウィン
    ガブリエル・バーン
    ケヴィン・ポラック
    ケビン・スペイシー
    ベニチオ・デル・トロ
    チャズ・パルミンテリ
    ピート・ポスルスウェイト


アルゼンチン船大爆発

焼け出された死体の山

ヴァーバル(ケビン・スペイシー)

ハンガリー人コバッシュ

コバヤシ暗殺計画

コバヤシ暗殺計画

ヴァーバルはコバヤシの車で去る

ユージュアル・サスペクツ
物語

カリフォルニア州サンペドロ港に停泊中のアルゼンチン船が大音響と共に爆発炎上した。
そこから27体の死体が見つかった。中には銃に撃たれた死体もある。
奇跡的に二人が生き残った。大火傷を負い病院に収容されたハンガリー人ギャングのコバッシュと、身体障害者のロジャー・ヴァーバル・キント(ケビン・スペイシー)だ。
ニューヨーク検事局のデイビッド・クイヤン(チャズ・パルミンテリ)は、ヴァーバルを尋問にかけた。

6週間前に話はさかのぼる。ヴァーバルをはじめとする5人が警察に呼び出された。
何年か前、ニューヨークで銃が積まれたトラックが盗まれた事件の容疑者として集められたのだ。
その常連の容疑者(ユージュアル・サスペクツ)たちは並んで写真を撮られた。元汚職警官キートン(ガブリエル・バーン)、マクマナス(スティーブン・ボールドウィン)、マクマナスと強盗コンビを組んでいたフェンスター(ベニチオ・デル・トロ)、爆破の専門家ホックニー(ケヴィン・ポラック)、そして障害者の詐欺師ヴァーバルだった。

クイヤン捜査官の尋問にヴァーバルが話し始める。
集められた5人は一晩拘留された。そこである計画が持ち上がった。計画者は元警官のキートンだ。
証拠不十分で釈放された5人は、タクシー襲撃事件を起こす。禁制品の宝石の運び屋から賄賂を取って護衛する警官の車を襲い、火をつける。駆けつけた警察に芋づる式に賄賂警官が捕まった。

宝石を奪った5人は韓国風釣鐘公園でレッドフット(ピーター・グリーン)と取り引をした。そこでレッドフットから新たなヤマを持ち掛けられた。実行に移した5人はあるホテルの地下で宝石屋の車を襲う。手違いからガードマンを殺す羽目になる。しかも。バッグの中身は宝石ではなく麻薬だった。
話が違うと、レッドフットに食い下がった5人はそこで弁護士コバヤシの名前を聞く。

クイヤン捜査官のヴァーバルに対する尋問は続く。
謎の弁護士コバヤシ(ピート・ポスルスウェイト)が5人の前に現れ、カイザー・ソゼという人物からの伝言を伝えた。
サンペドロ港に停泊中のアルゼンチン船で9100万ドルのコカイン取り引きが行われるから、それを襲撃しろというものだった。カイザー・ソゼは5人の今までの記録を全てファイルにしてあり、その中にはソゼのものを強奪した記録もあるため、ソゼの命令に従わざるを得なかったのだ。この5人を警察の面通しに集めたのもカイザー・ソゼの計略だという。
しかし、船を襲撃に成功すれば、9100万ドルは5人のものになるという。ただし危険な仕事であり、命の保証は無い。

・・・カイザー・ソゼ。彼はトルコの自宅でハンガリー人たちに襲われたとき、人質に取られた妻と幼い子供を前に、鉄の意志を示すため、容赦なく自ら妻子を殺したのだ。当然ハンガリー人も殺したが、怯えた一人は逃した。
だが、ソゼはその後、ハンガリー人の親戚を全て殺すことになる。彼らに繋がりのある人間をも殺しまくった。
その後、カイザー・ソゼは消えた。「そして、フッ、消えた」 とヴァーバルは語った。

フェンスターの死体が浜辺で見つかった。彼はコバヤシの話に恐れをなして逃げようとしたため、何者かに殺されたのだ。

一方、病院に担ぎ込まれた大火傷のコバッシュは全身包帯の中で何かに怯えていた。
「カイザー・ソゼ!カイザー・ソゼ!」 警察はこの男の息のあるうちにカイザー・ソゼなる人物の似顔絵作成に取り掛かった。
4人はコバヤシのビルに乗り込みコバヤシを暗殺しようとしたが未遂に終わる。コバヤシはキートンの元妻の弁護士イーディ(スージー・エイミス)までいわば軟禁状態で引き入れているのだった。

クイヤン捜査官は時々、ヴァーバルをどつきながら話を聞く。左半身が麻痺しているヴァーバルは気弱な男で、仕方なくぽつりぽつりと供述をした。
4人は武装し、アルゼンチン船を伺っていた。車が船の脇に停車した。9100万ドルが入っている車に違いない。
襲撃開始。元汚職警官キートン、マクマナス、ホックニーは銃撃で船員たちを撃ちまくる。
ヴァーバルは動きが鈍いため安全な場所で待機した。
キートンとマクマナスは船内を探索するが麻薬はどこにも無い。
車の中を見たホックニーは大金を見た。その時、背後から何者かに銃撃された。振り向き撃った者を見て驚愕するが、そのまま息絶える。

この船には秘密に部屋にアルゼンチン組織の密告屋マルケスが潜んでカイザー・ソゼの復讐に怯えていた。彼はカイザー・ソゼの悪事を密告して追われていたのだ。マルケスも何者かに撃たれた。

マクマナスは船内から出てきたが何かつぶやき倒れた。その首の後ろにナイフが刺さっていた。
ヴァーバルは積み重ねたロープの隙間からキートンが撃たれるのを見た。コートを羽織った帽子の男だった。この男がカイザー・ソゼに違いない。彼はその後、船に仕掛けた爆弾を爆発させたのだ。

クイヤン捜査官は元汚職警官のキートンをあくまで疑っていた。キートンは過去に死んだと見せかけて実は生きていた偽装事件があった。
ヴァーバルがキートンが撃たれるのを見たのは何かの間違いとしか思えない。しかもヴァーバルはキートンが死んだのを確認した訳でもない。
「キートンがソゼだ」 クイヤン捜査官は言った。「奴は今もどこかで生きている」 ヴァーバルもささやくような声で呟いた。「全てはキートンの計画だった・・・」

ヴァーバルは釈放され、重そうな足を引きずって出て行った。クイヤン捜査官は、すっきりしない思いで、マグカップのコーヒーを口にしながら部屋のあたりを見ていた。捜査室の壁にべたべたと貼ってある様々な印刷物に目が行く。
しばらくして、・・・クイヤンの手からマグカップが落ちた。
ヴァーバル(ケビン・スペイシー)
『イリノイ州で歌のカルテット・・・』 『バリトンのデブ男』 『グァテマラのコーヒー園』 『レッド・フット』・・・・・
ヴァーバルの供述の中に散りばめられていた文句がこそにある。ヴァーバルは壁に貼ってあるものを見て出任せの嘘を話していたのだ。しかも、床に落ちたマグカップの底に『コバヤシ陶器』と銘打ってあった。
クイヤン捜査官は慌てて部屋を飛び出す。今さっき出て行ったヴァーバルを追って。だが、ヴァーバルの姿はない。
その頃、捜査室のファックスから一枚の似顔絵がはじき出されていた。カイザー・ソゼの似顔絵はヴァーバルにそっくりだった。


通りを歩くヴァーバル。引きずっている足の動きが次第に普通になっていく。ヴァーバルの障害者は偽装だったのだ。車が寄って止まった。中にコバヤシが乗っている。ヴァーバルはそれに乗り立ち去った。
ヴァーバルいや、カイザー・ソゼは、『そして、フッ、消えた』のである。
映画館主から

新鋭ブライアン・シンガー監督27歳にして長編第二作目となるサスペンス・ミステリーの傑作。
『見破りますか?だまされますか?』のキャッチフレーズに踊らされた私は、完全にだまされた口です。「カイザー・ソゼ」なる怪人物とは一体誰なのか?全編を通して次第に深まる謎解きに追われつつ、ラストのどんでん返しにはあっと息を呑むほど驚き、快感さえ覚えました。

しかし、しかしです。もう一度見直してみて思ったことは、これは何ともアンフェアな物語だということです。クイヤン捜査官が聞いた話は全てヴァーバルの口から語られた物語です。
そのヴァーバルが虚実取り混ぜての嘘っぱちを供述していたのですから、だまされるのも当たり前なのです。
アルゼンチン船襲撃の場面で、キートンが撃たれるシーンではヴァーバルは別のところからそれを目撃しており、絶対にヴァーバルが撃ったのではないと、私達は考えますが、そこがこの映画のいやらしいところで、ヴァーバルの話が嘘だったら全く違ってきます。
かくして、クイヤン捜査官と同時に我々もだまされてしまった訳です。それがブライアン・シンガーの狙いだったのです。

だいたい、「カイザー・ソゼ」が実在の人物かどうかも怪しくなってきます。しかし、全身大火傷のハンガリー人コバッシュや、アルゼンチン組織の密告屋マルケスがカイザー・ソゼを非常に恐れていたことから、カイザー・ソゼは実在していたのかも知れません。
しかし、そこは一歩譲っても、ヴァーバル=カイザー・ソゼという構図は、勝手に私たちが思っただけで、映画の中でもはっきりとは言っていません。ただ、似顔絵がヴァーバルにそっくりですからやはり素直にヴァーバル=カイザー・ソゼなのでしょう。

さて、怪しげな登場人物が何人もいる中で、ヴァーバルを演じたケビン・スペイシーはアカデミー助演男優賞を獲得しただけあって好演。気弱そうな身体障害者を装って同情を集めて、その実態は残虐非道なカイザー・ソゼとは・・・。役者やのう、と言いたくなります。

本作は回想場面を中心に複雑な構成をスリリングに展開しており、アカデミー・オリジナル脚本賞を獲得しています。
ブライアン・シンガー監督の今後に期待したいと思います。

 映画館へ戻る