回復期リハビリ病棟と病病連携 (内科専門医会誌02年11月号)
01年7月に喬成会花川病院(石狩市)にて回復期リハビリ病棟を立ち上げたのに引き続き、02年10月に豊生会東苗穂病院(札幌市東区)で2軒目を立ち上げました。回復期リハビリ病棟は病病連携の典型的例でもあり、また在宅医療へのスムーズな移行のための重要なステップである。
回復期リハビリ病棟
回復期リハビリ病棟は次のような条件がある。
(1) 対象疾患となる患者が常時、病棟の80%以上を占めること: 脳血管障害、下肢・骨盤の骨折、肺炎・手術後の臥床による廃用症候群
これら疾患を発症して3か月以内に回復期リハビリ病棟に入院し、180日以内の算定。
(2)
専任医の他、看護婦・リハスタッフ・病棟施設の規定
急性期病院においては在院日数制限、療養型病床へは医療費締め付けが加わる中、『回復期リハビリ病棟』新設の動きが広がっている。病院経営にとっては慢性期患者で療養型病床にも関わらず、急性期と同等(あるいはそれ以上)の診療報酬となるのも魅力となっているものと思われる。私が花川病院で立ち上げた時には札幌圏で3件目の認可だったが、現在札幌圏では10件以上の認可あるいは準備中の状態にある。PT・OT・STの施行領域や早期加算などを考慮すると、経験的には入院患者疾患は脳卒中:整形:廃用性が6:3:1くらいが望ましいのではないかと思う。
病院の機能分担
急性期病院を見ていく。札幌圏(人口約200万人)には約30の脳神経外科医療機関がある。特徴としてその半分以上が100床程度の脳神経外科単科の民間病院である。そして、脳卒中は(神経)内科にではなく基本的に全て脳神経外科に搬送入院となるのが、本州との大きな違いである。
慢性期病院を考えてみる。札幌圏には多くの老人病院があった。600床以上の病院やグループは3つある。無論、現在は“老人病院”とは呼ばずに(介護)療養型である。(最大の病院グループはその経営本部が某警備会社の実質的傘下に入ったと言われている。)首都圏などでは介護療養型病床への転換が少ないようだが、札幌圏では介護療養型病床は定数いっぱいの上、今尚転換希望が多い。要するに、長期療養型の病院・病床が多数存在している。その“質”は、というと以前は問題ある病院も多かったが、急速に改善されている。
これまでこの中間あたる準急性期の医療機関が殆ど存在していず、病病連携がなされてきたとは言い難い状況にあった。全国的には、近森病院(高知)や熊本の脳卒中における病病連携が有名である。「回復期リハビリ病棟」新設の動きには、この位置に進もうとしている慢性期の病院や、急性期病院の一部病床をリハ重点化していく病院、急性期〜慢性期まで扱っているが病棟により特徴を出そうとしている病院などいくつかのタイプがある。2番目の病院は自前の救急患者をリハ施行するものである。花川病院は1番目の例、東苗穂病院は3番目の例であるが、いずれも患者紹介を受けることが「病棟維持のための生命線」であり、その意味での病病連携が重要となってくる。
病病連携の前方と後方
病病連携の後方とは、リハビリ施行後に長期療養病院への転院や老人保健施設への入所、自宅退院するものの在宅医療・訪問看護・デイケアなどを利用するものであるが、今回は触れない。
病病連携の前方について触れたい。私は以前、救命救急医・急性期病院の内科医・脳神経外科医などの立場にあって、病状が安定した患者を紹介する“信頼できる”病院の病床が少なくまた病院の情報も少なく苦労した経験をもつ。その当時、急性期の立場の医師が病院の開拓をしていた。
現在、送られる立場へとなったが、急性期病院の転院探しの苦労も身にしみており迅速な転院を心掛けている。また、立ち上げ2軒目ともなると急性期病院への営業活動もだいぶ手馴れてきたが、これはまさにMarketingの行動実践でもあり経営管理学で得た知識が非常に参考になっている。ここでは詳細には述べないが、Just in time・Customer
Satisfaction(顧客満足:患者のみでなく連携病院、自院職員も)・コアコンピタンス・ポートフォリオ経営などである。病病連携は「Give and Take」であり、(患者が第一であるとしても)両病院双方にとってのメリットがなければ続かない。
回復期リハビリ病棟の質・効率化の評価は期間あたりのリハビリ効果(FIM ScoreやBarthel Indexの期間あたりのUP率)、自宅退院率(最低でも70%以上必要と思う)、在院期間(許可は入院から180日だが早期加算は発症90日まで)などになっていくのであろう。
回復期リハビリ病棟を通じての病病連携の構築は病院間のネットワークの新構築であり、これまで学閥・地縁など閉鎖的であった病院間の関係も流通業界の如くに変化していくのであろうか。
その他参照
「回復期リハビリ病棟立ち上げにあたってーー 需要分析とマーケテイング」(南山堂「治療」05年2月号)(要旨)