連載・マンショントラブルB

難しく・厄介な騒音トラブル(上)

三大住民トラブルの一つ「騒音」を2回にわたって取り上げます。

役員としての対応には
難しさがあります。

 三大マンショントラブルを3Pといいます。それは「personto person(主として騒音)・「pet(ペット)」・「パーキング(駐車場)」トラブルの三つを指します。               

最も多いのは騒音トラブル     

マンションのような集合住宅では、上下階を始めとして騒音のトラブルが非常に多くまた取り扱いが厄介なのが現実です。したがって、本連載を2回に分け、その実態と実践的対策について述べます。       

住民間の騒音トラブルにはピアノ(このトラブルで殺人事件が発生したことはご承知の通り)・音響装置・テレビ音(耳の遠いご老人が音を高くし、しかもそのまま寝込んでしまい隣人に迷惑を掛ける)・ペットの鳴き声等の音によるものや、こどもが走り回ったり跳び降りたりする音があります。    
最近は生活パターンの差(高齢者夫妻の上階で残業等で遅く帰った若者のスリッパの音で起こされて寝付けなくなる)によるケースが増えています。    

こうしたトラブルは、出す側と受ける側との意識差に原因があります。出す側はなんとも思わないことが受ける側には地獄の苦しみなのです。これは他人を思いやる気持ちの欠如からくるものです。そのことにより話しあっても気持ちのすれ違いが多く、裁判に発展することも少なくありません。

 判例では被害者が不利

 住民同士の騒音トラブルに関する判例のいくつかをマンション管理センター発行の「マンション管理判例集」に見ることができます。         

争点はその音が受忍限度かということにあります。例えば、こどもの走り回る音は断続的であり受忍できるもの、生活音と考えられ訴訟した側(被害者)が敗訴することが多いようです。  

東京地裁の判決文に「集合住宅にあっては、その構造上、ある居宅における騒音や振動が他の居宅に伝播して、そこでの平穏な生活や安眠を害するといっ

た生活妨害の事態がしばしば発生するところであるが、この場合において、加害行為の有用性、妨害予防の簡便性、被害の程度及びその存続期間、その他の双方の主観的及び客観的な諸般の事情に鑑み、このような集合住宅における社会生活上やむを得ないものとして互いに受忍すべきである一方、上の受忍の限度を超えた騒音や振動による他人の生活妨害は、権利の乱用として不法行為を校正するものと解すべきところである」と記されている。権利の乱用を証明し訴えに勝つためには、まず音を定量的に把握し継続時間を記録し生活音の範疇を越えていることを実証する必要があります。      

  トラブル解消は役員の仕事か

 騒音トラブルの解決を持ち込まれた役員の対応について述べます。それには管理組合の役割を確認する必要があります。管理規約には、「管理組合は敷地及び共用部分の管理について責任と負担を負う」と明記しています。したがって、役員が介入し「あなたの方が悪い。改めなさい」と指導した際に、「専有部分でのことに何の権利があって介入するのか」と逆襲されたら反論できません。職権乱用の誹りを受けることになります。

先日、ロビーのソファーに腰掛けテーブルに土足を投げ出しケイタイしていた住民に役員が注意したところ「お前に何の権利があるのか」と激昂、騒動になりました。最近の人は自分の非をごく些細なことでも認めようとしません。これも欧米化の影響でしょうか。したがって、騒音トラブルも役員はケースを見極めて対応する必要があります。

ケース1・専用部分(近隣住居にのみ迷惑)  

ケース2・専用部分(広範囲の住居に迷惑)

ケース3・共用部分(ポンプ室からの騒音等)

ケース1には管理組合の役割からいって役員は不介入であるべきです。

ケース2は、管理規約に従って、総会又は部会によって決議された後に介入してください。  

例えば、「ペット騒音で賠償命令・名古屋地裁(h16.12.)」や「異常な騒音、振動、怒鳴り声は共同利益背反行為・東京地裁(判例時報1937号)」等は、管理組合が決議し訴訟したもので、いずれも勝訴しています。

ケース3は管理組合の本来業務として取り組んでください。次号にて、実践的解決法を紹介いたします。

                              ライオンズタワー谷塚管理組合法人理事長 舟本 統





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