奈良市再生資源処理施設見学記
2007.7.16
7月12日、奈良ストップ温暖化の会主催の見学会で、大安寺西にある再生資源処理施設へ行きました。ビン、缶、ペットボトル、紙パックがここに集められ、仕分けされたり、圧縮・梱包されたりして、それぞれの再生工場へ運ばれて行きます。
(1)問題多いペットボトルのリサイクル
奈良市のリサイクル推進課の職員2名から案内してもらい、まずペットボトルの選別ラインを見学しました。「手をつなぐ親の会」の障害者の人達が数名でペットボトルを他のものと分別。以前他の市の同種の施設を見学したときは完全な室内だったためもっと臭ったのですが、今回は半分屋外での作業だったため覚悟していた程は臭いませんでした。しかし雨天時や寒い日など締め切った室内での作業になれば、きっともっと臭うだろうから、面倒がらずに残り水でサッとすすぐ程度の洗い方は必要だなぁと感じました。
ペットボトルは市内から毎日回収されてくるそうで、ここで分別・圧縮されたあとは、滋賀県の再商品化施設まで運ばれるとのこと。真夏になれば広いストックヤードがペットボトルでいっぱいになるそうです。
奈良市のH18年度のペットボトルの搬入量は479.52トン。これを奈良市の人口で割ると1.29キロ。1本30グラムで計算すると一人一年間で43本しか出していない計算。アレそんなはずない。以前見たデータでは日本人一人当たりの使用量は100本以上となっていたはず。そっか、回収率が低いんだぁと思いつきました。
ペットボトルの問題点
1. かさばるので回収に多額の税金がかかる上、大量のCO2が出る
2. その割に回収率が低く、回収されない分は一体どこへ?
3. 現在大量に出回っている小型ペットボトルは、少し前までは企業の自主規制により出回っていなかったはず。今でもほとんど使ってない人もいるのに、大量に使う人もいて、それが税金で処理されている。企業の負担する「再処理費用」に回収費用も含め、税金を使わない方向で進んでほしい。こういう分野こそ、「官から民へ」。
(2)紙パックは大阪でトイレットペーパーに
ペットボトルの横には折りたたみコンテナに入った紙パックが山積みされていました。この紙パックは、御所市に本社のある回収業者に引き取られ、そこから大阪の家庭紙メーカーへ行き、トイレットペーパーになるようです。奈良市では一般の古紙回収は集団回収のみなのに、紙パックだけは行政回収しているのはなぜか、聞きたかったのに忘れてしまいました。次回忘れずに聞こうと思います。ちなみに、奈良市で行政回収しているのは500ml以上の裏が白い紙パックです。
学校給食の紙パックは500ml以下であることから市としては回収していないようですが、学校ではどうしているのでしょうか?「古紙ジャーナル」によると、奈良市立飛鳥小学校では児童が給食後飲み終わった牛乳パックを洗って乾かしポリ袋に入れてストックし、たまったら業者に引き渡しているそうです。
全国牛乳容器環境協議会によると、学乳紙パックの回収率は60%とのこと。使用済み紙パック全体の回収率が25%とのことなので、相当高い水準で学乳紙パックは回収されているわけです。短い給食時間に紙パック洗いの指導をする先生のご苦労を思うと頭が下がります。それにしても、紙パックから牛乳ピンに戻しているところもあるほどなのに、なぜ奈良市の学校給食はこの時期牛乳ピンをやめてわざわざ紙パックに変えたのか、疑問です。
(3)缶はリサイクルの優等生、でもビンは?
次は缶。アルミとスチールを別々に圧縮し、塊にしたものが積んでありました。ここでは作業員が缶をチェックしながらベルトコンベアに乗せていました。筒状の海苔の缶の中に紙が入ったままになっていたらしく、細い棒状のものを使って取り除くなど手間をかけていました。アルミもスチールもリサイクルの優等生。それぞれの業者に引き渡され、また缶に戻ったり建材などに利用されたりしているそうです。
そして、最後はビン。奈良市では市民が排出時に透明、茶色、その他の色の3種類に分けてコンテナに入れます。それを回収しそのまま色別に分けた集積スペースにあけます。もし市民がビールビンや一升ビンなどのリターナブルビンを混ぜても、人の手により分別していないので、リターナブルビンもワンウェイビンと同様の運命をたどります。だから私たちは、リターナブルビンを行政回収に混ぜて出さないようにする必要があります。
人手による選別がされていないためか「異物」が基準を超え、容器包装リサイクル協会の契約する再商品化事業者には引き渡されず、代わりに透明と茶色のビンは西宮の、その他の色のビンは名古屋の業者に引き渡されるそうです。ちなみに西宮のその業者のホームページを見てみると、エコグラスサンド(カレット利用再生砂)というものにしているそうで、これはコンクリート二次製品として、またアスファルト舗装の骨材等として利用されるそうです。同ホームページによると、
「日常生活の中から発生する使用済みのガラスびんは、自治体や回収業者によって集められ基本的には「カレット(破砕ガラス)」という形の再生資源となって、ガラスびんの製造原料としてリサイクルされています。しかしその利用率は、製造技術面からも限界があり、原料として再利用できぬまま、埋め立て処分されるカレットは年間約65万tの膨大な量であります」とのこと。
見学会でも「茶碗のカケラが少しでも混ざればビンに白い点ができ、不良品」と説明されました。カレットを10%多く混ぜればバージン原料のみのビン製造に比べ約3%のエネルギーが節約でき、5%のCO2が削減できるといわれていますが、ビンのリサイクルはなかなか思い通りにはいかないようです。ビンはやはり繰り返し使えるリターナブルビンにして、デポジット制にしなければならないとあらためて思いました。
(4)リサイクルは税金のムダ?
今回見学した処理施設は、比較的安定した再生資源で、全国どこの市町村でも似たような形で行われているものですが、このうち回収費用が売却費用で何とかまかなえるのは、アルミ缶と紙パックくらいでしょうか(一緒に回収されるため、個別の回収費用は計算できずはっきりしませんが)。
回収に税金が使われることの是非は意見の分かれるところですが、税金が使われる限りは、リターナブルビンが減りワンウェイビンやペットボトルが増え続けることでしょう。もし各家庭の光熱費が税金でまかなわれるようになれば、「どうせ税金だから」と、省エネ生活をする人は減るのではないかと思います。同様に、ゴミや資源の回収を税金で行う限りは、減らそうという努力をする人は増えないのではないでしょうか。