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仕事に行く途中、ふと民家の庭先を見ると植え込みの間に無造作に置かれている瓦が目についた。飾りではなく、石やブロックと同じように土止めとして置かれているようだった。 以来、瓦というものが実はとても新鮮な庭の装飾になるのではないか、などと思いを巡らせるようになった。「Bonsai」が世界的に有名ならば、「Kawara」だって欧米の園芸誌に、「Japanese
Zen Style」などと言って庭にディスプレイされてもよさそうなものだ。瓦にそんな可能性を感じてしまったのである。
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以前、出張で富山へ行ったとき、電車の窓から見える民家の屋根瓦は東京のものよりも美しく感じられた。なぜだろうと思ってよく見ていると、すべての家が黒い瓦を使っている。赤だの青だのトタンだのはないのである。ここでもやはり、瓦屋根の風格に初めて気付かされたのであった。 東京でも社寺の建築や破風造りの銭湯では、見事な瓦葺きを見ることができる。江戸時代は火事が多かったので、水にちなんだものを屋根に取り付けることで火事に遭わないように願ったのだという。 さて自分の家はどうかと言うと、今住んでいる中野の一軒家の貸家は瓦屋根ではない。文京区の実家も、15年程前までは瓦葺きだったが、3階の屋根裏部屋を増築した際にスレート葺きにしてしまった。親に内緒で屋根に登り、日に焼けた熱い瓦を足の裏に感じることはもうない。 |
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