May 18, 2001


Yamato-cho, Nakano 4:32pm

瓦についての考察。

仕事に行く途中、ふと民家の庭先を見ると植え込みの間に無造作に置かれている瓦が目についた。飾りではなく、石やブロックと同じように土止めとして置かれているようだった。
普段は屋根の上にあるものなので、今までにまじまじと近くで見つめる機会はなく、そのデザインのかわいさに初めて気がついた。なぜだかハートが彫られていたりするのだ。

以来、瓦というものが実はとても新鮮な庭の装飾になるのではないか、などと思いを巡らせるようになった。「Bonsai」が世界的に有名ならば、「Kawara」だって欧米の園芸誌に、「Japanese Zen Style」などと言って庭にディスプレイされてもよさそうなものだ。瓦にそんな可能性を感じてしまったのである。

そもそも魔除けの意味で取り付けられた鬼瓦だが、鬼と呼ぶには申し訳ないような素敵なものがある。中野区江古田に瓦の問屋を見つけ、何百という鬼瓦を見て楽しんだ。また色も赤・オレンジ・青・茶色・灰色など、様々な色合いがある。



以前、出張で富山へ行ったとき、電車の窓から見える民家の屋根瓦は東京のものよりも美しく感じられた。なぜだろうと思ってよく見ていると、すべての家が黒い瓦を使っている。赤だの青だのトタンだのはないのである。ここでもやはり、瓦屋根の風格に初めて気付かされたのであった。
そのあと、富山から名古屋まで電車で移動したのだが、岐阜の手前ぐらいで灰色やオレンジ、青の瓦屋根が混ざり始め、岐阜を過ぎると今度は瓦屋根の家自体が減ってビルやマンションが目立ち、それまでの美しい黒瓦の風景はなくなってしまった。

東京でも社寺の建築や破風造りの銭湯では、見事な瓦葺きを見ることができる。江戸時代は火事が多かったので、水にちなんだものを屋根に取り付けることで火事に遭わないように願ったのだという。
なるほどよく見ると水がうねったような形や、波模様がついたものが多い。懸魚という飾りも、魚や水にちなんだデザインである。ちょっと勉強すると、またまた街を歩くのが楽しくなった。

さて自分の家はどうかと言うと、今住んでいる中野の一軒家の貸家は瓦屋根ではない。文京区の実家も、15年程前までは瓦葺きだったが、3階の屋根裏部屋を増築した際にスレート葺きにしてしまった。親に内緒で屋根に登り、日に焼けた熱い瓦を足の裏に感じることはもうない。



<<5/5/01   >>Back to Home   6/23/01>>

Copyright (c) 2001 Kay Kaneko.
e-mail : kay_3cats@hotmail.com