清親・安治のある風景 |
江戸から東京へ急速に変わり行く東京の風景を描いた明治の画家がいた。
最後の浮世絵師といわれ光線画の画家ともいわれた小林清親、そしてその弟子で清親の影法師ともいわれた井上安治。 その画は庶民の人気を博し、大いに売れた。 永井荷風「日和下駄」の一節・・・小林翁の東京風景画は古河黙阿弥の世話狂言「筆屋幸兵衛」「明石島蔵(あかしのしまぞう)」などと並んで、明治初年の東京を窺い知るべき無上の資料である。・・・ 彼等の東京名所絵を見るたびに、東京生まれの私にとって心のふるさとに辿りついたような懐かしい気持ちになる。 17.2.28更新 |
| HOME|隅田川のある風景 |東京タワーの見える通り|広重のある風景 その1|広重のある風景その2|広重のある風景その3|広重のある風景その4|広重のある風景その5|北斎のある風景|清親・安治のある風景|私の東京散策記|電脳日和下駄 |
小林清親「九段坂常燈明台」 |
![]() |
明治の浮世絵師小林清親に「九段坂五月夜」という作品がある。雨の夜の九段坂の常燈明台が描かれている。 現在は、当時の靖国神社側から反対側の北の丸公園側に置き換えられたが健在で当時の風景の名残を残している。 常燈明台は、明治4年(1871)靖国神社に祭られた霊のために建てられたという。平成元年に老朽化のため復元作業がなされた。 東京メトロ東西線の九段下駅下車、北の丸公園田安門前にある。 16年4月5日撮影 |
![]() |
小林清親「新橋ステーション」 |
![]() |
現在の新橋駅は2代目。清親の新橋ステーション(初代新橋駅)は東海道本線の起点となっていたが、1914年(大正3年)12月の東京駅の完成により東海道本線の起点が変更され、それまでの烏森駅を新橋駅に改称し、現在に至る。 初代新橋駅(新橋ステーション)は汐留駅に改称され、荷物・貨物列車の専用駅となったが1986年(昭和61年)11月1日に廃止された 当時の新橋ステーションについて、東京名勝図会(明治10年刊)は次のように述べている。 「鉄道は明治5年9月12日、横浜より新橋までの間まったく落成により、この日開業式を執り行われたり。乗車待合(ステーション)の景光(もよう)は構内には奇樹・珍花を植え、館宇(かんう)は一般洋風をもし、双棟(ふたむね)相対して高く聳え、館の内は、広壮・清艶、一面に浄石(じょうせき)を敷き列(つら)ね、満地燦然(さんぜん)として一点の塵埃なし。上中下三等の待合休憩所(まちあいやすみじょ)あり。」 16.9.7撮影 |
![]() |
井上安治「浅草橋」 |
![]() |
安治の「東京名所図」に「浅草橋之景」という絵がある。神田川最下流に架かる柳橋の方から見た風景である。 安治の絵の橋ごしに見える高い建物は消防署の望楼である。現在はその位置に日本橋女学館がある。 当時の浅草橋は,明治7年(1874)架橋の石造のアーチ橋であった。 浅草橋は、浅草寺への道筋にあたり浅草の奥に吉原が出来てからは、浅草寺参りに加え吉原通いの遊客達でこの往還はさらに賑わった。 現在の橋は昭和4年(1929年)架橋のもので浅草橋から柳橋の間には現在でも船宿が何軒かあり屋形船が停泊する船溜まりとなっている。 JR総武線・都営浅草線各浅草橋下車 17.1.31撮影 |
![]() |
井上安治「柳島妙見」 |
![]() |
井上安治の絵に「柳島妙見」がある。柳島橋を渡った突き当りの赤い塀が妙見堂。その隣が料亭橋本である。 この辺の風景は広重の名所江戸百景の「柳しま」にも描かれている。 柳島橋は横十間川が北十間川にT字型に突き当たったところに架かる橋である。 芥川龍之介の「本所両国」柳島にこんな一節がある。 ・・・僕等は川蒸汽を下りて吾妻橋の袂へ出、そこへ来合せた円タクに乗つて柳島へ向ふことにした。 ・・・僕等は「橋本」の前で円タクをおり、水のどす黒い掘割り伝ひに亀井戸の天神様へ行つて見ることにした。名高い柳島の「橋本」も今は食堂に変つてゐる。・・・掘割りを隔てた妙見様も今ではもうすつかり裸になつてゐる。 写真の風景ー突き当りに十間橋、左に見える橋は柳島橋、川は北十間川である。妙見堂は建て替えられ鉄筋コンクリートのビルになっている。 都営浅草線、京成押上線各押上駅下車 16.8.3撮影 |
![]() |
小林清親[九段馬かけ] |
![]() |
靖国神社に競馬場があった。 東京名勝図会(明治10年刊)は靖国神社(当時九段招魂社と呼ばれていた)について次のように述べている。 「社前は平面広闊にして、数十のらんぷ、一筋の参詣道を挟み、同所両側は、競馬場にて、数十株の桜花を栽ゑたり。」 清親の作品に靖国神社境内で行われた競馬の風景を描いた「九段馬かけ」の絵がある。 当時靖国神社では、毎年春秋の例大祭に競馬が行われ東京の名物となっていたのである。 東京メトロ東西線、都営新宿線九段下下車 15.1.13撮影 |
| HOME|隅田川のある風景 |東京タワーの見える通り|広重のある風景 その1|広重のある風景その2|広重のある風景その3|広重のある風景その4|広重のある風景その5|北斎のある風景|清親・安治のある風景|私の東京散策記|電脳日和下駄 |
|