
| 特定外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年6月2日法律第78号))は,生態系の保全のために「特定外来生物」として指定された動植物の飼養,輸入,譲り渡し,譲り受け,植栽,播種などの行為を禁止し,違反行為に対して重い罰則を定めています。 特定外来生物として指定されている植物の中には身の回りに普通に生えているものがあります。 |
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| 特定外来生物法(抜粋) |
| 第二章 特定外来生物の取扱いに関する規制 (飼養等の禁止) 第4条 特定外来生物は、飼養等をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。 一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る飼養等をする場合 二 第三章の規定による防除に係る捕獲等その他主務省令で定めるやむを得ない事由がある場合 (飼養等の許可) 第5条 1 学術研究の目的その他主務省令で定める目的で特定外来生物の飼養等をしようとする者は、主務大臣の許可を受けなければならない。 2 前項の許可を受けようとする者は、主務省令で定めるところにより、主務大臣に許可の申請をしなければならない。 3 主務大臣は、前項の申請に係る飼養等について次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、第一項の許可をしてはならない。 一 飼養等の目的が第1項に規定する目的に適合しないこと。 二 飼養等をする者が当該特定外来生物の性質に応じて主務省令で定める基準に適合する飼養等施設(以下「特定飼養等施設」という。)を有しないことその他の事由により飼養等に係る特定外来生物を適切に取り扱うことができないと認められること。 4 主務大臣は、第1項の許可をする場合において、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、その許可に条件を付することができる。 5 第1項の許可を受けた者は、その許可に係る飼養等をするには、当該特定外来生物に係る特定飼養等施設の点検を定期的に行うこと、当該特定外来生物についてその許可を受けていることを明らかにすることその他の主務省令で定める方法によらなければならない。 (飼養等許可者に対する措置命令等) 第6条 1 主務大臣は、前条第1項の許可を受けた者が同条第5項の規定に違反し、又は同条第4項の規定により付された条件に違反した場合において、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止のため必要があると認めるときは、当該特定外来生物に係る飼養等の方法の改善その他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。 2 主務大臣は、前条第1項の許可を受けた者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合において、特定外来生物による生態系等に係る被害が生じ、又は生じるおそれがあると認めるときは、その許可を取り消すことができる。 (輸入の禁止) 第7条 特定外来生物は、輸入してはならない。ただし、第5条第1項の許可を受けた者がその許可に係る特定外来生物の輸入をする場合は、この限りでない。 (譲渡し等の禁止) 第8条 特定外来生物は、譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引取り(以下「譲渡し等」という。)をしてはならない。ただし、第4条第一号に該当して飼養等をし、又はしようとする者の間においてその飼養等に係る特定外来生物の譲渡し等をする場合その他の主務省令で定める場合は、この限りでない。 (放つこと、植えること又はまくことの禁止) 第9条 飼養等、輸入又は譲渡し等に係る特定外来生物は、当該特定外来生物に係る特定飼養等施設の外で放ち、植え、又はまいてはならない。 (報告徴収及び立入検査) 第10条 1 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、第5条第1項の許可を受けている者に対し、特定外来生物の取扱いの状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、特定外来生物の飼養等に係る施設に立ち入り、特定外来生物、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 3 第項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 第三章 特定外来生物の防除 (主務大臣等による防除) 第11条 1 特定外来生物による生態系等に係る被害が生じ、又は生じるおそれがある場合において、当該被害の発生を防止するため必要があるときは、主務大臣及び国の関係行政機関の長(以下「主務大臣等」という。)は、この章の規定により、防除を行うものとする。 2 主務大臣等は、前項の規定による防除をするには、主務省令で定めるところにより、関係都道府県の意見を聴いて、次に掲げる事項を定め、これを公示しなければならない。 一 防除の対象となる特定外来生物の種類 二 防除を行う区域及び期間 三 当該特定外来生物の捕獲、採取又は殺処分(以下「捕獲等」という。)その他の防除の内容 四 前三号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項 (鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の特例) 第12条 主務大臣等が行う前条第1項の規定による防除に係る特定外来生物の捕獲等については、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)の規定は、適用しない。 (土地への立入り等) 第13条 1 主務大臣等は、第11条第1項の規定による防除に必要な限度において、その職員に、他人の土地若しくは水面に立ち入り、特定外来生物の捕獲等をさせ、又は当該特定外来生物の捕獲等の支障となる立木竹を伐採させることができる。 2 主務大臣等は、その職員に前項の規定による行為をさせる場合には、あらかじめ、その土地若しくは水面の占有者又は立木竹の所有者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。 3 第一項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 (損失の補償) 第14条 1 国は、前条第1項の規定による行為によって損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。 2 前項の規定による補償を受けようとする者は、主務大臣等にこれを請求しなければならない。 3 主務大臣等は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。 (訴えの提起) 第15条 1 前条第3項の規定による決定に不服がある者は、その通知を受けた日から6月以内に訴えをもって補償すべき金額の増額を請求することができる。 2 前項の訴えにおいては、国を被告とする。 (原因者負担) 第16条 国は、第11条第1項の規定による防除の実施が必要となった場合において、その原因となった行為をした者があるときは、その防除の実施が必要となった限度において、その費用の全部又は一部を負担させることができる。 (負担金の徴収方法) 第17条 1 主務大臣等は、前条の規定により費用を負担させようとするときは、主務省令で定めるところにより、その負担させようとする費用(以下この条において「負担金」という。)の額及びその納付期限を定めて、その納付を命じなければならない。 2 主務大臣等は、前項の納付期限までに負担金を納付しない者があるときは、主務省令で定めるところにより、督促状で期限を指定して督促しなければならない。 3 主務大臣等は、前項の規定による督促をしたときは、主務省令で定めるところにより、負担金の額に、年14.5パーセントを超えない割合を乗じて、第1項の納付期限の翌日からその負担金の完納の日又はその負担金に係る財産差押えの日の前日までの日数により計算した額の延滞金を徴収することができる。 4 主務大臣等は、第2項の規定による督促を受けた者が、同項の督促状で指定した期限までにその納付すべき負担金及びその負担金に係る前項の延滞金(以下この条において「延滞金」という。)を納付しないときは、国税の滞納処分の例により、その負担金及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。 5 延滞金は、負担金に先立つものとする。 第32条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 一 第4条の規定に違反して、販売又は頒布をする目的で特定外来生物の飼養等をした者 二 偽りその他不正の手段により第5条第1項の許可を受けた者 三 第6条第1項の規定による命令に違反した者 四 第7条又は第9条の規定に違反した者 五 第8条の規定に違反して、特定外来生物の販売又は頒布をした者 第33条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 一 第4条又は第8条の規定に違反した者(前条第一号又は第五号に該当する者を除く。) 二 第5条第4項の規定により付された条件に違反して特定外来生物の飼養等をした者 三 第23条の規定に違反した者 第34条 第25条第1項又は第2項の規定に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。 第35条 第10条第1項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者は、30万円以下の罰金に処する。 第36条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第32条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して次の各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。 一 第32条 1億円以下の罰金刑 二 第33条 5000万円以下の罰金刑 三 第34条又は第35条 各本条の罰金刑 |
| 法解釈上の留意事項(その1) |
| 特定外来生物であることを認識しつつ,法律に定める許可等を得ていないのに,自己の保有・管理する敷地内での生育を放置した場合,不作為(=なにもしないこと)によりその植物を飼育,播種などの行為をしたものとして法的に評価されることがあり得る。 例えば,河川管理をしている国の機関,特定の地方自治体や宅地開発業者その他の企業あるいは地主である個人等が保有・管理する敷地内に,オオキンケイギク(Coreopsis lancelota)など明らかに特定外来生物であることが誰にでも分かる植物の花がたくさん咲いていることを毎日目で見て知っているのに,その国の機関,地方自治体,企業または個人等が何もしないでその状態を放置した場合,その植物が増殖し,あちこちに種子などを飛ばすことを意図的に許容しているのと同じ行為をしていることになるので,法律違反行為として法的に評価され,監督官庁から行政指導を受けたり処罰されたりすることがあり得る。 ただし,目で観て知っている植物が特定外来生物に指定された植物であると認識できなかった場合には,事実に関する認識が存在していなかったという意味で故意がないことになるので,処罰対象行為となることはない(事実の錯誤)。例えば,園芸店で購入した苗の表示が異なっていたために特定外来生物に該当する植物とは別の植物(例:キンケイギク(Coreopsis drummondii)やハルシャギク(Coreopsis tinctoria))だと信じて庭や畑などで栽培していたというような事例の場合には,事実の錯誤があることになるので,処罰されることはない。ただし,構成要件的故意を外形的事実の認識だけで足りると解する立場では,対象となる植物の同一性についての認識に錯誤はなく,その名についてだけ錯誤があることになるので,事実の錯誤ではなく法律の錯誤として扱われることになり,結果的に処罰され得ることになる。なお,このような事案では,意図的に事実と異なる表示をして特定外来生物を販売した園芸店の法的責任が否定されることにはならない。 これに対し,目で観て知っている植物を同定することが可能であり,何という植物であるかを知っていたのに,その植物が法律に定める特定外来生物として指定されていることを知らなかったという場合には,事実に関する認識は存在しており,「法の不知」があっただけになる(法律の錯誤)。したがって,この場合には故意がなかったということはできず,事案によっては処罰されることがあり得る。 |
| 法解釈上の留意事項(その2) |
| 特定外来生物として指定されている植物が原種だけであるのか,その園芸品種も含むのか,という点について法解釈が明瞭でない場合がある。同様に,基本種だけではなく変種や亜種などを含むのか含まないのかについても法解釈上明瞭でない部分がある。 例えば,オオハンゴンソウ(Rudbeckia laciniata)を例にあげると,その原種(基本種)が日本国に帰化し,各地で繁茂していることはよく知られており,その防除活動なども行われている。ところが,園芸店では,オオハンゴウソウの園芸品種が別の流通名(「ルドベキア」など)で公然と販売されていることがしばしばある。しかも,それらの園芸品種の多くが交配により作出された新品種ではなく,選抜によって作出された品種であるため,学名レベルで認識する限り,園芸品種であっても特定外来生物の中に含まれると解する見解が正しいように思われる。このような事例では,その園芸店は,オオハンゴウソウであることを認識して販売していることになるので,明らかに法律に定める「譲り渡し」行為をしていることになるし,もし顧客がオオハンゴウソウであることを認識して購入していた場合には法律の定める「譲り受け」をしていることになる。 これらの点については,法律専門家による検討を待つしかないが,もし現実に起訴された場合には有罪となる可能性があることを認識すべきである。 |
| 参考サイト |
| 環境省自然環境局:外来生物法-特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 |
| 特定外来生物として指定されている植物 |
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ナガエツルノゲイトウ(Alternanthera philoxeroides)
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ブラジルチドメグサ(Hydrocotyle ranunculoides)
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ミズヒマワリ(Gymnocoronis spilanthoides)
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アゾラクリスタータ(Azolla cristata)
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オオフサモ(Myriophyllum aquaticum)
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オオカワジシャ(Veronica anagallis-aquatica)
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ボタンウキクサ(Pistia stratiotes)
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| スパルティナアングリカ(Spartina anglica) | ||||
アレチウリ(Sicyos angulatus)
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オオキンケイギク(Coreopsis lanceolata)
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オオハンゴンソウ(Rudbeckia laciniata)
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ナルトサワギク(Senecio madagascariensis)
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