五重塔 幸田露伴(TRON)
さあ十兵衛、今度は是非に來よ四の五のは云はせぬ、上人樣の御召ぢやぞと七藏爺いきりきつて門口我鳴れば、十兵衛聞くより身を&T232D60して。なにあの、上人樣の御召なさるとか、七藏殿それは眞實でござりまするか、嗚呼なさけ然い。何&T227DC2風の&T22A55Dければとて&T232B46みつきたる上人樣までが此十兵衛の一心かけて&T22A240てたものを脆くも壞破るゝ歟のやうに思し召されたか口惜しい、世界に我を慈悲の眼で見て下さるゝ唯一の&T2277F4とも佛ともおもふて居た上人樣にも眞底からは、我が手腕たしかと思はざれし歟、つくづく&T232B46母しげ無き世間、もう十兵衛の生き甲斐無し、たまたま當時に双なき&T228568き知識に知られしを是れ一生の面目とおもふて空に&T22AF69びしも眞に果敢無き少時の夢、嵐の風のそよと吹けば