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解の意味を探るディラック方程式に含まれる係数が大体どんな値をとるのかという 傾向が分かって一安心できたので、次は解の解釈を試みよう。 4 つの状態が絡み合う形の解とは一体何を意味しているのだろうか。
方程式の各係数 分かり易いように、次のような形の解を考えよう。
この指数部分は平面波を表しており、この式は自由粒子を意味する。 ディラック方程式は線形であるから、 このような簡単な形の解の重ね合わせもまた解である。 簡単な解に分解して個別に考えようというわけだ。
4 成分のベクトルである
これを見ると両辺を
前回から何度も言っているが、
この行列の各要素は 2 行 2 列の行列であって全体では 4 行 4 列である。
となり、ここから次の二通りの式が得られるであろう。
もう少しまとめて書くと分かりやすい。
まだ具体的な結論は出ていないが、一歩手前まで来ている。 これらの式を使ってエネルギーの話とスピンの話の二通りの話ができるので、 ここでひとまず段落を変えよう。
負エネルギー解上で導いた式を見て、まずやってみたくなるのは、 (3) 式を (2) 式に代入して を消去することであろう。
という、単位行列に
という関係式が成り立っている事が言える。 これは特殊相対論でお馴染みの式である。 今さらこの結果を見て感動する人は少ないだろう。 そもそもこの式を元にしてディラック方程式を作ったのだから、 当たり前の結論だと言える。 しかし考え方を逆転させてみよう。 ディラック方程式に従う波動は、 「自動的に」相対論的な関係を満たす事になると言っているのだ。 ディラック方程式こそこの世界の根源的な法則であって、 相対論的な関係式はその結果として表れているのかも知れない! まぁ、特殊相対論は時空の歪みに関連する理論に発展しているので、 この考えはあまりにも楽天的すぎるわけだが。 とにかくこの式によれば、 エネルギー E は正負のどちらをも取り得ることになる。
負のエネルギー状態を禁じる理由は出て来ないようだ。
スピンが勝手に出てくる先ほどの (2)、(3) 式は、両方とも同時に満たされているべきものである。 (4) 式はそのための条件として導かれた。 しかし (2)、(3) 式は分母が 0 となるときの事を考えておらず、危険なことをしている。 事実、 の時には となるわけで、分母が 0 になってしまう。
場合によって (2)、(3) 式のどちらかを選んで使うというのは間違っている。
これらは同時に満たされていなければならない。
となり、
つまり
と表現できるということである。
ところで
であるが、これらはそれぞれスピン上向き、スピン下向きを意味すると考えられるわけだ。 ディラック方程式はスピンの存在を自然に導き出してしまったことになる。 ああ、理論物理学の勝利!!
本質は相対論ではないここまでの話を読むと、電子のスピンが自然に導かれたという素晴らしさから 「相対論万歳!」と叫びたくなることだろう。 しかしスピンの存在が導かれた本質は相対論ではなく、 式を 1 次式に変換するために行列形式を導入したことにある。 似たようなことはディラック方程式の代わりに シュレーディンガー方程式を使っても出来るのである。 暇があればいつかそれを導く手順を載せることにしよう。しかしディラックが方程式を 1 次式で書き直した動機は 相対論の要請に従おうとしたことにあるのだから、 やはり「相対論万歳!」と叫んでもそれほど間違いではないのかも知れない。
4 成分の意味するものこれで満足して話を終えてしまうと、解の 4 成分の内、上 2 つが正エネルギーで、 下 2 つが負エネルギーを表すのだと誤解されてしまうかも知れない。 実際はそんなに奇麗に分かれているわけではない。
まだ
と表しておくと、 このように 4 成分をフルに使ってはいるものの、 上 2 つと下 2 つの成分は独立ではないので、 スピンの自由度が増えたことにはならない。 相変わらずスピン 1/2 の粒子を意味している。
負エネルギー解の場合には、(2) 式を使って
と表しておくと このように、各成分がそれぞれ別々の決まった意味を持っているのではなくて、 4 つの成分の組み合わせによって一つの粒子の状態が表されていると言えるのである。 ( 4 つの成分を複素数値でパッと見たときに、 それが正エネルギー解か負エネルギー解かを素早く判定する方法ってあるんだろうか?)
最後に念のために繰り返しておくと、
今回の話は自由粒子に分解して分かり易くした話であって、
実際の波動関数
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