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電磁場中の方程式いよいよ「スピンとは何か」の 記事中に書いた約束を果たすことにしよう。 スピンの場合に g 因子が 2 となる理由を論理的に示すことにする。残念ながらスピンの持つ全ての性質を、 我々が触れることの出来るような具体的な図形に例えて説明することについては すでに諦めの境地にある。 よってこの度もそのような図形的な説明は期待しないでもらいたい。 ただ論理で示すくらいしかできない。 論理を示すのに、数式ほど便利な道具があるだろうか。 では早速始めよう。 解析力学のページですでに説明したことだが、 電磁場中に置かれた電荷のハミルトニアンは次のように表せるのだった。
ハミルトニアンはエネルギーを表しているのだった。
これは非相対論的な粒子のエネルギーの式
という置き換えをして作ったものである。
ここでの
と書けるであろう。
波動関数と静電ポテンシャルの記号が同じ
近似しないと話が進まない上で作った「電磁場中のディラック方程式」を変形することによって スピンと磁場の関係を分かりやすく表示できれば、それだけで今回の目的は達成できる。 しかし少し前の記事「4 成分の意味」の最後で話したように、 この解は 4 成分で表され、 の場合には各成分が複雑に絡み合って非常に面倒なことになるのだった。
我々が以前に議論したような 2 成分のスピノルに話を合わせるためには、
の場合の近似を使う必要がある。
あるエネルギー状態
と近似できるのであった。 そこで、今後の式変形が楽になるようにこの最初の項だけを取り分けて、4 成分の波動関数を
と表しておくことにしよう。
ここで出てきた
として計算してやると、
という 2 つの式に分離出来る。
少し途中を飛ばし過ぎただろうか?
左辺の時間微分を計算した後は時間依存の指数部分は邪魔なだけなので、
両辺をこれで割って消してしまってあるのである。
さらによく見ると、両辺で
とまとめられるだろう。
この簡略化をやりたいがために
さて、この (3) 式の左辺第 2 項の時間微分を計算してやっても、
そこから出てくる量は第 1 項にある
と書いてやることが出来る。 ここまで簡略化してやらないと先へ進めないのである。 そのために近似という言い訳を使った。 これを (2) 式に代入してやれば、
となる。
この式の中にある
私はこれの証明はしないので、気になる人は各自で確かめてもらいたい。 この公式を使えば、先ほどの結果のややこしい部分は、
のように表せるだろう。
この最後の行の第 1 項はそのままにして、第 2 項の変形だけを続けることにする。
ここで第 1 項は
随分簡単にまとまってくれてホッとした。
多少首を傾げる変形が含まれていたかも知れないが、定義に戻ってじっくり考えてみて欲しい。
以上の結果を総合すれば、波動関数
と表せるということになる。 この式は「パウリ方程式」と呼ばれる。 スピンを持たない粒子が電磁場中に置かれた時のシュレーディンガー方程式を 2 成分の波動関数に対して作用する形に表しておいて、 それにスピンと磁場の相互作用によるエネルギーの項を付け加えるように工夫したものである。 パウリは経験的にこの式に到達したのであるが、 今回のような近似によってディラック方程式から理論的に導かれる事が後に示されたのだった。
結論磁場中に磁気モーメント が置かれた時、そのエネルギーは
と表せることは前に説明した。
今回の式を見ると
のようである。
ここにはパウリ行列
という置き換えをしたものであった。
次回予告計算は少々面倒だったが、手順としては簡単だったろう? 今回はそのことを重視した。 次回は別の約束を果たすことにしよう。今回と同じ事を、ディラック方程式を使わないでやってみるつもりである。 スピンの本質が相対論とは直接は関係ないということを示しておきたいと思う。
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