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相対性原理「相対性原理」とはあらゆる慣性系が同等であり、 それぞれの系で同じ形の法則が成り立つことを要求するものである。 これからその要求を満たすような形式で法則を記述していくことを考えてみよう。 まず手始めに力学法則からである。ニュートンの運動方程式
は相対性原理の要求を満たしていない。
なぜなら、ここで出てくる力
ではどうすればよいかと言えば、
始めから「力の時間軸方向の成分」という訳の分からない量を
認めてしまって、「力は 4 次元ベクトルで表される量である」と
開き直ってしまえばいいのである。
この量を 4 つの成分を持つ力という意味で「4 元力」と呼ぶ。
3 元力である 何か屁理屈のようだが、こういう条件を満たす法則こそが 宇宙の真実の姿を表す法則として美しい、とアインシュタインは 考えたわけだ。
相対論的な運動方程式力を 4 元力に拡張しただけで喜んでいてはいけない。 これを使って何か関係式を見出さなくては、この量が一体何を意味しているのか 知ることが出来ない。 我々は他のものとの関係によって物事の意味を把握するのである。
例えば、ニュートンの運動方程式が
という式を考えてはどうだろうか?
もちろん
実はあまり計算する必要も無い。
すでに 4 元力と 4 元運動量はローレンツ変換しても 4 元力と 4 元運動量であることに
変わりないことが分かっている。
問題なのは右辺の微分の分母のところにある時間 本当はここでその「うまく行かない」計算を具体的にしようかと思ったのだが、 運動量を空間座標で微分するという見慣れない計算をしてもいいものかどうか、 その計算に意味があるのかどうかで混乱してしまい、結局省くことにした。 道理でこういう危うい部分を載せている教科書を見かけないわけだ。 この解決法は簡単である。 時間微分の代わりに固有時で微分してやればいい。 固有時は座標系によって変化しない量なので
となり、座標変換後も同じ形が保証されるのである。 よって相対性理論にふさわしい形の式は
だということになる。 あるいは 4 元運動量の定義を代入して
と書いても良い。 このように座標変換しても形式が変わらないものを 「共変形式」と呼ぶ。 座標と「共に」「変わる」わけではないのに共変と呼ぶのはおかしい気がするが、 とにかくそう呼ばれている。 (誰か語源を教えて下さい。) どちらかと言えば「不変形式」と呼んだ方がいいくらいなのだが。 この用語は、次のトピックで出てくる「共変ベクトル」とは関係ないようだ。 全く別の概念として捉えた方が混乱しなくて済むだろう。 いや、何か関係あるのかな?
4 元力の意味いくら相対性原理を満たしているからと言っても、 この関係が本当に正しいとまで言えるのだろうか。 そんな心配はしなくてもよい。 4 元力 の意味は、この式を使ってこれから考えるのである。
4 元運動量や固有時の意味はすでに説明したのでこれを手がかりにすればいい。
これは 4 元力の定義式なわけだ。
ただし通常の範囲においてはニュートン力学と同じになることを期待してこの式を作ってはある。
では初めに、この式がニュートン力学的な極限でどのような意味を持つかを確認しておこう。 まず、固有時で微分している部分であるが、 固有時というのは、相対速度が光速に比べて極めて遅い場合には 我々が普通に認識している時間とほとんど変わりない。 なぜなら固有時の定義は
であって、微小時間
また 4 元運動量は
という形になる。
これは光速度
ところで、4 元力の第 0 成分
となり、エネルギーの変化、すなわち仕事率を では今度は逆に相対論的な極限で 4 元力がどのように見えるかを考えてみたいが、 こちらは日常とはかけ離れた現象なので、まぁ、式を見てそういうものだと理解するしかないだろう。
速度が光速に近付くにつれて しかしこれも少し誤解を生む表現ではある。 何もこの式によって新しい現象が発見できたわけではない。 結局はそういう量を 4 元力であると定義しただけなのだから。
まとめこのような調子ですべての基本的な物理法則を 相対性原理を満たすことが明らかな形で書き直してやる。 すべての慣性系が同等であるということは、 基本的な物理法則は全て、ローレンツ変換に対して 共変な形で表せるはずだということだ。これが物理学の新しい流れであり、 相対性理論が物理学の革命であると言われるのはこのことなのである。 世間が光速度不変の原理に驚いたことを 「これはまさに革命的なことだ」と無邪気に叫んでいるのとはちょっと違う。 次に電磁気学についても同様の書き換え作業をしてやろう。 とは言っても、マクスウェル方程式がローレンツ変換しても形式が変わらないことはすでに分かっている。 と言うより、もともとローレンツ変換はマクスウェル方程式が形式を変えないようにと 考え出された変換なのであった。 しかしそのことが一目で明らかであるような形式にしておきたいのだ。 実は電磁気学のコーナーで電磁ポテンシャルによる表現に書き換えた時に すでにその形式になっているわけだが、 それがそうであることを理解するために、まず「反変ベクトル」や「共変ベクトル」の 概念を説明しておくのが良いだろう。
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