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質点のエネルギーと運動量ある点に質量 の静止した質点が存在する時、
相対論的にはそこに のエネルギーが存在していると解釈できる。
ところが、それに対して速度 で運動する人がこれを見れば、
同じ点に のエネルギーが存在していると解釈できることになる。
ところがエネルギーだけではない。
同時に運動量 もそこにあると見るだろう。
ある人にはエネルギーにしか見えないものが、別の立場では運動量にもなるのである。
逆は言えるだろうか?
自分にはある瞬間、ある点に運動量 視点の違いによって運動量がどう変化して見えるかを求めるには、 次の二つの約束がされていないと難しいということだ。 一つ、速度の異なる複数の質点が同じ場所を占めているなどという 計算を面倒にするような状況は起こっていないとすること。 もう一つ、その質点の質量、すなわち静止時のエネルギーも知らされていること。
いや、二番目の条件は少々強過ぎる。
代わりに、運動する質点の全エネルギー 結局、ある人から見た運動量とエネルギーの情報さえあれば、 その値を、別の人から見た値に変換できるということだ。 冒頭では、静止エネルギーだけから別の視点でのエネルギーと運動量を 両方導いたように話しているが、 実は自分から見て運動量が 0 だという情報もこっそり使っていたということか。
変換式を求める「エネルギーと運動量の値を一組にして扱えば、 あらゆる慣性系での値が導き出せる」とは言ったが、 その具体的な変換式の形がどうなるかを見てみないと気になるだろう。 求めてみよう。
自分から見て、ある質点のエネルギーと運動量が
であるから、この物体の速度は
であるということが導かれる。
また、その
やってみよう。
質量
に見えるわけだ。 それは質点の 4 元速度を使えば、
と表現できる。 ・・・ああ、そうか。 ちゃんと初めからエネルギーと運動量の次元を合わせておいてやれば、 次のような非常に整った形式で表せるではないか。
運動量とエネルギーの組で作ったベクトルが、
4 元速度ベクトルとこのような単純な関係になっているなんて気付かなかった。
前は
とにかく、自分に対して速度 4 元速度というのは反変ベクトルであって、ローレンツ変換と同じ形の変換に従う。 (だからこれまでずっと添字を右上に書いてきたのだ。)
ということは、 ちなみに、初めにチャレンジしようとした面倒な方法を使っても、 長大な計算の末に同じ結果にたどり着くことは確認済みである。
密度分布へ拡張質点の話だけではもったいない。 もっと質量がふわーっと広がって存在する状況についても考えよう。 質量が連続した密度分布を持つと考えるのである。 質量の密度というのは、相対論的に言えば「エネルギー密度」である。 また同時に、単位体積あたりに存在する運動量「運動量密度」という概念も導入する。
考える事は先ほどとほとんど変わらない。
運動する「密度
となる。
なんと、ほとんど同じ形式できれいにまとまってしまった。
これを「エネルギー運動量テンソル」と呼ぶ。 4 元速度ベクトルは反変ベクトルであった。 この行列は 2 つの 4 元速度の組み合わせで出来ているので、 2 階の反変テンソルとして変換されるはずだ。 4 元速度の概念に果たして使い道なんてあるのだろうか、なんて言っていたこともあったが、今や大活躍だ。
エネルギー密度
という形でこの行列に取り込まれていることになる。 右下の 9 成分は、物理的には応力テンソルを表しているのだが、 なぜそう言えるのかについては、 連続体の力学を学んで各自で考えてもらいたい。 ちょっと詳しめの力学の教科書を手に取れば載っているだろう。 私はこの部分について詳しく語るだけのネタを持ち合わせていない。 (そのあたりの話をこの次の記事として追加しました。 必要な方はそちらを参考にして下さい。)
エネルギー保存則このテンソルを使えばエネルギー保存則や運動量保存則が さっぱりした形式で表されてしまう。
例えば、
となり、
下手な誤解が生じないようにちゃんと微小量を使って議論しよう。
もし
これを
流れの上流と下流の 2 点間に差があれば、
エネルギーはその範囲内に徐々に蓄積されているか、
あるいは元々その範囲内にあったものが余分に流出しているかのいずれかである。
そうでなければエネルギーの総量は保存していないことになる。
いや、
これが微小体積
ところで、微小領域
領域内のエネルギーが減少したときに流出量が増えるのだから、 右辺に負がついているのである。 式を整理すれば、
となり、これをアインシュタインの記法で表せば、
となる。 もっと略して、
と書いてもいい。
運動量保存則同じようにすれば運動量保存則も表せそうだ。 例えば を考える。
であり、1 秒間あたりに
これが微小体積
ここで
となる。 後は整理すれば、
である。
どうしてこうなのかエネルギー保存と運動量保存の 4 つの式は、一まとめに、
と書き表せるというのが今回の重要な結論である。 エネルギー保存と運動量保存が同じ土俵の上に並べられた事について、 神秘を感じているだろうか。 それとも単にたまたま形式的にまとめるのに成功しただけだと考えているだろうか。 もう少し掘り下げて見ておこう。
上に出てきた
このベクトルの意味は直観的には説明しがたいが、
つまり、エネルギー保存があらゆる慣性系で成り立つならば、 必ず運動量保存も成り立っていなければならないことになるし、逆も言える。 つまり、2種類の独立した法則がたまたま同じ形式の上に乗っかったわけではない。 解析力学を学んでいるならば、 エネルギー保存が時間変化の不変性に、運動量保存が空間的移動の不変性に 関わっていることを知っているだろう。 相対論は時間と空間に同じ資格を持たせているのだから、 こうなって当然なのである。 ではこのような表現を可能にしたエネルギー運動量テンソルとは何者であろうか。 これは物質の存在状態を表す何か根源的な量なのであろうか? 物質は「テンソル」として 4 次元の宇宙に存在しているのだが、 それが人間にとっては見る立場によって様々な姿に見えてしまう・・・。 いや、そんな大それた量ではないだろう。 私は単なるメモ帳くらいの存在に思っている。 成分が多い割には中の情報はすかすか。 冗長性が高い。 それでも大変便利な表現形式のメモ帳だ。
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