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大切な式はただ二つ一般相対論から導かれる基本公式は二つある。 一つは「測地線の方程式」である。
ここでは表面上の説明だけを軽くしておこう。
この式の中に出てくる もう一つの式は「重力場の方程式」 あるいは別名「アインシュタイン方程式」である。
右辺に出てくる
念のために書いておくと、記号の肩に載っている
測地線の方程式について測地線の方程式は、光を含めたあらゆる物体が4次元空間の中でたどる道筋を表している。 物体は光を含めすべて、曲がった4次元空間の中をまっすぐに進んでいるのである。 測地線というのは「直線」のことである。地球上で 2 点間の距離を測るときに引く線は「測地線」と呼ばれており、 それと似た概念であるのでこう呼ばれているのである。 例えば地球の表面に直線を引いたとすると、 それは球面の上の直線なので、球面に沿って曲がっている。 曲がってはいるが、線を引いた本人から見れば、それはやはり直線なのだ。 この例と相対論の違いは次元の数である。 地球の表面は曲がった 2 次元であり、 相対論では曲がっているのは 4 次元であると考えるのである。 直線と言っても、地球の上にいろんな向きに線が引けるように、 4 次元の中にもいろんな線がひける。 同じように、ある線は光の進路を表しているし、別の線はゆっくり動く物体の進む道筋を 表している、というわけだ。 だから、「全ての物体は曲がった空間をまっすぐに進む」という説明を聞いても 全ての物体が同じコースを通ると誤解してはいけない。
例えば、2 次元のグラフを考えてみよう。
このグラフの横軸を時間にして、縦軸を進んだ距離とする。
このグラフの上に直線を引くことによって、いろんな速度の物体を表すことが出来る。
直線の式は ところが、このグラフ用紙の方眼の印刷がずれていたり、 グニャリと曲がっていたらどうなるだろうか? 普通は使い物にならないグラフ用紙を作ったメーカーを訴えるところだが、 ここにバカ正直にグラフの方眼だけを信じる人がいた場合、 ここに描いた直線は直線だと理解してもらえないだろう。 まっすぐな線を引いたつもりでも、曲がっていると判断されるのである。 グラフの上で曲がった線は何を表しているだろうか? これは速度が変化したことを表している。 つまり、加速したことを意味する。 これと同じなのである。 世の中の全ての物体は、慣性の法則に従って、止まっているものは ずーっと止まっているし、動いているものは同じ速度で動きつづける。 これはグラフで言えば直線で表される。 ところが物体は直線上を進んでいるつもりなのに、 空間(グラフ)の方が曲がっているので、加速したように観察されるのだ。 空間(グラフの方眼)は質量があると、曲がってしまう。 私たちは星の重力で宇宙船の進路が曲げられると、 星の重力に引かれて加速したように感じるのだが、実は曲がった時空間の中をまっすぐ 等速直線運動をしているだけなのである。 私たちはグラフの方眼だけを信じるバカ正直な人間なのだ。 そして「測地線の方程式」はグラフが曲がっていても、ものともせずに 直線を表すことの出来る万能方程式なのである。 つまり、一般相対性理論というのは、まっすぐな時空間での点が、 曲がった時空間ではどの位置に相当するかを表す「座標変換の理論」だと言えるのである。
重力場の方程式についてさて、次に「重力場の方程式」の方を解説しよう。 先ほど、空間は質量があると曲がってしまうと書いたが、 どれくらい曲がるのかを表すのがこの方程式である。空間は質量(=エネルギー)だけでなく、運動量によっても曲がる。 この式の右辺は、エネルギーや運動量の密度を表している。 つまり、非常に高速で移動する物体や、巨大な質量が存在する時、 その近くの空間が曲がるのである。
その空間の曲がり具合を表す量を「計量」と呼んでいる。
左辺の つまり、右辺で表される「エネルギー・運動量の密度分布」によって、 左辺に含まれる空間の曲がり具合を表す量「計量」がどのように変化するかを 求める方程式が、この「重力場の方程式」なのである。
二つの式の使い方この二つの方程式の使い方は大体次のようなものである。 まず運動量やエネルギーの密度を「アインシュタイン方程式」に 代入して解き、各点での「計量」を計算する。 それが出来たら、その「計量」を「測地線の方程式」に当てはめて、 物体がどのコースを進むのかを知ることが出来る、という具合である。しかし、この計算は恐ろしく複雑であることを忘れてはならない。 単に式が複雑であるだけではない。 例えば、私たちがエネルギーや運動量を測る時、自分はまっすぐな空間にいると考えている。 ところが、そこにエネルギーが存在するだけで、すでにその周りの空間は曲がっているのである。 そこでその空間の曲がり具合を考慮に入れてエネルギーや運動量を測らなくてはならない。 この重力場の方程式は、空間の曲がりと、その曲がった空間の尺度で測られる エネルギーや運動量がうまく釣り合うような形で成り立っていなければならないのである。 弱い重力場の場合は、空間の曲がりがエネルギーや運動量に与える影響は十分小さいと考えて 計算することも出来るが、強い重力場を扱おうとすればそうはいかない。 ただし、簡単な条件にだけ絞れば、何とか計算できる程度のものになる。 有名なシュバルツシルト解やカー解などはその代表的なものである。 しかし、もっと一般的な問題を解こうとする場合には スーパーコンピュータによる計算が必要になってくる。 例えば、巨大な天体や光速にきわめて近い物体が運動している状況を計算したいとする。 するとその周りの物体の質量分布や運動、またその物体自身が作り出す時空の歪みを計算して、 その歪みの中をどう運動するかという問題を計算することになるのであるが、 大変なことに、その今求めた物体の運動そのものによって 時空の歪みが再び変化を受けることになってしまう。 それでまた時空の歪みを計算し直さなければならないのである。 スターウォーズのエピソード W で、ハンソロがワープに入る前の 軌道計算の重要性について怒鳴るシーンが出てくるが、 これを考えると、その時のコンピュータの計算の内容の複雑さや、 なぜあんなに計算に時間がかかったのかが理解できて ますますあの物語の世界がカッコ良く見えてくることであろう。
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